「can」さんのページ

総レビュー数: 63レビュー(全て表示) 最終投稿: 2008年08月28日

少年漫画の最高傑作。
誰が何と言おうと、私の中でこれを超える少年漫画は存在しません。
『ドラゴンボール』も『スラムダンク』もついでに『ジョジョ』やその他もろもろの名作たちも、『うしおととら』には敵わないです。もちろん異論は受付中。

さて。本作のレビューとは無関係ですが、私はこのサイトで他の方のレビューを見るとき、その人が10点をつけた作品に注目するようにしています。
なぜなら10点はその人が「最高評価」を下した作品であり、その人のひとつの評価基準となっていて、その人の感性や趣味趣向が一番色濃く表れていると思うからです。
そして10点がつけられた作品を眺めながら、「この人とは趣味が似てそうだな、参考にしよう」とか、「これが10点か、うーん・・・」とか、好き勝手な感想を抱いたりしているわけです。
私の10点は『うしおととら』です。胸を張って言うことができます。自分の中で絶対の評価基準となるべき漫画は、この作品しかありえません。


『うしおととら』の何が素晴らしいのか。語りつくすことは不可能でしょうが、時間が許す限り列挙していきたいと思います。

まずはタイトル。何を置いてもタイトル。覚えやすい、響きがいい、本編に合う、最終回後はタイトルを見ただけで感動できる。

次に主人公。蒼月潮、中学2年生。イケメンとは言い難い丸顔に太い眉毛に短髪という顔の造形。しかしどこまでもまっすぐな瞳。
性格は一本気で嘘が嫌いで涙もろい。少年漫画の主人公とはまさにかくあるべき。行く先々でモテモテなのも納得。・・・いや、やっぱりちょっとだけ納得いかない。半分くらいは俺によこせ。真由子と小夜だけでもいいから。

さらにもう一人の主人公。雷獣とら。500年間獣の槍に封じられていた大妖。いつか潮を食うために潮にとりつく。そのくせ成り行きで潮を助けたり、現代の文明に翻弄されっぱなしなので憎めない。香水でくしゃみが止まらなくなるところとかガムを踏んでるところとかが超かわいい。ハンバーガーを食べてるところも最高。でも決めるときは決める憎いあんちくしょう。真由子がベタ惚れなのも納得。・・・いや、だから真由子は俺によこせよ。

そして何より最終決戦。33巻に渡る作品のピークがラストにあるというのはそれだけで驚嘆に値する。今までのエピソードひとつひとつが思い出され、読んでる方も潮たちとシンクロして「お前たちの旅は無駄ではなかった」状態。脳からアドレナリンや変な汁が出っぱなし。白面の最後も切ないんだよなぁ・・・。本当にいいラスボスでした。
とらのあのセリフには、何度泣かされたことかわからない。

それからついでにおまけ漫画。読者を少しでも楽しませようという藤田先生の心意気に脱帽。てゆーか藤田先生の方が楽しんでますよね。そうですね。
超難解クイズではいつも頭を悩ませていました。
1 真由子に変身
2 木に変身
3 ほふく前進
3番のギャグがわからんようではまだまだだな!
「秋葉流!」の登場シーン3連発とかも最高。


・・・勢いだけで挙げてみるとこんな感じです。書いてるだけでテンションが上がってきて、『うしおととら』を再読したくなったので一旦終了。登場人物の生き様とか死に様とか、他にも見所はたくさんあります。ネタばれになるので名前は伏せますが、あの人とかあの人の最後はもう・・・
「今帰ったよ、あけとくれ・・・」
「ああなんだ、風がやんだじゃねぇか・・・」
涙なしには語れないですね。あ、凶羅は最高のツンデレキャラだと思います。


少年漫画の金字塔『うしおととら』。
連載終了から10年以上経った今でも色褪せることのない、文句なしに不朽の名作です。

ナイスレビュー: 5

[投稿:2008-08-28 20:05:39] [修正:2010-04-09 22:01:19] [このレビューのURL]

