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9点 ドラえもん
これだけの長さなのに飽きることなく、様々なジャンル
に渡る短編集という凄い漫画です。
今は古い作品と化してますが、時代を考慮しながら読めば
通じるんじゃないかという位の強さがあります。
さすが国民的レベルの作品です。
長期連載のため登場人物の性格がやや変化してるな
と思われることだけが欠点でしょうか。
画力も可愛らしい絵なのですが、どんどん向上してる
のは流石です。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2010-12-08 06:35:03] [修正:2010-12-08 06:35:03] [このレビューのURL]
10点 徳川家康
横山先生の歴史漫画の中でもなんと最長の全8巻を重ねているのが、徳川260年の世を築き上げた「徳川家康」である。
実は学研などの学習漫画以外で「徳川家康」を主人公に描いている漫画作品は他になく、この作品が一応の決定版といってよい出来であろう。
彼の生涯は常にナンバー2であることとの戦いであった。
幼少時から織田家と今川家との2強国の間に挟まれた小領主・松平広忠の嫡男でありながら、人質として今川家に送られる最中に
家臣の裏切りから敵の織田家に攫われる身となった。その際に後に同盟を結ぶこととなる織田家の嫡男・信長と面識を持つ。
人質交換で駿河の今川家にようやく送り届けられたものの、父・広忠は家臣の裏切りに遭い暗殺された。
母・お大の方とも暮らせず今川家でも屈辱の日々を過ごす。
この幼少期の苦労の日々は西の戦国大名・毛利元就と似通った点が多い。
ようやく今川家の当主・義元が桶狭間で信長に討たれたことで自由の身になり、跡継ぎの氏真が不甲斐ないと見るや、今度はさっさと信長と同盟を結んだことが徳川家の発展の足掛かりとなった。
将軍・足利義昭を奉じて上洛する信長にとって、西の脅威からの防波堤という意味でも家康との同盟は大きな意義があったのだ。
けれど、それは信長と敵対する諸勢力を全て敵に回すことにも繋がった。特に戦国最強と言われた甲斐の武田信玄と領国を接せねばならず、常にその脅威に晒され続け、
信玄上洛の際の三ヶ方原の戦いでは生涯を通じての大敗を喫することになる。
さらに同盟関係といいながらも信長との国力差は次第に歴然とするようになり、駿河・遠江・三河の3ヶ国をようやく支配下に収めるものの
嫡男と正妻を謀反の疑いから切腹・暗殺せねばならなくなる。
一大転機はその信長が「本能寺の変」で天下統一を間近にしながら殺された事。常に信長の前に2番手であらねばならなかった身がようやく
重石を除けて、天下統一への後継者の座を得ることも出来るはずだった。
しかし、時流に乗って天下統一を進める羽柴秀吉に遅れを取り、小牧・長久手の戦いでは互角以上の力を秀吉に見せ付けたものの、巧みな秀吉の外交手段によって徐々に
戦う意義を失っていく。そして、秀吉への臣従。隠忍自重の日々であった。
豊臣政権の重鎮となった家康だが、秀吉は小牧・長久手の戦いで敗北を味あわされて以来、決して家康に心を許してはなかった。
慣れ親しんだ東海の地から後北条氏の旧領である関東八州を恩賞に得て、石高では260万石を超える大大名となったが・・・・、
新領地を治めるのは困難。北には上杉家・伊達家が控え、秀吉の朝鮮出兵も迫っていた。
家康について数多くの書物が「その腹黒さ」を殊更に強調するのは秀吉死後から関が原の戦いを経て大坂の陣へと続く時期についてだろう。
関が原の戦いの勝利から大坂の陣までは実に14年もの年月の隔たりがあり、その間は家康は何をしていたのかは意外と知られていないと思う。
この作品ではその間についても詳細に描いているのだが
・表面上は大坂と江戸で2元政治体制となり、平和の日々のようでありながら諸国には戦で立身出世を願う浪人が溢れていた。
・オランダ・イギリスVSスペイン・ポルトガルという対抗関係が日本の国内でもキリシタンを通して代理戦争の呈を成していた。
・家康側近と将軍・秀忠側近との権力争いによる幕府内部の粛清。
・伊達政宗が家康の六男・松平忠輝を擁し、イスパニアの援助を得て政権を奪取しようと目論んでいた。
・・・・というように内憂外患であったようだ。
特に家康は「大坂城の豊臣秀頼を潰すために数々の無理難題を吹っ掛けた」とされることについても、この作品では大坂方との争いを避けたいと願う
家康の苦肉の策であったとされている。
家康は豊臣家に戦いを起こさせないために、豊臣家の領土を削り、寺の修理を提案して軍資金を枯渇させ、それでも浪人たちが大坂城に希望の灯を見ているとみるや、
秀頼を大坂城から退去させて大和へと国替えさせようとする。
将軍家が武家の棟梁ならば、秀頼は公家の棟梁とすることで両家の存続を思い描いていたらしいのだが・・・・果たして真実はどちらだろう?
