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9点 ジョジョの奇妙な冒険
この奇妙さ、このセンスは世界一イィィィィィィーーーーー!!
長沢節とTony Viramontesを足したようなスタイリッシュな絵!
独特のポージングや「ゴゴゴ」や「ウィリィー」などに代表される擬音使いや台詞まわし!
ブランド名、アーティスト名、楽曲名などを元にネーミングした登場人物やスタンド!
パイオニア的戦闘アイデアと、特殊能力の連続攻撃!
随所に映画や小説ネタが存在し、まんまパクリ(メメントネタとか)もあるんですが、
元ネタを遥かに超えたパワーと「世界」がこの作品にはあるんです。
これぞ荒木ワールド!
どんどんその世界にはまっていく自分を
もう押さえる事はできませんでした。
みなさんも、肩までどっぷり浸かって読みませう!
個人的には
1位=第1部 巧みなストーリーで読ませる力作。すばらしいの一言。
2位=第4部 荒木氏の才能がついに開花したと感じる天才的な世界観。
3位=第3部 王道ともいえるスタンドバトルはジャンプ色強し。
4位=第2部 緊迫感と力強さで最も印象に残った究極生命体とのバトル。
5位=第6部 完成された世界観はハリウッド映画並の出来ばえ。
6位=第5部 スタンドの複雑化で、見た事のないバトルの連続。
ちなみに好きなキャラはワムウと岸辺露伴です。
◇この作品の個人的価値=全80巻で 30000円也。
ナイスレビュー: 4 票
[投稿:2005-05-29 14:38:50] [修正:2005-09-14 19:21:50] [このレビューのURL]
10点 シャーマンキング
「みかん」だけど、他に類を見ない漫画なので満点。
これと並べる漫画はハンターハンターくらいしかない。
この漫画は「少年漫画」という舞台でしかかけない「非少年漫画」なのだ。
「全てを救う」という甘ちょろいスタンス。
少年漫画以外ではありえない。
しかし、内容は心底グロイ。
本当にどうしようもなく殺し殺され、
普通なら、「あの魔王を倒せば全て終わるんだ!」となるところを、「あの魔王を救わなくちゃ終わらん」にしてしまう。
プリンセス・ハオなのはよくわかる。
「どんな悪も救える、いや、悪こそ救ってやらねば何にもならない」
こんな甘っちょろい事は少年漫画以外でありえない。
人間の生き死にと言うのは、前半で終わっているので、
命の尊さとかを考えたい人は他の漫画読んでください。
なお、「見開き真っ白の必殺技」ですが
あれは「全てを包み込み浄化する」+「まだ見せれない最強の奥義」
と言う意味で、完璧な表現だったと思います。
賛否両論ある作品とは思いますが、
是非読んでいただきたい作品。
ナイスレビュー: 4 票
[投稿:2005-06-05 23:57:52] [修正:2005-06-05 23:57:52] [このレビューのURL]
8点 ラストイニング
私立彩学の監督になったのはいいが、弱小高校を一年で甲子園につれていかなければ野球部はなくなってしまう。なのに戦力となる選手が少なくあの手この手で強くしようともくろんでいる。
今までの野球漫画とは変わって、監督が主人公になった作品。
高校野球のテーマみたいでもある青春ではなく、社会人的高校野球を書かれているように見える。キャラクターの個性が強いのでかけあいがおもしろい。王道野球漫画ではないけど、これもありでしょ。
ナイスレビュー: 4 票
[投稿:2005-05-02 20:26:10] [修正:2005-05-02 20:26:10] [このレビューのURL]
9点 寄生獣
寄生生物のミギーと彼(?)に寄生された人間・シンイチのコンビが絶妙。
シンイチ+ミギーと寄生生物たちとの戦いももちろん面白いが
この作品の見所はやはり寄生生物と人間との狭間に位置してしまったシンイチの葛藤だろう。
「我々はか弱い。それのみでは生きてゆけないただの細胞体だ」
これは、ある寄生生物がシンイチに向けて言った台詞だ。
この寄生生物は、寄生生物と人間との関係を一つの家族のようなもの、とも表現している。
人を食料とし、人に寄生することでしか生きることのできない寄生生物達。
もちろん、人間の視点から彼らを見れば脅威以外の何ものでもないだろう。
だが別の視点、例えば地球、あるいは生物全体から見るとどうだろう?