漫画のレビューを書いていると、自分が神様になったような錯覚に陥ることがあります。神様は言い過ぎかもしれませんが、何やら偉い批評家や評論家の先生にでもなったような、そんな気分になることがあります。
「自分がこの漫画の評価をしてやっている」
「この作品を描いた作者のために、こうしてレビューを書いてやっている」
普段は意識していない無意識下から、こうした認めたくはない言葉たちが、にょきにょきっと顔を出してくるのです。
こういった場にレビューを書いた経験がある人なら、何となくわかるのではないでしょうか。ここまで大げさではなくとも、各作品に対して点数をつけ、レビューを書いたときに得られる何とも言えない優越感。面白くないと感じた作品に対し、素直に「面白くない」とぶちまけたときの爽快感。作品の評価をすることで、自分がその作品より上に立っているという得難い感覚――。
これらは私たちが人間である以上、おそらくは否定できないものです。しかし不特定多数の人間が見るネット上に作品の評価を載せる以上、そういった感覚に身を任せ、自分の優越感を満たすためだけにレビューを書くことは許されません。作品に対して真摯に向き合い、(低評価を下す場合は特に)最低限の責任を持ってこの場に臨むべきです。
そんな「読者にとっての責任」を思い出させてくれるのが、この『ヨイコノミライ』です。堅苦しい言い方をしましたが、別に説教漫画ではありません。分類するとすればおそらく「オタク漫画」であり、舞台はとある高校の漫研です。そう聞いて「なんだ、『げんしけん』みたいなものか」と思って手を出すと、手痛い火傷を負う羽目になります。『げんしけん』がオタクの楽しい部分、ある意味「光」を描いた作品だとすれば、この作品で描かれているのはオタクの「影」の部分。オタクならば誰もが一度は身に覚えがあるであろうイタイ過去を、これでもかというほどほじくり返されます。もしもあなたがオタクならば、「ああ、いるよな、こんな奴」「ああ、いたいた。こんな奴もいた。てゆーか以前の俺だよちくしょぉぉぉお」となること請け合いです。私は微妙に現在進行形でこの作品の登場人物と似ていたりもするので、結構救いようがありません。あわわわわ。
さて。
長々と書いてきましたが結局何が言いたいのかというと、この『ヨイコノミライ』はこのような場にレビューを書く人には一度は読んでおいてほしい作品だということです。もっと多くの人に手に取ってほしいという個人的願望から、点数も高めにつけています。(あ、漫画としてもきちんと面白いので、決して高評価過ぎるということはないと思います)そして読み終えたあと、この作品に出てくる「天原君」にだけは、ならないようにと戒めてほしいです。作品内の「天原君」は幾分誇張されたキャラクターですが、油断すれば誰でもなりうる存在だと思います。
まだまだ書きたいことはたくさんあるのですが、延々と続きそうなのでこのへんで。最後に別の漫画から心に響いた名台詞を拝借して、締めにしたい所存です。
「人のやる事なす事に『中二』とか言って悦に入ってる連中が、一番何も作り出せない層なんだよ! バーカ!!」 by シズル
願わくば一流の読者になりたいなぁという話でした。

ナイスレビュー: 5

[投稿:2008-08-28 22:04:37] [修正:2009-12-02 23:22:41] [このレビューのURL]

漫画というよりは小説に近い印象です。
「ワンピースおもしれー」とかそういうノリで読むと失敗すると思います。
あ、ここ1年くらいのワンピースはホントに面白いですよね。

本作は神戸在住の大学生の日常を描いたエッセイ風漫画です。
日常を描いたと言っても、よくある日常系漫画とも一線を画しています。
日常系漫画に求められているのは日常の中のくすりという笑いであったり、魅力的なキャラクターたちの掛け合いであったりするわけですが、
この作品ではそういった「漫画的な楽しみ」の部分が、意図的にかなり抑えられています。
淡々とした描写は人によっては退屈としか感じないかもしれないので、読み手を選ぶ作品だと思います。
事実私も一読目は、最初の2巻で退屈すぎると思い読むのをやめてしまいました。
しかし日を置いて読み直してみて、作品全体に漂う雰囲気がようやく体になじんだのか、私はこの作品を面白い、いや、それ以上に素晴らしい漫画であると感じるようになりました。

抑えた表現で描かれる日常の風景。それはどこまでもリアルで、読み手に神戸に住んでいるという錯覚さえ抱かせます。
震災のエピソードは上質なドキュメンタリーを思わせる出来で、ここは一読の価値があります。
そして物語に時折差し込む冷たい死の影は、深い悲しみを私たちにもたらし、生きることの尊さを教えてくれます。