性善説に取れば、家康の度々の苦心にも関わらず家康の意思は大坂城の秀頼・淀の方親子には伝わらず、戦いに雪崩れ込み遂には豊臣家は滅亡した。
性悪説に取れば、残り少ない寿命を感じた家康は徳川政権の安泰を願って「国家安康 君臣豊楽」の方広寺の銘に難癖を付けて、豊臣家に戦いを吹っ掛けて
滅亡に追い込んだとも考えられる。
そして、専ら世に広く伝えられているのは後者であろう。
しかし・・・家康は最初にも書いたように「戦国時代の悲惨さ・惨さ」を人一倍味わっていた身でもあったはずだ。
幼い頃から父母と別れ、人質としていつ殺されるかも知れぬ身。同盟者であるはずの信長の圧力の前に嫡男と正妻を殺さねばならなかった日々。
そんな彼が既に徳川幕府に対してさしたる脅威とも言えないほど無力な立場となった秀頼を謀略の末に勝てぬ戦いに引きずり出す必要などあっただろうか?
「徳川家康」=「タヌキ親爺」というイメージは関が原の戦い以後の家康晩年の姿ばかりを強調した実は極端な姿に他ならないと思う。
徳川家康という信長・秀吉に比して地味な戦国最後の勝利者に対する誤解を改めるための一助となるべき書物かもしれない。
ぜひともご一読を。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2010-12-07 21:24:13] [修正:2010-12-07 21:24:13] [このレビューのURL]
9点 武田勝頼
武田勝頼を描いた漫画はおそらく現在に至るまで「この作品」だけだと記憶している。
ハッキリ言って「戦国の英雄のひとり」である父・信玄よりも、悲劇的な滅亡を迎えた勝頼のほうがその生涯に心惹かれるものがあります。
おそらく多くの方が疑問に感じているのは、なぜ「戦国最強軍団」を父・信玄から引き継いでおきながら、信玄の死後僅か10年で滅亡してしまったのか?ということでしょう。父・信玄の偉大さが際立つほどに「この息子の滅亡」は違和感を持って現代に生きる我々に伝わってきます。
「滅亡」という結果から勝頼は「家臣の言うことを聞かず、たびたび出兵を繰り返しては国力を低下させ、ついには自滅の道を歩んだ愚将・・・・」というような評価が現代において定着してしまっています。
けれど、勝頼は決して駿河の今川義元の後継者「今川氏真」のような暗愚な人物では無かった。父・信玄ですら落とせなかった徳川の支城を陥落させるなどし、織田信長も常にその動向には注意を払っていたし、暗愚な人物ではいくら「信玄の遺産」ともいうべき強力な家臣団があっても10年に渡って国を維持することなど出来ない。
凋落の大きな転機になった「長篠の戦」ですが、どうも諸説あってハッキリしない部分があります。
と、言うのも定説では勝頼が「老臣たち」の無理な戦いは避けて引くように、という忠告を無視して鉄砲隊に次々と突撃をかけたための大敗・・・・ということになっていますが、実は(突撃は)信玄以来の老臣たち(馬場信春・内藤昌豊・山県昌影ら)も「賛成して」の納得ずくのものだったという説があり、この説だと信玄以来の百戦錬磨の老臣たちさえも戦いには勝てると思っていたということになります。とするなら、勝頼1人に大敗の責任を押し付けるような定説は誤りということで、百戦錬磨の老臣たちの上を行く信長が凄かったと言うべきでしょう。
ともあれ、武田は前述の「長篠の戦」以降は急速に力を失っていくことになり、もはや国力からも人材からも単独では織田家に対抗することは困難になっていった。現代の視点からの結果論だと言えばそれまでですが、この後の勝頼は外交上で大きなミスを犯すことになります。
