「まれら」さんのページ

総レビュー数: 112レビュー(全て表示) 最終投稿: 2007年02月12日

凡百の漫画が叙事詩だとすれば、この作品は叙情詩なのだと思う。設定の無茶苦茶さや展開の唐突さなど些事に過ぎない。読者はただシュウジとチセの感情を辿り続けていればよい。むしろストーリーを追おうとすることで、却って筋道を見失いそうである。
形而上的なものを素材のまま提示すれば、消化に悪いのは事実である。万人受けするとは到底思えないが、うまく折り合った読者にとっては、非常に面白いものになるだろう。(レビュー点数の見事なバラつき具合を見るに、これほど極端な評価を受ける作品も珍しい。)
私にとっては衝撃的な作品だった。読後は何ともいえない喪失感・寂寞感に襲われた。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2007-11-23 15:33:38] [修正:2007-11-23 15:33:38] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

連載中の漫画であるため、あえて9点としているが、このままの勢いで連載が続けば間違いなく10点献上できる作品。
史実と虚構のバランスがきわめてよく、史実に詳しい読者も、そうでない読者も一様に楽しめる作品になっている。(勿論ある程度の予備知識があった方が、深く読めそうではある。)
壮大な戦争描写や派手な戦闘シーンに気を取られるが、敵役・脇役の端々まで実に個性的であり、わずかなセリフや漫符で暗示される心理描写も出色である。安易に表現してしまってもストーリーに影響しないレベル(尾兄弟、黄離元、シュンメン、昌文君の部下、信が喧嘩をふっかけた伍の面々など)まで、しっかりキャラが立っている。
ただ、あまりに緻密に描かれているため、通常レベルでは問題にもならない程度のアラが目立つのも事実である。例えば壁だけ諱で呼ばれなかったり、山の民の中で楊端和(史実では漢民族?)だけ漢字表記だったり、昌文君や肆氏は敵方や部下にまで称号で呼ばれたり、なんとなく気になってしまう。

(以下は漫画中に未だ登場しない史実を記しますので、知りたくない方は飛ばしてください。) 

作者は、今後どこまで描くつもりか気になる。史実を辿れば、当然李信の惨敗や昌文君の裏切り、壁の死(壁死(笑))、始皇帝の暴政などに到達するが、娯楽作品としてはあまりストーリーに乗りにくい部分かと思う。そう考えると、あまり遠くない時点でフィナーレとした方が作品としてのまとまりはよいと思うのだが、これほど面白い作品の終わりを願うのも変な話ではある。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-11-18 19:52:14] [修正:2007-11-18 19:52:14] [このレビューのURL]

「ハチワンダイバー」の異様な熱気に触れ、(今更ながら)一気読みしてみて、ショックを受けました。「感動」や「興奮」とは違う、得体の知れない感情の高ぶりを感じる怪作です。
喚起された感情と自分自身(生活や肉体年齢)を対照して、むやみにもどかしくなるのは歳のせいでしょうか?(とはいっても、いきなりヒンズースクワットを始めてしまう程度のパワーは頂きました。)

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-02-12 23:33:17] [修正:2007-02-12 23:34:34] [このレビューのURL]