「玄米茶」さんのページ

総レビュー数: 17レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年09月28日

「マキちゃんは 将来 何になりたい?」

エアマスターこと相川摩季は、幼い頃から続けていた体操に挫折し、路上での喧嘩に明け暮れる女子高生である。身長は高く(180位か)、耳にはピアスを開け、眼光は鋭く、ストレートな強さを感じさせる美人である。

戦いを通じて体操での挫折や母の死による喪失感を克服していくのかと思いきや、そうはならない。様々な相手とストリートファイトを重ねるうち、彼女の人格は次第に分裂していく。

相川摩季の身体言語ともいえる「エアマスター」というキャラクターは非常に特異であるとともに、戦うための肉体をもつ我々の普遍的な感覚、概念をとても上手く表わしている。

最終話近く、戦いの場から現代社会に戻ってきたエアマスターにすでに居場所は無く、いわゆる将来は「無い」。しかし話は悲劇にはならず、わずかな寂しさを感じさせるだけに留めている。どういうことかというのは、是非読んで確かめてほしい。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2011-01-08 15:48:58] [修正:2011-01-08 15:48:58] [このレビューのURL]

「オレは、武藤兵庫! ミンナは、オレのことをコッセツって言うがな…」

大学受験を2浪している浪人生の諏訪大吉は、ひょんなことから、筋骨隆々の大男「コッセツ」こと武藤兵庫と知り合いになる。2年前には高校ラグビー界のスーパースターであった武藤だが、試合中に両腕・右足骨折、両アキレス腱断裂の大怪我をしてしまう。ほどなくして彼はラグビーを辞め、「なんでも屋」をしながら日本中を旅する素浪人として暮らしていた。

一方、元高校球児でもある諏訪大吉には、「ラッキュー」というアダ名があった。彼は、2年前の甲子園決勝、美砂城高校サヨナラ逆転タイムリーエラーの張本人であったのだ…

「挫折」とはどのようなものなのか、そこからどうやって再び立ち上がっていくのか、それらを正面から描いたマンガ。真面目さが時に暗く見えてしまうラッキューと、バカ強いのにトボケた感じのあるコッセツのコンビはとてもイイ。この2人の放つ剥き身の言葉は、マンガが連載されたバブル期ならいざ知らず、今の若者の心に突き刺さるものがあるのではないかと思う。全4巻、是非読んでみて欲しい。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-01-08 13:34:25] [修正:2011-07-30 22:22:50] [このレビューのURL]

切られた描写が、大変痛そうなマンガである。見ていると背中がムズ痒くなってくる。必要以上に、読者の「感覚」を刺激しようとする表現である。

登場人物たちの立ち姿はとても美しいが、薄皮一枚剥がせば、臓物という現実があふれ出る。現実とは思想ではなく身体に宿り、理性によってではなく感覚によって規定される。マンガが最も心をくだくべき課題であるように思う。

あと、終盤の伊良子の変化であるが、人が成長するときは、あんな風に突然だと思う。そこはとてもリアルだと思う。



ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-12-01 11:20:24] [修正:2011-03-20 21:09:01] [このレビューのURL]

夕暮れ、夜、朝、昼と、沖縄が香ってくるような景色である。海の中の風景もきれいで不思議だ。「不気味なもの」が不気味である。眺めていると気持ちがいい。

そんな世界のなかで、そこらへんに居そうなキャラ達による、なんとも不思議なストーリーが展開される。終盤は少々かけ足だったが、一貫して先が読めず、おもしろい。ちょっと説明しにくいおもしろさなので、ぜひ一読して頂きたい。とても個性的なマンガだが、意外ととっつき易いと思う。


ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-02-09 09:50:33] [修正:2011-02-15 00:38:37] [このレビューのURL]

本当においしい中華料理には、和食や洋食とは違う、不思議な感動がある気がする。つくり手によって味に大きく差がでてしまうからか、料理そのものの感動+つくり手の技量への尊敬のような、敬虔な感情が心に湧き起こる。…(私だけ?) おそらく、劉家の料理人である李三の作る料理も、そんな味がするのだろう。「あれだけ」食事が好きな奥様を、毎回感動させているのだから。

