「さぶさぶ」さんのページ

総レビュー数: 19レビュー(全て表示) 最終投稿: 2011年02月20日

 いや、決してつまらないという訳じゃない。
 むしろつまらなければどれだけ良かったか。
 格別の面白さを持っているからこそ、まともに書いてくれないことが許せない。

 バトルは単純なパワーvsパワーもあり、能力バトルでもあり、そしてそれを主人公が無茶をして覆すという少年漫画の王道且つハイエンド。ジャンプバトル漫画の現行における完成形と言える。
 コメディやギャグシーンも、シリアスなシーンも富樫先生の画力、コマ割り、それに前作までの経験によって生み出されるそれは芸術と呼ぶことこそが相応しいだろう。
 細部まで練られたキャラクター性から紡ぎだされる心理描写。読者の心を掴んで離さない能力名。複雑に絡み合った人間関係によって急展開を繰り返すストーリー。広がっていることに美しささえ覚える世界観。その全てが最上級だ。

 未完成の原稿を雑誌に載せるのはまあいい。それでも十分に面白いし。
 だが。
 安定して供給されないのは駄目だ。
 結末が描かれる保証のない作品を、私は他人に勧めることはできない。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-02-21 11:18:36] [修正:2011-02-21 11:18:36] [このレビューのURL]

8点 レベルE

 「幽☆遊☆白書」、「HUNTERXHUNTER」で有名な富樫先生の短編漫画。
 宇宙人と地球人で遊ぶバカ王子によって紡がれるコメディである。
 若干、「それ笑い事じゃねーだろ」的なブラックジョークもあったりするので、そういうノリが受け付けない方は敬遠しておいた方が良いかも。所謂「シリアスなコメディ」を主役――というか狂言回し?――のバカ王子が無理やり作り出しているような感じだからである。

 やはり冨樫先生。絵柄は綺麗で緻密。
 またコマ割りの技巧も優れていて、富樫先生の掌で踊っているような感覚があった。ただそれでも――いや、だからこそ読後感は気持ちいい。

 作者の別作品も面白いのだが、彼が天才的であることを示すために用いる一作を選べというのなら、私は迷わず本作を選ぶだろう。

 現在アニメも放映されており、読むには丁度良いタイミングだと思う。
 巻数もコミックで三冊、文庫で二冊とお手頃だし。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-02-21 11:04:42] [修正:2011-02-21 11:04:42] [このレビューのURL]

 部毎に味の変わる本作を、まとめてレビューするのはなんとも難しい。

 子供の頃は正直怖かった漫画だった。タイミングが悪かったのか、丁度キャラクターが惨たらしくが死ぬ場面だったからだ。ほとんどのコマに血が映っていたし。

 しかしある程度成長すると、こういった劇画調の絵柄に対する忌避感が薄れた。
 有名でもあるし読んでみるか。そんな風に気楽に考え読み始め、後は好きな方ならお分かりの結末に至ることになった。

 スペックの優劣が勝敗の決定的な差にはならず、互いに搦手、イカサマのような策略を用いて戦う――所謂能力バトルというジャンルの先駆け的存在だろう。
 厳密にはバトルという分類に入らないような「戦い」も決して少なくなく、この膨大な巻数にも関わらず飽きることはない。

 ……ただ、少年漫画と呼ぶにはちょっと……。
 どちらかと言えば青年漫画に近いと思う。ストーリーや台詞回しはともかく、そのバトルの難解さや絵柄の濃さはやはり人を選ぶだろう。
 また、前述のように部によって別物なので、その内のひとつが合わなくても他の部を面白いと感じることはあると思う。それほどまでに違うものだ。

 味方は「黄金の精神を宿し」、敵は「吐き気を催す邪悪」。そんな言い回しが大好きだ。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-02-21 10:48:31] [修正:2011-02-21 10:48:31] [このレビューのURL]

10点 寄生獣

 ランキングの上位にいるので、私も乗ってみます。

 この作品の魅力は、パラサイトという人間に寄生する異種生命が人間に与える様々な衝撃を、僅か十巻という長さに無駄なく収めきった点。
 やはり巻数が多いと敷居が高くなる。十巻というのは友人を勧誘するにも気楽な長さかと。

 主人公新一は、右手にパラサイトを宿すことになってしまい、彼にミギーと名付け、パラサイトと出会い戦い、成長していく。
 こういった種族間の争いなど心理的な描写が味である本作だが、新一とミギーによるバトルも迫力があり、逆転要素もありで拳を握ってしまう。

 パラサイトの身体が変形するシーンなんか、幼い頃に見たら軽くトラウマになってしまうだろう。
 多感な時期に一度見て、嫌な思い出がある方も、どうかもう一度手に取って読んでみて欲しい。

 人間を食べる必要のあるパラサイトと人間の生存競争。共存の難しさ。
 これはやはり命題としては難しく、だからこそ、この作品は価値が高いのだと思う。
 説教臭いわけではなく、作品全体に問い掛けられているような気分。漫画というジャンルの価値を一段階引き上げた作品と言っても過言ではないだろう。

 絵柄は味がある、その表現が一番似合う。登場人物の表情を、その内面に応じて描けるのはただただ凄い。

 終盤。寄生獣という言葉による衝撃は、今も憶えている。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2011-02-21 10:35:56] [修正:2011-02-21 10:35:56] [このレビューのURL]

 音楽権利団体が煩くなければ歌ってしまいたいところですが、自重します。

 ちょうど二十年前ほどでしょうか。このアニメが放送されていたのは。当時の私はまだ幼かったですから、なんか格好良さげな兄ちゃんがかっけえ鎧着て戦っているアニメ、という認識しかなかった。
 しかし中学生の頃、原作版であるこの「聖闘士星矢」に出会った。

