「FSS」さんのページ

総レビュー数: 50レビュー(全て表示) 最終投稿: 2007年12月31日

6点 度胸星

[ネタバレあり]

非常に面白い作品だが、山田芳裕氏の個性的な絵柄と過剰気味な演出は、良くも悪くも人を選ぶのは確か。

主人公の度胸は、「努力」「ド根性」「バカ正直」「信念は曲げない」というように、漫画の主人公としては典型的なキャラクター設定だが、よくある「明朗快活な熱血キャラ」ではなく、必要なこと以外はほとんどしゃべらず、いつもムスッと黙りこくっている方が多いという、一見、陰気なキャラとして描かれている。もちろん、やる時にはやるし、凄まじい馬力を発揮して仲間を助けたり、仲間を裏切る事もないが、やはり主人公としてはあまりにも地味すぎた。いつも目を閉じているような顔付きもそれに拍車を掛けている。この主人公以外にも、ヤクザの組長とか、生意気な天才肌のガキとか、存在感の薄い中年夫婦とか、これまた陰気な女とか、意図的な設定ではあるだろうが、この「外し方」のせいで微妙に感情移入しにくいキャラばかりで、打ち切られてしまったのも、ある意味では仕方ない部分はある。

また肝心のストーリーにしても、宇宙飛行士を目指すための訓練が「水中で機械を操作する」とか「閉鎖空間で何日か過ごす」とか「厳しい環境下でのサバイバル」というようなありきたりなものばかりで、リアリティがある反面、意外性や面白味には欠けていて、やはり漫画としてはイマイチ地味だったと言わざるを得ない。

唯一、火星にいた「テセラック」という謎の存在(四次元生命体?)を出したところがユニークだが、どちらかと言えば、主人公たちを火星に行かせる「動機付け」のための存在といった印象を受ける。恐らく連載が続いていても正体がはっきりする事はなかっただろう。

仮にテセラックと度胸が対面しても、度胸はそんな事より他の仲間たちを助ける事のみを先決したはずで、結局、テセラックの事はそうしたドラマを描くためのギミックとしてしか描かれなかったはずだ。あんな物理攻撃の通じない四次元生命体が相手では、たとえ主人公の努力と根性を持ってしても対処の仕様がないだろう(笑)。

確かに良質な漫画だが、主人公の地味なキャラクター性、微妙なところで尖がっている個性のメインキャラたち、展開の意外性の無さなどにおいて、漫画として読み続けさせるには今一歩「何か」が足りていないのが残念。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-02-29 23:54:48] [修正:2008-02-29 23:54:48] [このレビューのURL]

めったに少女漫画は読まないけど、これは男でも普通に読める良質な作品。

内容としては、主人公の女の子を中心に三角関係が出来たりして、登場人物の心象の変化を描く、よくある恋愛もの。ありきたりではあるけど、それだけに恋愛ものとして安定しているので安心して読める。何より人間描写が非常に丁寧で好感。

難点としては、せっかくケーキ屋さんを舞台にしているのに、スウィーツに関するウンチクやそれに纏わるドラマがあまり出てこない点。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-02-28 19:56:17] [修正:2008-02-28 19:56:17] [このレビューのURL]

何気ない日常の出来事をこれだけ面白おかしく描く事が出来る作者の才能は凄い。爆笑するタイプの笑いではなく、誰でも経験がある事に対して「自分も同じ事を考えた事あるよ〜」とか「こんなヤツいたな〜」と感情移入して楽しめる漫画。

恐らく実際に自分の家族や友人関係であった事をカリカチュアライズしてあるのだろうけど、普段からよほど観察眼を鍛えて、日常に対する疑問や感動を鋭敏に感じ取ってストックしておかなければ、なかなかこうした日常の中の見え隠れする「妙味」を漫画化する事は難しいと思う。

日常をテーマにしたコメディ漫画が好きなら読んで損ナシ。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-02-25 20:51:52] [修正:2008-02-25 20:51:52] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

今では当たり前にあるが、剣と魔法を扱ったファンタジー漫画の先達という点では評価すべき部分も多い作品。作者の漫画家としての技量は非常に高いし、戦闘シーンにおける演出センスなども良い。

実際、破壊神の復活→箱舟攻防戦の辺りまでは非常に盛り上がった。だが残念な事に、それ以降の引き延ばしのせいで、それまでは辛うじて守られていた設定や伏線も完全に破綻してしまった。地獄に落とされた地点でポルノ・ディアノに手も足も出なかったD.Sが、どうやって6人の悪魔王から「ユダの痛み」を抜き取ったのかとか、「竜戦士」は箱舟で破壊されたんじゃなかったかとか、いくらなんでも人類が作ったものにしては強すぎるだろとか、数え上げるとキリが無い。

