「shinpe-」さんのページ

総レビュー数: 22レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年02月15日

スピリッツの「このS」が面白すぎて読んでしまいました。久しくラブコメなんか読んで無いにも関わらず、一気に全巻読破です。なんというか、褒める時に使う言葉じゃ無いのはわかってますけど、設定がムチャクチャです(笑)そしてそのムチャクチャな設定にちゃんとキャラクターを向き合わせて、成長させているところが面白いを通り越して感動的ですらあります。

最初は自分のことしか考えていなかった三人がそれぞれの人生を見据えて覚悟を決めるシーン(いくつかあります)がこのマンガのキモだと思います。人間の愛はちっぽけじゃないんですねー。あとゴーヤーチャンプルーさんも書かれてますが、とにかく感情が伝わってくる表情の筆致は凄いです。

エロが多めなので苦手な方は控えた方がよろしいかと。でもこの人の描くエロは病的な脚色が一切なく、ストーリー上も自然で、どこまでも健康的だと個人的には思うので、それだけで敬遠するは、少しもったい無いかもしれません。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-11-24 19:17:28] [修正:2010-11-24 19:32:05] [このレビューのURL]

シェイクスピアという人間の不可思議さ。それは物語の洗練され方と彼自身の人物像の乖離にあります。都会的かつ奇を衒わない王道を行き、人間の存在の不条理そのものを深くえぐるような物語を書きながらも、彼自身は何てことはない田舎者だった。王族でも無ければ貴族でもない。そんな彼がなぜ、シェイクスピアたりえたのか?物語はこの疑問からスタートしていくようです。

もちろん史実なんてどーでもよいのですが、ハロルドさんはきっと虚実を織り交ぜながら、物語の深みと面白さを獲得していくのだと思います。この人は本当に、人間を描くのが上手ですね。歴史物だろうがバンドだろうが野球小僧だろうが無口な高校生だろうが、その才能は遺憾なく発揮されているように思います。

現行で発売されている一巻は、チャイナタウンとそこに生きる不思議な少女の物語です。当時のリヴァプールで生きる中国の人々の生活をハロルドさんらしいコミカルさを忘れないタッチで描いています。もちろん悲哀と辛さがしっかりと描かれているわけですが。彼女が果たして7人のうちの一人なのか。そんな無粋な推測をしてみたくなる僕のような方は、読んでみることをお勧めします。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-06-18 17:19:49] [修正:2010-06-18 17:19:49] [このレビューのURL]

夢中になって読める作品であることは間違いありません。キャラはみんな愛すべき存在だし、バレーボールの試合の描写も丁寧かつ適切でさらに魅力的。極めて狡猾(ほめてます)な複線張り方とその回収のスピードの速さ。忘れ難いメッセージ性も適所に孕んでいます。

でもなんだろう、巻を進むごとに感じるようになるこの違和感は。おそらくキャラがみんな作者のコントロール下にあることに対する嫌悪感を拭えないんですよね。

あたりまえっちゃあたりまえ。批判の対象になることすらおかしいのかもしれませんが、この作者の作品はその欠点が露骨に出てしまっていることが多いのではないかと思わされます。あまりにもキャラの動きに、作り手の作為が感じられる。感じさせない作品の方が稀有なのでそれを求める方が我侭なのかもしれませんが。

『G戦場』なんかにも見られる特徴ですが、物語の中にいる人々だけで人間関係を完結させていることへの嫌悪感が残念ながらこの作品でも感じられるようになってしまったことが残念で仕方ないです。

5巻までは満点に限りなく近い漫画だったんですが・・・。これからの展開に期待しながら、見守っていきたいです。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2010-02-17 22:32:27] [修正:2010-06-09 18:42:43] [このレビューのURL]

一介のロードバイク乗りがレビューします。

自転車(ロードに限ります。競輪とかじゃなくてね)という競技の素晴らしいところは「練習した量は絶対に裏切らない」ところだと思います。逆に言えば強くなるためには時間を掛けるということは絶対に避けることの出来ない行いだと言えます。才能という絶対的な強みを持つ人間であれ、たくさん走ることなくして強くなることは有り得ません。

と、いうことは家族や仕事や様々なしがらみを持つ大人にはとってもやさしくないスポーツなんですよ自転車ってやつは。朝も晩も走れるプロとは違って、ロードバイクに跨ることを愛する人々は皆少なからず何かを犠牲にし続けます。そんな自転車乗りたちが強くあろう、他人に勝とうというただそれだけのために、努力を重ねる。そんな姿に胸打たれるのは俺が自転車に乗っているから、というだけではないはず。それは世の中の無益な行いほぼすべてに共通するジレンマだと思うので。

作中の最初のクライマックスになる乗鞍(日本でたぶん一番有名なヒルクライムレース)で重力に逆らいハンドルにしがみつき、ペダルを踏み込む姿はまるで自分を縛りつけ、自転車から遠ざける現実を振り払う姿のように見えました。

自転車乗りの葛藤がめちゃくちゃ巧く書かれている漫画です。時々狙ってるのか天然なのか分からないギャグがたくさんありますが、それ含め楽しく読むことが出来る作品だと思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-05-15 18:23:58] [修正:2010-05-15 18:27:47] [このレビューのURL]

1度目の通読であまりのグロ&鬱に打ちのめされて。
2度目の通読で張り巡らされた複線とそれぞれのキャラが目指す本当の目的に気づいてふんふんとなって。
3度目の通読ではじめて俯瞰でこの作品を見ることが出来た結果、作者のストーリーテリングと複線の張り方と回収の仕方の巧みさを知ることが出来ました。ここまで来て、はじめてレビューを書こうと思いました。いやもうそれこそ1度目の通読はちょっと投げ出したくなるほど酷でしたよ…。

鬼頭さんがこの後に書いた『ぼくらの』が得てはいけない力を得た人間がその「責任」の意味を考え、自分なりのそれをどうにかして果たそうとする漫画ならば、『なるたる』は得てはいけない力を得た人間がそれを自分の(かなりひねくれた)欲望のために使おうとする漫画です。

そのキャラたちがやろうとする企てに選民思想みたいな受け付け難い思想も感じますが、まぁ個々のキャラクターが魅力的なのであまり気になりません。悪役が悪役っぽくないんですよね。宮子とか特に。「八紘一宇」を目指してしまうどこか子どものような無邪気さがある大人は個人的には好きです。

鬼頭さんの作品に一貫してある「魂」「生命」に対する問いかけが、竜というイメージと結びついている設定は素直に凄いと思いました。未来に贈るメルヘン、この看板には不足は無いです。本来のメルヘンが残酷で容赦の無いものであるという前提において。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-04-07 17:45:16] [修正:2010-04-07 17:45:16] [このレビューのURL]

宇宙兄弟でモーニングの看板を張るようになった、小山宙哉先生の原点ともいうべき作品です。

ジジイが街を走り抜けながら趣味の泥棒を満喫する物語です。愛があります。子どもが可愛いです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-02-17 22:55:14] [修正:2010-02-17 22:55:14] [このレビューのURL]