 見開きで放たれる必殺技。実際にはどんな攻撃だったのか、分からないままに吹っ飛んでいく敵味方。
 巻末に詳細が描かれる、聖衣というギミック。実際にあんな構造になっているのか確かめる術はなかったけれど、それを信じてた。
 一応理屈らしきものも存在しているけれど、それらはすべて少年たちの思いに応えるためのものでしかなく、当時の私はそれに十分に感動できた。

 これは少年漫画だ。
 小賢しい理屈を吹き飛ばして、少年が敵を吹っ飛ばすものでいい。
 だからこそ、あの日の私は読み耽った。

 青銅聖闘士がマッハ1。
 白銀聖闘士はマッハ2。
 そして黄金聖闘士は――。

 圧倒的な力の差を思い知らされても、諦めなかった彼らのような意思は、今の私に残されているでしょうか。
 傷付くことを恐れる大人になってしまったとき、何度でもこの漫画が私に勇気を与えてくれる。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-02-20 18:55:38] [修正:2011-02-20 18:55:38] [このレビューのURL]

 はじめの一歩がリアル系のボクシング代表格というのなら。
 こちらのリングにかけろはスーパー系のボクシング代表と申しましょう。

 近年アニメ化やスロット化もされ、また「聖闘士星矢」などと作者が同じということもあり、知名度は十分にあるだろう。
 しかし、単純に古いという理由から敬遠している方達も多いのではないだろうか?
 だが、そんな心配には及ばない。
 そもそも漫画に、経年劣化は存在しない。
 こんな熱い漫画なら尚更だ。

 見開きの大ゴマが数多く使われており、一冊読了するまでの時間は他の漫画の半分程度。
 残った時間は燃え盛った闘志を、身体でも動かして沈下することに努めるべき。

 理不尽な修行。空前絶後の必殺技。
 ジュニアボクシングどころか、まずスポーツになっているのか問い詰めたい戦い。
 ともに死線を潜り抜けてゆく、魅力的な仲間たち。
 それに劣らぬ――どころか凌駕する各国の強敵たち。

 疲れたときに、活字の多い漫画を読めば疲れるだろう。
 小難しい理屈をうっちゃりたい時だってあるだろう。
 そんな時。私ならこれを手に取る。
 男が吠えれば道理は引っ込む――そんな少年漫画の原点とも言える作品だ。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-02-20 18:41:29] [修正:2011-02-20 18:41:29] [このレビューのURL]

 同作者の「頑張れ!酢めし疑獄」に比べ、ユルカワイさがパワーアップした今作。
 絵も心なしか上手くなっていると思う。どちらが一般受けをするかと言えば、迷わずこっちを選ぶ。

 基本的には主人公のサナギさんとその親友であるフユちゃんが日常の様々な出来事について、まったりと論じていくというもの。
 うんうんと頷くことも稀にあるが、基本的には「そこまで考えねえよっ」ということばかり。
 背景なんかの書き込みはないと言ってよく、だからこそネタの面白さで勝負していると言える。

 他にも個性的なキャラクターが数多く登場するが、やはりこの作品と言えば先の二人だろう。
 それどころかギャグ、四コマ漫画系のベストコンビを挙げろ、と言われたら迷わず私はこの二人にする。
 面白くて、可愛い。ぬいぐるみとか欲しい。超、欲しい。

 ……ぜってぇ、アニメ化したら文字通り化けると思うんだがな……。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-02-20 18:30:05] [修正:2011-02-20 18:30:05] [このレビューのURL]

 週刊少年チャンピオン。
 三大少年誌に比べ、「濃い」と形容されることの多い本誌に、このようなユル系のギャグ漫画が連載されていたことをご存知だろうか?

 絵は上手いか?
 そう問われれば首を振るだろう。多くのファンも同様にそうするだろう。

 しかし、ギャグ漫画に必須なのは小手先の技法ではない。
 それを、身を持って教えてくれるのがこの作品だ。

 ただひたすらにバカであるネタ。
 考えて初めて理解できる、ちょっと難解なネタ。
 一度笑って首を傾げ、ダークであることに気付くネタ。

 どちらかと言えばシュールな作風。
 前述のように、絵自体は上手くはないのだが、登場するキャラクターは見る者の心を和ませる力がある。

 ストーリー作品ではないので、どこかしら適当に摘んでみて、波長が合ったなら全巻揃えると良いと思う。
 どれだけ私が面白いと思っても、波長の合わないギャグ漫画をほど苦痛なものもないのだから。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-02-20 18:21:05] [修正:2011-02-20 18:21:05] [このレビューのURL]

10点 SLAM DUNK

 バスケ漫画。そのカテゴライズにおいてこれ以上に有名な物は存在しないだろう。

 当時小学生だった私が、高校という存在を人外魔境の地であると錯覚したのも無理はない。
 登場人物すべてが日本人離れした骨格だ。

 初期こそ、絵が拙いがそれを勢いでカバーしており、中期以降は安定しながらも無類の迫力を持つ絵柄で私たちを魅了した。
 当時学生だった男子には、この作品でバスケを知り、レイアップに挑戦してその難しさに驚愕したものも数多くいるに違いない。
 ――そして私もその一人だった。

 スピード感と重量感を兼ね備えたそのタッチ。
 静かである筈の自分の耳に響く彼らへの歓声。

 当時連載していたものを追っていた、というだけの人にはもう一度。
 読んだことがないという人には良い物を。
 既に持っている人は探してみて。

 ともに、あの数秒を共有しよう。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-02-20 18:13:08] [修正:2011-02-20 18:13:31] [このレビューのURL]

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