「オカシュー」さんのページ

総レビュー数: 252レビュー(全て表示) 最終投稿: 2009年07月18日

マンガをもの凄い早さで読む人がいる。
私が一話(20ページ)くらい読んだ時すでに隣で1巻読み終えている人がいる。

そんな人にあだち充は絶対薦められない。

あんな、なんとか式速読術をマスターしたみたいな人があだち充を読んだら・・・スーパーチャージャー ツインカムターボ カスタムリミテッドになる!(意味不明)
つまり何も残らない、うわべだけすくったような読み方になる危険アリなのです。

ただじっくり読む派の私でもすぐ読めるマンガもある。
技の応酬であったりの引き延ばし的大ゴマバトルなどである。

でもあだち充はちょっと違う、と思っている。
会話の間を楽しんだり感情の機微を想い描きたしなむマンガなのである。
その辺を読みこなせる人は何度も楽しめたり味わい噛みしめる事ができる。

中島みゆきは作詞についてこう語った。
「詩を作るのは簡単です。本当に大変なのは(曲にのせる為)文字を間引く作業なんです。」

説明なセリフだらけのマンガは多い。
逆にセリフを極限までこそぎ落しコマとコマの間やキャラの表情や動きだけで場面を盛り上げる事の難しさ。
そのテクニックであだち先生以上の人を私は知らない。

青年誌掲載のあだち作品、この「じんべえ」ではその部分がさらに感じられる。

休日の午後、ゆっくりお茶でもしながら楽しんでみませんか。

間違っても会社や学校の昼休みや漫画喫茶の限られた時間に読んじゃあいけない。

速読術であだち充は、はかれない。





ナイスレビュー: 4

[投稿:2010-04-06 00:07:20] [修正:2010-04-06 00:21:13] [このレビューのURL]

もともと我が家に2冊ほど置いてあった。ある時それを読んだ息子は次の日から大騒ぎ。
「次(続刊)買って、次買って!」
やはり大ヒット漫画ともなるとただ者ではない。何年経っても通用するなにがしかの魅力があると言う事であろう。

私自身もそうなのだがレビューする時に形から入ってしまう。絵がどうたらストーリーがどうたらと。
しかし知識の無い故に白紙の状態で読書に挑む子供にこそ感じられるものがある。
区別のつきにくいキャラクターややりすぎな身体能力必殺技の奥に潜んでいる、煮えたぎるようなマンガパワーをである。

新人作家(当時)である高橋先生ががむしゃらに描いたそのマンガは日本サッカー界をけん引し世界の子供たちを楽しませている。
そして小学生くらいなら現在も充分楽しめる作品であると私の息子が証明してくれた。

子供だまし、という言葉がある。お子様向け、という言葉がある。
良い意味に使われる事がほとんど無いのが残念だ。

人によっては老若男女、すべての人に愛される作品が素晴らしいという。
無差別級の王者が1番強いと言われればその通りかもしれないが軽量級のチャンピオンだってフェザー級の王者だって称えられるべきものではないだろうか。
幼児向け、子供向けの作品ももっともっと評価されていいものだと私は思っている。

ところでキャプテン翼レビューのきっかけはあるテレビ番組であった。
雨が降ったの降らないのなどという名前の芸人が司会のトーク番組だ。その深夜番組は毎回テーマを決めてタレント達(ほぼ芸人)が語り合う。
テーマのジャンルは多彩でマンガ作品の場合も有りその回は「キャプテン翼」だったのだ。

結論から言うと良く出来た1時間だった。感心した。
出演者も芸人らしくおちゃらけながら作品の歴史や影響力を分かりやすく魅力的に語ってくれた。

その中で必殺技等をちゃかすコメントも度々あったのだが、超人マンガ肯定派の私でも楽しく視聴する事が出来た。
なぜならそこには「作品への愛情」が感じられたから。

その中に「何も知らない子供をうまく騙しているマンガ」のようなニュアンスはなかった。
少年時代を盛り上げてくれて夢中にさせてくれてありがとう!という熱い感謝の気持ちが伝わってくるのだ。愛情が。

さすがプロの作る番組であり取り上げる作品への敬意や配慮に感服した。
影響力とか関係なしにしても素人レビューじゃかなわない部分かな。

インターネットによりズブの素人の私ごときでさえ他人さまの作品にモノ申す事ができるようになった。
だが果たしてそれが良い事なのか悪い事なのか。

私のレビューに、そしてあなたのレビューに。

「愛」はあるか。






ナイスレビュー: 5

[投稿:2010-03-14 13:14:12] [修正:2010-03-14 22:46:31] [このレビューのURL]

岸辺露伴は動かない、は出色の出来。ウッヒョゥ、これだよゥ!コレ!!という荒木先生の短編集。
期待どうりの出来栄えである。

しかし大ファンの私であるが特にお薦めはしない。(えっ!?)

