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総レビュー数: 52レビュー(全て表示) 最終投稿: 2008年10月09日

6点 DEATH NOTE


少年誌に掲載されたことが悔やまれる漫画。

購読者層にあのセリフのかたまりを頭の中で整理して、楽しませるのは容易ではないだろう。私も四苦八苦しながら頑張って読んだが、ポカンとさせられた場面も結構あった。(特に中盤以降。)表現面でも、派手な描写ができないのは作者としてつらくなかっただろうか。

しかしながら、月とLとの頭脳戦は、途中強引ではないかと思われる場面も多かったが、スリリングで、読んでいて引き込まれた。完璧主義の月とL、善と悪で相見えることとなった二人の性格はうまく表現できていた。最後まで月、Lともに感情移入することはできなかったが、彼らの考えていることは何となくわかったからだ。

思うに、2部は連載当初に想定されていなかったのではないだろうか。他のレビュアーの述べるとおり、話が冗長となっている。

惜しい漫画である。

発想は見事。画力も見事。だが演出がいま一つだった。構想をもっと練ってから連載が開始されていれば、さらに高評価を獲得できただろう。全体としてエンターテイメントとして楽しめる漫画、良質な漫画として、6点の評価とした。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-10-14 13:12:04] [修正:2008-10-14 13:12:04] [このレビューのURL]

4点 童夢


独特の世界観を持った漫画。作者の代表作にAKIRAがあるが、アニメ版をかなり昔に見たきりで、その漫画は詳しく読んでいない。

この作品、評価ははっきりと分かれると思う。

序盤は、刑事たちの会話や捜査の進捗を背景として、わかりやすい構成となっている。だが、登場人物がなぜ殺されていくのか、理由は特にないのだろうが、全く理解できなかったし、共感することもできなかった。中盤以降は、超能力者たちの戦闘漫画となるが、この破壊衝動はどうにかしてほしい。あまりに理不尽である。殺したかったから殺すという思考は、教育上云々ではなく、一般的な読者は取り残されてしまうのではないだろうか。

もちろん、画力はすごい。とても丁寧で、細部まで描き込まれており、独特の雰囲気を醸し出している。だが、それだけの漫画ではないだろうか。無内容すぎる。心理描写がまるでないのだ。

総じて理解に苦しむところが多いこの漫画、私の理解力不足もあるのかもしれないが、なぜこのように高評価を得ているのか、よくわからなかった。画力が卓越しているため、無内容で不条理な戦闘漫画であっても、理屈抜きに楽しめる人は楽しめるのかもしれない。

だが、私には雰囲気だけの漫画としか感じられなかった。肌に合わなかったと言うこともできるかもしれないが。よって、暇つぶし程度の漫画、4点とした。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-10-12 23:15:33] [修正:2008-10-12 23:15:33] [このレビューのURL]


作者が最終巻の帯で述べているように、B級映画の大作を観た後のような読後感。辻褄を合せるために話が分かりづらい部分もあるが、気にしなければ読んでいける。気楽に読んでほしい。個人的にはエイリアンvsプレデターのノリに近い感じ。

古城脱出活劇と銘打っているだけあって、古城の不気味な雰囲気、わけのわからない状況下での登場人物の狼狽ぶりなどは、うまく描けている。主人公の心理描写はそこそこできているが、他の登場人物の描写が、いい加減であったのが残念か。

絶望的な状況下におかれた主人公たちが、何とか打開策を見つけていこうとする姿や、徐々に明らかになっていく世界の全貌などは読んでいて面白かった。

ラストが性急すぎる、ご都合主義すぎる、という意見も多いが、話をダラダラと伸ばすよりは、6巻という手頃な巻数で作品をまとめた作者を称賛したい。何より、B級映画がいくら丹念に登場人物の描写をしていても、上映時間が5時間だったら疲れるし、爽快感も薄れるのではないかと。その点は、この漫画も同様。

気楽なノリで、いちいち突っ込みを入れていかなければ、そこそこ楽しめるのではないかと。人物描写が深いわけでもなく、読んでいて考えさせられるような場面も特になかったが、気軽に楽しめた。よって、良質な漫画、6点とした。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-10-12 20:31:18] [修正:2008-10-12 20:31:18] [このレビューのURL]


