「橙木犀」さんのページ

総レビュー数: 63レビュー(全て表示) 最終投稿: 2007年05月29日

戦国の世を己の才と教養でしなやかに生きた、謎の美女・小野於通。
美貌と才智に恵まれ、幾多の知識と教養を己のものとし、様々な美を理解しつつ自らも創造する。
決して身分高くはない武家の出身ながら、時の最高権力者たちから信頼され重用されつつ、更に公家社会に溶け込み、その中で学び得た優れた趣味教養で公家の社会でも高い評価を得ていく。
なんて素晴らしい女性なんだろうと読み進む度に溜め息が思わず出てしまいました。史実ではどんな女性だったんだろうとちょっと調べてみると、実際に様々な伝説に彩られた、そして多くの謎に満ちた人だったことが分かり、また吃驚です。
あれだけの諸説をこれだけしっかりと一つの物語にまとめあげ、魅力的な少女の姿を生み出すなんて、さすがは大和和紀先生だな?と思わずにいられません。
安土桃山時代が主な舞台なので、大河ドラマや時代劇、歴史小説で有名な人物がバンバン出てきますが、その全てが血の通った一人の人間として描かれ、「ああ、この人はこんな人だったんだろうな」と自然に感じられるのが心地良いです。特に、私は茶々の描写に驚かされました。今まで様々な作品で見たり読んだりしてきた中で一番魅力的に感じられたからです。利発で愛らしく、誇り高く勝ち気で、そして大胆な野望を胸の奥に秘める…。
3巻まで読んでなんとなく、於通が表の主人公なら裏主人公は茶々なのではないかと思えてきました。同い年の二人の女性の人生がこれからどのように紡がれていくのか、そして於通の人生がどのように彩られていくのか、これから先も楽しみでなりません。

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[投稿:2011-08-04 23:12:57] [修正:2011-08-04 23:12:57] [このレビューのURL]

四季の移ろいと身の回りの文化や歴史、そして優しく穏やかに(時に賑やかに)見守ってくれる八百万の神様たち。
そんな神様たちと個性豊かな地歴部員との温かくほのぼのとした日々を描く神道&高校部活漫画といったところでしょうか。
神様がきちんと「見える」のは(今のところ)主人公の棗(と、ある女の子と条件付きでもう一人)だけですが、地歴部の面々がそれぞれに土地の歴史や文化とそれにまつわる神々の存在を理解し、感じ、大切にしているので、異能者が主人公の作品にありがちな孤独や寂しさが全く感じられず、物語全体がとても優しい雰囲気に包まれているように思います。
日本の四季や地域それぞれの行事に込められた意味や想いの温かさに「日本ていいな」「人は決して一人じゃない」と語りかけられているように感じました。

4巻まで収録されている「私と神様」(シリーズ)も人間関係の大切さや言葉の持つ力の大きさを考えさせてくれる深くて素敵な物語ですが、5巻収録の「おいてけぼりの棲処(すみか)」は特にオススメ!登場キャラの可愛らしさや温かさにほっこり癒されます(笑)

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[投稿:2011-08-04 18:00:18] [修正:2011-08-04 22:15:46] [このレビューのURL]