「ヨノナカ」さんのページ

総レビュー数: 48レビュー(全て表示) 最終投稿: 2006年01月06日

[ネタバレあり]

大暮維人は漫画が下手ってわけじゃない。見せ所もわかってるし画力は申し分ない。彼の才能がcomics(物語漫画)に向いてるタイプじゃないだけじゃないだろうかと思う。

天上天下も場面場面を見れば十分に面白いのだ。しかし、彼自身そういった細かい場面を盛り上げることに集中するあまり、全体としてのストーリーの盛り上がりに欠けてしまっている。作品中で伏線を張るが破綻、盛り上げようとするが不発、といった点にこの点がよく表れていると思う。


その点、浦沢直樹は上手い。もちろん画力もあるのだが、それ以上に場面場面の魅せ方と長いスパンでの魅せ方が絶妙だ。雑誌で見ても面白い、単行本でみても面白い。「天才」の名に恥じないcomics(物語漫画)の匠だ。

一方、大暮維人はcartoon(一枚絵漫画)の匠だ。浦沢はコマ一つ一つを物語の盛り上げのために使っている(顔のアップとかがそれ)が、大暮維人はコマの一つ一つを絵として描いている。勢いのある絵は見ているだけで楽しい。もちろんそれじゃあ物語を書くとしてはダメなんだけど、そういった漫画も漫画として十分アリなんじゃないかと思う。


ただ、欲を言えば大暮維人もがんばって物語として漫画を描いて欲しいかな。
そうすればきっと面白い作品が作れると思う。本人の努力と編集者の力量に期待!!

ナイスレビュー: 2

[投稿:2007-01-26 22:44:17] [修正:2007-01-26 22:44:17] [このレビューのURL]

人によって評価が分かれてますね。私はというと・・・4点です。よろしくありません。

何がよろしくないって、これ、マンガでやる必要ないじゃないですか。
マンガにするならプロジェクトXみたいにもっとストーリー性があるのにしたほうがよっぽど意義ありますよ。
対談風景を絵にしただけのマンガに点数をあげろと??


もちろん登場人物のそれぞれが苦悩に満ちた人生を辿って今に至っている、そのことを否定する気は毛頭ありません。どの方も人間的にもすばらしいかたばかりだと思います。

ただ、現在「成功」している人が過去を振り返ったところで、現在「絶望」している人たちには決して届きません。平和な日本の反戦メッセージが中東の貧しい人たちに届かないのと同じです。

それなのに「私の成功体験談」を高々と掲げてそれを『絶望に効くクスリ』と銘打つなんてちゃんちゃらおかしい。

次は市販の風邪薬じゃなくて抗生物質ぐらいのクスリを処方してください先生。

ナイスレビュー: 4

[投稿:2006-06-24 18:40:28] [修正:2006-06-24 18:40:28] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

恋愛小説の二番煎じ、というのが率直な感想。村上かつらの作風といっちゃそれまでだけど。

村上かつらさんは、キャラを通じて自分の言いたい事、それも思想的なことじゃなくて聞こえがいい(格好が付く)ことを言わせるからどうしても物語に影響がでます。

例えば、「劣等感が強い人は優越感も強い」なんて台詞をユキが言いますけど、この台詞は物語を進める上ではっきりいっていらない台詞です。こんな台詞をそこかしこに入れていくから演出・構成がおろそかになって、最後には「作者のエッセイをふんだんに盛り込んだ恋愛小説の2番煎じマンガ」ができあがってしまう。

逆に言えばそんなカッコイイ台詞回しが聞きたいという人にはうってつけ。ただ、それだったら恋愛小説(山田詠美とかね)読んだほうがいいかと・・・^^;

ナイスレビュー: 2

[投稿:2006-01-07 15:36:01] [修正:2006-01-07 15:36:01] [このレビューのURL]