「オカシュー」さんのページ

8点 CLAYMORE

ダークファンタジーバトルの傑作。
幼少親しんだ故・月刊少年ジャンプに(現スクエアだが)まさかこのような名作が誕生していようとは。いや不勉強、不覚。

ダークファンタジーという事でベルセルクと(まさに)ガッツり比較させる事がこの漫画を解明する指針となろう。
(そういえば最初の数話盛り上がらず急に面白くなるのも一緒だなぁ)

さてこの2作品、掲載誌の違いが大きな意味を持っている。

ベルセルクはヤングアニマル掲載の青年マンガであり時には成人マンガレベルのギリギリの表現へも踏み入れる事を許された(?)マンガである。
主人公の殺人シーンは日常茶飯事であり倫理を超えた表現描写も含めて高く評価される。
だが例えば女性のレイプシーンを数ページかけて細かく描写するのが本当にこの作品に必要な事なのかという疑問も残る。

対するクレイモアのメイン読者層はコロコロと同じくらいの月刊少年ジャンプである(開始時)。開始から大きな制限があった。
その為主人公は妖魔を殺すというより退治するのであり、一歩譲っても戦う相手は半人半妖。人は殺せないルールを設けていた。

しかしこのクレイモア、ダークファンタジーとしてその制限ハンデをものとせずベルセルクと肩を並べる程評価されるのには訳がある。
無論単純に面白いからなのだが特に大事なポイントを2つ挙げておこう。

1・笑いを一切入れていない。
ギャグシーン等笑いを入れると子供受けし易い半面、作品が幼稚になる。これは月ジャンでは冒険だったが良くやった、と言いたい。
くだらない笑いを事あるごとに入れるという現在の人気作(ナルト、ブリーチ、ワンピース等)の方程式を使わなかった事がこの作品を大人に認められる良作として成立させた。
(ベルセルクはヘタな笑いを入れたばかりに評価を落とした部分があると思う。)

2・実は少年漫画の基本は押さえてある。
整った絵柄や終始シリアスという点で大人向けに創っているかといえばそうとばかりもいえない。
バトル少年マンガの王道はキチンと押さえており美形キャラ、必殺技等を控えめながらも揃えており作品的にブリーチ等と同じ部類に属するのである。
ただクレイモアは設定、展開にいきあたりばったり感がなくしっかりしておりチャチくないのだ。
バトルさえ大人を裏切らない上質さがある。

まとめるとベルセルクはダークファンタジーの世界を「その敷居の高さのまま」表現しようとしているのに対しクレイモアはダークファンタジーの世界を「少年マンガの文法」で表現しようとしているのだ。

もちろんどちらの作品もあなどりがたい漫画であり容易な結論は出せない。
しかし完成度ではクレイモア一歩リードと私は感じている。ベルセルクには不安要素がある。
面白さに波があると感じるのだ。鷹の団、蝕までとそれ以後の物語のアツさに明らかに差があり休載も多い事を考えると心もとないと言わざるを得ない。
それに対しクレイモアは安定した面白さを保っていると感じる。

しかし結論はまだ早い。それは皆さん御承知の通り。

そう「完結」したとき。

これからだ。この作品達の真の評価が明らかになるのはこっからだッ!!







ナイスレビュー: 2

[投稿:2009-12-05 23:50:05] [修正:2009-12-06 00:51:31]