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7点 芋虫

 原作:江戸川乱歩、作画&脚色:丸尾末広。前作「パノラマ島綺譚」に続く至高にして(悪)夢のコラポレーション第2弾である。前作が手塚治虫文化省を受賞するなど反響も大きく完成度も高かったので、大きな期待と安心感を持って本作には接することができた。

 まず一つ言えるのは、本作「芋虫」は前作「パノラマ島」よりもはるかに丸尾末広の持ち味…大正昭和風味の残虐猟奇趣味が発揮できているという点だ。おそらく昔からの熱心な丸尾ファンには「芋虫」の方が肌に合うと思われる。
 物語の舞台は大正期の軍国時代の日本。大正というと「サクラ大戦」や「大正野球娘」のような華やかなイメージの作品が多いが、一方本作はというと…。戦場で四肢と言葉を失い物言わぬ肉塊となった軍人とそれを看護する妻。あてがわれた屋敷の離れを舞台に、世間的には「名誉の軍人」と「夫に尽くす良妻」である二人の、その実いびつで倒錯した愛憎模様が描かれる。もうこの舞台設定からして丸尾末広のためにあるような作品といえる。モダンと華やかさの影に咲く、腐臭を放つ奇形花の妖気。

 まさに水を得た魚、羽を得た芋虫のように丸尾末広はこちらの期待に応えるべく素晴らしい仕事振りを発揮している。短編である原作を肉付けするために様々な小話も盛り込まれ、浅草十二階や仁丹の絵看板などの小道具にも気が配られている。
 何より圧巻なのはやはり悪夢のように淫靡な”夫婦生活”のシーンで、奇形の芋虫とそれを弄びまた弄ばれる中年女の濃厚な絡みから、丸尾末広言うところの「前近代的湿潤」、日本的なじめっと湿度のある狂気がページを通り越して読者の顔面にこびりついてくるような錯覚すら覚えさせる。体液や汚物のすえた匂いまで立ち上って来そうなその描写力は凄まじく、特に第2話後半で憔悴しきった妻がさいなまれる悪夢のシーン(奇形、死体、毒虫、男性器などのおぞましいイメージの集積)を見た日には…。これぞ江戸川乱歩、これぞ丸尾末広であろう。

 が、本作を丸尾末広や江戸川乱歩ファン以外の読者に広く勧められるかというと、なかなかそうも言い切れないのが歯がゆい。前作「パノラマ島」と比べてもエログロ描写が上記のとおり段違いに上がっているため、耐性のない人に見せたら人間性を疑われることになるだろう。
 江戸川x丸尾のコラボをもっと読みたい自分としては本作も商業的に成功して欲しいと思っているが、文庫版で30ページに満たぬ原作を4話構成にまでカルピスのように水増し・過剰装飾した印象はぬぐえず、それがハードカバー1200円(税抜)というのもやや疑問が残るところである。これであれば、例えば芋虫以外にも手ごろな江戸川乱歩の短編を漫画化して単行本に収めてくれた方が良かったと思う。

 何より残念だったのは、これは別に誰が悪いのでも無いが、既に「パノラマ島綺譚」で江戸川乱歩x丸尾末広という究極のタッグの完成を目撃してしまっていた為、本作を読んだ時も信頼感に似た安心を覚えこそすれ、前作を書店で偶然発見した時ほどの衝撃を受けることは無かった。今後もこのコラボは続けて欲しいと心から願うが(個人的には「蟲」とかを是非)、初見の悪夢を上回る悪夢を生み出すハードルはどんどん高くなっていくのだろう。夜の夢のごと、まことに歯がゆい。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-03-22 14:43:51] [修正:2010-03-23 23:14:53] [このレビューのURL]

8点 レベルE

一言で言えば、ある種の社会風刺漫画とも言える。
バブルが崩壊して、デフレに陥った日本では雑誌が
全盛期に比べて売れず、また自国に対して愛国心や
自分に対しては悲壮感漂う未来像、そして創造力が
満ちあふれていた70年代とは違う90年代の漠然と
した消費文化を十分に皮肉っている。主人公の住む田舎で
いきなり宇宙人が現れる設定は、高度成長経済の中で進んだ
技術や文化を持った東京人が田舎の純真な少年に対しての
嫉妬や都会なんてこんな物だと失望感が入り交じった考えから
生まれたと思う。一方の主人公も、宇宙人という事で何でも
出来たり、自分よりも頭がいいと憧れを抱くが実際はバカで
とんでもない性格の持ち主だというのも作者が抱く「東京」の
アンチテーゼに近い。また、コンウェル星人という女を食べて
子供を産むという宇宙人も、現実世界で女性に対して未だに
偏見や差別、また社会進出して「強くなった女性」に何も言えない
弱くなった日本の「親父」を皮肉った設定だと感じた。援助交際と
いう、90年代が生み出した文化は金を払わないと相手にされない
男性が「種」を残して、自分を足跡を残したい「性」は、まさに
「食人鬼」の裏設定だろう。単なるSFコメディとしても面白いし、
ゲーム性を持った社会風刺漫画として読めば、また更に見聞を深める
作品だと個人的に思いました。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-03-23 13:23:50] [修正:2010-03-23 13:23:50] [このレビューのURL]

