「shutaro」さんのページ

総レビュー数: 23レビュー(全て表示) 最終投稿: 2005年10月20日

9点 SUGAR

漫画の鬼才がボクシングの天才を描いた漫画。
数あるボクシング漫画の中でも特に異彩を放ち、アクが強く人を選ぶが、
ひとたび新井英樹漫画の「読み方」が身に付けば必ずハマる作品。
それだけでひとつの漫画が作れそうなほどの濃い脇キャラの中にあっても、
まったく埋もれないどころか、より際立っている主人公リンの描き方は
TWIMでも見せたキャラ立ての才能が如何なく発揮されている。
また、セリフでの言葉のチョイスがセンス抜群。
ボクシング描写もスタイリッシュ。

絵柄や独特のキャラ回しに食わず嫌いをせず、
手に取って最後まで読んで欲しい。思わず他人に勧めたくなる傑作漫画。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2005-10-20 22:04:58] [修正:2005-10-20 22:04:58] [このレビューのURL]

8点 MONSTER

メインとなるミステリーの周りに、上質なショートショートを
絡ませ、徐々にそれらとともに一つの着地点へと収束していく作品。
脇の人物の背景描写にいきなり飛んだりするので、やや散発的な嫌いはあるが、
それでも物語に引き込んでいくのは、その絶妙な間の持たせかたや、
そしてこれまた絶妙な謎の残し具合のおかげである。まさに絶妙。
またそういったストーリー構成の見事さもさることながら、テーマも
興味深いものであり、大人の鑑賞に堪えうる作品だと感じた。
少し時間を経てからもう一度じっくり読んでみたい漫画。

ただ、「もうひとつのMONSTER」は正直言って蛇足だった。
あんなの出すのならもう1巻くらい完結を延ばせよと。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2005-11-03 21:54:42] [修正:2005-11-03 21:54:42] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

前作「海猿」でも感じたのだが、この人は葛藤を描くのがとても上手い。
無駄を省いたピンポイントのセリフと内面描写が、過剰なまでの強烈な絵と
相まって、もの凄く濃いドラマを形成している。
主人公の苦悩もさることながら、医師対患者や医師対医師との間で
起こる価値観と価値観のぶつかり合いが大きな見所であり、さらにそこから
価値判断の根底となる人間のエゴを暴き出そうとする筆致は、時に見ていて
痛々しい程に内なる激情を揺さぶられる思いがする。

久しぶりに漫画を読んで泣いてしまった。辛い展開山盛りの「がん医療編」で、
最期の彼女なりの「死に様」とその家族なりの受け止め方を見て、「あざとい
演出だなぁ」と思いながらも文字通り涙が流れてしまった。
「BJへの冒涜だ」とか「医療考証がなってない」とか「実際の現場と
かけ離れてる」とか言ってもしかたがない。
セリフに感動しストーリーに泣いたのだからこの点数である。

一部で騒がれたが、個人的にはこのタイトルはアリだと思う。
表現や手法は違うものの、しっかり受け継いでいこうという気概を感じた。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2005-11-03 19:46:05] [修正:2005-11-03 19:46:05] [このレビューのURL]

8点 寄生獣

これぞ名作といった感のある90年代を代表する有名SF漫画。
絵は古臭いと言うか淡白ではあるが、SFとしてのエンターテイメントを
追求した構成・演出とメッセージ性がとてもバランス良く織り交ぜられており、
SF設定やスプラッタ描写の適度さもさることながら、登場人物や
ストーリー展開にまったくもって無駄がなく、とてもスマートに仕上がっている。
やや後付け的に「環境問題に対する姿勢」などのテーマが出てくるものの、
「人とは」「生きるとは」といった主題を掲げ、それを一応の形ではあるが、
エンターテイメントと両立しつつ処理し描ききった事はとても素晴らしい。

ハラハラドキドキとSFを楽しみながらも、読後に考えさせられるタネを
与えてくれる、まるでSF漫画のお手本のような岩明均の大代表作。
(個人的には「七夕の国」の方がオススメですが)

ナイスレビュー: 1

[投稿:2005-10-26 14:53:16] [修正:2005-10-26 14:53:16] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

「寄生獣」を期待すれば拍子抜けするであろう地味なSF物語。
核となる謎やそれを追う展開はあるものの、エンターテイメント性はあまり
なく、主人公も「活躍しない」ことで活躍する能天気な大学生だが、
それを補って余りあるほど想像以上に深く哲学的な作品でもある。

