「オカシュー」さんのページ

総レビュー数: 252レビュー(全て表示) 最終投稿: 2009年07月18日

充分面白いと思います。ただ少々絵がくだけ過ぎているのが気になったか。
「ヒカルの碁」レベルで描いてもらえたらもっと嬉しいかな。

このバクマンが他のマンガ家漫画とハッキリ違うところは読者が「漫画家になりたいな」と思わせない所だ。
「マンガ家になりたい」ではなく「大儲けしたい」と思えてしまうマンガなのだ。
このマンガで主人公達が求めているのは富と名声である。(つまりアニメ化とかトップ連載とか。)

ジャンプらしいと言えばらしい売れる事を(のみ)求めたシュージン達の行動理念にちびっ子たちはともかく分別ある年齢の方々は「何か違うぞ」と感じてきているかもしれない。

しかしこれでいーのである。これはもともとそういうマンガなのだ。

本作はマンガに賭ける情熱を描こうとしている訳ではなくヒットの方程式をえがきたいのである。
ジャンプという少年マンガ誌の代表格に掲載された事もあるし「まんが道」風スタイルをとっている事もある為この辺がうまくぼやかされていると感じる。

実は主人公達には「子供に夢を与える」などという志はなく欲しいのは「アニメ化」と「人気投票一位」なのだ。
その為に時には自分のスタイルや持ち味もかなぐり捨てただ受けるパターンや戦略を求道する・・・。

「自分の描きたいものを描くのではなくヒット作を描きたい。」

ドライである。何か寂しくもある。しかし同時に少々小気味よくもあったりするのである。
ある意味リアルではないか。人生賭けているのに「売れなくてもいい、子供たちに夢を与えるマンガを描きたい」なんて言う主人公達だとちょっと違和感も感じてしまう。(オジさんはね、特に生活かかっているとね)
リアル漫画家さん達だって「大儲けしたい」「大ヒットとばしてちやほやされたい」と思う気持ちは少なからず有るはずで、だから同人でなく職業でやっているのである。

本作はサラリーマンの出世物語としてとらえるといいかもしれない。
「会社を発展させるため働くぞー!」という風にみえて実は自分が出世する事こそが本来の目的なのである。

もちろんそれが悪いと言っている訳ではない。
多くの人は会社の為なら自分を犠牲にしても良いとは考えないだろうから。自分の幸せの為に働いているはずである。
ただ本作を現代版「まんが道」ととらえて読んでいると楽しめないのではなかろうか。

これは小畑、大場コンビのおハコですよ。

「少年誌の邪道」。

王道にみえて本質はコレ。

(デスノート)ライトと同じで主人公を好きになるマンガではない。
(成り上がる)戦略を楽しむマンガ。










ナイスレビュー: 3

[投稿:2010-12-13 21:58:46] [修正:2010-12-13 22:26:42] [このレビューのURL]

7点 SKET DANCE

ある日息子が言ってきた。
「今度このマンガがテレビではじまる(アニメ化するらしい)んだけど知ってる?」

うおおっん!ついにうちのせがれも他人に漫画を薦めるようになったのかっ!
成長したなぁ、息子よ!(これで良いのか・・?)

どれどれスケットダンス?むっ、私は全スルーしていた漫画だな。しかし息子に薦められて読まぬ親がどこにいようか。
よかろう、全巻読破しようではないか!

えっ、持っていないのを買って欲しい?
はうっ!お前そういう事か!!(やりおるわ)



学園モノと聞いて胸躍る事は私は今もう無い。
学園ギャグ、コメディは少年マンガの定番でありかなりの作品と出合っている為にさすがによっぽどじゃあないと、である。

そのド真ん中、ド定番と言って差し支えない作品がこの「スケットダンス」だ。
基本一話完結だから当たり外れはやはりある。たまにシリアス展開。やはりド定番。

しかししかしさすがにジャンプ連載で生き残っているだけの事はある。
(笑いの)会心の一撃も多くシリアスパートも泣けるレベルの回がありやられた。

ちびっ子は普通に楽しめるし、元ネタが特定できるようなマニアック層も取り込んでいる。
ジャンプの広い読者層に上手く対応している実にソツない漫画といえるか。

ただ笑いの核はほとんどがパロディでありオリジナリティ溢れるギャグは少ない。
関西ノリ、ボケツッコミ等はテレビ界に渦巻くお笑いと同種のものであり「あとのせサクサク」「おれ以外の人間すべて死ねっ」など某有名お笑い芸人のトークネタの影響も強く感じられ「生み出す才能」より「チョイスする才能」を活かした作家さんではなかろうか。

それから単行本で大失敗しているのが「ライナーノーツ」。
これはあとがきとか作品解説とかの類なのだがこれが凄まじくつまらない。(漫画家志望の人が読んだらためになるような内容で一般読者をおいてけぼりにしているのでは?)

