「左手」さんのページ

総レビュー数: 23レビュー(全て表示) 最終投稿: 2011年04月07日

 「説明不足=不安感+リアルさ」
 GANTZにもいえることですが、話の説明不足が全体に妙な不安感を与えています。キャラの心情を言葉では出さずに特徴のあるリアルな絵で表現をしていることから来るのでしょう。
 め〜てるの気持ちのストーリーはすごい面白いというわけでもなく、30歳童貞ひきこもりに夢を見せるだけの気持ちの悪い内容です。
 しかし、読者には母になった23歳のはるかの心情が語られず、本人の行動でしかその気持ちを憶測できない。行動の説明が完全にスッポリと抜け、私からするとはるかはキチ外にしかみえず、この漫画はサイコホラーです
 途中のひきこもりのプロや最後の展開が急なのには行き当たりばったり感がして、不完全さが出ていますが、その不完全さが奥浩哉作品に絵と共にリアルさを醸し出しているのではないでしょうか。
 3巻しかないので、さらっと読めるので、オススメです!

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-04-15 12:06:21] [修正:2011-04-15 12:06:21] [このレビューのURL]

 「土下座の新境地」
 板垣イズムを継承した漫画です。
 バキで使用した格闘漫画の表現方法で全く別ジャンルを描いたとしても通用することが証明できた漫画と言えます。
 しかし、板垣恵介自身が描いていないので、バキの迫力のある不自然な絵や説得力のある台詞よりも、どげせんの普通すぎる絵の構図や無理矢理感のする台詞が漫画の技術的に劣ってみえてしまった。バキを映画で例えるなら、どげせんはテレビドラマのような具合です。
 話の内容よりもどんな表現が飛び出すのかが期待される漫画と思うので、これからの期待も込めて、オススメです!

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-04-14 02:58:39] [修正:2011-04-14 02:58:39] [このレビューのURL]

10点

 「天才の苦悩」
 お前は今まで食べたパンの枚数を覚えているのか?とディオが言うが、昴に関しては、お前は今まで昴を読んだページ数を覚えているのか?、という程引き込まれすぎてどの位読んだのかが分からなくなる感覚に落ち、気が付いたら1巻分まるまる読み切っちゃうほどです

 主人公のすばるはバレエの天才ですが、命を燃やし死んでもいいと言う程踊り続ける態度には一線を越えて狂気に感じます。しかし、天才であるが故の他者との交わりが下手だったすばるが徐々に他者を理解し、成長していく過程に天才の苦悩が見られます。作者は天才の描き方の天才です。

 文句なしの10点です。オススメ!

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-04-11 12:37:40] [修正:2011-04-11 12:37:40] [このレビューのURL]

 「引っ張りの天才」
 連載中は面白くて続きが気になって仕方がなかったが、終わってみるとまるでゴミを見るかのような扱いになってしまうのが、正直なところです。
 風呂敷の広げ方が上手く、古きよき日本の郷愁感や多くの謎が読者を引き込み、次へ次へと引っ張られて、読んでる最中は面白い。が、風呂敷の包み方が納得できなかった部分であり、読者が期待していた包み方と作者が最終的に包んだ終着点が全く異なり、作者の意図が理解できなくなり、結果面白くなくなった。
 漫画が終わってしまって結果を知ってしまった人にはもう2度と読まないでしょう。
 まだ読んでない人にとっては9点、もう読んだ人にとっては3点で、評価は間をとって6点です。面白いことは間違いはありませんので、オススメです!

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-04-11 12:20:37] [修正:2011-04-11 12:20:37] [このレビューのURL]

 「コロコロなのに」
 気持ちいいまでの成長物語。絵やアクションの描き方も申し分なしで、読者層を変えても他紙でも十分に通用するレベルで、必死になって戦う姿がかっこいい。
 しかしながら、中盤までは普通の格闘漫画として読めたのだが、気が出てきてからが蛇足で面白くなくなった。そこまでならかなり面白い。コロコロだからしかたがないのかな?
 中盤までで8点、終盤がマイナス3点で、計5点です。巻数も少なく読みやすいので、オススメです!

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-04-11 11:53:29] [修正:2011-04-11 11:53:29] [このレビューのURL]

 「少年漫画的恋愛漫画」
 王道恋愛漫画とはなにか!自分だけでなく、恋人の夢までも叶えようとする献身さである。ただ相手のことが好きなだけでは、両者の気持ちの問題なだけで、恋人同士になったあとの自分もしくは相手がどうなりたいのか、が究極の問題である。例を挙げるとご近所物語を始め、様々な少女漫画に見られる。

 しかし、それらの例は少女漫画であり、I"sは全てが一貴の一人称で語られる少年漫画である。特に夢のない一貴と芸能界で活躍をする夢を追う伊織との差が注目すべき点である。自分の思いと逆行したり、伊織の夢を応援するために嘘を付き、自ら別れを告げたり、相手を想うことと相手の夢を応援することの狭間で葛藤する一貴に共感せざるを得ない。
 最後の「夢つかんだね」の台詞がこの漫画の全てを表しているといえる。絵の上手さは言うまでもなく、葛藤の描き方がすばらしい。

 青春を過ぎた人もまだの人も相手のことを想う気持ちは普遍のものです。一番好きなキャラはいつきちゃんで、オススメです!

