「左手」さんのページ
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「良い漫画には漫画としての"喜び"がある」
点数は高めですが、それぞれの漫画には必ず面白い所があるのでそこを自分なりの読み方が伝われば嬉しいです。
気になること&共感してほしいこと:女性漫画家の描く漫画の登場人物で漫画家や小説家など物書きが出てくる確率が異常。
赤ちゃんと僕の藤井君の母、彼氏彼女の事情の井沢、モテキのオム先生、だぁだぁだぁの漫画家、こどものおもちゃのサナの母、姫ちゃんのリボンの姫子の母、水色時代の主人公など。
これの現象は作中のキャラクターに自分を投影しているのだろうか・・・

「天才の苦悩と成長(前作の昴以上に)」
前作の昴もレビューしました。さらなる主人公の宮本すばるの成長ストーリーが展開されていて、前作では独りよがりな孤高の天才が周囲の人を引っ張り成長する物語でしたが、今回では少し異なり、それまで引っ張ることしかなかった周りの人、特にパートナーと共にぶつかり合いながらさらなる高みへ向かう成長物語となり、天才が独りでなくなり、また、同等のライバルの出現など、この作者は天才すばるをどこまでもっていくつもりなのか、まさに天才を描く天才、曽田正人のやることには畏怖します。
絵の描き方についてなのですが、思ったよりもバレエのコマが少ないと思いました。
これは私自身が思っただけですが、例えば普通のスポーツ漫画ではメインのそのスポーツをより長くかくことが多々ありますが、この昴・MOONでは思ったよりも少ないコマでバレエシーンが描かれており、作者自身がバレエの芸術的な感じやバレエの刹那な時間がより際立つ勢いのあるタッチで描かれていて、読んでいてもその短さを感じさせない、むしろ読者自身がその間のコマや時間を補完して読んでいるような気がします。
他の漫画に比べ、ハチミツとクローバーの羽海野チカやNANAの矢沢あいのような少女漫画のようなラフな線で常に躍動感のある絵になっていてバレエシーンでもすんなりと読め、読んでいる勢いをそのままに保ってくれている。それもまたこの漫画を褒めちぎってしまうところです。
これは私事なのですが、すばるの炎のような激しい生き方にボレロの観客の一言「こんなテンションで生きてえな」に共感せずにいられないッッッ!!!!!ので超オススメです。
(投稿現在、昴全11巻、MOON6巻まで所持)
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2011-05-12 23:57:00] [修正:2011-05-12 23:58:41] [このレビューのURL]
10点 めだかボックス
「アンチジャンプのクーデター」
私自身、めだかボックスは必ずジャンプで最初に読むぐらいファンで愛読しています。まず自分のめだかボックスに対する立ち位置を最初に示します。
ジャンプで連載している作品は、漫画である前に「ジャンプである」という特殊な雑誌だと思います。
実際に今ヒットしている進撃の巨人を作者がジャンプに持ち込んだところ、「これはジャンプでやる漫画ではない、"ジャンプの"漫画を持って来い。」と言われたそうです。バクマンを読んでいても分かるようにジャンプはジャンプ色のある漫画でなければならない前提が必要なのです。
しかしながら、賛否両論が叫ばれるめだかボックスにはジャンプのテーマの友情・努力・勝利がこれでもかといわんばかりに入っています。それでいてなぜ、ここまで叩かれるのか?
まず、設定や展開を一つ一つ見ていきます。
話の内容自体は学園もの。これはジャンプでよくある設定です。
そして、主人公の黒神めだかは超天才です。ここまでするのは少し露骨ですが、ギャグ漫画以外のほとんどのジャンプ漫画でよくある主人公が天才設定。
序盤は日常で、途中からバトルに突入。これもジャンプでよくある幽々白書やキン肉マンなどでよく見る展開です。
バトルシーンの進め方や能力、勝敗の決め方は完全にジョジョです。また、キャラのポーズもまるでジョジョ立ちです。
また、死闘を繰り広げた敵が仲間になるのも、ダイの大冒険でいうクロコダインやヒュンケル、ジョジョの花京院やブチャラティ、ドラゴンボールのべジータ、などよくあることです。
めだかボックスとは今までのジャンプらしい良い要素をふんだんに盛り込んだ、悪く言えばトレースしているジャンプらしい漫画なのです。
しかしどうしてそれでも純粋なジャンプファンには受け入れられないのでしょうか?