しかもそれを一話ごと書いてありテンポ良く連作として読めるギャグ漫画の邪魔をしてしまっている。(話の異なる短編集とかなら良いのだが・・・)
内容も「心に残るお話が出来ました。」とか自画自賛し過ぎ。

自分の描きたいテーマや内容はマンガの中で表現するべきだろう。あとのせサクサクは不要。

とまあ多少ケチもつけたが最初に言ったように総合レベルはそうとう高くファミコン的エピソードの回など大爆笑してしまった。

安心して読める良作。ジャンプ本誌で読んでもいけるはず。

あっ!

ここで気付いたゾ。スケットは亀有のポジションをターゲットオンしているな!
劣化しつつある「記録に残る」漫画に対しボッスン達は「記憶に残る」漫画として立ちはだかる事ができるのか!?

あぶなーい!両さん、うしろ、うしろーっ!!(ドリフのノリで)

もちろん掲載順のことね。






ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-12-05 02:45:35] [修正:2010-12-05 03:27:02] [このレビューのURL]

演劇に賭ける少女、北島マヤの物語。大人買いでどっぷり浸ってきました。

少女マンガというジャンルの広がり方は少年マンガに比べるとかなりちいさく感じる。
その大きな要因は「恋愛要素」にあるのではないかと思われる。

多くの少女達にとって恋愛こそ現在最大の関心事であり他のテーマを寄せ付けないほど突出している。
それゆえ少年マンガのように多くのテーマに分かれる事無くコメディにせよシリアスにせよ内容の中心部分は恋愛でかためられている。

恋愛は「醤油」のようだ。
多くの料理にあう万能調味料醤油があったがゆえに日本では他国のようにバラエティある調味料が発達しなかった。少女マンガもそんな日本と似ているのではないか。

そんな中、醤油(恋愛)をかくし味程度に抑えた少女マンガもいくつか存在する。
そしてそんな(少女マンガ的には)邪道な作品の中にこそ名作は多く生まれている気がする。

本作「ガラスの仮面」もそうだ。
これは完全にスポ根(スポーツ根性モノ)である。演劇を見事な手腕で屋内競技として描き出している。
(恋愛は脇役に徹していて私の好きな桜小路君などヒドい扱いになっている。その分最終章は濃い醤油味かもしれないが。)

近年少女マンガでスポ根を取り入れて成功した屋内競技作品と言えば「ちはやふる」が挙げられるか。 
本作はそんなスポ根モノの大先輩にあたるのではなだろうか。

しかしだからと言って誰かれに勧められるという訳でもない。
「ちはやふる」は現在のスポ根系少年マンガの洗練された最先端作(スラムダンク等)をベースに創られている。(トレスっちゃうくらい好きみたいだ)
しかし「ガラスの仮面」は魔球渦巻く古典的スポ根がベースとなっている。(事実「大リーグ養成ギプス」的なものまで作中に登場する。舞台あらし編)

つまりスポ根マンガであると同時に超人マンガ的内容にもなっているのだ。
私などは全然オッケーでうひゃうひゃ言いながら楽しめたのだが古い画風と合わせてこの辺は賛否両論かもしれない。(それにしても月影先生のパワハラはヒドい)

それでも昭和を越え平成までも生き続けたこの大作は多くの少女達に多大な影響を与え続けている。
以前テレビに美内先生が出演された時ファンから「お願いですから私が死ぬまでに完結して下さい。」というファックスが届いていた。

これはいろんな意味でマジである。いまだ未完の恐るべき大作なのである。
彼女達はこのマンガの結末を見届けない訳にはいかないのだ。

それは少年期にドラゴンボールに出会ってしまった男の人などにまま起こる事と同じで、もはや愛読書の一つではすまされずその人の「青春そのもの」と化しているのである。

北島マヤの青春こそ自分の青春。

読了後、本作を少女期に読めた人たちがとてもうらやましく思えたのだった。






ナイスレビュー: 3

[投稿:2010-08-04 20:09:29] [修正:2010-08-08 13:45:44] [このレビューのURL]

これは夢のような作品だと思います。漫画家さんにとって。

まさに「好きほーだい」。それで商業誌に掲載され単行本が出るという。

通常こうはいかない。いろんなものが足りなくて同人レベルで終わるモンです。
絵が良くてキャラ良く描けて本編もしっかりしていて自分の趣味も笑いに変えられる。
売上げとかはそーでもないのだろうけどもこういうサイトではしっかり評価してもらえるという。