李三の「料理」という職能と、奥様の「美しさ」という職能を、心の底で「互いに認め合っている」ことは、読者には分かる。職能で結ばれた関係はとても強く健全である。その上でのSMは、強固な関係を前提にした「遊び」なのだから、コメディーにしかならない。で、その「遊び」が抜群におもしろいのがこのマンガである。

絵も丁寧に描かれていて良い。服や小物、背景も明代中国っぽくていい感じである。料理工程も思わず全部読んでしまうほど、ポイントを押さえて描かれている。表紙の塗り方が、なんだか諸星大二郎っぽくて大変よろしい。買って損は無いマンガだと思う。

しかし、奥様はこんな生活を送っていて、自分が嫌いにならないのか、とは少し思う。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-02-08 23:21:53] [修正:2011-02-08 23:21:53] [このレビューのURL]

※完全に個人的な感想です。気にしないでください。

「三月のライオン」もそうだが、この人のマンガはド真ん中に真っ当なマンガなので、「面白かった」以外の感想がでてこない。無理に何か言おうとすると、「オレの学生時代はこんなにいいモンじゃなかった…」みたいなイジケたものになってしまう。このマンガの全編に流れる真っ当さの前には、ヒネクレたマンガオタクの屁理屈など全く無意味だ。

一コマ一コマの描写から、(これを描いてくれるなんて)いいなあ、うれしいなあ、と感じる。マンガでしか表現できないドタバタもよかった。ポエムも一生懸命読んでしまった。

ようするに、面白かった。

健全さは不健全から逆算して導き出されるものだと思う。ヒネクレたオタクが、自身のヒネクレに気づいてしまったとき、真っ当さへの憧れが生まれるのだろう。本当に、愛が溢れているマンガである。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-01-12 23:54:50] [修正:2011-01-12 23:54:50] [このレビューのURL]

元気で素直なちーずと、少し暗い過去を持つ村野君の恋と、その周りの人々の織り成すドラマを描く少女マンガ。

恋愛というよりも、人間関係のドラマが話の中心で、ストーリーで読者を引っ張っていこうという気合を感じる。登場人物も常識のある人たちが多く、ほのぼのというか、いい意味で地に足の着いた感じがある。絵も、笑顔がイイよなあと私は思うます。

すぐれたマンガなので、もっと多くの人に読まれてほしいと思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-05-25 21:57:19] [修正:2013-05-25 21:57:19] [このレビューのURL]

少女マンガだけど、テーマはセックス。

思春期には誰にでも訪れる、自らの肉体・精神の変化に対する混乱と、それに伴う人間関係の破綻が描かれる。読み手の内面に切り込んでくるような話が、少女マンガという器にかろうじで盛り込まれている。

行き着くところまでいった、という感じのラストだけれど、それでも明日を感じさせるのがとてもイイです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-05-25 21:31:13] [修正:2013-05-25 21:35:22] [このレビューのURL]

9点 呪街

「呪力の発症」のシーン、これはモロに自己臭恐怖症のイメージ。思春期特有の病的な心理を描く。

超能力者同士の戦いなのだが、登場人物達の印象深いヘンな仕草が入口となり、相手の脳を狙い合う戦いに妙な肉体性を感じてしまう。これがこのマンガの最大の味になっていると思う。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-06-28 00:26:29] [修正:2012-06-28 00:26:29] [このレビューのURL]

とても楽しく読みました。買ってよかったと思っています。

前半の企画モノもいいけど、後半、嫁さんが登場してからの方がグッと面白い気がします。結婚に向かっての盛り上がり方はスゴイですが、4コマでオチをつけながらやっているのがイイですね。話の核で、人生論かますような所でギャグかますのがイイですね。自分の人生を見詰めて、出てくるのは自己完結よりも笑いの方がイイですよね。

カラスヤさんのマンガを一度でも楽しく読んだことがあるなら、是非買ってみて下さい。買って読むマンガですよ、コレは。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-06-26 00:34:52] [修正:2012-06-26 00:34:52] [このレビューのURL]

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