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-04-11 00:11:30] [修正:2011-04-11 00:11:57] [このレビューのURL]

10点 リアル

 「スタート位置」
 なぜ主人公が3人いるのか。人生を前向きにする(スタートする)ことを軸にして、それぞれの主人公を並列して考えると以下になる。

  野宮…高校を中退、その後いろいろするが失敗ばかり。そしてバスケ選手になるためスタートする。
  戸川…脚が不自由ながら車椅子バスケとしてスタートを切っている状態。  高橋…事故で下半身不全でまだなにもスタートを切っていない。

 それぞれ健常者や障碍者と立場は違うが、スタート位置を考えると、スタートをすでに切っている者、今まさにスタートを切った者、まだスタートを切っていない者。この3人がそれぞれのゴールに向かう姿勢がこの漫画の真髄であり、そこを描く井上雄彦はすごいの一言です。
 まだ漫画は途中ですが欠点が見つからないので10点で、オススメです!

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-04-10 23:31:33] [修正:2011-04-10 23:31:33] [このレビューのURL]

 漫画業界の内情、それも人気雑誌で特殊な少年漫画を扱っているジャンプを赤裸々に描き、そこで繰り広げられる漫画家と編集者のやり取りなどは今まで多少はその様子を知っていた読者にここまで開けっ広げに書いた漫画は私の知る限り初めてです。

 週刊のジャンプでありながら、1話の展開の早さは月刊1話分ほどのボリュームがあり、連続ドラマのように読者を次へ次へと読ませる映画技法でいうところのクリフハンガーで次回への引っ張りで良いところで終わらせ、次も気になるつくりはジャンプの中でピカイチです。
 絵も初期よりもコメディ風に書き換わり、バトル漫画でないので伝わり難い緊迫感や勢いの表現も絵を見るだけでも伝わる書き方もメリハリがあり読みやすいです。

 しかしながら、主人公に共感しづらい。それは主人公は天才だからです。それはジャンプだからといえばそこまでなのですが、ほとんどが凡人である読者からすると、才能やチャンスを持つ天才には100%共感できない。天才が天才を発揮するまでのサクセスストーリーで、努力しているが結局は天才だからで終わる。その点で主人公のインパクトが弱いといえます。

 上記より、おそらく読者の中で好きなキャラクターは平丸さんが多いのではないでしょうか。実際、人気投票で3位でした。個人的には天才だけどダメ人間の平丸さんとすごい技術はあるがチャンスを逃してしまう中井さんが好きです。

 オススメです!待ちに待った中井さんの登場にワクワクしている私からでした。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-04-08 20:20:31] [修正:2011-04-08 20:20:31] [このレビューのURL]

 「食うこと」に共感しない人はいない。描かれている状況はリアルであり、また日常であり、そのシーンをそのまま切り取りコマにした漫画です。
 漫画を読むというよりも、知り合いのおじさんのちょっとしたエピソードを聞いているような感覚に陥ります。その程度の話でも、現実は小説より奇なり、を体言している作品です。
 何が面白いと聞かれれば私はこう例えます。無数にある非現実世界の漫画から現実的な孤独のグルメにまるで世間話を聞きにいくように読んでしまう漫画界の公園のベンチ、と。
 読み終えたあとにしばらくしてまた井之頭さんに会いたくなるような漫画です。オススメです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2011-04-08 19:26:01] [修正:2011-04-08 19:26:01] [このレビューのURL]

7点 GANTZ

 「絶望感」
 少年漫画を慣れ親しんだ私にはGANTZで人が簡単に死ぬことに恐怖を覚えました。死んだら神龍で生き返せばいい、RPGで最初はスライムから倒して徐々にレベルを上げていけばいい。そんな親切設計がGANTZにはない(蘇りはありますけど)。
 毎回の戦闘で仲間たちがゴミのように死んでいく。死に対してや絶対に倒せそうにない敵に会ったときのように、そこにあるのは「絶望」だけ。
 この絶望の緊張感がGANTZの面白味です。
 2.5次元の絵がGANTZにマッチした世界観を描き、SF要素がしっかりとあり、あとは終わりがきっちり描ければ、後世に残る名作として受け継がれていく漫画になるのではないでしょうか。
 これからの展開に期待を込めて、オススメです。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2011-04-08 14:18:51] [修正:2011-04-08 14:18:51] [このレビューのURL]