なんてことを考えてしまう漫画。
といっても、もちろん小難しいことを考えず読み進めても面白さと感動を味わえることは間違いナシだ。
ナイスレビュー: 4 票
[投稿:2005-03-25 01:48:07] [修正:2005-03-25 01:48:07] [このレビューのURL]
10点 どんぐりの家
何度も読み返しています。
重度障害者とその家族、教師の葛藤、なんて簡単な軽い言葉では表現できません。
彼らは障害と戦っているのではなく、社会の無理解と戦っているのです。
この社会には障害者を家族に持つことが罪悪であると思わせる何かがあるのです。
まさに敵は、隣人であり政治であり人間の存在そのものです。
障害が無慈悲ではなく、障害がなければ感じなくても良い悲しみが無慈悲に感じてしまうのです。
時には絶望的な現実に押しつぶされそうになり、結果、家庭崩壊、自死・自傷、孤立、疎外など壮絶な現実が、家族全員を巻き込んで突きつけられます。
家族のような同志がいても、負担がさらに大きくなる場合もあって癒しにならない不幸すらあります。
ましてや子供と母親だけの場合は、孤立無援の地獄になります。
いくら戦っても、努力しても解決の糸口すら見えない日々、それでも幾分かの希望を灯を支えに生きていく。
貴方が同じ立場にあれば、貴方は生きることができますか?
そのことを思えば、せめて障害者家族を攻撃することだけは止めて欲しい。
冷たい目線で「その子を何とかしろ」とか言わないで欲しい。
それは、畜生の行為だと自覚して欲しい。
健常者には理解しがたい、あるいは想像できない障害者の生活、人生と苦悩する家族や教師たちの実情を、山本氏が丁寧に伝えてくれています。
健常者がさすがに障害者をさして「可愛そう、同情する」といった表現はしなくなりましたが、本当に理解して黙ったわけではないでしょう。
心の底辺にある無理解の気持ちを揺さぶりながら、健常者への理解を助けてくれた作品としての価値は計り知れないでしょう。
あるレベルでの社会への影響のあった作品ではあります。
いくつかのどんぐりの家というネーミングの施設ができたとも聞きます。
しかし、もっともっと、多くの健常者に、この作品を通じて理解を深められるよう願います。
その機会がもっと増えますようにと願います。
そして、我々は寄付以外に何ができるのか、もっと何が応援できることはないのか、深く考えねばなりません。
私は真剣に提案します。
小中学校での啓蒙資料として、あるいは政治参加者、公務員採用候補者への必読書にこの作品を指定しませんか?
健常者が持っている資産の一部を、税金という形でもっと彼らに分配しませんか?
それは彼らへの同情や支援ということではなく、我々人間が人間であるという証明をするために。
全ての人がこの世の意図しない地獄から免れるように。
「仕方ない」で諦めないですむ社会を作る一歩のために。
最後に、漫画というエンターテイメント媒体を通して、この作品を世に出した山本氏とビッグコミック誌に敬意を示したいと思います。
さらに作品中にあるフレーズを紹介します。
障害を持つ子供達は皆、なんらかの形で悲しみや絶望感を持っている。
子供自身も親も、それを克服するのは容易な事ではない。
なぜこの子だけが・・、なぜ自分だけが、障害を持って生まれてきたのだろう・・。
その「なぜ」という問いに、誰も明確に答える事はできない。
しかし、この子等は生まれてきた。自分の生命を花咲かせ、その人生を楽しむために・・。
ナイスレビュー: 3 票
[投稿:2022-12-31 14:43:11] [修正:2022-12-31 14:46:05] [このレビューのURL]
9点 ルックバック
自分は別に藤本タツキの信者ではないが、敢えて言う。
この作品には完全に心が呑まれたし、読後もしばらくの間は、他の漫画を読む時の感覚にまで影響が及ぶくらいには尾を引いた。
創り手受け手関係なく、人生の一部を創作に捧げている人種からすると、それ程の体験だった。
漫画という媒体で表現されているものの、実際はメディアの概念を超える創作そのものへの情念が可視化されたような、途轍もない作品だった。
