「左手」さんのページ

総レビュー数: 23レビュー(全て表示) 最終投稿: 2011年04月07日

 「夢に憧れ諦めた人たちへ」

 読んでほしい対象は、これから夢を追おうとする若者、夢を叶えた人、夢を諦めた大人、夢を叶えたが訳あってその夢を捨ててしまった大人。要するにこれは夢に憧れる、また憧れたすべての人に当てはまります。

 しかし、この中に登場するキャラたちのほとんどは私たちの現実世界にいるような夢を諦め、普通に仕事をし、生活を営む人ばかりです。特に1巻のなんともない日常がしっかりとその風景をまざまざと見せ付けています。
 その中で唯一夢を叶えるために頑張っているのが種田であり、結果は悲惨なことになりました。
 現実とはなかなか上手くいくものではありません。
 夢を見ることの憧れは花屋のアルバイトの井上、夢ではなかったのに叶ってしまったのが鮎川、夢を叶えたが現実を直視しプロデュース業をする冴木、それらのキャラが夢の象徴として配置されているのが、浅野いにおが仕掛けた表現といえます。

 物語としては1巻は極普通の日常、2巻は芽衣子が種田の夢の向こう側を探求する話。
 2巻だけでスッキリした内容で、言いたいこともいろいろな角度から言えているので、何度も読める作品に仕上がってます。

 サブカル厨(ヴィレッジバンガードによくいる奴等)大絶賛の浅野いにおが若者の鬱憤を吐き出した漫画、と高をくくっていた私ですが、ソラニンが映画化することになり、もう一度よく読んでみると、なんて完成度の高い漫画なんだ、と驚きました。
 その漫画を読まずにイメージだけでどうこう言うのはダメだね、と思わされました。オススメです!

   全2巻所持

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-04-24 11:05:32] [修正:2011-04-24 11:05:32] [このレビューのURL]

 「アンチジャンプのクーデター」

 私自身、めだかボックスは必ずジャンプで最初に読むぐらいファンで愛読しています。まず自分のめだかボックスに対する立ち位置を最初に示します。

 ジャンプで連載している作品は、漫画である前に「ジャンプである」という特殊な雑誌だと思います。
 実際に今ヒットしている進撃の巨人を作者がジャンプに持ち込んだところ、「これはジャンプでやる漫画ではない、"ジャンプの"漫画を持って来い。」と言われたそうです。バクマンを読んでいても分かるようにジャンプはジャンプ色のある漫画でなければならない前提が必要なのです。

 しかしながら、賛否両論が叫ばれるめだかボックスにはジャンプのテーマの友情・努力・勝利がこれでもかといわんばかりに入っています。それでいてなぜ、ここまで叩かれるのか?

 まず、設定や展開を一つ一つ見ていきます。

 話の内容自体は学園もの。これはジャンプでよくある設定です。
 そして、主人公の黒神めだかは超天才です。ここまでするのは少し露骨ですが、ギャグ漫画以外のほとんどのジャンプ漫画でよくある主人公が天才設定。
 序盤は日常で、途中からバトルに突入。これもジャンプでよくある幽々白書やキン肉マンなどでよく見る展開です。
 バトルシーンの進め方や能力、勝敗の決め方は完全にジョジョです。また、キャラのポーズもまるでジョジョ立ちです。
 また、死闘を繰り広げた敵が仲間になるのも、ダイの大冒険でいうクロコダインやヒュンケル、ジョジョの花京院やブチャラティ、ドラゴンボールのべジータ、などよくあることです。
 めだかボックスとは今までのジャンプらしい良い要素をふんだんに盛り込んだ、悪く言えばトレースしているジャンプらしい漫画なのです。

 しかしどうしてそれでも純粋なジャンプファンには受け入れられないのでしょうか?

