「佐々木裕健」さんのページ

総レビュー数: 58レビュー(全て表示) 最終投稿: 2007年06月12日

漫画、というかストーリーの定石、エンターテイメント性を大幅に犠牲にしてでも社会、現実をリアルに描こうとしているように感じる。

主人公の医局内での嫌われっぷりはその典型である。『医龍』のようなスーパーマンでもない普通の研修医(下っ端)が、医局(組織)に対して従順でない、その軋轢の描写は本当にお見事。

主人公の行動が完璧、正解かどうかの判断はできないが、こんな風に嘘の無い行動をすることを「偽善的」と切り捨てること自体、すでに社会に毒されている何よりの証拠であろう。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2007-06-17 22:23:53] [修正:2007-06-17 22:23:53] [このレビューのURL]

絵の密度は恐ろしいくらい高く、作品の世界観を余すことなく表現できている。

にも関わらず、ストーリー展開の密度にはあまりにムラがある。作者にとっては真剣なのだろうが、カットするか短縮した方が良い戦闘シーンが多すぎる。かと思えば、テンションを崩壊させかねないようなギャグシーンも投入し、全体的に力の出し入れを間違っているような印象さえもしてしまう。

誰もが言うとおり、
3巻〜14巻の流れは、日本漫画史上類を見ないほどの神懸かったものがあり、まるでギリシア悲劇かオペラを見ているような錯覚さえも味わうことが出来た。

それ以降は、作者の自己満足的なものが多く感じられるが、人生を捧げているエネルギーだけは感じ取れるので、最後まで付き合おうと思う。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2007-06-17 00:33:55] [修正:2007-06-17 00:33:55] [このレビューのURL]

8点 SLAM DUNK

巻が進むごとに(試合が進むごとに)密度が高まってくる。しかしラストは高まりすぎではないだろうか。

一般的に高評価の山王戦だが、私にとっては、その前くらいのインターハイ予選くらいの濃さが一番読んでいて楽しく、ラストはまるでカルピスを原液で飲んでいるような、重たすぎる感じがして、あまり好きではない。

力が入っているのはよく分かるし、それが今の『バガボンド』『リアル』につながっているのだろうが、もう少し遊び心があった頃(ドリブルシュートを「庶民シュート」と命名してしまう感覚)がなつかしく、大切にしてもらいたかったと思う。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2007-06-16 21:07:14] [修正:2007-06-16 21:07:14] [このレビューのURL]

8点 編集王

私が高校生のだった時は、ただ無条件に面白いと思ったし、主人公たちのように熱く生きたいと思ったし、編集長をはじめとする「敵」や「敵の正論」をただただ嫌悪していた。

しかし、年をとり、多少なりとも社会の厳しさや自らの限界が分かってくると、別の見方になってしまう。主人公たちの主張も、一面的だったり、独りよがりにもキレイ事にも思えてしまう。

ただそれを考慮したうえでも、「捨ててはならない何か」を感じられる、強い力を持った作品であることには変わりはない。


余談だが、日本橋ヨヲコが土田世紀のことを「全部本気で全部ウソ。」と言っていたが、見事に本質を突いていると思う。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2007-06-16 18:25:59] [修正:2007-06-16 18:25:59] [このレビューのURL]

この作品の宣伝文句「全てが珠玉」
これが本当に当てはまるのだから恐れ入る。


ヤクザ、女子高生、大学のサークル、SF、作者の回想録、これだけヴァラエティに富んでいても、その全てを作者独特の厭世的な哲学で統一されているところがおもしろい。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-06-12 18:20:57] [修正:2007-06-12 18:20:57] [このレビューのURL]

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