当時の織田家に対抗する上で織田家にとって不利な点は何か?・・・と考えていくと、信長は常に東と西とに敵を抱えた「両面作戦」を強いられるという点です。つまり総兵力では10万以上の織田軍も武田だけにその10万の兵力を注ぎ込むことは不可能だった。しかも信長の味方は実質・徳川家康だけです。その他は全て敵と言っても過言ではない。そこで武田としては中国の毛利家・四国の長宗我部家・そして背後の北条氏と北の上杉氏、さらにここに石山本願寺を加えた五勢力と連携して東西から挟撃することでまだまだ十分に信長打倒を成し遂げることが出来たはずだ。
しかし・・・・勝頼の判断は不可解。まず父・信玄の死後、宿敵・織田信長が最も警戒し恐れていたことは確実な越後の「上杉謙信」と何故か同盟を結んでいない(←理由不明)。信玄の死後の反織田信長連合の盟主はどう考えても謙信しかいないのに、勝頼が謙信を頼った形跡は見当たらない・・・。そうこうしているうちに上杉謙信も深酒が過ぎたためか、柴田勝家率いる織田軍を蹴散らしたのにあっけなく世を去ってしまう。信長にとっては限りなく幸運で、勝頼にとっては不運である。
問題は実子のいなかった上杉謙信の後継者を巡って、謙信の甥「景勝」と北条氏康の息子で当主・氏政の弟に当たる「景虎」との間で戦いが始まったことだ。北条と同盟関係にある武田としては当然のように氏政の弟に当たる「景虎」に味方し、景虎勝利の暁には武田・上杉・北条による「甲・越・相三国同盟」が成立することを期待したはずだ。そうなれば、背後を気にすることなく織田と対陣することが出来、捲土重来の最後のチャンスだったことだろう。
だが・・・・現実には勝頼は景勝からの「黄金の贈り物」に目を奪われて兵を引いてしまう。景虎は景勝に攻められて自害し、弟を見殺しにされて怒った北条家との同盟も破棄、両国は敵対関係になる。「越・甲同盟」は成った・・・。しかし、本来なら「三国同盟」になるはずだったことを考えれば「目先の黄金に目が眩んで自滅の一手を打った」と言って間違いあるまい。この同盟を結んだ景勝は織田家の甲斐侵攻の際は、一向宗の門徒と交戦中で勝頼に援軍を派遣出来ず・・・・・で全く同盟として機能しないまま終わり、結果として景勝だけが得をしたという勝頼にとって無意味なものに。
最後は10万の兵を以って、織田・徳川・北条の3家から同時攻撃を掛けられて滅亡していく勝頼。
哀れなのは、5万は一応居た最後の武田軍が離散に次ぐ離散で新築の「新府城」を焼いて北へと落ち延びたときにはなんと数十名に激減していた(!)という信じられないような事実。まるで櫛の歯が欠けていくように昨日まで勝頼の身辺で支えてくれていた家臣たちから見放されていく様は、日本史上を見渡してみても他に類を見ない。
父・信玄の従姉弟で娘婿でもあった「穴山梅雪」は徳川家康の甲斐侵攻の道案内役を務め、同じく信玄の娘を娶っていて勝頼の義弟に当たる「木曽義昌」は新府城建築の過酷な労役から勝頼を怨み織田家に寝返って滅亡の引きがねを引くことになるなど、本来なら最後まで仕えるべき身内であるはずの親族衆が、いの1番に裏切りに走っているのが大きな特徴だ。信玄の末の弟で「影武者役」でもあった信廉も戦わずして勝頼を見捨てて織田に降伏。
最後の最後まで付き従ったのが「小山田信茂」と「真田昌幸」(真田幸村の父)なんですが、勝頼は譜代ではない真田よりも小山田を信用したほうがいいという家臣の忠告を聞いて真田と別れて小山田の居城・岩殿城へ入ろうとするも小山田の裏切りに遭い、とうとう進退窮まって自害することになります。
で、このことから「悪者」としての評価が定着した「小山田信茂」なんですが、実は彼はもともと武田家の家臣ではなく「郡内一国の主」で武田とは単に「同盟関係」にあっただけという説があります。
