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6.97点(レビュー数:45人)

作者鬼頭莫宏

巻数12巻 (完結)

連載誌月刊アフタヌーン:1998年~ / 講談社

更新時刻 2011-12-19 11:37:01

あらすじ 今年小学校6年生の玉依(たまい)シイナが島で出会った、人の認識外のモノたち・乙姫、成竜、そしてホシ丸。シイナの日常が今、ゆっくりと、しかし確実に変わりだす。少年少女が織りなす、地球的スケールの物語が始まった!! (amazonより)

備考 2003年および2004年アニメ化。原作部の前半部分までをストーリーとしている。単行本は一時期絶版となったが、2007年12月から再販が開始された

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なるたる―骸なる星珠たる子のレビュー

点数別:
6件~ 10件を表示/全45 件

7点 あおはなさん

とかく6巻全体とのり夫、そして賛否両論なラスト(もとい概ねバッシングですが)について語られることが多い本作品。
そして「ぼくらの」と同一に語られることが多い本作品。

確かに主張の根幹は一緒なんだけど、完成度とか洗練さでいうとこちらは完全に破綻している部分があり明らかに「ぼくらの」のほうが洗練されています。
衝撃度だけはこちらのほうが格段に上なんですが。

「ぼくらの」はかなりのよく読まないと分からないけれど、キッチリあらゆる疑問に紙面で回答を与えているのに対して、本作は最後のほうで起こった事柄について明確に紙面で答えてくれていない部分があります。

よく読めば分かるレベルでは鶴丸は何故あのあとホントにツルマルになったのか(コレはよく読めばわかるレベル)ホシ丸のラストはあれどういう意味?(これものり夫のアタリなど竜になることを拒んだりなれなかった人の記述をよく読んでいる人なら)。でもシイナ生き返った明確な理由とかシイナの妊娠については分かる人にしかわからないくらいに不親切です。

多分読んだ人はこの全てが分かっているのだろうと私は信じていますが。

あと漫画家さんでこの作品で語られているような考え主張を心に秘めている人は実はかなり多いですが、その主張について作者自身の態度まで明確に字面で語っているのは私の知る限りでは鬼頭先生と古谷実先生だけです。本作では須藤が学校を辞めるときの会話がもっともダイレクトなものの一例。

ヴァンデミエールの翼のレビューでも触れたのですが、そういった意味でも鬼頭先生と古谷先生はおのずとその後の反比例する動きからの対比してしまいたくなるんです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-11-05 16:31:34] [修正:2011-02-02 19:24:55] [このレビューのURL]

9点 エピオンさん

これだけ鬱だ鬱だと言われているのだからけっこうな心構えをして読んだのにもかかわらず、ぼろっぼろにされました。


それでもあり得ない話を通して、いじめなどの現実的な問題にも目を向け、人間の残酷さ、冷たさが読み取れていろんな意味で重く心に響いた作品でした。

読み終わった日と次の日までは何もする気が起きなかったが、それでも読む価値のあるマンガだったと思う。

すべての人間におすすめが出来るわけではない。また、しっかりとメッセージを受け取ろうとしないと、ただグロくてラストがテキトーなマンガとしかうつらないと思う。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-01-11 22:32:17] [修正:2011-01-11 22:32:17] [このレビューのURL]

0点 即身仏さん

敢えて最終巻だけのレビューとさせていただきますが、いかにテーマとかがあろうが、オチが旧劇場版エヴァンゲリオンのデッドコピーというのは漫画家としてはやってはいけないでしょう。過程も酷かった。ただ逃げる・隔離させるとか云う訳ででも無くそのプロセスに進ませるためだけに殺す。正直物語の放棄にしか思えなかった。作者も望んでいなかったと(個人的に)思う。

現在連載中の「のりりん」を非常に伸び伸びと描いているのを見て、なおさらそう感じるのです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-09-23 01:49:25] [修正:2010-10-30 13:48:49] [このレビューのURL]