また、天使と悪魔を出した事による戦闘力のエスカレートは、ジャンプ連載作品の中でもダントツでトップw。ある意味ではドラゴンボールをも軽く凌いでいる。特に単行本23〜24巻現在での戦闘シーンでは、すでに旧キャラのガラやネイどころか、四大天使や七人の悪魔王たちすら蚊帳の外w。もはや漫画における戦闘シーンの演出表現でも限界に達している(そういう点では見るべき部分はあるが)。

ただ、物語の行き詰まり感は誰の目にも明らかながら、それでも「竜戦士」を何とか使おうとしたり、人類側の救世主アダムという新キャラ(?)を出したりと、出来るだけまとめようとする努力の後も見られる。ここまで破綻しつつある物語を続けられる事を、逆に応援してしまいたくなるほど(まあ、今さらエルフやドワーフ、人類を含めた「汎人類連合」なんかを出されてもなあ、というのもあるがw)。

何にしても、ここまでリアルタイムで読んできた作品だけに、どんな形であれ最後まで付き合うつもり。その日がいつになるかは分からないけどw。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-02-24 21:54:47] [修正:2008-02-24 21:54:47] [このレビューのURL]

板垣氏の「男女の性も闘争である」という考え方には納得できる。

ただ、本編の外伝としては、あまりにも内容が無い。もっと本編とは違うアプローチで「性=闘争」という板垣流の考え方をもとに、「恋愛漫画」として昇華してあれば読む価値もあったかも知れないが、単にバキと梢が大ゴマを使ってセッ○スしてるだけの内容には失笑するしかない。いつもの大ゴマ使った殴り合いをそのままセック○シーンに適用しただけで中身が無い。当然、青年指定でもないので、オカズにもならない中途半端さ。

買って損した漫画の筆頭。本編が面白いからっていって、何でも出版社の出すものを買っちゃいけないねw。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-02-24 01:29:03] [修正:2008-02-24 01:29:03] [このレビューのURL]

「魁!男塾」の絞りカス漫画。

本来、前作のキャラの子供たちが次代を担うというシチュエーションなのだから、上手くやればそれなりに面白く、そして感動するものにもなったはず。

それをもはや「適当にバトルしときゃいいだろ」という程度の枯れた発想と金儲けありきの感覚でリサイクルすると、このような見るも無残な駄作が出来上がる。作者本人にもやる気が無いのが分かるし、何より、良い意味でのバカな格闘ネタのアイデアやシチュエーションは、すでにかつての「魁!男塾」で出尽くしている。今さら作者に前作を上回るようなアイデアや情熱が無いのはこの作品を見れば誰でも分かる事。

それと当時と絵柄(特にタッチ)があまりに違い過ぎるのも難点。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-02-17 22:23:44] [修正:2008-02-17 22:23:44] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

ある日やって来た転校生、卜部美琴に、主人公、椿明が恋してしまう恋愛漫画。

とは言うものの、従来からある正統な恋愛ものではなく、ヒロインがいわゆる「不思議系」に属するタイプ。

ノリ的には「ハルヒ」に近い部分があるが、この卜部美琴を象徴するものが「よだれ」と「ハサミ」という変態的かつフェティッシュなギミックである分、「変人度」や「フェチ度」はこちらの方が上(笑)。

誤解を恐れずに言えば、可愛い女の子に「よだれ舐め」という変態的な行為を強要されるというのは、ある意味、男のMっぽい願望を表していて、変に共感できてしまう部分がある。そこに目をつけたというのは面白い。

ただ、今のところそれほどパンチの効いた展開や演出がある訳でもなく、全体的に淡々とした印象。シリアスでもなく、コミカルでもない中途半端なバランス。今後、もう少し恋愛漫画として劇的なドラマを期待。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-02-17 22:03:51] [修正:2008-02-17 22:03:51] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

この漫画を読む人なら誰もが思うように、「黄金時代」から「鷹の団全滅」までなら間違い無く神漫画だった。10点でも足りないくらい。

それが半強制的な長期連載による引き延ばしのせいで、ダラダラと着地点を見失ってしまっているのが現在の状況(まあ、ピークを過ぎてしまったとは言え、それでも全体の評価として5点以下はあり得ない作品だが)。

ただ、連載当初はたぶん作者自身もここまで人気が出るとは想定しておらず、「ガッツの復讐劇」という基本設定を除けば、「鷹の団全滅」以降の事は、ほとんど考えていなかった可能性がある。