とするなら彼の行動は自国を守るための領主としての当然の行為であって「裏切り」でも「謀反」でも無いということになります。また、彼が勝頼一行に鉄砲を撃ちかけたとされていることも、資料としてはどこにも確認は出来ないそうです。名門・武田家の最後を美化するために「悪者にされてしまった」可能性は大だと思います。
それと勝頼と別れた真田昌幸ですが・・・・こっちもヤバそうです。と、言うのも昌幸は勝頼が自害した翌日付で北条家からの「仕官承諾書」を受け取っているのです(!)。つまり、昌幸も前々から「裏切り」のための行動を取っていたということの何よりの証拠になります。勝頼側近が心配した「譜代ではない真田をあまり信用されては・・・・」の心配もおそらくは当たったことでしょう。
どちらにしてももう勝頼にとっては「八方塞がり」だったわけで、旧暦の真冬の山中で寂しく死んでいく勝頼一行を父・信玄がどのような気持ちで見ていたのかが非常に気に掛かるところです。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2010-12-07 21:16:34] [修正:2010-12-07 21:16:34] [このレビューのURL]
10点 寄生獣
本当に良い作品に出会うと、自分の手元に置いていたいと
そう思わせる。
この作品はその類いのものである。
読み返す度に、新たな疑問と、新たな発見を与えてくれる。
時には、立ち止まって考えてみても良い。
時には、脱線して考えてみても良い。
漫画の世界から一つ足を踏み出し、思考が自ずと働き始める。
この漫画にはそんな神秘的な力がある。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2010-12-07 01:44:25] [修正:2010-12-07 01:44:25] [このレビューのURL]
8点 寄生獣
画力がやや低いですし、荒削りですが、テンポ良く
しっかりと纏まったシナリオ、描写、環境論まで至る
メッセージ性などレベルが高い作品です。
タイトルの寄生獣が何なのか分かる伏線も良かった
です。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2010-12-06 21:46:15] [修正:2010-12-06 21:46:15] [このレビューのURL]
4点 惑星のさみだれ
伏線回収は上手いですが、厨二やセカイ系
色が強すぎだと思います。
「大人」へのコンプレックスが酷いです。
キャラも設定が地に足をついた感じでもないですし。
ここでの評価は高すぎだと思います。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2010-12-06 07:06:53] [修正:2010-12-06 07:06:53] [このレビューのURL]
10点 羊のうた
冬目景先生の漫画は、独特な雰囲気を醸し出しています。
もうひとつの代表作であるイエスタデイをうたってもそうですが、ハマる人にとっては麻薬のような作品だと思います。
一度読むと、その世界からなかなか抜け出せない…。
一日に3回読み返すこともあるほどで、こんな漫画は他に知りません。
終わり方は賛否両論かも知れませんが、あれで良かったのかな。
とても綺麗で、とても切ない、そしてとても暗い。
大好きな作品です。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2010-12-06 01:36:09] [修正:2010-12-06 01:39:36] [このレビューのURL]
ガンダムでまともに観たのはファーストだけなんですけれど、なんだかんだと言っても後々のロボットアニメに与えた影響は絶大。
