「オカシュー」さんのページ

バキの魅力は何なのか。板垣マンガの面白さは何処にあるのか。
「範馬刃牙」で極まってきた板垣節の魅力を綴りたい。

皆さんのレビュー評価を見てみる。すると1作目グラップラー、2作目バキ、3作目範馬と新作になる毎に評価は下がっている。
この評価の下がり具合のポイントは、ちぐはぐなストーリー展開バトル展開にあるように思う。

この部分こそがバキ漫画面白さの分かれ道である。
バキの面白さとは大衆的である。もっと言えば低俗的魅力。色々筋道を追っていくと色褪せる。
何も考えず頭をからっぽにして場面場面を楽しむ作品としてならかなりのデキではなかろうか。
これは例えば「ハンタ」富樫作品のような完璧に組み立てられた心理戦バトルを楽しませるような漫画と対極に位置するものである。

板垣「バキ」は久保「ブリーチ」や武論尊作品のような「ライブ感」を追及する作品なのだ。
先の事は考えない。それどころか今までの流れすらも。彼らにとって大事なことはその週の20ページを最高に面白くする事。
その結果全体でみるとヒズミが出来る事もお構いなしなのだ。

週間連載の作家がそのストーリーを全て作り上げてから連載している事はほとんど無かろう。
また大人の事情により作品が新たなステージへ流れ込むのも良くあることだ。
こういう漫画製作手法は昔から漫画家が使っている、いや使わざるを得ない王道的手法でもある。

しかしさすがに多くの人はバランスも考える。単行本で読んだ時に突っ込まれまくられぬようある程度矛盾点は無くしておくようなストーリーへと進めるよう工夫をする。

でもそんな小細工はしない。おかしげな部分を堂々と残しても面白さを底上げしたいと考える作家がいる。
それが板垣先生だ。そりゃそうだ。しょっぱなから主人公をカマキリと戦わせる先生がその程度の事気にする訳がない。器が違うのだ。

形に残る単行本、それで読むと出る矛盾、そんなのどうでもいいわい!
今の漫画界の利益は単行本にかかっている、そんなのどうでもいいわい!・・・こんな感じであろうか。
板垣先生は毎週20ページの事だけ考え、そこに重きを置いて描いているのだろう。

「範馬刃牙」をショートストーリーの集合体として考えるなら数え切れぬほど傑作が挙げられる。例えば不評がきかれるピクル編だけ取ってみても・・・
少年誌掟破りの衝劇的登場シーン、80話。
トラ目線の良作エピソード、91話。
オーガパフォーマンス全開の86話。
ジャック会心エピソード、149、150話。等々、どれもつながりを気にしなければとても良い。

板垣先生の描きかたはまさにジャックハンマーの生き方にかぶる。
「明日に期待せず、刹那に徹した生き様」!
そんな先生にとって単行本は20ページを集めただけのもので、熱々だったご飯も既に冷めてしまっているのだ。

結論!

「範馬刃牙」は週間連載で読むべき!大画面を最新号で読めば熱々炊きたてご飯の味が分かるのだ。
全体を通して読むと矛盾もある。これはストーリー完全至上主義者の人からみると評価の低い漫画かもしれない。
だが次週へのヒキが弱く、週間単位での面白さを最優先しない漫画は雑誌読者を軽んじている、とも言えるのだ。自分の単行本での完成度の為に・・・

「範馬刃牙」は週間少年チャンピオンを売り上げる事を考えている漫画作品と言えるのではないか。
単行本はコレクションとして集めておけばいーのである。

板垣恵介こそは週間少年チャンピオンの「看板作家」なのだから!

以上ッ!おしまいッ!!




































ナイスレビュー: 3

[投稿:2009-12-21 00:50:58] [修正:2009-12-27 01:11:33]