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総レビュー数: 27レビュー(全て表示) 最終投稿: 2009年03月24日

9点 7SEEDS

ストーリーの概要は、「未知の世界に放り出された8×5人のサバイバルストーリー」といったところ。

SF分も結構多く、科学考証等については、真偽のほどはわからないが、
本当っぽく思わせる描き方で、未知の生物なども違和感がない。
とはいえ、サバイバルのハナシではあるが、
基本は人間どうしのドラマであり、見るべき点はそちらだろう。

見せ方も上手い。
現実にサバイバルな状況に立たされたら、もっと取り乱したり争い合う人間ばかりなのかもしれないが、
そこはそれ、適度にドラマとしてのバランスを取っていると思う。
少女マンガなせいか非常に過酷な状況下でも恋愛を忘れていないのはまあ仕方がないのか。
別に登場人物全員が恋愛第一とかそういうわけでもないし、逆に言えば娯楽的なものもないから、
そういう意味でつながりを求めるのは自然ともいえるのかもしれない。

個人的に面白いと思うのが、各人の心理描写。
誰がどういう考えでどういう行動をするかが非常に濃密に描かれており、
それが時には良い方向へ、時には悪い方向へ互いの心に影響しあう。
そういうキャラの一挙手一投足に、見ている方もいろいろ考えさせられてしまう。
最初はモブキャラかと思っていた登場人物も、展開が進めばしっかりスポットライトがあたるのも良い。

絵は特徴的で、とっつきにくいかもしれない。
(自分は話にのめりこみすぎたせいか、特に変だとは思わないが。)
また、背景などは雑なところも多々ある。下手なのではなく、雑。
虫が襲ってくるシーンなどは逆にこの雑さがグロテスク度を緩和している。


毎話毎話が、非常に続きが気になる。
というか、どういうシナリオの終着点にするつもりなのか予測がつかない。
同作者の「BASARA」のように、最終目標があるわけでもなく
(あるとすれば恋人との再会か?しかしそれすら中間点に過ぎないような…)、
何をもってクライマックスとするのか、わからない。
結果的に悪事を行うキャラクターもいるが、その人物を“敵”として描いている風でもない。
最終的に「壁」になりそうなのは、ドクロマークの彼だが、果たして。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2009-03-24 17:14:19] [修正:2010-12-13 11:32:02] [このレビューのURL]

8点 B’TX

概要を簡単に言うなら、「機械の獣に乗って戦う、聖闘士星矢」。

車田正美の作品だけあって、この作品も
美形の敵味方がかっこいいセリフを吐いて1対1で戦うという内容である。
そして、敵のボスに近づくために美形の中ボスを撃破していくという点もやはり星矢と同じ。

ただ、単に敵が出てきてやっつけてハイおしまい、というだけではなく、
シナリオは星矢以上に練られていて、それが奇跡的にもまとまっているのではないだろうか。
そう思えるのは、主要キャラの各人の生まれ育った背景を
きっちり描いていることに成功の要因があると思う。

また、バトルについても、「どちらのコスモが大きい小さい」
というような単純なものではなくなかなか工夫してある。
特に中盤以降の数学バトル、哲学の問いを投げかける敵とのバトルは面白かった。

未完で終わらず、キッチリとまとめ上げているところや、肉体的には強くも無い主人公の兄が
単なる囚われのヒロインに終わらないところ(クライマックスでの最終ボスとのやりとりは逸脱である)、
非美形のキャラクターにもしっかりとした見せ場があるところも良い。

また、キザったらしいセリフを美形キャラが吐くというのは、
ある意味様式美でもあり、陳腐でもあるが、
愛だの友情だのを臆面なく叫ぶことができるというのは強みでも有るように思える。
この作品では、キャラが斜に構えるのではなく、堂々と叫んでいるところが素晴らしい。


某バンドのボーカルそっくりの敵キャラが出てくるのはまあご愛敬。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-03-24 19:37:48] [修正:2010-12-13 11:35:12] [このレビューのURL]