箱にまで入った、とにかくゴージャスな仕様はバリバリのコレクターズアイテムだからだ。
所持する事に満足できる人の為のモノ、という性格が強い。

また普通の単行本3冊分のお値段もファンの人以外には辛いと感じる。
これが学生時代だったら私も購入を断念していたかもしれない。(社会人で良かったぁ。にゅ?)

自分の本棚に並べて無邪気に喜べるかどうかがポイントの1冊だ。


ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-01-21 02:45:45] [修正:2010-01-21 03:04:04] [このレビューのURL]

幽霊になった実の兄。その兄にとりつかれた(?)弟。二人の織りなすどたばたコメディ。あだち作品。

大ヒット作品「タッチ」以降あだち先生の連載作品はいくつかのタイプに分類される。

タイプA、あだち的王道作品
早い話が、野球ラブコメ青春モノ。「タッチ」「H2」「クロスゲーム」など。あだち的王道にハズレ無し。アニメとかメディアミックスされまくる。まあ無敵。多くの読者も望んでいる期待どうりの漫画である。

タイプB、あだち的裏作品
先生が大いなる意欲を持って新ジャンルを開拓しようとした作品群。だが読者の持つあだち漫画へのイメージの違いや作風と内容との相性の問題により残念ながら一般受けはせず。賛否両論となる作品。
一応私もファンのはしくれなので作品名は控えさせていただくが、時代劇だったり超能力つかったりする作品である。

タイプC、あだち的準王道
基本はあだち王道のタイプAだが、野球以外のスポーツを題材にした作品。王道に比べて味わいを変えている部分も感じられる。シリアス部分を強くした「ラフ」や「スローステップ」「KATSU!」など。
ベースが得意分野なのでデキは総じて高い。

以上大きく3つのタイプに分けてみたが今回レビューの「QあんどA」見事に「タイプBあだち的裏作品」に分類される。わひっ。
始まったばかりだがこの作品が「タッチ」並みのヒット作品になるであろうなどとは、あだちびいきの私でさえも流石に言いにくい。
一般読者の方々には駄作扱いされそうで怖くも有る。
あだちは野球漫画描いときゃいいのにと言われるかも知れない。だが。

それは完全なる間違いだと言いたい。この作品は絶対必要なのだ。何故断言できるのか。

あだち先生は大御所と呼ばれて久しいが昔も今も挑戦者なのだ。
ベテランと新人が同じ土俵で評価されるマンガ家稼業の世界では守りに入ったら負けなのだ。作品は死んでいく。

新しいジャンルに取り組む姿勢。それを忘れない事。
これがあだち充が今も週間連載誌の第一線で活躍し続ける理由ではなかろうか。
しかも恐るべきは確実に人気を取り、読者を満足させる作品(クロスゲーム)を同時に発表しながら。

「QあんどA」が怪作として名をとどろかしたとしてもたいした問題ではない。
本当に恐ろしいのは作家がチャレンジ精神を無くす事なのだ。

そして私は待ち続ける。新しいタイプの作品が開花、大ヒットし「タイプD、あだち的次世代作品」という4つめの分類が出来上がる日を。
そしてその日は私の予想に反して意外にすぐ来るかもしれないのだ。

また亡くなられている元漫画家あだち勉氏。その実兄への想いがこの作品に大きく影響を与えているのが想像に難くない事を付記しておく。

さあ行け。QあんどAよ。











   


ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-01-11 21:20:39] [修正:2010-01-12 03:10:24] [このレビューのURL]

7点 バキ

第一シリーズ「グラップラー刃牙」でその才能と筋肉への愛を溢れるほどみせつけた板垣先生。
本作第二シリーズではパワーインフレなんぼのもんじゃい!とそのパフォーマンスとマッスルラブをさらに昇華させています。

しかし本作ではその内容に苦言を申す御仁が見受けられます。
なんやらよーわからんバトルのオチと整合性を欠いたストーリー展開が御不満の様子。

だけど本当にそうですか?自分を偽ってはいませんか。
本当のバキの楽しみ方、わかっているんじゃあありませんか?

ハッキリ申しましょう。バキは萌えマンガです。
キャラと筋肉に萌えればいいのです。
ストーリーとか内容なんてささいな事です。(おい・・・)

それは板垣絵の魅力。
少女キャラのかわいいしぐさに萌えるように知らず知らずの内に私たちは胸板や背筋やくるぶしなんかに萌えているのです。
そしてその集合体である戦う男達に萌えているのです。
そうジャックに、独歩に、花山に、烈海王に・・・・

技の応酬、駆け引きなどはキャラを引き立たせる為の飾りにしかすぎません。
いわんやバトルの結末につっこみを入れるのはバキにとって野暮と言うものなのです。

「バキ」それは究極の萌えマンガ。

今宵も最上級の筋肉と最高級のハッタリに酔いしれましょうよ。



ナイスレビュー: 2

[投稿:2009-12-18 21:23:10] [修正:2009-12-27 16:37:53] [このレビューのURL]

