「オカシュー」さんのページ

総レビュー数: 252レビュー(全て表示) 最終投稿: 2009年07月18日

子供の頃に怖くて怖くて近寄りたくもないのだが、同時に得も言われぬ魅力を漂わせているモノがあった。

例えばコックリさん。例えばキモ試し。

夜道を一人で歩くのさえ嫌だったハズなのに友達同士で話題にすると気がおおきくなってしまい夕方集まったりして何か後悔したりする。
目をそらしたくなる気持ちと気になって仕方がない気持ちが同居している。

藤田先生の描く漫画にはそんな魅力が詰まっている。

ある時は妖怪、ある時はからくり人形・・・不気味で陰湿なイメージを常に漂わせているその妖しき世界を少年の勇気とまっすぐな心がぶった切る。

本作スプリンガルドもその藤田テイストに一片の曇りもない。
中世独特のいかがわしさはまさに独壇場。

無論、長編作品の激アツさには及ばないかもしれないがサクッと読める中にも充分満足感は味わえる。
ラストのオチも見事に決まっており手堅い一冊。

そう言えば最新作はおとぎ話、童話的な明るさ故に藤田マンガの魅力が出し切れてないのかもなぁ。



ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-04-29 02:08:27] [修正:2010-04-29 02:16:41] [このレビューのURL]

超大巨匠マンガ家、水島新司。
なんと1939年生まれ。現役最年長で週刊連載を持つ。

ぶっちゃけ漫画を描き続けられるトシじゃあないと思うんだけどなぁ。

でこれは(当然ながら)野球をテーマの短編集。
いやいや、連載持ってるのに掛け持ち執筆ですか。どんな71歳・・・

内容は野球一筋らしい先生の小ワザの効いた好編だ。
(通天閣高校とか上下とか)脇キャラ等に馴染みが出るのも楽しみのひとつ。

漫画界の岩田鉄五郎はどうやら倒れるまで漫画を描き続けるらしい。イカす。

野球狂に、最高の漫画バカに・・・乾杯!

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-04-27 01:44:20] [修正:2010-04-27 01:46:30] [このレビューのURL]

10点 君に届け

「君に届け」の恐怖

最近、妻が「君に届け」にドはまりしている。
なんか泣きながら何度も何度も読み返している。

先が分かっているのに泣かせるのがスゴい。

先日なぞ夜なかに私がトイレに起きたらリビングのコタツで単行本開いたまま寝ていた。
おいおい。
その魅力は睡魔にも抗おうとさせるか。

彼女の意見で10点としておくがこりゃあオイラもキチッと読んでレビューし直さなければ。

妻には何かがバッチリ届いているようだ。

恐るべし。

「君に届け」

ナイスレビュー: 3

[投稿:2010-04-26 01:34:18] [修正:2010-04-26 01:34:18] [このレビューのURL]

人の人生は運に大きく左右される。それを人は運命と呼ぶ。
出会いそのものも重要だが出会うタイミングさえも重要な時がある。

「あの時出会っていなければ・・・」などというセリフはドラマ等でしばしば耳にするものだ。
出会いの大切さは人どうしに限らずあらゆるモノにある。

そう。マンガでさえも。

名作と呼ばれ多くの人の目に触れるチャンスを得る作品たち、その陰でタイトルさえ知られずに生まれ消えていく膨大な数の作品群。
自信を持ってお薦めできる程の完成度なら声を大にして宣伝したい。
逆にハッキリ駄作と断言できるのであればレビューするのも馬鹿馬鹿しい。心おきなくスルーできる。

その中間が難しい。

一押しではないが光る部分がある。傑作とは呼べないがタイミングによっては誰かの大切な一冊になるやもしれぬ。
そんな想いを込めて今回はレビューしてみたい。

小林よしのり著「目の玉日記」。
本屋に通う回数の多いあなたでも出会う可能性は低いかもしれない。いや、現物が置いてあったとしてもまさに目に留まらないと言った方が正しいか。

一言で言うと作者の白内障闘病記だ。
普通の人が読むと「ふーん、そう」で終わりそうだ。ぢゅわっ。

私自身は読むタイミングも良く(最近、目の疲れを感じていた)好きな作家という事も有り興味深く楽しめた。人間の目は日々劣化しているという分かっているようで忘れている事を再認識することができた。

要するにパソコンは長時間するもんじゃねぇ、という事をだ。

現在大量に出版されているマンガ作品。それは読者層の細分化が進んでいる。
女の子に向けた作品、おたく向け作品といろんないろんなマンガがある訳で。

「診察待ちでなら夢中になれる眼科待合室向け」作品。

そんな作品もあっていいんじゃあないかな?