その漫画版の中で「正統」なのがこれでしょう。
もっと早く描くべきだったとは思うのですが。
アニメを基本的にはベースとしながらも漫画版だけの独自シーンが多数追加されており、ファンならずとも見逃せませんね。
ストーリー的にはファーストは「シャアの復讐劇」に尽きると思う。
父「ダイクン」を政敵・ザビ家に殺され迫害されたカリスマの忘れ形見。
従順という名の仮面に隠された素顔はザビ一族の謀殺を目論む策士・・・・・・。
しかも決して「己の策に溺れぬ慎重さと狡猾さとを併せ持つ。」
戦場を駆け抜ける「赤い彗星」にある者は畏怖し、ある者は憧れにも似た念を抱き、またある者は彼の神話を形成するための生け贄となった。
亡き母の面影を持つ女性・ララァと出会いながらも、奇しくも彼と同じ感情をララァに寄せるライヴァル・アムロとの戦いの末に彼女はシャアを庇って戦場に散った。
ライヴァル・アムロとの決着も妹・セイラの仲裁により付ける事は叶わず、最早シャアに残されたのはザビ家の血統を絶つことだけだった。
戦艦・ザンジバルと共に敗戦が濃厚な要塞を脱出しようとする「ザビ家の死に損ない」に世話になったことの敬礼と共に引導を渡す。
「ガルマ、姉上と一緒に天国で仲良く暮らすといい!」
かつて自分が謀殺した「死の直前まで自分を信じ切っていたお坊ちゃん」に対するせめてもの彼なりの「侘び」のつもりだったのか?
アムロ以上に作品を牽引したのは「敵にしても味方にしてもその心を窺い知る事が出来ない赤い彗星の孤独」にあったのだ。
カリスマは死なず。後の世にても騒乱の引き鉄となる。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2010-12-05 10:08:36] [修正:2010-12-05 10:09:25] [このレビューのURL]
7点 SKET DANCE
ある日息子が言ってきた。
「今度このマンガがテレビではじまる(アニメ化するらしい)んだけど知ってる?」
うおおっん!ついにうちのせがれも他人に漫画を薦めるようになったのかっ!
成長したなぁ、息子よ!(これで良いのか・・?)
どれどれスケットダンス?むっ、私は全スルーしていた漫画だな。しかし息子に薦められて読まぬ親がどこにいようか。
よかろう、全巻読破しようではないか!
えっ、持っていないのを買って欲しい?
はうっ!お前そういう事か!!(やりおるわ)
学園モノと聞いて胸躍る事は私は今もう無い。
学園ギャグ、コメディは少年マンガの定番でありかなりの作品と出合っている為にさすがによっぽどじゃあないと、である。
そのド真ん中、ド定番と言って差し支えない作品がこの「スケットダンス」だ。
基本一話完結だから当たり外れはやはりある。たまにシリアス展開。やはりド定番。
しかししかしさすがにジャンプ連載で生き残っているだけの事はある。
(笑いの)会心の一撃も多くシリアスパートも泣けるレベルの回がありやられた。
ちびっ子は普通に楽しめるし、元ネタが特定できるようなマニアック層も取り込んでいる。
ジャンプの広い読者層に上手く対応している実にソツない漫画といえるか。
ただ笑いの核はほとんどがパロディでありオリジナリティ溢れるギャグは少ない。
関西ノリ、ボケツッコミ等はテレビ界に渦巻くお笑いと同種のものであり「あとのせサクサク」「おれ以外の人間すべて死ねっ」など某有名お笑い芸人のトークネタの影響も強く感じられ「生み出す才能」より「チョイスする才能」を活かした作家さんではなかろうか。
それから単行本で大失敗しているのが「ライナーノーツ」。
これはあとがきとか作品解説とかの類なのだがこれが凄まじくつまらない。(漫画家志望の人が読んだらためになるような内容で一般読者をおいてけぼりにしているのでは?)