なんか皆さんのレビューがすごい事になってますね。
ここまで多数の人の意見が一致するというのはすごいことではないでしょうか。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2008-09-02 00:23:07] [修正:2010-03-22 17:20:38] [このレビューのURL]

知識習得マンガという印象


私は大学で倫理学を学んでいるため神話などに興味があり、この漫画を読み始めた。この漫画で扱う内容はイタコの話やインドの仏像の話など、昔話や神話といった、オカルトな内容のものが多い。教授が仮説を立てて実証していくという形で話は進んでいく。面白い話はページをめくる手が止まらないほど面白いが、つまらない話は途中で読み疲れることもある。

ただ、全体的に雑学が多くちりばめられているので、昔話や神話、そして宗教的な知識が身につく。大人な漫画である

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-03-22 11:16:29] [修正:2010-03-22 11:16:29] [このレビューのURL]

あらすじや第一話を読んだ時はあまりそそらなかったんですが
変わった練習方法が効果を見せはじめたあたりから
普通だったチームがたった一年で甲子園に行けることができるのか
どんな戦略があるのか、面白くて一気に23巻まで読みました。
高野連の規則や野球のルールの灰色の部分が浮き彫りになってたり
監督が主役なところが青年誌のスピリッツっぽい。
まあ絵柄もスピリッツっぽいですよね。上手いし読みやすくて飽きない。
どんな終わりを見せてくれるのか楽しみです。

「おお振り」と「ダイヤのA」がそれぞれ講談社賞と小学館賞を獲ってるので
この漫画も何かの賞をあげてもいいくらい良作だと思う。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-03-14 15:58:07] [修正:2010-03-21 06:01:35] [このレビューのURL]

競艇というものに対して、よくこれだけのことを詰め込めるなあ、と関心しました
波多野がスクリューで怪我するあたりでは、リアリティがあって、漫画でこんなことを現実に起きたように進めていくあたりはうまいなあと思います
作画、心理描写、たまに入るギャグなども作者独特の雰囲気が味わえます
好き嫌いは人によってあると思いますが、最初にも書いたとおり競艇というテーマを分かりやすく、楽しめるように書く作者に敬服です

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-03-20 19:33:13] [修正:2010-03-20 19:33:13] [このレビューのURL]

絵はだれでもよかったんじゃね?
・・・と思うほどぐしゃぐしゃな作画であった

話の順序も原作と違うからって盛り上がるわけではない

まあ、僕は1巻と2巻しか見てないので、このレビュー内容でよかったのかどうかもわかりません



あ、書かなきゃよかったのか・・・

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-03-20 16:07:14] [修正:2010-03-20 16:07:14] [このレビューのURL]

7点 LIAR GAME

この作品の優れたところは、奇抜なゲームシステムだと思う。ゲームシステムの全貌を先に明かしてくれるので、がんばれば自分で今後の展開を予想できるかもしれないくらいだ。推理物として個人的にはちょうど良いし、毎回特殊なゲーム性を楽しませてもらっている。
しかしそれだけだと、カイジの劣化版ともとれるかもしれない。カイジとの違いはやはりキャラと結末。
キャラは秋山、フクナガ、神埼など、それぞれ役割分担されてる気がする。
そして脇役たちは、良くも悪くもカイジのそれと同じ。
でも結末的には、神崎が彼らを救おうとするから、カイジほど現実的というか残酷な感じはない。

実際にはライアーゲームというタイトル通り、推理戦というより心理戦なので、推理物として高レベルなものを期待するより、心理学分析に基づいた心理変化を楽しむ作品だ。そういった点を踏まえて、個人的には評価できる、好きな作品です。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-03-09 17:26:08] [修正:2010-03-20 09:27:44] [このレビューのURL]

小1からジャンプを読んでいたが一番つまらなかったといっても過言ではない
こんな奴が赤塚賞を取ったこと自体が疑問だ

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-03-19 15:19:24] [修正:2010-03-19 15:19:24] [このレビューのURL]

荒木飛呂彦。このとんでもない漫画家の名前を強烈に僕に伝えた作品だ。
今までのジョジョを網羅してその先、つまり人間讃歌というテーマを置きつつ、実験的な内容を行うという従来のやり方を行っているのだ。
そしてスティールボールラン。
レース物?まさか
荒木飛呂彦がそんなものを描くはずがない
完全なバトル物だ、スタンドも新しい形で描かれており、無駄に面白いのだ。
絵も完成しており、内容も今までのジョジョと比べるとファンサービスを行いつつ新しい形に自作をコーラジュさせている。
新しくジョジョという作品を作るとしたら?
これほど素晴らしい作品はない。
全体的に人間讃歌
第一部で土台
第二部で肉体の最強
第三部で精神の最強
第四部で作家性
第五部で友情と努力と勝利。そして掘り起こされた人間讃歌
第六部で一部から五部への決着
第七部はまさに漫画家・荒木飛呂彦の完成、、とも言ってもいい
まさにジョジュの、荒木飛呂彦先生の最高傑作だ。
第七部はダメ?そんな事言ってたら時代においてかれるぜ!

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-03-18 21:16:08] [修正:2010-03-18 21:16:08] [このレビューのURL]

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