 それはアンチジャンプのスタンスを崩さないからです。めだかボックスによく使われるメタ発言で「もしジャンプだったら?」や「?はまるでジャンプじゃないか」と今までのジャンプを暗に批判しています。
 例えば、死んで生き返ったらまるでジャンプの漫画、敵が絶対に勝てない理由はジャンプの主人公だから、など。
 今までのジャンプを作り上げた巨大な漫画たちを尊重しながらもそれを踏み潰す様な発言に、純粋な"ジャンプ"読者は嫌悪さえも抱くのでしょう。

 設定や展開などの外見はジャンプでありながら、その内に秘めているものはジャンプを否定するアンチに満たされている。

 結論は、めだかボックスはジャンプでやるべきではない漫画です。が、外面はジャンプの装いをしたゲリラでジャンプのうちから破壊し、クーデターを起こそうとする危険分子なのです。

 そう結論をつけた私ですが、そのクーデターを作者の楽しいユニークや遊び心としてめだかボックスを楽しめるか否かが読者の分かれ目ではないか、と思っています。

 球磨川禊の括弧つけないあの演説には最大の感動を受けました。オススメです!

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-04-18 12:47:16] [修正:2011-04-18 12:47:16] [このレビューのURL]

 「全体的に杜撰過ぎ」
 前作の花マル伝までは中学生として頑張っていて良かったのですが、新になってからはレベルが一気に世界になり、バトル漫画でありがちな強さがインフレし、ライバルの天才・木元と戦うためには世界大会の決勝まで負けてはいけなくなり、最後の決勝までの全ての戦いが無差別級の世界レベルなのに、まるで消化試合。読んでいてやめてやろうかと何度も思ったことか

 その消化試合も杜撰(ずさん)の一言です。柔道での勝ち負けは柔道自体の強さによるものなのに、毎試合前には花マルは相手の選手のことを思っては、落ち込み、今までに捨ててきたものや背負っているもの違いに試合中までも引きずり、結局はその試合の途中で吹っ切れて勝つ。
 大前提として花マルは木元と戦うまでは負けられないことになっていることから生じるひずみが全体のバランス崩壊とインフレを起こしている。

 中学で強かった選手などの高校編での活躍が見たかったし、新キャラはとってつけたようなのばっかりだし、成長物語で主人公とその周りの登場人物のみが世界の中心という考えのこの手の漫画は作者の漫画の下手さを露呈しています。
(例外でバキなどでは行き当たりばったりが良いところであるので新・花マル伝の場合は失敗ということです。)
 ラストのとってつけた感も杜撰すぎます。

 中学生編の花マル伝は読み返してもいい位なのですが、新のほうはもう読むことはないでしょう。

 読者の私が言うのもなんですが、花マルが世界で一度負けてからの高校生編で金鷲旗が見たかったです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-04-17 16:22:49] [修正:2011-04-17 16:22:49] [このレビューのURL]

 「日本人のアイデンティティー」
 他の人のレビューでもあるように現代版三国志です。登場人物の名前を見れば、簡単に分かることですけどね。

 大地震で日本が東と西に分かれ、中国とアメリカが日本を占領し、日本人が自分の祖国を失い、しかし日本人である誇りを持ち続けている人々の姿が主に描かれています。

 先日の東日本大震災が起きた時、私が真っ先に思い浮かんだのがこの漫画です。同じ大震災で大打撃を受けた今の日本に海外から手厚い支援が多く送られてきています。これが太陽の黙示録の冒頭部分と私の中で被って、まるで現実で、これからの日本の未来を予言しているかのように思えます。

 漫画では事実上日本がなくなります。しかし、多くの元日本人は日本の精神を忘れず、むしろより強く持ち続けている。国とは国土でありその上に人が立つものである。昨今の日本の国を想う力が弱まっているこの世の中に物申すように、もし日本がなくなってしまったら、その時日本人は日本人でいられるのだろうか、日本の心、日本人としてのアイデンティティーを忘れないでいるだろうか。

 今の日本の状況と重なってみえるが、漫画はフィクションなので、現実にはあってほしくないと願うばかりです。

 今、読むべき漫画はこの太陽の黙示録です。オススメです!

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-04-15 15:43:33] [修正:2011-04-15 15:43:33] [このレビューのURL]

 「斜陽世界と穏やかな人々」
 雰囲気が超いい!
 登場するキャラたちはみんな明るく楽しく穏やかに暮らしている。しかし、夕凪の時代と呼ばれる年々海面が上昇し、人類の滅亡がゆっくりと進んでいる。この明るさと反面する背景の斜陽が対照的にし、主人公のアルファを始め様々なキャラの些細な行動や小さな幸せがとても大事な宝物のように思えます。
 ユートピア(理想郷)と反するディストピア(暗い未来)が大好きな人にはオススメです!

