「かずー」さんのページ

10点 T・Pぼん


子供から大人まで、素直にお奨めできる作品。
少年向けの内容ながら、タイムマシン好きは必見だと思います。

個人的には藤子・F・不二雄氏の作品では、ナンバーワン作品だと思う。

平凡な中学生・凡(ぼん)がひょんなことからタイムパトロールとなり、
T.P組織の規約・指示に基づきながら、過去の歴史の中で不幸な死を
遂げた者で、なおかつ生存しても歴史の流れに影響しない者の救助活動
を行う物語である。

1つの歴史の中で起こった事象を、タイムパトロールが介入することに
よって、現在の歴史ができあがる側面もあり、歴史の精査、その歴史で
謎となっている部分の埋め合わせ(ストーリー構築)など、非常に練度
の高い作品になっていると感じる。

本書は未完となっているが、ストーリーは基本的に、テーマ毎完結と
なっているので、読み終わって(未完に対する)さほどの惜しさはない。

ただ、世界史・日本史でこの事象(例えば「本能寺の変」とか)を扱ったら、
作者はどうアプローチしただろう、という興味は凄くある。
叶わぬ夢であるが・・・。

3巻の最後に、藤子・F・不二雄氏が、本書への熱い思いを綴られている。
氏は元々歴史・探索好きで、その世界をタイムマシンで覗いてみたい、
という願望が強かったそうで、その願望を強く込めたのが本作品とのこと。

かなり昔の作品である故、時代背景や歴史認識など、若干古い感覚である
ことは否めないが、現在でも十分通じる作品であると断言できる。

巨匠、藤子・F・不二雄氏にとって、原点の思いが込められている本書を、
是非とも読んでもらいたいと思う。
 
 

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-02-04 10:12:42] [修正:2010-02-04 10:12:42]