ねずみと人間が戦うファンタジー世界で
半人半猫にされた猫と、猫の飼い主の父親(勇者)が冒険するファンタジー漫画。

堅物の勇者パイ・ヤンが猫に対して素朴な疑問や驚きを見せる描写が面白おかしくて見どころ
らしいのだが、個人的には自分も猫をよく知らないので、そこは「らしい」としか言えない。
というか、肉球の構造とか、箱に入りたいとか、パイ・ヤンの驚きの方に共感してしまう。
こんなこと考えるのは自分だけなのだろうか。
まあ、よく観察してるなーとは思う。

RPGのように、敵のねずみを倒したり封じたりして次へ進むストーリーではある。
なんだか少年漫画のようだ。
しかし、やはり田村由美先生の漫画の面白いところは、
キャラどうしが互いに影響しあって
成長したり、自分の考えを変えていくところにあると思う。
心がすれ違ってしまったパイ・ヤンと妻のジョゼが少しずつ融和していく過程や
とらじとの交流を通じて、だんだんととらじを大切に思うようになっていく
パイ・ヤンの心の変化が読んでいて心地よい。

完全にファンタジー漫画で科学考証とかは無意味。
不思議なことは魔法の一言で済ませられるので、
ある意味、科学考証とかで粗になる部分が無いので、
それは良いといえるかもしれない。

それにしても、パイ・ヤンは作中で結構貶されているけど、
どにゃるのは確かにどうかと思うけれど、
個人的にはむしろパイ・ヤンの生真面目さに好感を持つのだが、いかがなものか。


ちなみにこの漫画、PCで描いてる部分もあるらしいけど
田村先生の作画は緻密な感じではないので、あまりうまく作用してないようにも思える。

あとは刊行ペースが超スローペースなのがちょっともどかしい。
とはいえ、お勧めです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2012-02-22 20:48:44] [修正:2012-02-22 20:52:40] [このレビューのURL]

守護霊のような精神力が具現化した「スタンド」という特殊能力を駆使して戦う漫画。
現在連載中のジョジョリオンまであわせると、8部作になっており、
主人公は各部で異なるが、世界設定が続いていたり、つながりがあったりする。

独特のスタイリッシュなファッション、ポーズ、絵柄が特徴的で
慣れていない人には読みにくいかもしれないが、
それらの個性的な特徴のおかげでディープなファンを数多く獲得している。

単純なバトル漫画ではないのだが、少年漫画だけあってやはりバトルがメイン。
そして、思いもよらない発想で戦局が大きく変わるのがこの作品の魅力であると思う。
・・・が、なまじ面白い分、長年読んできた読者の要求する度合いが高くなってきたのか、だんだん新鮮味にかけてくる。
「ギリギリのところで思いもよらない方法を用いて大逆転」という展開において、
逆転の策がわかりにくくなってきている(特に6部)。
それと、複雑すぎて何やってるのかわからないページも割とあると思う。

長く連載しているせいか、設定に矛盾や破綻もある(鏡の世界があったりなかったりとか)。
そういうちょっとした突っ込みどころに対しては、
ネット上などで、ファンが「ここはこういうことだから」と逆に考察して一定の結論を付けたりしている。
それはそれで一つの楽しみ方なのだろう。
個人的にはちょっと過大評価かな、とも思うが、
読者の多さと作品の面白さを裏付けているともいえる。


ストーリーの合間にさりげなく入れられる、作者が常々思っているであろうこと
(人間の肉はまずい、最初にキノコを食べた者を尊敬する 等)の話は興味深い。

どうでもいいが、バトルばかりやっているせいか、
この漫画の主題が人間賛歌と言われると、個人的にはどうもしっくりこない。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-03-26 22:27:38] [修正:2011-09-16 21:26:50] [このレビューのURL]

7点 トリコ

未知の食材を求めて、獣や競合する敵と戦いつつ、
上手い料理を追求する、という食材ハンティングバトル漫画。

嘘とホントとハッタリが入り混じったトンデモ科学理論や
レベルのインフレ、正面からの豪快な肉弾戦、読者から募集した動物など、
古き良きジャンプ漫画の良さを引き出した漫画だと思う。


