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7.66点(レビュー数:39人)

作者西原理恵子

巻数3巻 (完結)

連載誌ビッグコミックスピリッツ:1996年~ / 小学館

更新時刻 2012-07-13 12:39:27

あらすじ 「ぼくのすんでいるところは 山と海しかないしずかな町で―はしに行くとどんどん貧乏になる。そのいちばんはしっこが ぼくの家だ―」。
腹違いの兄、一太。突然現れた、美しくてやさしい年の離れた姉、神子(かのこ)。そして「ぼく」、二太。
クスリを売る。体を売る。金を貸す。とりたてる。この町の多くの大人たちは、そんなふうにして生きている。
神子ねえちゃんは言う。「泣いたらハラがふくれるかあ。泣いてるヒマがあったら、笑ええ!!」。ヤク中の父を亡くしたばかりの少女は、うまく泣くことさえできずに、不思議そうにこう言う。「息するたびにな、ノドの奥に小石みたいのがたまるんよ。食い物の味わからへん」。むき出しの現実を見ながら、幼い心にいくつもの決意を刻んで「ぼく」は成長していく。

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ぼくんちのレビュー

点数別:
6件~ 10件を表示/全39 件

8点 萌えっ子さん

主人公達が見せる
「ああ、これはこういうもんなんだな…」
と半ば諦め気味に 無理矢理自分に言い聞かせるような悟り

こうでも悟らなきゃやってられない場面て
貧困、中流、上流の区別なく、いかなる環境でも腐るほどある。

全く自分とはおかれてる世界が違うのに、なぜか共感してしまう
訳がこの辺にあると思う

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-08-10 02:33:59] [修正:2008-08-10 03:22:51] [このレビューのURL]

10点 54年29歳さん

これは・・・・・・・

イイっ!!!!

心打たれましたね

作者さんの経験に基づくフィクションなんでしょーね。

スラムと言っても差し支えないような土地で日々を生きるとゆーことは・・・

ツライ毎日が悲しくて笑ってしまうとゆうのがもう切なおかしすぎて・・・ 

貧乏話を聞かされると、最後はもう笑うしかねーや、ってゆーあの感覚に似てますね。こーゆーのは経験してきた人しか出せないモノでしょうね。僕も裕福ではなかったですけど、母子家庭でしたけど、母ちゃん、ちゃんと喰わせてくれましたもん、学校出させてくれましたもん。

だから僕は結局共感はできません。比べればはるかに恵まれた環境ですから。

でも気づけました、恵まれた環境にいると見えにくくなるモノに。


あの太陽のようなかの子姉ちゃんが「二太、あんたはじいちゃんにもらわれていきなさい」って・・・

一太も二太もかの子姉ちゃんもこういちくんも「仲良く一緒にいたかった」だけなのに、切なすぎる


泣けるとか泣けないとかそんなんじゃない

「読めた」のなら何か感じるモノがあるはず

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-08-07 02:20:13] [修正:2008-08-07 02:20:13] [このレビューのURL]

10点 すあまさん

なんやらここのサイトの上位にランキングされとる未読の漫画が

あるのう、と思い興味本位で買ってみました。表紙の絵をみたと

き、内容重視派のオレでも、うーん、ギリギリアリかな?とやや

心配になった。これで糞だったら金返せよなーとブツクサいいな

がら読み始めること約一時間半。

そこにはやさしさと心にしみる言葉に満ち溢れていた。貧しくて

最低な世界でも明るく精一杯生きる姿がそこにあり、不覚にも初

めて漫画で泣いてしまった。日をおいて読んでみてもまた号泣。

絵がちょっとなー、とか言ってた自分を抹殺してしまいたい。こ

こにでてくる言葉はこの先生きていく中できっと大きな位置を占

めると思う。一度手にとって見てはどうでしょうか。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2006-12-20 17:43:55] [修正:2006-12-20 17:43:55] [このレビューのURL]

10点 赤い車の男さん

僕が初めてこの作品を読んだのは、たしか高校一年生の頃だったと思う。
その時ははっきり言ってこのマンガのなにがいいのかさっぱりで、すぐに当時好きだったマンガ(派手なだけで今読むと・・・な)に手を伸ばしていた。

当時の僕は今よりもっとマンガに対して視野が狭かったんですね。絵が良ければ名作みたいな考え方でしたから。
セリフを噛み締めて読むなんてしたことすらありませんので、『ぼくんち』を理解するなんて到底無理な話です。
ほんわかした絵柄と雰囲気だけでダメだと決め付け、肝心の内容はほったらかしでした。

それからしばらく経ち、いろいろな良いマンガに触れ視野もそこそこ広がった高校三年の卒業シーズン。
三年という月日の中で僕なりにいろいろなことがありました。
女の子におもいっきりフラれたり、尊敬できる友人ができたり、身の丈に合わない難しいことを考えてみたりもしました。
そんな中、卒業アルバムの寄せ書きで見つけたある言葉に僕はとても感動した。
それを書いた友人によるとそれはなんとあの『ぼくんち』のセリフなんだとか!