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-04-15 12:34:00] [修正:2011-04-15 12:34:00] [このレビューのURL]

 「説明不足=不安感+リアルさ」
 GANTZにもいえることですが、話の説明不足が全体に妙な不安感を与えています。キャラの心情を言葉では出さずに特徴のあるリアルな絵で表現をしていることから来るのでしょう。
 め〜てるの気持ちのストーリーはすごい面白いというわけでもなく、30歳童貞ひきこもりに夢を見せるだけの気持ちの悪い内容です。
 しかし、読者には母になった23歳のはるかの心情が語られず、本人の行動でしかその気持ちを憶測できない。行動の説明が完全にスッポリと抜け、私からするとはるかはキチ外にしかみえず、この漫画はサイコホラーです
 途中のひきこもりのプロや最後の展開が急なのには行き当たりばったり感がして、不完全さが出ていますが、その不完全さが奥浩哉作品に絵と共にリアルさを醸し出しているのではないでしょうか。
 3巻しかないので、さらっと読めるので、オススメです!

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-04-15 12:06:21] [修正:2011-04-15 12:06:21] [このレビューのURL]

 「土下座の新境地」
 板垣イズムを継承した漫画です。
 バキで使用した格闘漫画の表現方法で全く別ジャンルを描いたとしても通用することが証明できた漫画と言えます。
 しかし、板垣恵介自身が描いていないので、バキの迫力のある不自然な絵や説得力のある台詞よりも、どげせんの普通すぎる絵の構図や無理矢理感のする台詞が漫画の技術的に劣ってみえてしまった。バキを映画で例えるなら、どげせんはテレビドラマのような具合です。
 話の内容よりもどんな表現が飛び出すのかが期待される漫画と思うので、これからの期待も込めて、オススメです!

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-04-14 02:58:39] [修正:2011-04-14 02:58:39] [このレビューのURL]

10点

 「天才の苦悩」
 お前は今まで食べたパンの枚数を覚えているのか?とディオが言うが、昴に関しては、お前は今まで昴を読んだページ数を覚えているのか?、という程引き込まれすぎてどの位読んだのかが分からなくなる感覚に落ち、気が付いたら1巻分まるまる読み切っちゃうほどです

 主人公のすばるはバレエの天才ですが、命を燃やし死んでもいいと言う程踊り続ける態度には一線を越えて狂気に感じます。しかし、天才であるが故の他者との交わりが下手だったすばるが徐々に他者を理解し、成長していく過程に天才の苦悩が見られます。作者は天才の描き方の天才です。

 文句なしの10点です。オススメ!

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-04-11 12:37:40] [修正:2011-04-11 12:37:40] [このレビューのURL]

 「引っ張りの天才」
 連載中は面白くて続きが気になって仕方がなかったが、終わってみるとまるでゴミを見るかのような扱いになってしまうのが、正直なところです。
 風呂敷の広げ方が上手く、古きよき日本の郷愁感や多くの謎が読者を引き込み、次へ次へと引っ張られて、読んでる最中は面白い。が、風呂敷の包み方が納得できなかった部分であり、読者が期待していた包み方と作者が最終的に包んだ終着点が全く異なり、作者の意図が理解できなくなり、結果面白くなくなった。
 漫画が終わってしまって結果を知ってしまった人にはもう2度と読まないでしょう。
 まだ読んでない人にとっては9点、もう読んだ人にとっては3点で、評価は間をとって6点です。面白いことは間違いはありませんので、オススメです!

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-04-11 12:20:37] [修正:2011-04-11 12:20:37] [このレビューのURL]

 「コロコロなのに」
 気持ちいいまでの成長物語。絵やアクションの描き方も申し分なしで、読者層を変えても他紙でも十分に通用するレベルで、必死になって戦う姿がかっこいい。
 しかしながら、中盤までは普通の格闘漫画として読めたのだが、気が出てきてからが蛇足で面白くなくなった。そこまでならかなり面白い。コロコロだからしかたがないのかな?
 中盤までで8点、終盤がマイナス3点で、計5点です。巻数も少なく読みやすいので、オススメです!

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-04-11 11:53:29] [修正:2011-04-11 11:53:29] [このレビューのURL]

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