個人的に評価したいのが、
身体能力的には一般人の小松が驚き役に終わらず、
ちゃんと活躍して、ココやトリコといったレギュラーに認められている点、
トリコが食材を食べるとき、手を合わせて感謝を忘れず、骨の髄まで食べつくす点、
行き当たりばったりの感が否めなかった「たけし」に比べ、プロットがちゃんと組み立ててある点、
バトルの後に、ちゃんと食事シーンも入れて、バトル一辺倒で終わらない点、
食事シーンは皆で笑顔で食べる点、などである。

ちょっと幼稚ともいえるオリジナル食材も、子供には受けがいいだろうし、
むしろ少年漫画としてアリだと思う。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-07-10 20:59:34] [修正:2010-12-13 11:42:18] [このレビューのURL]

この作品で面白いと思ったのは、作者が言いたいであろう主張をキャラクターに言わせているその内容である。

ともすれば、いわゆる厨二病ともいえそうな内容かもしれないが、個人的には「なるほどな、面白い」と思われるものが結構ある。

また、魂の理論(?)というか世界観も凝っているなあと思う。

なんというか、単に娯楽作品ではなく、何らかのテーマを立てて物語を作っているというスタンスを感じ取ることができるので、そこはとても好きだ。

ただ、残酷な方へ、不条理な方へとストーリーが流れていく傾向があり、
それが後の展開との関係で、読者にとって腑に落ちる内容かというとそうとは言えない場面が多い。
全く無意味な描写ともいえないが、そこさえ加減すればもっと多くの人に受け入れられる漫画になるのではないかと思う。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-07-10 20:06:27] [修正:2009-07-10 20:06:27] [このレビューのURL]

アニメ化で話題になっているので漫画版も読んでみた。

アニメの可愛らしい絵柄に比べ、デザインがややあか抜けない。
そこで大分損をしているなと思ったが、ストーリー・構成はそれを補って余りある良さがある。
思わずニヤリとするような比喩やギャグ、穏やかで淡い恋愛描写、
決して下品にならずに、大正のお嬢様という雰囲気を崩していないのも素晴らしい。

アニメから入った人は、漫画のキャラデザの古臭さに敬遠してしまいがちと思われるが一度読んでもらいたい。
アニメのぽわわんとした雰囲気とはまた違った(アニメはアニメで良いが)
少女たちのしっかりした雰囲気が描けていると思う。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2009-07-10 19:51:22] [修正:2009-07-10 19:51:22] [このレビューのURL]

すべての動物と会話できる能力を持つ主人公タロウザが、動物たちと意思疎通をし、
仲間を作り、団結し、弱肉強食という動物世界のルールに立ち向かうというストーリー。

「自然の摂理を変えようとするのに無理がある」「登場人物が泣けば感動できるわけじゃない」
「前作のガッシュの方が面白かった」などの否定的な意見をネット上でしばしば見かける。
確かに現実的な舞台設定で本作品のようなストーリー展開にすれば、
人間の価値観の押しつけが鼻についてしまう、という意見は理解できる。

ただ、この漫画の舞台設定は本物の現実の動物とは少し違う、
『人間のような感情を持った動物』のいる世界の話であり、
そこのところを視点を変えて読んだ方が楽しく読めるのではないだろうか。
各動物が服を着ていたり、装飾品をまとっていたりするのも、
そういう世界設定を強調する良いポイントになっていると思うのだが。

また、最近のエピソードでは、世界設定がだんだん明らかにされてきて、
(ここからネタバレ)
その中でも、脳に刺激が与えられることで、
動物も新しい価値観や概念を覚えていけるという設定が明らかにされたことで
この作品の動物たちは、現実の動物とは一線を画しているのだと
(あるいは、現在より未来の世界なので、動物も進化した(?)のだと)、
より違和感なく読めるようになったと思う。