「人」でしかないガッツが、「人にあらざる者」たちに対して血反吐を吐きながらも「人のまま立ち向かう」というテーマこそが大事なはずだが、普通の使途なら何とか戦えても、さすがに生身のままではゴッドハンドとは戦えない。その彼我の差を埋めるために、最近では「狂戦士の甲冑」とか「喚び水の剣」なんて便利アイテムが出てくるが、あまり超常的な能力による変なパワーアップは止めて欲しい。

その辺の困難と矛盾をどう消化し、納得の行く決着を付けられるかが今後の課題。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-02-17 21:13:55] [修正:2008-02-17 21:13:55] [このレビューのURL]

5点 彼岸島

[ネタバレあり]

<22巻までの評価>

ご多分に漏れず、長期連載の弊害で凡作に成り下がってしまった典型。10巻辺りまでは面白いが、それ以降の巻を買ってまで読む価値があるかは微妙なところ。

同じ「吸血鬼」を題材にした漫画としても「ジョジョの奇妙な冒険」の二部までと比較すると、明らかにオリジナリティや展開の意外性などで負けてしまっている。

よくある吸血鬼ホラーを和風テイストに仕上げた序盤は、独特な世界観といくつかの伏線や謎解き要素が上手く絡み合っていて、先が気になる展開だったが、ここ最近は、ほとんどアクション映画のようになってしまっている。特に「姫」との戦いなどはインディ・ジョーンズの映画かと思うようなリアリティの無いアクションシーンの連続で、見ていてシラけてしまった。絶望的な状況や強大な敵が現れるほど、主人公サイドの「ご都合主義度」もアップしていくという展開が多すぎるので、もう真面目にハラハラする事は出来なくなっている。逆に普通のザコ吸血鬼は弱すぎて、最近では障害物レベルの扱いで、これまた緊張感が薄い。それに加え、長期連載でダラダラと引き延ばされているせいで、一回毎の戦闘シーンも長くなっていて、余計に間延びした印象になっている(蜘蛛ババアとの戦いなど二巻近く費やしている)。

また、基本的に「島」という閉鎖空間が舞台という事もあって、ビジュアル的な変化に乏しいというのも難点。本来、閉鎖空間という舞台はアクションにしろ謎解きにしろ「短期決戦」というシチュエーションがあってこそ魅力が出せるもののはず。展開がダラダラし出すと閉鎖空間というシチュエーションが大きくマイナスに働く。これも長期連載ゆえの弊害。

あれだけ引っ張ってきた雅に関わる謎も、結局「日本軍の生物兵器の研究」オチというのも陳腐。同じく「ジョジョ」のDIOと比べるとボスキャラとしての魅力やカリスマ性にも欠けている。要するにそこまで凄そうに見えないのだ。

また、この作者の描く画にも好き嫌いが別れるだろう。何年も描いている割にほとんど上達が見られない。特に女性キャラの魅力の無さと横顔のデッサンがひどい。全体的に黒目をはっきり描かないので目にも表情が無い。

その他にも色々と突っ込みどころはあるが、何よりもこれ以上引き延ばしてしまうと、それこそ凡作から駄作に成り下がって終わってしまう可能性がある。

もうすでにやるべき事はやっているのだから、今後、ダラダラとした引き延ばしは止めて早期に終了すべき。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-02-17 20:08:47] [修正:2008-02-17 20:08:47] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

<1巻のみの評価>

若き日のラオウが拳王として覇業を目指す物語。

試しに1巻を買ってみたけど、最大の地雷はやはり絵柄。いくらなんでも原作の絵柄と違いすぎる。原哲夫氏のハードなタッチから一転、この白黒を強調したポップなデザイン風のタッチは、およそ世紀末には似合わないw。

ストーリー自体はラオウが拳王になる過程を描いていて、黒王との出会いや、聖帝サウザーとの戦いなど、原作では触れられなかったエピソードは興味深いところだが、やはりあの絵柄がどうしてもダメ。

また、劇場版『真救世主伝説 北斗の拳 ラオウ伝 殉愛の章』のオリジナルキャラクターが、「あの」ラオウとタメ口をきいているのにも大きな違和感がある。キャラデザ的にも魅力に欠ける。

「北斗の拳」ファンで、この絵柄にまったく違和感を感じない人にならお奨め出来るかも知れないが、個人的にはちょっと無理。

結果、1巻で挫折。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2008-02-17 19:30:08] [修正:2008-02-17 19:30:08] [このレビューのURL]

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