「即身仏」さんのページ

総レビュー数: 106レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年09月22日

9点 ORANGE

サッカー漫画としては自分の中でのベストに入る漫画。

だって、週刊モーニングにおける「GIANT KILLING」のページが見えても全く食指が動かないんですもの。この漫画(GIANT KILLING)のファンには失礼かもしれないけど、オレンジの内容がそれだけ秀逸だったと思うのです。

主人公・若松ムサシの所属する南予オレンジの財政問題やらオリンピック代表での問題(代表を断ると非国民とか言われる・・・。)やら、現実のサッカーにおける問題点を上手く描写出来ています。とにかく中だるみが無く、山場がどんどん続いていく印象。

キャプテン翼とかの様に選手だけの物語では無くて、サポーターや関係者らの物語とも言え、更に作者のサッカーに対するリスペクトが心地よく感じられます。ただ、サッカーに対するリスペクトが強いせいか対抗相手である野球を貶めてサッカーを良く見せようというやり方は非常に不快。ある意味この漫画の唯一のマイナス点と見ています。

今になって思うに、この作品こそが能田達規のサッカー漫画の最高傑作だと思う。

10点から9点に変更。

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[投稿:2010-10-02 22:01:16] [修正:2011-08-15 19:51:48] [このレビューのURL]

「ネムルバカ」の主人公・鯨井ルカの家族と言うかその父親の漫画。

主人公はルカこと岩崎春香の姉の響子ではなくそのお父さんであり、結構チャランポランな言動とかリアクションに見えますが、その行動の端々には娘達を大事に思っているのが分かります。例えば春香が置いていったCDラジカセをずっと使っていたり、ニュースで流れている女の遺体が娘じゃないと分かった時に思わずへたり込んでしまう所などであり、いい加減だけど本当に大事な根っこはいい加減じゃないと思う。

この漫画の一番のキモは最後のお話の方のお父さんと春香との電話でのやり取りであり、娘に対する(父親・もしくは読者から見た)いい加減な価値観や憧れは本当に幸せに繋がらないと諭す場面であり、そんなんでお父さんは幸せなの?(と言ってると思われる)春香に対して母さんには旅行に活かせてやれるほど働いた・響子は結婚する・行方知れずだった春香が無事だと分かった俺が幸せでない訳でないだろうと言い切った(ついでに勢いで電話も切った(笑))お父さんが非常に格好良かった。

詰まる所、「ネムルバカ」は若さを謳歌した漫画であり、「響子と父さん」はお父さんの軽いようでそうでない家族の絆を描いた漫画かと。

お父さんがチャランポランに見えてしまうのは、それだけ家族の為に仕事を頑張ったという事、いわゆるジェネレーションギャップの裏返しなんじゃないかと個人的に思うのです。

若さが眩しくも痛々しい「ネムルバカ」よりも高評価とします。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-10-11 10:26:27] [修正:2011-08-15 19:48:55] [このレビューのURL]

パッと見は結構緩い漫画に見えるんですが、この作者にしては結構毒と言うか皮肉が強い漫画。
平凡な主人公・入巣達大学生の将来に関する漠然とした不安や、鯨井先輩の様に強い目標や夢を持っていても持っているのは結局の所夢であり、夢の先に対する現実を見ていない。そんな「大人になりきれてない子供」の物語だと思う。それに、出てくる登場人物にやたら痛く、入巣のバイト先の先輩とか鯨井ルカが所属する事になる事務所の俗っぽいおっさん共とかが、とにかく結構現実っぽく生々しい。

最後の方で綺麗にまとめているように見せて、実の所大人になりきれない夢を追い求めるピーターパンみたいな逃走劇を見せたのは、夢を切り売りするんじゃなく夢を求めたいという願望みたいな表現だと思う。実際はそんな(他人のことを考えない迷惑な)事が出来ないからこその、この漫画だと。

順序はともかく「響子とお父さん」も一緒に読んだ方がいいです。
読んだ方が結構すっきりしますよ。

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[投稿:2010-10-11 09:55:06] [修正:2011-08-15 19:47:54] [このレビューのURL]

当時の週刊少年ジャンプを引っ張ったと言っても過言では無い作品の一つ。

原哲夫のキャラクターの動かし方もさることながら、色々な所でも触れられている様にラオウ編までは本当に素晴らしかった。それは多分、(後付けとは言え)ラオウやトキ等の登場人物の肉付けがしっかりされていたおかげであり、その甲斐あって非常に読み応えのある内容になっていました。

ただ惜しむらしくは、それ以降のお話はラオウ編と比較してもそう言った設定の肉付けが足りず、ラオウ編までを比較して物足りなく見えてしまうのは非常に惜しい。それと、これは時代の違いとも言えるかもしれないが、再起不能級の負傷をしてもその影響が感じられない様な描写があるのも残念な点。悪く言えば勢いが全面に出過ぎの印象。
そういったマイナス点は感じられるものの、読み始めたら一気に読んでしまう。そんな魅力のあった作品なのは事実だと思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-08-14 20:21:28] [修正:2011-08-14 20:21:28] [このレビューのURL]