「へー、こんな良いセリフがあったのか。どれ、もう一回読んでみるか。」
そのセリフがどのシーンのセリフかを聞き忘れたため、最初から最後まで、全セリフをじっくり舐めるように読んでいった僕は
気付けばジャバジャバ泣きながら『ぼくんち』を読み終えていた。


 幸せとはなんだろう
 大事な人が悲しんでいる時になんて言ってあげれるんだろう
 いっそ死んでしまおうか


もしそんなことを考えたことがあるなら『ぼくんち』を読んだほうがいい。
あなたは絶対になにかを感じられるはずだから。

まっすぐな顔をして笑っていた人が翌日に死んでいたりする非情な世界でも、そこで暮らす人たちは笑う。
そこには哀しい優しさがあり、優しい哀しさもある。
それらを感じられたなら、このマンガの底を流れるもっと大切なものを同時に感じられるはずだ。

もし『ぼくんち』を読んでもなにも感じなかった人がいたら、それは絵柄だけに目を奪われて、もっとも重要な「言葉」を読みとれていないだけではありませんか?

ナイスレビュー: 1

[投稿:2006-12-11 02:55:29] [修正:2006-12-11 02:55:29] [このレビューのURL]

10点 friendstudioさん

幸せって何だろう?大切なものって何だろう?
何で人は一人では生きられないんだろう?
こんな疑問に対して、特に最近の人は孤独主義的な回答をする人も多く、実際僕も「人は一人で生きていくものだ」なんて思ってはいました。いろんな人に助けられながら、それでも孤独な道を行くのが人生だと思っていました。
この作品で、その価値観が引っくり返りました。
物語は、日本のどこかの貧しすぎる港町。三年間家出していた母ちゃんが、主人公の一太と二太のところへお姉ちゃんを連れて戻ってくるところから始まります。出てくる登場人物全員が、もうどうしようもないくらいダメダメで貧しい人たちばかりで、その貧乏っぷりが、まるでノンフィクション?ってくらいのリアリティ(新幹線の改札のつり銭を獲ったり、走行中のバスに飛び込んで慰謝料を「ボーナスボーナス♪」と喜んだり、駐車場の車からガソリン盗って売り払ったり・・・)。ヤクや賭け事やセックスが横行してるムチャクチャな舞台設定は生々しく、「昔」の話ともとれるし、また「未来」の話とも取れるあたりに、この作品の強烈な、ある意味で\"普遍性\"を感じたりしました。
しかし、そんな最悪の舞台設定の中でも、一太や二太は様々な出会いや別れを通じて、色んな間違いをしながらも、やがて少しづつ成長していきます。ワルの\"こういちくん\"の所へ弟子入りし、多くのことを学んでいく一太兄ちゃん、「辛いときこそ笑うんだ」が信条の\"姉ちゃん\"とともに生活しながら町の人たちを見つめていく二太。ヤク中の父ちゃんの世話をしながら、やがて笑顔で運命を受け入れるさおりちゃん、街一番の長老の鉄じい、一太との切なすぎる逢引を共にした\"浜辺のルリ子\"・・・他、挙げればきりが無いほどに様々なエピソードが描かれ、そして儚く消えていきます。どのエピソードをとっても、人間の人生とか儚さとか優しさとか暖かさを、物凄い説得力を持って語りかけてきます。
終盤、登場人物たちが最後に選んだ道もひとつひとつが暖かくて切なく、人間的に大きな成長を遂げている姿は感動的で、表紙一つとったって、一巻→三巻までに表紙に描かれている人物がだんだん減っていくアレを見ただけで、もー物語の展開を知る人は涙無しには直視できないと思います(しかも笑顔・・・)。成長していく、生きていく、そして死んでいく・・・壮大な\"人生列車\"。これからもこの世界は続いていくし、受け継がれるものもあれば、そこで途絶えるものもある。だけどそれでも、人間が生きている以上、決して無くならないものがある。現代の裕福な人間が失ってしまった「幸せ」の真実の意味を、この作品は圧倒的な力を持って呼び起こしてくれました。「泣くことは悪いことじゃない、感情表現なんだから泣かなきゃ損だ」なんて言ってた友人よ、これを読み終えても、まだそれが言えたら「図太いね」って小一時間問い詰めてやる。愛って何だっけ?家族って何だっけ?優しさって何だっけ?人が死ぬって、どういうことだっけ?・・・そんな重たいテーマに、ひとつひとつ丁寧に答えが出されていき・・・(でもクサくないのが凄い。本物の持つ説得力だと思う、これは。)人間は生きていく、続いていく、終わらない物語―――。壮大な人生観。「ずっとずっと愛し続けよう」という言葉の重み。・・・いくらでも言えちゃう位、この作品は、もう、本当に・・・優しさに溢れているのだと思います。
紛れも無く、後世に語り継がれるべき傑作であることは間違いありません。対象年齢はだいぶ高いですが・・・

ナイスレビュー: 1

[投稿:2006-11-19 20:56:48] [修正:2006-11-19 20:56:48] [このレビューのURL]

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