こんなレビューじゃ紹介しても誰も読まねぇ・・・




ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-04-21 00:56:01] [修正:2010-04-21 01:28:20] [このレビューのURL]

このサイトの方々とは(多分)真逆のマンガの読み方をする人がいる。
きっとそんな読み方に顔をしかめる紳士もいらっしゃるだろうと想像する。

「読み捨て」である。まさに文字通り。

週刊誌だけではない。単行本(コミックス)もである。
通勤途中や会社の昼休みに読み、終わればゴミ箱へドサッ!である。
(最近は中古ショップが盛況なので単行本は捨てずに売るのであろうか。それも同じような事であるが)

漫画イコール暇つぶし、という位置付け。
もちろんそれを非難するつもりは毛頭ない。

確かにマンガの読み方として昔から存在している。特に4コママンガ等、週刊雑誌も含めそういう側面を持っている。
特におじさん達にはそんなスタイルを持つ人も多くマイナー系成年週刊誌なんかがそんな読み方をされていると感じる。

一方、少年誌でも「読み捨て」系マンガを描く漢(おとこ)がいた。
その名を木多康昭。その根拠となるマンガスタイルは。

1年後には劣化するであろう刹那的芸能ネタ。常識人は単行本所有をためらうのではないかと思われる程のお下劣な下ネタ。
その作風、デビュー作から変わらず「読み捨て」少年マンガのフロンティア(?)だと私は思ってきた。

その木多先生がついに青年誌デビュー。それがこの「喧嘩商売」だ。

相変わらず楽しませていただいていたのだがスタイルは変わらずと思いきや数巻を経てその作風に変化が生じた。
格闘マンガの要素が本格的に導入。
しかもそのレベルは他の同系統格闘マンガを凌駕しているのだ!

格闘系マンガ好きには是非読んでもらいたいと願う。

極めたと言われる程の下品な下ネタ、パロディも「真夜中の男だけのY談」と割り切り受け止めてもらえるならば、その笑いのセンスの良さに気付いてもらえるハズだ。
扱うネタはお粗末でも料理の腕が高レベル。それに加えて「読み捨て」ともう言わせないのめり込める格闘シーンも加わった。

タレント、芸能人が「化(ば)けた」と言われる事がある。
突然売れ始め人気者になった場合だ。彼らの中で何かが変わったのだ。

そう、それはマンガ作品でもありうるのだ。
対金田戦は完璧。ラストまでもの凄い。

「喧嘩商売」は化けた。







ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-04-13 00:26:52] [修正:2010-04-13 19:48:45] [このレビューのURL]

マンガをもの凄い早さで読む人がいる。
私が一話(20ページ)くらい読んだ時すでに隣で1巻読み終えている人がいる。

そんな人にあだち充は絶対薦められない。

あんな、なんとか式速読術をマスターしたみたいな人があだち充を読んだら・・・スーパーチャージャー ツインカムターボ カスタムリミテッドになる!(意味不明)
つまり何も残らない、うわべだけすくったような読み方になる危険アリなのです。

ただじっくり読む派の私でもすぐ読めるマンガもある。
技の応酬であったりの引き延ばし的大ゴマバトルなどである。

でもあだち充はちょっと違う、と思っている。
会話の間を楽しんだり感情の機微を想い描きたしなむマンガなのである。
その辺を読みこなせる人は何度も楽しめたり味わい噛みしめる事ができる。

中島みゆきは作詞についてこう語った。
「詩を作るのは簡単です。本当に大変なのは(曲にのせる為)文字を間引く作業なんです。」

説明なセリフだらけのマンガは多い。
逆にセリフを極限までこそぎ落しコマとコマの間やキャラの表情や動きだけで場面を盛り上げる事の難しさ。
そのテクニックであだち先生以上の人を私は知らない。

青年誌掲載のあだち作品、この「じんべえ」ではその部分がさらに感じられる。

休日の午後、ゆっくりお茶でもしながら楽しんでみませんか。

間違っても会社や学校の昼休みや漫画喫茶の限られた時間に読んじゃあいけない。

速読術であだち充は、はかれない。





ナイスレビュー: 4

[投稿:2010-04-06 00:07:20] [修正:2010-04-06 00:21:13] [このレビューのURL]