「ガクちゃん」さんのページ
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- 自分の漫画暦を一度まとめてみるのは興味があります。 このサイトのレビュワーの中ではかなり年くっている方だと思うので、世代を超えて語り継ぐ漫画を紹介していきたいですね。 続きを表示>>

7点 銀河鉄道999
これはおとぎ話である。男の夢である。絶世の美女とプラトニックラブしながら宇宙を旅するのだ。こんなあからさまでうらやましい話があるのだろうか。
著者の代表作の一つだが、世界観はSFというより「男おいどん」に限りなく近い。
私は写植の仕事をしている時代があってその頃、復刻版だか、デラックス版の活字をおこす際に原画に触れた事がある。
ベタが多くてその闇が美しかった。古い原稿になんだか虫がいるようで、原稿に触れて仕事をしているみんながポリポリと手首を掻いている光景を思い出す。そんなところまで男おいどんみたいだなと思ったものだ。
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[投稿:2009-02-14 23:01:05] [修正:2009-02-14 23:01:05] [このレビューのURL]
7点 ゲゲゲの鬼太郎
コステロガーデンさんと同じく自分も小遣いで初めて買った本がこれだった。サンコミックス版で。
独特の雰囲気、世界観が確立されていて、雑誌の見開きかなんかで見た妖怪の村にあこがれを覚えた幼児体験が強烈で、今でも大好きな漫画である。
背景をつげ義春が描いていたことなどずっと後になってから知った。
自分としては「幽霊列車」がベスト。
「ほねつぼー、ほねつぼー」のコマが強烈で、模写をしたことがあるほど。
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[投稿:2009-02-08 22:00:00] [修正:2009-02-08 22:00:00] [このレビューのURL]
8点 夏子の酒
酒が好きである。しかしその世界の奥深さには無知な酒のみである。
本作を読んでますます酒が好きになったが、安酒でなく吟醸を味わってみたいと思うようになった。
吟醸とは何々とかうんちくを語るだけでは興味は惹かれない。
酒造りに賭けた人々の思い、有機農業に賭けた人々の思いなど、魅力的な導入があってこそだ。
作者はよくもまあ、このような地味な素材で長編を書きあげたと驚く。
人によってはこの内容であれば、漫画でなくてもいいのではという意見が必ずあると思う。
夏子にとって超えるべき酒を造るライバルなど普通の青年である。ある意味この辺、妙にリアルである。
漫画だからといって強烈なキャラがライバルである必要はない。
蔵元を描いているだけあって、礼儀がとても大切なものとして扱われている。夏子の義姉が里帰りする際、酒販店が月の露を飲んで、杜氏のじっちゃんを迎えにきたおばあちゃんが社長に対して、みながみな、深々と頭を下げる。
こういった小津安二郎的な味付けが、作品の世界観を表現すると同時に、背骨を強固にしている。。
音楽マンガの音楽、料理マンガの料理にあたるのが、本作では酒である。
絵では伝えにくい魅力に作者と読み手のイマジネーションが、色を付け、味を深くし、香りを立ち上らせる。
人の思いの強さが人間の弱さを超えていく。素直に感動できる。
ナイスレビュー: 2 票
[投稿:2009-02-08 21:36:03] [修正:2009-02-08 21:36:03] [このレビューのURL]
8点 包丁人味平
料理漫画の古典。
ガキの頃、出てくる料理を見ては唾を飲み込んでいた。
その後(と言ってもかなり後)乱立した料理漫画を読んで、ものたりなかったのは、この食欲を直撃する熱さではなかったか。
現ジャンプの画一化してしまった"バトル"とは違い、血沸き肉踊る包丁勝負にくわえ、当時の少年誌でデパート商戦まで取り上げたのは、非常に先鋭的だった。
包丁貴族団英彦との戦いと、カレー編が面白いのは、味平が目指した大衆料理のコックへの道に沿った流れであり必然。
荒磯勝負は派手だが、今だにゆでた魚と焼いた魚が同一と主張する味平の論理に不条理を感じるし、ラーメン勝負も安易に過ぎた。