しかし、実際に多くのプロの業界人が本作に対して言及し、称賛し、脱帽している現状を受け止めず、
それらの評価を軽率にトンデモと断じたり、信者呼ばわりできる漫画読みがいることにちょっとびっくり。
根源的なセンスや表現の次元の違いがわからない人には、それこそ向いてない作品じゃないかと思う。
ちなみに、最初に発表されたのがジャンププラスだったためか、いくつかの見開きは電子版の読み方でこそ威力が発揮される演出になっていたので、初見は電子書籍で読むことをお勧めしたい。
ナイスレビュー: 3 票
[投稿:2021-10-03 12:30:21] [修正:2021-10-03 12:36:39] [このレビューのURL]
4点 異世界おじさん
異世界なろう系の変化球に見せかけて、おっさんの典型的な鈍感最強ハーレム回想を聞かされるだけの肩透かしでした。
これ系のコミカライズはせめて絵は上手い作品が多い中で、こんな風だと拙さがいっそう目立ちます。マニアックなレトロゲームネタを色付けにしているのも寒いです。
ナイスレビュー: 3 票
[投稿:2021-07-04 16:43:06] [修正:2021-07-04 16:43:06] [このレビューのURL]
0点 アクタージュ
他漫画関係者の不祥事とは決して同列には語れない明確な被害者を生み出した原作者の卑劣な前代未聞の性犯罪。当然の打ち切りを迎えて墓前シーンで投げ出す締めとなったのはシニカルでもあり、それのみでも評価以前の問題です。
内容にも波及して黒山墨字(ネーミングも変)なるイキリきったキャラクターが大衆は愚かだと常に見下して、そいつらが作ったルールなんて破るのが正しいと主張、拉致から始まるヒロインを用いての奇行によって周囲から称賛限定の教祖様扱いは原作者の歪んだ自己投影先だったと露呈してしまいました。逮捕が近づいた頃に劇中で不祥事には気をつけろとヒロインが警告される描写(しかし賠償が大変など自分のことしか考えてない自己中心さが窺える)は一体どういう神経で入れたのかなと別のところしか気にならなくなります。
絵は画力が低く進んでも向上していません。ただ、作画担当者にとっては不意のアクシデントでの連載終了でしかなく、そこには同情します。
ナイスレビュー: 3 票
[投稿:2021-03-10 19:57:03] [修正:2021-03-11 16:05:50] [このレビューのURL]
9点 ふたつのスピカ
SFファンタジーという触れ込みの作品でしたが、
少し違った感想を持っています。
シナリオは一応あるのですが、SFの部分は
設定に借りているだけで、とてもゆったりとした
時間の中で高校生活が流れていきます。
ゆっくり過ぎてファンタジーと称されるのでしょう。
宇宙ロケットの飛行士養成コースに進む5人の
友情がほんわかした雰囲気の中で、
押しつけがましくなく表現されていますので
見失いがちですが、むしろ5人の高校生が相互の
感受性に影響し合って生きる物語という印象です。
5人の高校生は、それぞれに事情を持っています。
サボり癖があっても、結局飛び抜けた才能を有する秋、
人への信頼を失って孤独に無理にでも生きようと
決意しているマリカ。
特にこの二人には不治の病と家族との不和があって、
悲劇性を醸し出していますが、
やや過剰な演出だったかもしれません。
私が、気にいっているのは、むしろ普通の高校生、
圭と府中野でしょうか。
圭は、とりたてて特技もなく成績も良くない普通の
女性ですが、アスミも含めて悲劇性を持った
3人の同級生にあって、極めて普通に同情の
気持ちを隠して、明るく接します。
孤独の少女だったアスミも彼女によって救われました。
マリカにもねじ曲がった性格だの、偏屈だの悪態を
つきながらも、絶対に友情は裏切らないことを
直接的に言葉にします。
他の人物たちは、恥ずかしくて言葉にしないような
ことを代弁します。
この普通のセンスの女子高校生が、普通の人間の
存在を肯定してくれているようで、読者も救われます。
もう一人の府中野君が、私の最もお気に入りです。
彼の口癖は、「バカ。・・たくもー。」であって、
非難と愚痴の人です。
アスミとは幼馴染ですが、いじめられるアスミを