作品を見て涙を流したのは久しぶりでした。
『神戸在住』は人間賛歌の物語です。私はこの本に出会えたことを感謝したいです。
最後に。本書のキャッチコピーはこの作品の本質を非常に的確に表しているので、それを締めくくりの言葉として、レビューを終わりたいと思います。

「一生読み続けられる本」

ナイスレビュー: 4

[投稿:2008-08-28 20:10:13] [修正:2010-04-09 22:01:45] [このレビューのURL]

最終巻発売記念で追記です。
ついでに加点までしちゃったりします。以前のレビューは下の方に残していますが、気が向いたらまとめて編集するかもしれません。

自分の原点が「少年漫画」にあるのだと思い出させてくれた作品。年を取るにつれて読書傾向が青年誌に傾いてきてたけど、ああ、俺はやっぱり、魂が震えるような少年漫画が大好きなんだ。
強大な敵とのバトルが好きだ。困難を打ち砕くヒーローが好きだ。成長していく主人公たちが大好きだ。

これほどの密度、面白さの作品を、わずか十巻で完結させたことに最大限の賛辞を贈りたいです。
青年誌に掲載されながら、どこまでも少年漫画の王道を突き進んだ本作。そしてそれは、現在の「少年誌」では絶対に成立し得なかったこともたぶん事実。
これからはこういう作品が少年漫画のスタンダートになってくれたらいいなぁとか、そんな勝手な願望を抱いてみたり。(50巻とか60巻とか、追うのもけっこう大変なんだぜ・・・いや、それでも買うんだけどさ)

最後に、本作をリアルタイムで読めた幸運にこれ以上ない感謝を。
騎士団のみんな、指輪の従者たち、アニムスも、アニマも、みんなみんな大好きだったぜ! ついでに氷雨先生結婚してくれ。
それじゃそろそろ、本の外に出ようかね・・・


<以前のレビュー>
以前とある記事で「少年漫画ならば展開が早い方が絶対に面白い」みたいなことを読んだ記憶があります。確かデスノートの原作者、大場つぐみ先生のインタビューでした。

しかし現実問題漫画は作品であると同時に商売なので、人気がある以上編集部としては続けてほしい、ストーリー的にはキリがよくても終わらせたくない、結果作者が望んでいないのに続けざるを得ない、という事態が発生してしまうわけです。
この傾向は発行部数の多い少年週刊誌(ぶっちゃけジャンプ)に多く見られ、「質の高い完結作品」を求める読者にとっては頭の痛い問題となっています。だから皆さん口を揃えて「ジャンプ漫画の引き延ばし」とか「ジャンプの悪い例」とか言うわけですね。(しかしジャンプが日本一の少年漫画誌たる理由はそこにあるかもしれないので、何とも解決の糸口が見えない問題です……書いててちょっと混乱してきたので、このへんで終了)

さて、前置きが長かったですが、この『惑星のさみだれ』は、そういった少年漫画界のしがらみを排除した、先ほどの大場つぐみ先生の言葉をそのまま体現したような作品、まさに「大人のための少年漫画」です。
テンポのよい話運び、くすりと笑える日常描写、丁寧に張られた伏線、作品の随所に散りばめられた、知的好奇心をくすぐる遊び心、否応なしに燃える展開、そして感動――。
少年漫画のいいところが、ぎゅぎゅっと一冊に詰め込まれています。既刊は現在8巻ですが、その倍以上の密度を感じます。
少年漫画は大好きだが、後半ぐだぐだになっていくのが耐えられない。ありきたりなバトルものにはもう飽きたという人には、ぜひオススメの一冊です。
騙されたと思って手にとってみてください。そして読んでみて騙されたと思っても、少なくとも4巻までは読み続けてください。この作品は巻を追うごとに面白くなっていきます。マジです。特に6巻は傑出の出来で、点数をつけるなら間違いなく10点です。

個人的に今一番続きが楽しみな作品なので、暑苦しいくらいに猛プッシュしてしまいました。すみません……
最後に、最近の昴は可愛すぎるぜ……!

