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6.62点(レビュー数:43人)

作者水上悟志

巻数10巻 (完結)

連載誌ヤングキングアワーズ:2005年~ / 少年画報社

更新時刻 2011-07-21 13:22:59

あらすじ ある朝起きたら言葉を喋るトカゲがいた……。
平凡な大学生だった夕日の前に現れたトカゲの名はノイ。彼は地球を滅ぼす魔法使いから姫を守るために馳せ参じた騎士という。拒否する間もなくノイから指輪と能力が与えられた夕日に襲いかかる敵。逃げまどう夕日を救ったのは隣りに住む少女・さみだれだった。野望を隠し持つ姫さみだれにトカゲの騎士ノイ。そして心に傷を持った歪んだ騎士・夕日。野望にバトルに恋愛?に。地球を巡る小さいようででっかい物語が始まる。

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惑星のさみだれのレビュー

点数別:
21件~ 25件を表示/全43 件

8点 ジブリ好き!さん

どことなくH×Hの雰囲気を感じるなぁと思えば、げこ先生自身ファンのようで。なるほど、やっぱりげこ先生は少年漫画が大好きで、とても好きで、でもそれ故に少年漫画の欠点も熟知しているのだろうな。
少年漫画とともに成長してきたのに、大人になると「あれ、少年漫画が楽しめない…?」。そんな漫画好き大人たちがたくさんいることを、知っているのだと思う。
そんな彼らのためにも、そして自分自身の想いのためにも、青年漫画という土俵で「大人のための少年漫画」を描いてくれたげこ先生。
「ご都合主義」「バトルばかりで普段の生活が描かれない」「無駄に長期化」「ラスボス倒したヒーロー達のその後は?」、こうした少年漫画の欠点を誰よりも嘆いてきたのは他ならぬ水上悟志自身なんだろう。
「大人になれば楽しいことがある」
この作品のテーマの一つに、太陽(きっと夕日や三日月も含む)のような子供が大人へなっていくことがあるけど、水上先生はこの作品をもって僕ら少年漫画を読んで成長してきた大人へ楽しみを与えてくれたわけで。

読んでると本当に何か熱いものが込み上げてくるでしょう(6巻なんか特に)。
自分にとっての最大の魅力は、騎士たちは一見どこにでもいそうな人たちなのに実は皆頭のネジがぶっ飛んだ部分を持ってるところ!…それも次第に落ち着いていっちゃったけれど。成長悲しス。
でもゆーくんとさみの関係は、最後まで変だったけど美しかったよ!

…え?この漫画、厨二臭いって?
そりゃ誉め言葉でしょう。
少年時代の感性はもう取り戻せないかもしれないけれど、思い出すことはできる。だから大人は楽しいんだ!ラストの子供みたいに殴り合う夕日と三日月の楽しそうな顔とそれを眺める太陽の大人への想いで、気付かせてもらったことです。


(余談。アワーズ本誌のドラマCD等の応募者サービスが意外と良くて、特に完結記念小冊子は他の漫画家からのイラストや茜のエピソードなど楽しめました。割高だったけど。)

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-01-12 02:34:19] [修正:2011-01-09 12:46:00] [このレビューのURL]

9点 ITSUKIさん

凄い面白い!ここまで読んでテンションあがった作品も久しぶりでした。
読んでいて期待するところをうまく描いてくれてます。
何度か見かけたレビューですが、週刊少年誌でやってる少年漫画に飽きてそこから離れた読者が「少年漫画っていうのはこれだよこれ!」と良いたくなるような、そんな作品です。

週刊少年誌の作品と比べて大きく違うのはテンポが非常に早い所。全10巻という長さは人気作品の引き延ばしにうんざりした方達にピッタリです。
全10巻ですがその倍のボリュームは感じられます。
テンポが早いのに日常描写とバトルとをうまく両立させられているのは、騎士達が全員登場してからは、夕日・さみだれ達は騎士達との日常を送っているからだと思います。
(逆に、騎士達が登場してからその他の登場人物はほとんど出てきません)
世界の危機の話の割に舞台は非常に狭いんです。
騎士達との日常交流を描いてく事でその関係がバトルの方にも影響するし、日常と非日常の両方が描写できる。
このバランスの良さは凄い。

絵柄も個人的に好み。「こういう絵でこういうバトルが描ける人がいたんだ!」って感じです。

※完結に伴い若干の修正をしました。
これまた見事に完結してくれて最高でした。
最終巻は作者が少年漫画の最後にのやりたかった事を詰め込んだ、という内容。
そして伏線の巧さに改めて気付きました。近い内(年末年始・・?)に読み返したいなぁと思ってます。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2010-02-28 23:26:18] [修正:2010-12-09 23:56:57] [このレビューのURL]

4点 gundam22vさん

伏線回収は上手いですが、厨二やセカイ系
色が強すぎだと思います。
「大人」へのコンプレックスが酷いです。
キャラも設定が地に足をついた感じでもないですし。
ここでの評価は高すぎだと思います。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-12-06 07:06:53] [修正:2010-12-06 07:06:53] [このレビューのURL]

