「即身仏」さんのページ

青木杏という存在は父母という絶対的な存在によって荒んでしまった社会の中にある悪意の象徴そのものであり、その影響を受けながらも立ち直り前へ進む者や、平松かの子の様に無慈悲な現実に押し潰されて自分の殻に閉じこもってしまう、という哀れで情け容赦の無い描写はまさしく厳しい社会の縮図そのもの・または皮肉や警鐘と言う風にも思えた。

救いがあるとすれば井之上広海が現実に打ちのめされながらもそれを受け止めて青木杏の存在を認める描写にあると思うが、この作品の真の意味は甘ったれた環境に居続けると駄目になってしまう。目を覚まさないと平松かの子みたいになってしまうぞ!だから、己を磨き、慎め。という警告なんだと。

とにかく読後感においてはカタルシスを追求しないけれども、とにかく考えさせる為の劇薬みたいな漫画なんだと思う。こういう漫画も有りだな、と。

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[投稿:2010-10-27 00:27:34] [修正:2010-10-27 00:37:31]