主たるテーマは「主体性」だが、そこから広がる死生観や宗教観を物語に
絡ませていく手法は素晴らしい。特に「窓の外」と言う言葉は、いわゆる
神の領域である不可知なるものを感覚的直感的に捉えた見事な表現である。
また、登場人物たちの行動がそれぞれ示唆に富んでいて興味深い。
立ち止まって考え、力を使う者は死して再生する事を選択し、
立ち止まって考え、力を使わない者はその人生を切り開かんとし、
立ち止まって考え、他に力と自らを委ねた者はあっけなく排除され、
考える事をやめ、流される者たちは畏怖と盲信の檻の中である。
これらの行動を見事にSFと伝奇的な物語とに融合させている。

忙しく生き急ぐ方々にぜひ一度立ち止まって読んでもらいたい。
現代の主体性を欠く風潮に喝を入れるばかりか人生訓から哲学までもが
入った、4巻と短いながらも考えされられる名作。

ナイスレビュー: 4

[投稿:2005-10-26 14:15:15] [修正:2005-10-26 14:15:15] [このレビューのURL]

説明する必要もないバトル漫画の頂点。
間違いなくジャンプ黄金期のトップであり「努力・友情・勝利」の方程式を
完璧なまでに作り上げたと言っても過言ではない。
王道でありながらも世界観や設定が抜群に個性的であり、
多くのフォロワーを生んだこの漫画は一時代を築いたまさに名作中の名作。

リアルタイムに連載を追いかけた身なので冷静な評価は出来ないのではと思い、
従兄の10歳の子供に5巻までを貸してみた。その日の夜に残り全巻を取りに来た。
やはり名作は軽く世代を超える。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2005-10-20 16:50:11] [修正:2005-10-20 16:50:11] [このレビューのURL]

7点 DEATH NOTE

ヘタなサスペンス小説よりは余程面白い。
青年誌であれば哲学的な方向にいったり社会問題に切り込んでみたりする
であろうやや陳腐な設定を、ジャンプお得意の(バカの一つ覚えの)バトルへと
持ち込んだ点が功を奏し、ありそうでなかった異色の作品である。
並みの作家なら「このアイデアは後の為に置いておこう」とか
「このネタで4話くらいはもつな」と考えそうな駆け引きや展開のタネを
これでもかと言うほど詰め込み、出し惜しみなく使っているおかげか
セリフも多く読み応えが十ニ分にあり、お買い得さ満点。
だが、後から後から新ルールが追加されていくのでなんでもありな感じは否めなく、
作者の都合一つで新たなトリックを出されても読者は白けるだろう。
また詰め込みの弊害としてのちの展開がマンネリにならないか心配でもある。

現時点では次編が完結していないので、ライトvsL編でこの点数。
ここで終わっておけば良かったのに・・・とならないように期待したい。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2005-10-20 20:41:42] [修正:2005-10-20 20:41:42] [このレビューのURL]

ハラハラドキドキする展開や突飛な設定、奇抜なアイデアなどが
あるわけではないが、淡々と進むストーリーの中に人物の葛藤が
優しくそして力強く描かれており、上質で温かさ溢れる大人な漫画。
派手さばかりを追い求めずに描ききった姿勢には好感が持てるし、ある意味
ベタで哲学的な展開になるものの、これがデビュー作だというのは
正直言って驚きです。今後にも期待出来そうですし。

団背広さんの言うとおり、おまけの4コマはスベってますが、
少し肌寒くなる秋口にぜひ読んで欲しい作品です。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2005-10-20 20:10:03] [修正:2005-10-20 20:10:03] [このレビューのURL]

少年漫画でありジャンプ掲載であり王道的な展開であるにも拘らず、
ポップを筆頭とした仲間たちの内面の成長ぶりが素晴らしいほどによく
描けており、安心しつつハラハラしながら読める名作。

単純に楽しめて、たまにホロリとさせられるエンターテイメントである。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2005-10-20 17:03:27] [修正:2005-10-20 17:03:27] [このレビューのURL]

7点 SLAM DUNK

バスケットをテーマにした漫画のパイオニアであり、スポーツモノの中でも
頭一つ抜けた感のある名作。
飽きさせない試合展開と程よくキャラ立ちさせる人物描写で、
「こんな奴ありえねえ」とか「試合中にここまで考えられねえよ」と言った
批判を吹き飛ばすパワーを持っている。
そして、これまた程よくあいだに挟まれるギャグが良い具合にメリハリを
付ており一度読み始めたら止まらなく、単行本で読むには最適。

ヤンキーな主人公・桜木花道がバスケットを上達していくのと同時に
バガボンドでお馴染みの作者・井上雄彦の画力がメキメキ向上していくのも
楽しめる一粒で二度おいしい一級エンターテイメント。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2005-10-20 16:33:36] [修正:2005-10-20 16:33:36] [このレビューのURL]

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