そして、単なる動物ではない、人間と同じ感情のある動物たちが、
タロウザとともに成長し、新しい価値観を持ち、
文化を発展させていくという、成長を感じられるエピソードが随所に織り込まれており、
それがとても心地よい。
すべての動物が仲良くすることとは、
言うなれば漫画内のジュウの言葉を借りれば『世界にウソを持ちこむ』ことともいえる。
しかし言いかえればそれは『新しい概念』でもあり、
それを受け入れて変わって行ける可能性を模索するという展開は面白い。

少年漫画的な、いかにもな劇的展開や不思議パワーもあるにはある。キャラもよく泣く。
ただ、それがウザい熱さとは思えない。
というのは、タロウザ自身が仲間のことを思いやり、
いつも必死で考え、苦心しているからだろうと思う。
他人任せではなく、どんなときも自分のできる範囲で考えに考えているからこそ、
動物たちがタロウザについて行くのも納得できる。

人間のキャラクターが少ない、絵が美麗とはいえない(むしろコミカル)、
序盤がタロウザの赤ん坊編、などの点もあり、ややとっつきにくいかもしれない。
しかし個人的にはガッシュよりも練られた設定、
ストーリーであると思うし、今後の展開もかなり期待している。

追記:
青年時代編になってから、どうもストーリーが進んでないように思える。
毎回戦闘になるのはともかく、もう少し展開に起伏をもたせないとダレるような。
多少点数を減らします。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-09-16 20:22:51] [修正:2012-06-08 23:13:56] [このレビューのURL]

小学生のまこちゃんの日常を描いたギャグ漫画。

掲載紙はエロマンガ雑誌ではあるが、この漫画事態は全年齢向け。

小学生の夏休みのラジオ体操で最後にお菓子が貰えるとか
学校のプールの底に落ちてる塩素を拾って集めるとか
そういう小学生の頃のあるある!的なネタを詰め込みつつ
まこちゃんのハチャメチャなアグレッシブさとか
周りの人たちのキャラ立ちで笑いをとったりする漫画。

ちょっと下ネタちっくだったりする部分もあるが
お下劣にはなってないと思う。
そこら辺の匙加減は個人的には好みだ。

絵柄はほんわかした可愛らしい感じ。
この絵柄でエロマンガも描いていたらしいが、
作者さんはこういう日常系ギャグ漫画の方が向いてると思う。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2012-02-22 21:00:45] [修正:2012-02-27 22:59:06] [このレビューのURL]

ジョジョの奇妙な冒険第7部ではあるが、タイトルを変更して発刊されている。

馬(等)を使ってアメリカ大陸を横断するレース漫画・・・ではあるが、
純粋にレースをしていたのは序盤までであり、その後はレースに並行して
「聖なる遺体」という不思議パワーをもつミイラの争奪戦が繰り広げられる。

6部までと同様、奇想天外な特殊能力と、思いもよらない逆転劇は面白い。
絵柄が力強くダイナミックな感じに上達しており、かなりカッコよくなっていて、そこも良い。
主人公コンビのジャイロとジョニィの、粋でフランクな会話と仲の良さは微笑ましく、楽しい。

ただ、レースが進んでいくなかでちりばめられたネタや伏線がしっかり回収できていなかった、
そう思われる点が多く、最後の盛り上がりがやや肩透かしを受けた印象がある。
(以下ネタバレ込みの感想)
シュガーマウンテンの「『全て』をあえて差し出した者が、最後には真の『全て』を得る」
という台詞とはなんだったのか、
ジョニイがたびたび目にする白いネズミの意味するものは何だったのか、
ジャイロのレースの目的でもあった、靴磨きの少年のラストの描写、など、
とても主観的な感想になってしまうが、妙に納得いかない、しっくりこない点が多い。
自分の理解力が足りない、そういうものだ
と言われればそれまでなのだが、もう少しハッキリとした描写を加えてくれたらもっと良かったと思う。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-09-16 22:26:17] [修正:2011-09-16 22:26:17] [このレビューのURL]

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