直接助けることもありませんが、隠れたところで
アスミを見守ってきました。
どこにもその表現はありませんが、どうやら
宇宙飛行士になりたいのではなく、アスミを見守る
ために宇宙学校に入学した模様です。
そのくせ突き放した態度で、距離を保ったまま
アスミを見続ける府中野君は、感情を見せないだけに
とても切ないです。
ナイスガイと拍手を送りたい気持ちになります。
もちろん夢を諦めないアスミやライオンさんの
存在はとても重要ですが、この脇役の二人に
フォーカスされた場面では、心が動きます。
泣ける、泣かそうとしているという感想が多い中で、
何気ない風景(階段の多い下町の坂道、古い街灯の
ついた道角、夜中に明るく点灯する自動販売機の
前に留められたオートバイな)のイラストも出色ですね。
これまでにない不思議な魅力のある作品に出会えて、
嬉しい気持ちになりました。
<追記>
実は、私事で恐縮ですが、2020.12.19付 産経新聞の
ビブリオエッセイに上記内容を反映した投稿原稿が掲載されました。
ナイスレビュー: 3 票
[投稿:2021-01-08 06:35:05] [修正:2021-01-08 06:35:05] [このレビューのURL]
10点 ドラえもん
漫画というメディアを超えたという概念が最もしっくりくる漫画である。
藤子・F・不二雄が語ったSFの意味合いは最近になって広く知れ渡り、多くの人が「なるほど」と思っただろう。
しかし、「なるほど」という感想が軽く出てくるのは、ドラえもんという作品に対する感覚が日本人の心に深く根を張っている現代だからである。
少なくとも、ドラえもんが発表された当初では、ドラえもんの作風は明らかに異質であったと思われる。
ドラえもんが発表されたのは1969年だが、実際に国民的作品として定着し出したのは1979年のアニメ版がヒットしてからである。
そして、ドラえもんが国民に定着する以前のSFの意味は当然「サイエンスフィクション」であり、日本でも漫画やアニメにおいて数多の歴史的な名作が生み出されている。
そういった名作は、手塚治虫を筆頭に松本零士や石ノ森章太郎、永井豪や石川賢など数多の偉人によって生み出され、日本におけるSF漫画の型を創り上げた。
しかし、それらの作品にはある意味で共通した性質があると思う。
それは「作者の(オタク的な意味での)学や教養の高さにより描かれた、ケレン味重視の高度な妄想である。」ということだ。
当然、サイエンスフィクションの概念としてはそれが正解であるし、そこを高めることがSFの本懐と言える。
たがしかし、多くの漫画家がその方向性の中で、より高みを目指す時代の中で、藤子・F・不二雄は敢えてその流れから外れ、自分だけのSF=「少し不思議」の道を行った。
無論、藤子・F・不二雄も他の漫画家のような王道SFも描けるのだが、敢えてサイエンスフィクションの概念に捕われず、
誰しもに通ずる普遍的な感覚を作品の核として、独自のSFに落とし込んでいったのである。
そしてその代表作がドラえもんだ。
今でこそ国民の精神に浸透しきっている本作であるが、先述の通り、ドラえもんが今のポジションを確立するまでには10年以上の時間を要した。発表当初は、あくまでサイエンスフィクション全盛の時代であり、ドラえもんは数ある児童漫画の1つとしての扱いだった。
だが、「少し不思議」なSFの概念は、見る者の心に確実に根付いていき、長い時間をかけて国民の感覚の中に当然のように居着いていったのである。
そして一度根ざした普遍的な「藤子・F・不二雄のSF」は、時代が変わっても、ドラえもんを通して新たな世代にも受け継がれていく。
漫画やアニメにおける和製サイエンスフィクションの存在感が弱くなってしまった現在でも、それは変わらない。
決して変わることのない普遍の「少し不思議」な感覚そのものがドラえもんであり、漫画というメディアを超えて概念そのものとなった本作には、10点以外の点数など有り得ない。
ナイスレビュー: 3 票
[投稿:2020-05-13 17:38:52] [修正:2020-05-13 18:02:11] [このレビューのURL]