「橙木犀」さんのページ

総レビュー数: 63レビュー(全て表示) 最終投稿: 2007年05月29日

絵の美しさとユネの一途な頑張りに心打たれる作品です。
作品の中で描かれる日仏文化の対比は、たぶん現在にも通じるものがあるように思えます。
特に、クロードが語るフランスでの店と客の意識の持ちようには、日本とかなりギャップがあって、ユネでなくてもかなりの衝撃を受けるはず。
しかし、主人であるクロードがユネを猫かわいがりするでなく、日本の慣習や文化を全否定するでもなく、ユネの言動をきちんと受け止め、彼女の気持ちを考えていて、読んでいてとても気持ちが良いです。
主人と奉公人であり、今のところ兄と妹的な面も見せるクロードとユネの関係が、どう動いていくのかがかなり気になります。
あともう一つ気になるのが、ユネって一体何歳なんだろう…?
何にせよ、2巻が出るのが凄く楽しみです。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2009-01-29 10:06:29] [修正:2009-01-29 10:06:29] [このレビューのURL]

どの章も全部面白いんですが、私自身が共感したり、特に面白いと思ったところについて、レビューします。
?本の貸し借りについて。約200年前の学者さん(誰かは読んでのお楽しみ!)が本の貸し借りのマナーについて、随筆に書き記していたなんて全然知りませんでした!こ〜いうのが古典の授業で出てきたら、凄く楽しかっただろうになあ…。
私自身は「そうだよね〜」「私も私も!」と、この学者さんの考え方にかなり共感しました(笑)
?校正さんの仕事内容。原稿の矛盾点や穴にツッコミをビシビシ入れられて、半泣きになっている作家さん達の様子が浮かんでしまった…。ただ、ここまで詳細に深く作品を読み込んで、原稿の完成度を高めているなんて、脱帽です。

他にも、本にまつわる様々なことが出てきていて、自分の読書環境と照らし合わせて読むと面白い章もたくさんあります。
あと、前作の「暴れん坊本屋さん」よりもBL的な描写が少なく、あってもソフトな表現になっているので、そういうのが気になる人も気軽に手に取れると思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-01-27 17:29:00] [修正:2009-01-27 17:29:00] [このレビューのURL]

ヒロインのともえちゃんは、女の私から見ても凄く可愛い!
素直で優しくて、ちょっと天然入っていて面白くて。
黒瀬さんが恋に落ちたときの衝撃が、そしてともえちゃんを想ってジタバタ悩みまくる気持ちが、とても自然に伝わります。
自分に自信が無くて自虐気味で、それでいて「ともえちゃんに会いたい、笑顔が見たい」気持ちばかり溢れてしまう。
ややストーカー気味かな…と心配になる黒瀬さんの暴走も、必死で一途な気持ちと何よりも彼女の気持ちを思いやる様子から、「頑張れ〜!」と思わず応援してしまいます。
結局二人の関係がどこに行き着くのか、そもそも関係を築くことが出来るのか全然予想がつかないのですが、二人にとって一番幸せな結果になるよう祈りたいと思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-01-23 20:54:38] [修正:2009-01-23 20:54:38] [このレビューのURL]

9点 天顕祭

購入に踏み切ったきっかけは、帯の推薦文を児童文学作家の上橋菜穂子さんが書いていたから。
でも、読み始めてすぐに「ああ、買って本当に良かった〜!」としみじみ思いました。
読みやすい作品とは言い難いですが、何度も繰り返し読むことでとことん魅力に浸ることが出来ると思います。
筆タッチで描かれた、生々しい大蛇や幻想的でありながらどこか畏れを感じさせる夢の世界。そして鳶の若頭の真中とヒロインの咲の強い絆が、この作品の素晴らしさだと思います。
特に私は、序盤から終盤にかけて様々な表情を見せる真中が、イイ男だな〜と思いながら読んでいました(笑)
頼りがいのある気の良い若頭の面やちょっと凄みを感じさせるとき、荒んでいた若い頃まであって、読んでいて咲が少し羨ましくなってしまいました(^^)
でも、咲ちゃんも可愛らしくて大好きですよ!

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-01-14 15:41:35] [修正:2009-01-19 07:54:33] [このレビューのURL]

短編4作品が収録されていますが、やはり表題作がダントツで面白いです。
原作の「あしながおじさん」は主人公の手紙で話が進み、常に主人公の視点なのですが、この作品ではあしながおじさん役の
辺見千博の視点も入ります。
本当のことを何も話せず、傍にいても手紙の中でも伝えたい気持ちを伝えられず、煩悶する千博の様子が可笑しいようで切なくて…。
女学校生活を送るいつきが明るく楽しげで、見ているこちらも一緒に楽しい気分になってきます。
読後感の良い作品だと思いました。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-01-08 23:18:25] [修正:2009-01-08 23:18:25] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

クラシック畑だった薫が惹きつけられ、千太郎に引きずられるようにのめり込んでいくジャズと、少年少女のすれ違いがちな切ない想いに彩られた作品。
作品紹介にあるように、まさしく“眩しくてほろ苦い、直球青春物語”です。
主人公の薫や、彼を振り回す千太郎の内面に影を落としている家族の秘密も気になりますが、やっぱりドキドキするのは千太郎の幼馴染みの律子も含めた3人の関係。
最初利己的な側面を見せていた薫の恋が、律子の素朴な優しさと一途な想いの強さに触れ、好きな人を丸ごと受け入れて支えたいと願う愛に昇華されていく様子は読んでいて凄くときめきます。
海の水面に降り注いできらきらと輝く、太陽の光のような彼らの関係から、いろんな意味で目が離せません(笑)
みんなが幸せになってほしいと、読んでいてしみじみ感じます。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2009-01-07 08:29:51] [修正:2009-01-07 08:29:51] [このレビューのURL]