それはアンチジャンプのスタンスを崩さないからです。めだかボックスによく使われるメタ発言で「もしジャンプだったら?」や「?はまるでジャンプじゃないか」と今までのジャンプを暗に批判しています。
例えば、死んで生き返ったらまるでジャンプの漫画、敵が絶対に勝てない理由はジャンプの主人公だから、など。
今までのジャンプを作り上げた巨大な漫画たちを尊重しながらもそれを踏み潰す様な発言に、純粋な"ジャンプ"読者は嫌悪さえも抱くのでしょう。
設定や展開などの外見はジャンプでありながら、その内に秘めているものはジャンプを否定するアンチに満たされている。
結論は、めだかボックスはジャンプでやるべきではない漫画です。が、外面はジャンプの装いをしたゲリラでジャンプのうちから破壊し、クーデターを起こそうとする危険分子なのです。
そう結論をつけた私ですが、そのクーデターを作者の楽しいユニークや遊び心としてめだかボックスを楽しめるか否かが読者の分かれ目ではないか、と思っています。
球磨川禊の括弧つけないあの演説には最大の感動を受けました。オススメです!
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2011-04-18 12:47:16] [修正:2011-04-18 12:47:16] [このレビューのURL]
10点 太陽の黙示録
「日本人のアイデンティティー」
他の人のレビューでもあるように現代版三国志です。登場人物の名前を見れば、簡単に分かることですけどね。
大地震で日本が東と西に分かれ、中国とアメリカが日本を占領し、日本人が自分の祖国を失い、しかし日本人である誇りを持ち続けている人々の姿が主に描かれています。
先日の東日本大震災が起きた時、私が真っ先に思い浮かんだのがこの漫画です。同じ大震災で大打撃を受けた今の日本に海外から手厚い支援が多く送られてきています。これが太陽の黙示録の冒頭部分と私の中で被って、まるで現実で、これからの日本の未来を予言しているかのように思えます。
漫画では事実上日本がなくなります。しかし、多くの元日本人は日本の精神を忘れず、むしろより強く持ち続けている。国とは国土でありその上に人が立つものである。昨今の日本の国を想う力が弱まっているこの世の中に物申すように、もし日本がなくなってしまったら、その時日本人は日本人でいられるのだろうか、日本の心、日本人としてのアイデンティティーを忘れないでいるだろうか。
今の日本の状況と重なってみえるが、漫画はフィクションなので、現実にはあってほしくないと願うばかりです。
今、読むべき漫画はこの太陽の黙示録です。オススメです!
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2011-04-15 15:43:33] [修正:2011-04-15 15:43:33] [このレビューのURL]
10点 ヨコハマ買い出し紀行
「斜陽世界と穏やかな人々」
雰囲気が超いい!
登場するキャラたちはみんな明るく楽しく穏やかに暮らしている。しかし、夕凪の時代と呼ばれる年々海面が上昇し、人類の滅亡がゆっくりと進んでいる。この明るさと反面する背景の斜陽が対照的にし、主人公のアルファを始め様々なキャラの些細な行動や小さな幸せがとても大事な宝物のように思えます。
ユートピア(理想郷)と反するディストピア(暗い未来)が大好きな人にはオススメです!
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2011-04-15 12:34:00] [修正:2011-04-15 12:34:00] [このレビューのURL]
10点 昴
「天才の苦悩」
お前は今まで食べたパンの枚数を覚えているのか?とディオが言うが、昴に関しては、お前は今まで昴を読んだページ数を覚えているのか?、という程引き込まれすぎてどの位読んだのかが分からなくなる感覚に落ち、気が付いたら1巻分まるまる読み切っちゃうほどです
主人公のすばるはバレエの天才ですが、命を燃やし死んでもいいと言う程踊り続ける態度には一線を越えて狂気に感じます。しかし、天才であるが故の他者との交わりが下手だったすばるが徐々に他者を理解し、成長していく過程に天才の苦悩が見られます。作者は天才の描き方の天才です。
文句なしの10点です。オススメ!
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2011-04-11 12:37:40] [修正:2011-04-11 12:37:40] [このレビューのURL]
10点 リアル
「スタート位置」
なぜ主人公が3人いるのか。人生を前向きにする(スタートする)ことを軸にして、それぞれの主人公を並列して考えると以下になる。
野宮…高校を中退、その後いろいろするが失敗ばかり。そしてバスケ選手になるためスタートする。
戸川…脚が不自由ながら車椅子バスケとしてスタートを切っている状態。 高橋…事故で下半身不全でまだなにもスタートを切っていない。
それぞれ健常者や障碍者と立場は違うが、スタート位置を考えると、スタートをすでに切っている者、今まさにスタートを切った者、まだスタートを切っていない者。この3人がそれぞれのゴールに向かう姿勢がこの漫画の真髄であり、そこを描く井上雄彦はすごいの一言です。
まだ漫画は途中ですが欠点が見つからないので10点で、オススメです!
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2011-04-10 23:31:33] [修正:2011-04-10 23:31:33] [このレビューのURL]