しかもそれを一話ごと書いてありテンポ良く連作として読めるギャグ漫画の邪魔をしてしまっている。(話の異なる短編集とかなら良いのだが・・・)
内容も「心に残るお話が出来ました。」とか自画自賛し過ぎ。
自分の描きたいテーマや内容はマンガの中で表現するべきだろう。あとのせサクサクは不要。
とまあ多少ケチもつけたが最初に言ったように総合レベルはそうとう高くファミコン的エピソードの回など大爆笑してしまった。
安心して読める良作。ジャンプ本誌で読んでもいけるはず。
あっ!
ここで気付いたゾ。スケットは亀有のポジションをターゲットオンしているな!
劣化しつつある「記録に残る」漫画に対しボッスン達は「記憶に残る」漫画として立ちはだかる事ができるのか!?
あぶなーい!両さん、うしろ、うしろーっ!!(ドリフのノリで)
もちろん掲載順のことね。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2010-12-05 02:45:35] [修正:2010-12-05 03:27:02] [このレビューのURL]
7点 アウターゾーン
この作品がジャンプの後のほうのページにありながらもコミックスで通算して15巻も続いたのは、ひとえに作者の「基本的にはハッピーエンドで物語を終わらせる」という姿勢にあると思う。
確かに読み通してみて気付くのは、最後は「善人が幸せになる」という結末が基本であるということ。
一例を挙げると、男の子が飛び込んだボールを捜して古びた洋館に迷い込むのだが、そこで糸に捕らえられた女の子と出会う。女の子を助けようとする少年だが、謎の女が現れて2人を捕らえようとする。
必死の思いで館を脱出した少年はわれにかえる。館は何処にもなく、少女も女も煙のように消え去っていた。
あれは夢だったのか・・・と思った少年が見付けたのは蜘蛛の巣に引っ掛かってもがいている蝶。
少年が蝶を助けてあげると、蝶は感謝するかのように少年の周りを飛び回って去っていく。
あの館での出来事は囚われた蝶が助かりたい一心で見せた幻だったのだ・・・というラストシーン。
上記の話に作者が自ら「実はラストシーンはもうひとつ考えたものがあった」と明かしている。
それは「少年が館で女に捕らえられ、現実では少年を探しに来た仲間が蜘蛛の巣で蜘蛛に喰われている少年を発見する・・・・・」というものだったらしい。
けれど、そのラストシーンは採用されなかった。作者は続けて書いている。
「そんな(悲惨な)ラストに何の意味があるだろう?」
「自分は読者にそんな思い(後味の悪い気持ち)を抱かせたくはなかった」と。
・・・・この姿勢は作品を通してほぼ貫かれていくのだが、「成功」の要因もそこにあったんだろう。
たまにミザリィの不思議グッズを悪党が手に入れて、悪用したりするのだけれど、最終的にはいずれも例外なく「上手く使いこなすことができず、悲惨な末路を迎える」。
バッドエンドの話もあるのだが、悪い目に遭うのは「悪党のみ」で「善人は悲惨な目に遭うことは基本的になし」。
怒らせると怖い案内人の「ミザリィ」も、悪人には強烈なお仕置きを食らわせても、善人を陥れたりは決してしていない。
このハッピーエンドと、たまに挿入されるバッドエンドの話の比率が「7対3」もしくは「8対2」くらいの印象で、「匙加減」が絶妙だった。
大体の読者は物語は「ハッピーエンド」のほうが好印象を抱く傾向にあるというデータも出ている。
「バッドエンド」のほうが印象は強烈なものとなって心に刻み込まれるものらしい。
ただ、バッドエンドだと読後感は当然良くはならないので、ある程度の批判や悪評も覚悟せねばならないだろう。
漫画に限らず映画でもゲームでもドラマでも制作する側は「この事実」を良く認識して制作をすると、好評を得られる作品を作りやすいのではないかと思う。
この作品は上記を実践して、「実際に成功を収めたモデルケース」と自分は考えています。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2010-12-04 18:53:45] [修正:2010-12-04 18:53:45] [このレビューのURL]