読んでいて安定感を感じる漫画。

他のレビュアーの述べるとおり、ロボットによる戦闘がメインの漫画ではなく、むしろ話の中心は、隊員たちのごく普通の日常であり、それらが軽やかに描かれている。

話は和やかな感じに進んでいく。だが、扱っているテーマには掲載当時、そして現在でも問題とされている、バイオ技術の危険性や人身売買、高度な機械の持つ安全性への疑念という事柄も要素として組み込まれており、それを取り巻く相手と主人公たちの心理戦、戦闘も魅力のひとつである。

安定感を感じたのは、そのような話のシリアスな部分と和やかな日常が見事に描き分けられていること。そして、表現においても登場人物の心情がわかりやすいように、情景描写が工夫されていて、少年誌という掲載された媒体への配慮が感じられたからである。

安定感がある漫画ということは、穿った見方をするならば、予想のつかない展開になりづらいという欠点も孕んでいる。話は勧善懲悪ものであり、展開が予想しやすい。また、飛びぬけて驚くような相手も出てこないし、戦闘も激しい射撃戦が繰り広げられるわけでもない。題名を見て買った人は拍子抜けするかもしれない。

上述のように派手さはない。だが、評価したいのは使い古された題材を中心に、よくこれだけ全体としてまとめたな、ということ。進退きわまって、能力がインフレ的に上昇するだけで登場人物の成長が見られない漫画、伏線の説明的描写に終始する傾向の強い漫画を読んだ後にこの漫画を読めば、ゆうきまさみの魅力に気がつくことができるだろう。

夢中になって読みふけることはないものの、使い古された題材をテーマにうまくまとめたこの漫画、ただの良質な漫画ではないため、7点の評価とした。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2008-10-11 22:57:48] [修正:2008-10-12 11:52:50] [このレビューのURL]


カルト的な人気を博したアニメが原作。原作の流れを踏襲しながらも、若干ストーリーに差異が見受けられる。アニメ版のエッセンスを詰め込みながらも、わかりやすくストーリーを描こうとしている姿勢が感じられた。アニメも全話視聴済み。

主人公の、父親や境遇との葛藤、友人との学校生活、登場人物の過去、使徒と呼ばれる敵との戦闘など、描かれているテーマは、他のレビュアーの述べているように、王道漫画ということができる。

しかし、アニメ版もそうであるのだが、年月を経て読み返してみると(たしかアニメ版をはじめて見たのは中学生の頃)、そこまで面白く感じることができなかった。もう少しさらっと描けそうなものをドロっと、暗い雰囲気で描いているせいか、読んでいて鬱のようになってしまうからだ。全体として鬱へ鬱へと引きずり込んでいくような展開となっている。

もちろん、その描き方が評価を得ているのであろうし、思春期の少年少女が誰しも持っているであろう、微妙で複雑な感情を描くには、もってこいの手法ということもできるだろう。読者に考えさせるようなものがあることも事実である。

だが、この意図的とも言える暗い雰囲気の漫画を、思春期を越えて、青年や壮年となる人たちが読んで面白いと感じられるかは疑問である。さらに、敵である使徒の位置づけが中途半端な感じも受けた。原作であるアニメを見た際は特撮映画を見ているような気分になり、戦闘だけで楽しめたのだが、漫画版では戦闘があまり見ていて面白くなかった。また、使徒がなぜ襲ってくるかわからないのも、話の醍醐味でもあるはずなのだが、あまりに謎が謎を呼ぶ展開となっているため、読者の私は取り残された感があった。

総じて見れば、戦闘、心理描写メインのこの漫画。王道漫画の要素を備えており、読めるには読める。だが、意図して暗い雰囲気で描かれるストーリーに、最後まで没入することができなかった。また、雰囲気はわかるものの、これまた意図して難解なセリフや用語によってわかりづらいストーリー。思春期の頃に見た頃と評価もだいぶ変わったであろうが、20歳の今読んだ評価として、可もなく不可もない漫画、5点とした。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-10-11 12:45:28] [修正:2008-10-11 12:45:28] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]


同名のPC用ノベルゲームが原作。原作はプレイしていない。

辺鄙な場所にある村(恐らく過疎化もかなり進んでいるであろう場所)で繰り広げられる、戦慄の連続殺人事件の模様を扱った作品。表紙を見てかなり萌え要素の入った絵であったから、どのような形で話が進むのか心配になりながら読み進めたが、なかなかに面白い作品であった。