7点 みゆき

ある時期をさかいにあだち作品を全く読まなくなった事があった。
「みゆき」連載中あたりだったと思う。

何かきっかけがあったんだと思うのだけれど、それが何かずっと分からなかった。
しかし最近ある漫画のセリフをきっかけに、それが何か思い知らされた。

「お・・・俺だけの!俺だけのあだち充じゃなくなったーーーっ!!?」

どうも原因はコレだったよーだ。

ふっ、アオかったな、俺も・・・。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2009-11-30 23:45:42] [修正:2009-12-27 01:20:36] [このレビューのURL]

チャンピオン連載のギャンブル漫画。「カイジ」風味でかなり面白い。
ただ気を付けなければいけない事は「カイジ」的と言っても「こてこて」の
少年漫画である点だ。つまりかなりムチャな展開でゴリ押ししてくる。

多くのツッコミ所も有るのだが、その旨理解した上で読めばかなり楽しめる。

ギャンブル・トリック等は手品の種明かし的おもしろさ満載だ。
ちょっとエッチなシーンややられフラグ立ちまくりの敵キャラは、かなりツボに入った。
おじさんには懐かしい匂いが漂ってくる「古き良き時代の少年漫画」の良いトコ取りの作品と言えるか。

そうして読者の期待に応えるかのようにトーナメント戦は始まった。
トーナメント戦。バキが、ハンタが、数々の一流少年漫画が通ってきた戦いの宴。

少年漫画のビクトリー・ロード、トーナメント!
男達のリッツ・パーティー(?)、トーナメント!

繰り返して言うが大人目線のツッコミだけは控えて楽しんでもらいたい。

そこさえわきまえればドはまりする可能性を秘めた、かなり爽快な、「THE・少年漫画」だッ!!


ナイスレビュー: 1

[投稿:2009-11-30 23:13:09] [修正:2009-12-27 01:19:33] [このレビューのURL]

美人の彼女にイカレた知人達と恐怖体験、次々に繰り出される古谷節。
あだち作品にも通ずる、「お約束だけど面白い」そんな漫画。

そんな中で冴えない男に美女カップルを中心に据えて物語は展開していく。
ココは中々大事。
「何でこんな奴もてるんだ?」と思わせておいて、この主人公赤の他人の借金300万円肩代わりしたりする。

読者はみょーに納得してしまう。ああこんないい奴だったら美女とくっついてもオッケーかな。

赤の他人の借金引き受けるなんてゼッタイ出来ない。(俺だけ?)
でもだからこそ憧れる。
そんな仏さまみたいな人に一度はなってみたいと。

そんなこんなで夢がある。なんかうれしい気分になる。
「ありえねえだろ」と言われればそれまでだが手の届かないものだからこそ夢がある。

少年マンガ、少女マンガはファンタジーだから美男、美女でいいだろう。
でも青年マンガは美女と野獣が心地よい。

きっついエピソードも詰まっている漫画だが主人公富岡のキャラのおかげでかなり救われた気分になる。
弱さは同じでもシガテラより危険に立ち向かう主人公は際立っている。

「バファリン」と「わにとかげぎす」の半分はやさしさでできています。

私は好きだ、こーゆー漫画。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2009-12-09 02:36:17] [修正:2009-12-09 02:42:41] [このレビューのURL]

読んで良かった。
と言うのは「G線場」を読んだトキ私には合わないかなぁ、と感じてしまっていたからです。

「純文学」。そんな単語がイメージできる作家さんだなぁと思っていました。

大衆性よりも芸術性の強い作品、それ故に熱狂的なファンも獲得しているそう理解していました。
しかしこの作品はそうではありませんでした。エンターテイメントしています。

多くのキャラクターに感情移入出来ます。
絵もさらに読みやすくなっています。
タイトルさえシンプルに徹して好感が持てます。

この方向の進化は私的には大歓迎です。もしかしたら昔からのファンの方は望んでいない人もいるかな?
でも商業誌に掲載される以上もっともっと大衆性のある作品を描いていって欲しい、そしてそれでも日本橋節は作品の芯の部分で輝き続けると思っています。

続刊もこのレベルなら、これは名作の予感がします。

所持巻数 1巻


ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-10-12 21:06:37] [修正:2009-10-12 21:06:37] [このレビューのURL]

「おぼっちゃまくん」「ゴー宣」の小林先生のギャグ漫画です。
どうやら私はかなりの小林漫画ファンだったようです。整理していたら古い本棚からたくさん出てきました。

内容はブルース・リーをパロった主人公が活躍する学園ものです。
絵は相変わらずへたくそですが勢いで読ませます。

そのノリの正体は島本和彦と同じだと思いますが、惜しむらくは島本ほど洗練されていない画風です。(それが持ち味でもありますが)

先生はご自分の漫画の事を「他人の襟首つかんで無理やり読ませるような」漫画と書いています。
ナイスな表現だと思います。

そこが魅力だと思いますから。

所持巻数 全巻

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-09-09 22:08:47] [修正:2009-09-09 22:08:47] [このレビューのURL]