「霧立」さんのページ

総レビュー数: 33レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年05月13日

第二次世界大戦前後を舞台とした
ヒトラーの出生の秘密をめぐる「アドルフ」の名を持つ
男たちの運命を描く作品。

手塚治虫らしい、正義の客観視をテーマにしつつ
ストーリーも読みごたえがあり
伏線の回収も見事。
物語としての完成度は非常に高い。
とりあえず盛り上げることだけに腐心して、一つの作品として
まとめ上げることを軽視しがちな今の漫画家は手塚のこういう
ところを見習ってほしい。

欲を言えば
最後の中東編をもう少し掘り下げて欲しかった、というより
カミルの暗黒面を詳らかにして欲しかった。
カウフマンが人生を通じてこの作品のテーマを存分に体現したのに
対し、カミルはどうしても「いい人」だけの役回りで
キャラクターを活かしきれなかったのがもったいなかった。

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[投稿:2012-05-25 02:08:52] [修正:2012-05-25 02:08:52] [このレビューのURL]