8点 森エンテスさん

ファンタジーではなくて、メルヘンな漫画。
ダークメルヘンの金字塔的作品です。

同作者では『ぼくらの』の方が有名かもしれませんが、僕は『なるたる』にヤられていたので、『ぼくらの』を読んだ時に物足りなく感じてしまったクチです。

音楽で言うとプログレッシブ・ロック/ドゥーム・ロックの世界です。
難解なようで、狂気に支配されていて・・・・。

その「狂気」の世界に頭をガツンとやられた後、引き返すか身を委ねるかで評価は大きく変わると思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-10-25 18:45:42] [修正:2010-10-25 18:50:08] [このレビューのURL]

10点 ジブリ好き!さん

(2010年10月、レビュー全改変、他作品のネタバレも含むので注意)

「なるたる」なんて柔らかいタイトルと、明るい1巻の表紙から、いったい誰がこんな残酷な物語を想像できたでしょうか。
あるいは、アニメから入った人は、いかにも子供向けな感じのほのぼのなOPに騙されたことでしょう。
今では予備知識なしに手を出してはいけない鬱漫画の代名詞です。

淡々としたテンポなのに、重い。
暗く残酷な展開と、何気ない日常のシーンの温かさ。
天真爛漫な主人公・シイナと、その周りの殻や闇をもった子供たち。
こうした対極的な要素が調和して、より残酷な運命が生まれていきます。

いわゆるセカイ系という分類に入るので、その筆頭である最終兵器彼女やEVAと似たラストを迎えますが、その本質は全く異なります。
EVAの旧劇場版でのラストでは、シンジとアスカが残りましたが、他の人間は「補完」という死とはまた違った状態になります。
一方こちらは全滅ですので、サイカノ寄りのラストと言えますが、サイカノでは人が死に絶えた地球から「船」で脱出し「二人だけの」世界に入って終わります。それに比べてこの作品は、嫌いなら作りなおせば良いという思想の下、人類の再生が行われます(アルゲマイネ原野さんがおっしゃるように、涅の「命は代替がきくから命たりえる」という言葉が肝でしょう)。
EVAの(人の心の隙間を埋め完全となるための)人類補完、サイカノのキミとボク「だけ」の世界、そしてなるたるの、「珠たる子」として選ばれた涅と秕の二人の乙姫が地球の脳神経として地球の代わりに行う破壊と再生。
三者とも、似てるようで違うラストです。
面白いのは、人類を再び生むという点でなるたるが一番アダムとイヴの役割を果たしているはずなのに、生き残った二人はイヴとイヴ。EVAもサイカノも男と女が生き残るのに、決定的に違います。

また、EVAや他のファンタジーと異なるのが、主人公が少女であること。
そしてそれ故に、圧倒的に無力であることです。
行動的で正義感もあるシイナは、竜の子の事件に積極的に関わっていくけれど、シイナの力で竜の子を止めたり、何かが解決したりはしません。
シイナを守ろうとする周りの手によって事態に変動は起きますが、そのたび自分の無力を味わい、救いのない方向へ進む…。貝塚ひろ子の回など特徴的です。
追い詰められた人間のとってしまう行動、それが悲しいくらい響き渡る。
貝塚の絶望と最後のシイナの絶望。スケールの大小の差はあれど、根は同じ。
悪いのは自分なのか世界なのか?いじめの原因はいじめられる側にあるのか、いじめる側にあるのか?
盲目的にマスコミの情報を受け取ってしまった人々によるデビルマンのようなラストシーンも含め、竜の子がもたらす悲劇だけでなく日常の闇・人間の闇も強く描かれます。


秀逸な伏線の数々と独特の魅力で、憑かれたように読み耽りました。
キャッチコピーは「未来に贈るメルヘン」
まさにshinpe-さんのおっしゃる通りで、僕は現代の新しいメルヘンの形として、この作品を高く評価させていただきます。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-12-15 02:45:22] [修正:2010-10-17 02:25:58] [このレビューのURL]

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