「FSS」さんのページ

総レビュー数: 50レビュー(全て表示) 最終投稿: 2007年12月31日

[ネタバレあり]

<全巻読了>

少年時代のノスタルジーをテーマに直結させた着眼点は良かったけど、やはり広げ過ぎた風呂敷を畳めずに終わった感じ。最終的に何が一番言いたかったのかすらぼやけてしまっている。

序盤は色々な伏線の張り方と、情報の小出しのバランスが良く、読んでいて先が気になる怒涛の展開だったが、後半は伏線の回収と先延ばしに必死で、どうしてもストーリー展開に無理が出てしまった感がある。後半などは同じような展開の連続で「こいつら何やってるんだっけ?」と分からなくなることもしばしば(笑)。そのせいでグダグダ感が出まくっている。

それと、「モンスター」もそうだが、もともとこの作者の漫画の描き方は、良くも悪くも非常に「商業的」と言うか、「テクニック的」と言うか、「ここで新たな謎を出せば読者の興味を持続させられる」とか、「ここで家族愛を強調させてからこのキャラを殺せば泣ける」といったように、ある意味パターン化されたプロットの切り張りで作品を描いている印象が強くあり、その小器用なやり方が鼻に付く時がある。そのやり方がプロとして上手いので作家視点で見ていないと気付かないかも知れないが、今作はちょっと「読者の興味牽引のための二転三転」をやり過ぎた感は否めない。所謂「意外性のための意外性」に陥ってしまったと換言しても良いだろう。

一度読めば十分。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-12-31 15:42:46] [修正:2007-12-31 15:42:46] [このレビューのURL]

<1巻のみの評価>

いわゆる「変身ヒーロー」ものだが、好き嫌いがはっきり分かれる作品である事は間違いない。

「シグルイ」にハマった私も、これは無理w。

確かに他には無い独特なテンションや熱意のようなものは感じるが、あまりにも絵柄やノリがB級的と言うかカルト的と言うか…。ギャグなのかシリアスなのかもさっぱり分からない敵のキャラデザや世界観に戸惑わされる。

絵柄が劇画調という事もあってか、出てくる敵キャラは明らかにギャグ路線なんだけど、主人公が思いっきりシリアスにヒーローを演じているせいで、主人公の存在自体もギャグになっている、しかし「本質的にはギャグではない」という、実に奇矯なアクション漫画。

作者の初期作品だけあって作画が未熟な事に加え、内容が内容だけに、「ブリーチ」や「ナルト」のように真っ当な少年向けバトル漫画を読むような感覚では読めない。

正統嫌いな人や、既存の漫画に慣れ切っている人が斜めに読んで楽しむという作品だろう。これを好きな人は、映画などでも「スターウォーズ」より「スペース・ボール」といったB級作品を好んで観るタイプだと思う(笑)。

何にせよ、間違っても万人にはお奨め出来ないので、バランス調整のためにもこの点で。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2007-12-31 14:51:20] [修正:2007-12-31 14:51:20] [このレビューのURL]

<1巻のみの評価>

どこでも高評価なので試しに買ってみたが、個人的にはイマイチ。

基本的に前半はギャグやコメディで笑わせて、その後ちょっとした事件や事故といったシリアスなイベントを挟み、それを乗り越えて感動させる、という物語構成。

その構成やキャラ設定、絵柄などは、全体的に丁寧な仕事ではあるものの、良くも悪くも古典的というか、パターン化され過ぎていて、「ここで感動させよう」とか「ここで笑わせよう」という作者の計算が露骨に見えてしまうので、正直読んでいて興ざめしてしまった。その作者の計算のようなものが、本来ほのぼのとした脱力系であるべき今作から感じる「力み」でもあるように思う。無理して感動させようとし過ぎと言うか…。

また、やたらオーバーアクションが多いだけのギャグシーンもはっきり言ってセンスが古く、感覚的にはふた昔前くらいに感じるほど。そのせいで、一見、生き生きしているように見えるキャラも、実際は作者に「動かされている」という印象を受ける。

南の島という舞台自体は良く描けているが、やはりどうしても漫画の舞台としては狭さを感じ、登場人物も少ないので、起こるイベントに「広がり」や「意外性」が出ていない。

今後、どういう風に話を広げていくつもりなのかは分からないが、はっきり言って先が気にならないので、続巻を買おうとは思えなかった。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2007-12-31 14:11:53] [修正:2007-12-31 14:11:53] [このレビューのURL]