ナイスレビュー: 3

[投稿:2009-02-08 20:39:56] [修正:2010-12-02 17:14:48] [このレビューのURL]

名言、迷言が大量に。

「一人でいれば聖女に見え、群れていれば豚に見える
 それが女子高生」


あなたが、神か・・・

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-03-17 00:16:18] [修正:2010-03-17 00:17:47] [このレビューのURL]

おお、危ない危ない。青島さんのあまりの可愛さに、危うく12点をつけるところだったぜ・・・
冷静になってみて8点。3分の1カットです。30巻のうち3分の1は青島さんの分です。10巻分が青島さんです。そう考えるとなんだか幸せな気分になれますね。

さて。

内容についてですが、絵も話も非常に丁寧で、面白いです。作者の漫画に対する真摯な姿勢には脱帽ものです。この作品は本当に、漫画の教科書にしてもいいくらいじゃないでしょうか。
綿密な取材というものがどれだけ作品の面白さに関わってくるのか、この漫画を読んで思い知りました。
作者独特の空気感も好きなので、『とめはね!』も期待しています。


それにしても青島さんは、本当に反則級に可愛いなぁ・・・

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-01-21 02:11:01] [修正:2010-01-21 02:11:01] [このレビューのURL]

連載当時大好きでした。
今読んでも面白いです…が、ラストはどうしても投げやりに見えてしまいます。
それは作家として許されることではないと思います。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-08-29 21:25:01] [修正:2008-08-29 21:25:01] [このレビューのURL]

漫画そのものから物凄い熱量を感じます。
一体どういった人生を送れば、「鈴木先生」のようなキャラクターが書けるのでしょうか。
終始真面目なのになぜか笑ってしまったり、かと思えば息を飲むような展開もあったりと、ぐいぐい引き込まれてしまう作品です。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-08-28 22:14:23] [修正:2008-08-28 22:14:23] [このレビューのURL]

7点 からん

・・・雑誌にて完結しました。
完結しました。
完結しました。
大事なことなので(ry

なんというかまあ、ショックでした。
物語的にはまだ序盤で、まだまだいくらでも面白くなりそうな作品だったんですが・・・というか、きっとそうなるに違いないと確信していたんですが・・・完結しました。

好きな作品がこんな形で完結するのを見ると、なんとも言語化し難い、複雑な心境になりますね。

別の雑誌に移籍とかでもいいから、なんとか続きを書いてほしいなぁ。
無理だろうなぁ。無理かなぁ・・・

最終巻が出たあたりで、レビューをまとめようと思います。たぶん。


<以前のレビュー>

『神戸在住』の木村紺先生が描く女子柔道漫画。

そもそも女子柔道を題材にした作品は今までなかったのでは?
・・・と思ったら、あ、『YAWARA!』がありましたね。
まあそれは置いといて、ともあれ珍しい女子柔道漫画です。

舞台はやんごとなきお嬢様学校の女子柔道部。
主人公の高瀬雅と、ヒロイン(?)の九条京を中心に、
彼女たちに関わる様々な人々の人間模様が展開していきます。

ジャンルは女子柔道というマイナースポーツ、舞台はお嬢様学校という特異空間ですが、そこで描かれるストーリーは王道そのもの。
木村紺先生の描く王道漫画。わくわくしなけりゃそれは嘘でしょう。
自分は続刊の発売が、今か今かと待ち遠しいです。

とゆうか京が雅の言うとおり、
「みんなが驚くほど強くなる」ところを早く読みたいですね。
ストーリーの進行具合からいって、だいぶ先の話になりそうですが・・・


4巻のおまけ漫画で盛大にコーヒーを吹いたので、勢い余ってレビューしました。萌先輩超かっけぇ・・・

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-03-26 08:46:43] [修正:2011-04-26 02:41:32] [このレビューのURL]

9点 海皇紀

雑誌にて完結。連載12年、「紀」と綴るのに相応しい壮大な物語でした。本作品の完結は、私的に今年度最大級の衝撃です。

ファン・ガンマ・ビゼン――キャラクターのテンプレート化が進む現代において、彼ほど「唯一無二」な主人公はそうはいないでしょう。本当に最後まで格好よかった。

川原正敏先生の次回作に大いなる期待を抱きつつ、とにもかくにも、大連載お疲れさまでした。ヘメロペカペカ。(新連載は3カ月後って・・・早っ!)

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-07-05 21:37:58] [修正:2010-07-05 23:38:40] [このレビューのURL]

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