私が漫画家だったならばこの作者にきっと嫉妬するだろうなぁ。

ネタに関しては「D」と「ナウシカ」と「圧壊!(沈黙)」くらいは分かりました。
使い方めちゃウメーな、しかし。

ハルシオンの方がデキは上回っているのだけれど、拙いからこそこそばゆい気持ちになる何かがある。

作品が「リア充」。そんな印象かな。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-06-22 01:40:46] [修正:2010-06-22 01:40:46] [このレビューのURL]

赤外線くぐりにスポーツマン狩り。
相も変わらずハジけてるなぁ、許斐先生あーんどテニプリ。

いいぞ、もっとやれ。

・・・しかし私はこれ以上レビューできそうにない・・・。
だってもう疲れたよ。旧テニプリのレビューで全てを出し切りました、本当に。
繰り返し何度も読み返したし、資料まで作ったりして・・・休みだいぶツブしたし、何やってんだオレ・・・。

当分テニプリの事は忘れたいんだよ。

もう・・・そっと・・・そっとしておいてくれ・・・はっ!


王子「フフ・・・まだまだだね。」

ひぃっ・・・!ってげ、幻覚・・・?

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-02-09 01:00:06] [修正:2010-05-29 21:47:34] [このレビューのURL]

多くのマンガを読む中でちょくちょく出会うのがスロースターターの作品である。
出だしから中々盛り上がらない。物語が波に乗れてないというか。
しかしそれは逆に「後からぐんぐん面白くなったけどねっ!」という事も言いたい訳である。

つまりそれが「サイレン」なのである。

私的にエンジンのかかりが遅かった作品を挙げるならば「弱虫ペダル」「クレイモア」がそんな感じであった。
しかしそれでも2巻程読めばのめり込ませてくれた。

なのにこ奴は・・・この「サイレン」4巻ぐらいまで微妙だ。

完全に失敗していると思われるメガネっ子ヒロインとか色々言いたい事はあるが最大のネックはタイムスリップの設定を生かしきれずただのバトル物と化しちゃっていた事だ。4巻までは。
5巻以降はもう自信を持って「良い!」と言えるのだがそれにしても下積みが長すぎた。

多分最初から読んでいる人で見切りをつけた人もいるかもしれない。
でもそんな人こそ読み直して欲しい。「サイレン」はこんなに立派に成長しましたよ、と。
現在では子供キャラが成長して魅力も増大、タイムスリップ設定もバトルも生き生きと動き出している。 
ジャンプ3強と比較しても遜色ない、と思わせるほど盛り上がっているのです。パチパチパチ。

ちなみに難産だった1巻から4巻までを私が読み堪えられたのはあるマンガサイトのお薦め記事による。(残念ながら今回はここマンガレビューではない)
そのサイトのおかげで楽しみをこぼれ落とすことなくおいしくいただく事ができている。
そして私もこのレビューで誰かの胸のサイレンをかきならす事ができるかどうか。
この大器晩成、遅咲きの花を一度愛でていただきたい。

そんな事を思いつつジャンプ本誌を見たならば掲載順が最後・・・。
このクオリティでドベ争いとか、ジャンプって厳しいのう。
ヤバいのかな、面白くなってきているのに。まさか打ち切りってことは・・・。

しかし所詮実力の世界、それも良かろう。
崖っぷちから這い上がってこそ真の実力者なのだから。

どんな結果になろうとも私は最後まで読み続けるつもりだ。

「サイレン」

いろんな意味でドキドキする作品だぜ。




ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-05-26 01:07:57] [修正:2010-05-26 01:37:25] [このレビューのURL]

「ふっふっふ、これは少ないだろう何時レビューしてやろうか」と虎視眈々としていたのですが思ったよりレビューがありちょっとショボン。
他の方のレビューを読ませていただき想像していたより低かった評価にもっとショボン。
「本を買う必要はないのでは?ネットで見られるし」というダメ押しにショボボン、ショボボン、ショボボンボン。(タイムボカンシリーズのノリで)

通常版とさらに新装版も持っている私って一体・・・。

井上マンガはその素晴らしいストーリーに気持ちを持って行かれがちだが絵だけ見ても楽しめる数少ない漫画家の一人だと私は思っている。
それはインタビューでの「前(作)より絵がうまくなってないとイヤなんです」という発言や、「バカボンド」と「リアル」の二作を作画手法を変えながら同時連載しているというこだわり具合でよく分かる。