序盤はこのような田舎村に似つかわしくない美少女たちと、主人公の和気あいあいとした日常が描かれる。ここまでで、挫折してしまう人もいるかもしれない。

しかし、後になれば気付くのだが、これらの日常は演じられたものである。ここでは後に続く面白い話への序章として、我慢、我慢で耐えてもらいたい。

中盤、話はがらりと様相を変える。豹変する登場人物や、この村の持つ不気味な雰囲気が、序盤とのコントラストによる相乗効果もあって、ぎらりと押し寄せてくる。

そしてついに発生する殺人事件。主人公は周囲の人物に疑念を抱き始める。このあたりの心理描写はよく描けていると思った。誰がどういう魂胆を持っているか分からず、仲良くしていた周りの人物が豹変してしまい、すべての人物に対して警戒感を持つ主人公の狼狽ぶりが、よく伝わってきたからである。

終盤、物語は佳境を迎える。未読の読者のために詳細は書かないが、この作品の持つ不気味さは頂点を迎える。

このように、萌え系の登場人物が登場するが、内容は途中からシリアスそのものである。もちろん、苦手な人も多そうな絵柄だ。また、ちょっとありえない設定も多く見受けられる。

しかし、元々がPC用ノベルゲーム一般(やったことは残念ながらない)として作られたストーリーであるから、このような設定も仕方ないであろうし、上述のようなキャラクターであるからこそ、明暗の差から不気味さが際立つように設定されていると感じた。

総じて見ると好みが分かれる漫画であることは間違いない。純粋なサスペンスものと考えて読むよりは、エンターテイメントとして割り切って読んだほうが面白く読める。そうした読み方をすることで過剰な演出も読み進めることができるであろう。私は序盤には苦労したものの、途中からは一気に読み終わった。以上より、好みは分かれるが、エンターテイメントとしては楽しめる漫画として、良質な漫画、6点とした。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-10-11 10:37:16] [修正:2008-10-11 10:37:16] [このレビューのURL]

7点 MONSTER


MONSTERという題名を初めて見た時は、怪物が出てきてそれを撃破していく戦闘漫画かと思った。

読み進めていくうちに、異形の怪物や超能力を持った敵は出てこないが、この漫画は主人公が目に見えない怪物と戦っている漫画だということに気がついた。

各話がそれぞれまとまりのある内容となっており、その都度出てくる登場人物と主人公のやり取りで完結するが、そのピースを集めるとモザイク画のように一枚の絵画として見事に浮き上がってくる。

そのような浦沢直樹の得意とする手法によって、主人公の医者としての葛藤や、周りの登場人物との日常、冷戦という社会情勢のもたらした闇までが繊細に、かつ緻密に描かれている。

しかし、話が壮大なわりに、ラストが淡白になりすぎている印象を受けた。冷戦という状況が生み出した闇の部分を、急がずじっくりと、最後まで描いてほしかった。

ヨハンという魅力的な敵キャラクターのもつ雰囲気を途中まで見事に描けていたので残念である。ラストが性急になったせいか、多少難解な要素が残ったことも惜しいことであった。(作者としては同種の漫画に起こりがちなマンネリ化を懸念したのであろう。)

絵は丁寧であるが、好き嫌いは分かれそうである。慣れれば気にならない程度ではあるが。

難解な要素は残ったが、緻密な登場人物描写や、浦沢直樹の得意な数話完結型のモザイク画的な構成は見事であった。以上より、良質で夢中になってしまう漫画という、7点の評価とした。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-10-10 23:02:04] [修正:2008-10-10 23:02:04] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]


基本的には、オタク文化を消費する人々の日常をコミカルに描いた青春群像漫画である。また、登場人物に一般人的な視点を持った人物がいるので、オタクでない人にも楽しめるように配慮されている。むしろ、一般人にこそ楽しんでほしい。

この漫画を読んで思ったことは、オタクといっても普通に青春に恋い焦がれ、また仲間と一緒に何かに熱中したがっているということ。

しかし、何より感じたことは、彼らに対する羨望だった。私自身、大学で生活を送っている身であるわけだが、彼らの一見淡々とした日常生活でありながら、密度の濃い人間関係を読んで、正直今の自分の現状が虚しくなった。淡々としつつ、何かをやるときはみんなでブータレながらも、一生懸命やる。どこか懐かしい自分の高校時代のノリ。うらやましい。大学という人間関係が希薄となりがちな領域で、うまくやっている人間は少数派だろう。彼らはそのマイノリティーに属しているのだ。

