「霧立」さんのページ

総レビュー数: 33レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年05月13日

主人公のコータローは狂言回し的な立ち位置で、内容は柔道(武道)にそれぞれの想いを持つ者たちの群像劇。醍醐や美杉、鮫島父など一件性悪な敵役にしか過ぎない風に見えるキャラクターにもそれぞれの矜持やバックボーンを与える事で基本的捨てキャラがいない作りになっており、伏線の貼り方も含めたストーリー構成も見事。
武道に関する深い問いかけも作品の根底に流れており、非常に高いレベルでまとまった作品。
決して品が良いとは言えず、時としてテンポを悪くするギャグが不快な人もいると思うが、それを差し引いても読む価値のある作品。

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[投稿:2021-05-05 11:01:27] [修正:2021-05-05 11:01:27] [このレビューのURL]

7点 Dr.STONE

高校生が不条理とも言える突発的事象によって非日常へ放り込まれるサバイバルものはそれこそ飽きるほど氾濫しているが、これは面白い。
それは敵(障害かな)が化け物や未知の生命体などではなく、同じ人間である事。目的がサバイバルではなく、「自分たちの手で文明を取り戻す」という壮大なものである事。そしてその作業が地味である事!
そう、文明とは科学だ。科学は地味だ。やってる事は原初世界での理科実験だ。なのにこんなにワクワクする。
この漫画は「知ろうとする事」と「地道な努力」の大切さを教えてくれる。それでいて少年漫画に欠かせないエンターテイメントを忘れていない。
週刊連載である故にこの初期のクオリティが維持できるかが唯一の心配だが、どうかこのまま走り抜けて欲しい作品。

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[投稿:2018-02-04 11:13:21] [修正:2018-02-04 11:13:21] [このレビューのURL]

散々レビューされているので今更ですが、歴史物だからというより普通にエンターテインメントとして面白いです。主人公の心身の成長と舞台の広がりがリンクしていて、古代ギリシアの世界でエウメネスと共に読者も旅をするような錯覚を覚えてしまいます。
導入部は前半生で設定した大胆なIFが活かされた感じですが、後半生ではそうした解釈の余地がなく、予定調和的になってしまうのではと思わせながら、アンティゴノスやヘファイスティオンの独自設定などを織り交ぜることで、「今後どう展開するんだ?」という興味を持たせ続ける事に成功しています。この辺りのストーリーテリングは見事。
また、細かいところでエウメネスが成長するにつれ、寄生獣の新一のようないわゆる主人公顏から、より狡猾な面構えに変貌していきますが、これも王宮で生き抜いていく強かさが表現できていて素晴らしいです。
作品の質は8点レベルですが執筆ペースが目に余るので1点減点で。

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[投稿:2015-06-22 22:45:27] [修正:2015-06-22 22:45:27] [このレビューのURL]

7点

[ネタバレあり]

女の美醜というありふれながらも扱いの難しいテーマに正面から切り込まんとする作品。
主人公は絶望的な醜い容姿でありながらも演劇に魅せられ女優を目指す。母から託されたあるものを使って…
醜女であるが故に、自分ではない誰かになりたいという強烈な欲求が芽生え、それを具現化する手段として演劇の才能を極限まで磨き上げる主人公。そして「誰かになる」という形容が比喩に留まらない禁忌的行為…主人公の執念と、自らの醜さ(外見だけとは限らない)と罪深さに対する葛藤・絶望は非常によく表現されて引きつけるものがある。
物語としてはこれからが佳境のようなので、当初のこのテンションをそのまま維持できるか、きちんと風呂敷を畳めるかなどまだ未確定要素はあるし、今やタレント芸人アイドルが跋扈する演劇の世界に「舞台女優」として名を成すことの違和感(やや古臭さ)もある。それでもここまでの展開は十分読ませるので期待値を込めてこの評価を。

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[投稿:2015-01-08 23:03:00] [修正:2015-01-08 23:03:00] [このレビューのURL]

作者がいい意味で肩の力を抜いて
好き勝手できている作品。

90年代のキャンパスライフをベースに
恋愛・痴情・復讐(笑)などをちりばめた
テンポのよいストーリーで大いに笑い、
ちょっぴりの感動も心得ている。

サブキャラたちが面白すぎるので
主人公が埋没しているのが少し残念ですが
そんな所も気にならない、とにかく楽しい作品です。

同作者の「無限の住人」を読んでも読んでいなくても
楽しめます。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-11-13 00:01:24] [修正:2010-11-13 00:01:24] [このレビューのURL]