つまり所有欲をかなりそそられるのであります。

本作は「ネット向け」作品の為絵は雑っぽく見えるがそれさえもB級映画的な躍動感とSFスポーツという異系ジャンルがよく馴染んでる。
本人のあとがきにも「ストーリーや絵のはずむような感じは二度とこれと同じものは描けないだろうなと思わせる」とコメントしている。

コマが大きいのでボリューム的には少年マンガ単行本二冊くらいになるか。
個人的には続きが読みてぇっと思えるいい漫画だった。
本人も「今でも時々読み返しては描いた僕本人が元気をもらっているそんな特別な作品になりました」と語っているくらいだ。

現在の青年誌作品とは違う「スラダン」の甘い香りを色濃く残すこの作品。
多分このマンガの本質は「思い入れマンガ」というべきジャンルなのかもしれない。

読者にとっては突然の事に思えた少年ジャンプ本誌での「スラムダンク」の終焉。
終了後も読者の熱いラブコールは続いていた。バスケ系「リアル」が始まるまでの三年弱。

多くのファンが思っていた。
私ももちろん思っていた。

井上雄彦のバスケット(漫画)が。

読みたかったんだ。

井上のバスケが。

このマンガはそんな「思い入れ」で出来ているのだ。





ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-05-14 01:32:43] [修正:2010-05-14 01:59:14] [このレビューのURL]

珍しい対談マンガ。雑っぽい絵に敬遠しがちになるが充分おもしろい。
なにより作者の芯の通った生き様が感じられ好感触だ。

しかしこの漫画の真の目的である道に迷える若者に一筋の光明を的な部分は決して成功していないと思う。
それはこの漫画自体が悪いというわけではなく表現媒体の問題で。
もう死のうとか生きる目的を見失っているとかの人は普通に漫画なんて読んでないだろう。

あくまで漫画作品として評価できる。
あと漫画で対談やる必要はないかと言えば私はそんなことは無いと思う。対談漫画でしか表現できないモノはあると思うし何より文章と違って読者に手に取って貰いやすい。

全体的にみて良作。ただ密度が濃いので漫喫とかで一気読みはよろしくない。買って読もう。
それに対談相手に井上雄彦とか宮藤官九郎とか出てくるのでそれだけでも買い。

絶望には効かないかもしれないが、ありきたりの漫画に飽きた人には効くと思います。

山田玲司作品を読むとっかかりにいかが。




ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-05-04 23:07:28] [修正:2010-05-04 23:11:27] [このレビューのURL]

子供の頃に怖くて怖くて近寄りたくもないのだが、同時に得も言われぬ魅力を漂わせているモノがあった。

例えばコックリさん。例えばキモ試し。

夜道を一人で歩くのさえ嫌だったハズなのに友達同士で話題にすると気がおおきくなってしまい夕方集まったりして何か後悔したりする。
目をそらしたくなる気持ちと気になって仕方がない気持ちが同居している。

藤田先生の描く漫画にはそんな魅力が詰まっている。

ある時は妖怪、ある時はからくり人形・・・不気味で陰湿なイメージを常に漂わせているその妖しき世界を少年の勇気とまっすぐな心がぶった切る。

本作スプリンガルドもその藤田テイストに一片の曇りもない。
中世独特のいかがわしさはまさに独壇場。

無論、長編作品の激アツさには及ばないかもしれないがサクッと読める中にも充分満足感は味わえる。
ラストのオチも見事に決まっており手堅い一冊。

そう言えば最新作はおとぎ話、童話的な明るさ故に藤田マンガの魅力が出し切れてないのかもなぁ。



ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-04-29 02:08:27] [修正:2010-04-29 02:16:41] [このレビューのURL]

超大巨匠マンガ家、水島新司。
なんと1939年生まれ。現役最年長で週刊連載を持つ。

ぶっちゃけ漫画を描き続けられるトシじゃあないと思うんだけどなぁ。

でこれは(当然ながら)野球をテーマの短編集。
いやいや、連載持ってるのに掛け持ち執筆ですか。どんな71歳・・・

内容は野球一筋らしい先生の小ワザの効いた好編だ。
(通天閣高校とか上下とか)脇キャラ等に馴染みが出るのも楽しみのひとつ。

漫画界の岩田鉄五郎はどうやら倒れるまで漫画を描き続けるらしい。イカす。

野球狂に、最高の漫画バカに・・・乾杯!

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-04-27 01:44:20] [修正:2010-04-27 01:46:30] [このレビューのURL]

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