もちろん、この漫画にオタクな人々のすべてが描かれているわけではないだろうが、エッセンスは詰まっているであろう。上記のオタクの姿勢には、オタクは特別じゃない、他の人たちが野球やサッカーなどに打ち込む対象が、たまたまオタク文化だっただけなのだ、という事実が描かれている。そこには、オタク自身の自慰的な欲望に終始する、いわゆるオタク漫画にはない魅力がある。その点こそが、一般人が楽しめるエンターテイメント性をこの漫画が備えている理由であろう。

後半になるにつれて、ドラマチック性は薄れていくが、哀愁漂う大学生活をリアルに描けていて、とてもよかった。斑目は最後まで報われないキャラだったが、彼がいたおかげでどれだけ私の心が救われたことか。

私の中ではむしろ、後半にいくにつれてこの漫画がよくなっていった。初期メンバーの卒業によって、様変わりするげんしけんの内実。移ろいゆく季節とともに、哀愁が感じられた。その点が、読後に何ともいえぬ哀しさが感じられた理由だと思う。会員同士の恋愛模様も含めて、しめくくりがうまかった。

1巻から9巻まで一気に読むと、いっそういい漫画だと実感できた。私の中では、物事の考え方が変わったりするほどの力をもった作品。オタクの認識だけではなく、自身の今後の大学生活をどうするのかということも考えさせられた。何度も読み返そうと思ったし、大学生にはうってつけの漫画。9点。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-10-10 22:25:44] [修正:2008-10-10 22:25:44] [このレビューのURL]


最初のほうは独特な雰囲気を醸し出す絵と、不良であると同時に個性ある設定の登場人物が、今までのギャグ漫画にはない、渋い味わいを出していた。初めのほうはかなり笑わせてもらったし(4巻の樹海編はかなり面白かった。)、暇をつぶすには最適の作品であった。

しかし、途中からマンネリ化がひどくなり、次のページの展開が予測できる漫画となってしまった。もちろん、ギャグ漫画はマンネリ化を防ぐことが難しいジャンルだ。なぜ、5巻程度でまとめた作品としなかったのだろうか。

原因は編集部の延命措置にあるとしか考えられないが、適当な作者を演じている野中英次(彼は自らも戯画化したものとして演出している。)が、例えば「昼寝をたっぷりしたくなったから連載はやめにします。」とかなんなり理由をつけて、もう少しコンパクトに自らの作品に幕を閉じていたとしたら、そのこと自体彼の漫画を特徴づける結果となったはずである。

それゆえ、惜しい漫画ではあるのだ。前半部だけならギャグ漫画としては異例の高得点がつくだろう。後半部のだらだらさえなければ・・・以上より良質の漫画、6点という評価とした。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-10-10 19:26:31] [修正:2008-10-10 19:26:31] [このレビューのURL]


中には面白いギャグもあり、はじめのほうはさらっと読む分には問題なかったように思う。入部テストでいきなり能力のゲージが飛んでしまい、こりゃ先が思いやられるなと嫌な予感がしたが、その通りの残念な結果となってしまった。

中盤からは、たまにヒットするギャグ以外にいいところが書けないぐらいに、特筆すべきことのない、漫画となってしまった。

主人公とヒロインとの関係も深みがなく、またここでギャグを入れるか・・・と思うような場面でギャグが多い。おきまりのパターンをおきまりの様に書いていれば、まだ普通の漫画として評価することもできるが、見ていて疑問に思う場面も多々あったように思われる。(このような書き方になったのは、途中から本当にパラパラとしか読んでいないため、記憶が定かではないからである。)

真面目に恋愛なり、野球に打ち込む姿なりを、正面から描いてこそ少年漫画だと思うし、そうあってほしいものである。この漫画は、ギャグ漫画か野球漫画かがはっきりとしていないところが、長所であり、同時に最大の欠点となってしまっている。また、真面目にとりくむ姿を、茶化してしか描くことのできない作者に疑問を感じた。

少々感情的にいらついた漫画なこともあって、つまらない漫画、2点の評価とした。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-10-10 19:08:15] [修正:2008-10-10 19:08:15] [このレビューのURL]