しかし、本作には、後年の作者が失ってしまったものがすべて詰め込まれている。すなわち、若さと汗が生み出すど迫力。
味平の単純で太いキャラクターには非常に魅力があり、かつてのよき少年漫画主人公の典型である。
「ガーン」の擬音はいまやギャグ漫画でさえ見られないが、真っ向から使っており、それがど真ん中のストレートのようで心地よい。
ジャンプコミックスに載っていた味平ライスのつくり方を文庫版にも収録してほしかった。
しかしジャンプコミックス版の表紙に使われていた味平ライスには目玉焼きがのっていていかにもうまそうだったが、本編にはのっておらず、なぜだろうと今でも不思議である。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2009-01-31 20:59:54] [修正:2009-01-31 20:59:54] [このレビューのURL]
10点 風の谷のナウシカ
アニメージュ連載時に読んでいた時はどうにものめり込めなかった。
当時から大の宮崎ファンだったのだけど、ストーリーぶつ切りでナウシカのキャラクターが自分にとっては魅力がなかった。
とは言え、まとめて読むと、一コマ一コマの絵画的な美しさと、映画的な叙情性に感嘆し、ラストのハイテンション、世界観の奥深さにわけが分からず魂が震わされる。
???という疑問から再読すると、1994年に長かった連載がようやく終わったこの物語の先見性に驚く。
「私達は血を吐きつつくり返しくり返しその朝をこえてとぶ鳥だ!!」
と言ったナウシカの言葉は、当時著者が真正面からこの難問ともいうべき課題を前にのたうちながら出したメッセージなのだろう。
地球温暖化や環境破戒が日常的に語られる現代にこそ光放つ珠玉の名作。
作者には既成漫画の影響皆無であり、異色な肌触りであること。とっつきにくさと難解さででかなりの人がそこから読み手として脱落するのが予想される。
何度読んでも読みずらさを感じるが、それは作品の濃度の問題であり、評価をさげるものではない。
他の漫画と完璧に一線を画しており、作品そのものが採点など拒否している。
漫画の一つの到達点にして、ある意味王道。
ナイスレビュー: 3 票
[投稿:2009-01-23 20:57:15] [修正:2009-01-26 23:24:19] [このレビューのURL]
10点 がんばれ元気
今でもラスト以降の「沼田元気編」を想像してしまう。
小山さん、番外編として描いてくれないかなあと、連載終了時より妄想している。
元世界チャンピオンの高校生で、お金持ちのおぼっちゃん。
限りなく優しくてさわやかで。
そして初恋の人、芦川先生が再び・・・。
本編は主人公の必殺アッパーストレートに象徴されるように一直線に駆け上がっていくストーリーが熱い。
多感な時期に読んで泣いた。
今読めば粗が目立つが、太いプロットを最後まで貫き、すがすがしいラストは自分が読んだ漫画でも屈指。
自分が上京する時に本作の主人公に重なるなど、振り返れば深い部分で影響受けているなと思うことがたびたびある。
感情移入という切り口からいうと自分の中ではベスト。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2009-01-24 15:25:11] [修正:2009-01-24 15:25:11] [このレビューのURL]
8点 キャプテン
私は少年野球を始めた息子に、マインドコントロールとメンタルトレーニングを兼ねてこの本を与えました。
結局数年後、彼は谷口君にはならず、近藤のようになってしまいましたが。
本作の魅力を言葉であげ連ねるより、次の事例を。
この本は中古で全巻揃・美品などで売られているのを見たことがない。(ジャンプコミックス版で)
たいてい、ラーメン屋の雑誌のようなくたびれ本と相場は決まっている。
擦り切れてぼろぼろになった本が多いのは何度も読み返されたからであり、友達通しで回し読みされたからであり、我先にと奪い合いされたからである。自分の経験も含めてね。
少ない線の持つ力をもう一度見直すべき。
名作の名作たる所以である。
ナイスレビュー: 1 票
[投稿:2009-01-24 11:13:45] [修正:2009-01-24 11:13:45] [このレビューのURL]