10点 canさん

最終巻発売記念で追記です。
ついでに加点までしちゃったりします。以前のレビューは下の方に残していますが、気が向いたらまとめて編集するかもしれません。

自分の原点が「少年漫画」にあるのだと思い出させてくれた作品。年を取るにつれて読書傾向が青年誌に傾いてきてたけど、ああ、俺はやっぱり、魂が震えるような少年漫画が大好きなんだ。
強大な敵とのバトルが好きだ。困難を打ち砕くヒーローが好きだ。成長していく主人公たちが大好きだ。

これほどの密度、面白さの作品を、わずか十巻で完結させたことに最大限の賛辞を贈りたいです。
青年誌に掲載されながら、どこまでも少年漫画の王道を突き進んだ本作。そしてそれは、現在の「少年誌」では絶対に成立し得なかったこともたぶん事実。
これからはこういう作品が少年漫画のスタンダートになってくれたらいいなぁとか、そんな勝手な願望を抱いてみたり。(50巻とか60巻とか、追うのもけっこう大変なんだぜ・・・いや、それでも買うんだけどさ)

最後に、本作をリアルタイムで読めた幸運にこれ以上ない感謝を。
騎士団のみんな、指輪の従者たち、アニムスも、アニマも、みんなみんな大好きだったぜ! ついでに氷雨先生結婚してくれ。
それじゃそろそろ、本の外に出ようかね・・・


<以前のレビュー>
以前とある記事で「少年漫画ならば展開が早い方が絶対に面白い」みたいなことを読んだ記憶があります。確かデスノートの原作者、大場つぐみ先生のインタビューでした。

しかし現実問題漫画は作品であると同時に商売なので、人気がある以上編集部としては続けてほしい、ストーリー的にはキリがよくても終わらせたくない、結果作者が望んでいないのに続けざるを得ない、という事態が発生してしまうわけです。
この傾向は発行部数の多い少年週刊誌(ぶっちゃけジャンプ)に多く見られ、「質の高い完結作品」を求める読者にとっては頭の痛い問題となっています。だから皆さん口を揃えて「ジャンプ漫画の引き延ばし」とか「ジャンプの悪い例」とか言うわけですね。(しかしジャンプが日本一の少年漫画誌たる理由はそこにあるかもしれないので、何とも解決の糸口が見えない問題です……書いててちょっと混乱してきたので、このへんで終了)

さて、前置きが長かったですが、この『惑星のさみだれ』は、そういった少年漫画界のしがらみを排除した、先ほどの大場つぐみ先生の言葉をそのまま体現したような作品、まさに「大人のための少年漫画」です。
テンポのよい話運び、くすりと笑える日常描写、丁寧に張られた伏線、作品の随所に散りばめられた、知的好奇心をくすぐる遊び心、否応なしに燃える展開、そして感動――。
少年漫画のいいところが、ぎゅぎゅっと一冊に詰め込まれています。既刊は現在8巻ですが、その倍以上の密度を感じます。
少年漫画は大好きだが、後半ぐだぐだになっていくのが耐えられない。ありきたりなバトルものにはもう飽きたという人には、ぜひオススメの一冊です。
騙されたと思って手にとってみてください。そして読んでみて騙されたと思っても、少なくとも4巻までは読み続けてください。この作品は巻を追うごとに面白くなっていきます。マジです。特に6巻は傑出の出来で、点数をつけるなら間違いなく10点です。

個人的に今一番続きが楽しみな作品なので、暑苦しいくらいに猛プッシュしてしまいました。すみません……
最後に、最近の昴は可愛すぎるぜ……!

ナイスレビュー: 3

[投稿:2009-02-08 20:39:56] [修正:2010-12-02 17:14:48] [このレビューのURL]

9点 鋼鉄くらげさん

夢を持っている少年達にではなく、夢を持っていた「かつての少年達」に贈られた物語。

人って、少年・少女から「大人」へと変化する過程の中で、突然この世の全てが憎くなり絶望し、最終的にはこんな世界なんか滅んでしまえばいい、なんていう考えになってしまう時期があると思うんです。それはつまり、自己以外の全てに対する存在意義の否定です。しかしそれは逆に言えば、それほど強大な意志を持った、他者に対しての自己肯定の願望意識の現れであるとも言えると思うんです。つまり、「私を認めて欲しい」という意識です。

この物語は、そんな絶望と願望から生まれた作品のように思えます。

ある日突然、子供達は気付いてしまうんです。
世界は限りあるもので、宝島や夢の王国なんていうものは存在しない。
社会は欺瞞に満ちていて、正義のヒーローや神様なんていうものも存在しない。
あるのはただただ「現実」のみで、そこには空虚で冷たい世界しか存在していない。
そんな、社会に絶望してしまった「かつての少年達」に贈られた、「残された希望」とは何かを問い掛けた物語。それが、この「惑星のさみだれ」という作品だったのではないかと思います。

最後に、この作品を一度全て読み終えた人には、もう一度最初から読むことをオススメします。もう一度読み直すと、作者が終盤に向けて序盤に仕掛けた伏線の数々が、意味を持ってもう一度姿を現してくると思います。

「こんな世界なんか、滅んでしまえばいい」

そう思っている人達に、ぜひ一度読んでみて欲しい作品です。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2009-04-02 19:48:44] [修正:2010-12-02 12:03:43] [このレビューのURL]

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