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10点 シグルイ
「残酷無惨時代劇」と自ら称するだけあり、比類のない残虐描写で魅せる時代劇漫画である。まるで豆腐や野菜でも切るかのように目が、鼻が、耳が、四肢がちぎれ飛び、血しぶきは言うに及ばず腸管や汚物までもがぶちまけられるその画の迫力は読者を選ぶ。
しかし、この漫画が真に”残酷”である理由は、何も上述のような分かりやすい残酷描写の為だけではない。登場人物達がみな哀切なる情念に突き動かされるように封建制度下の武家社会という無明の長夜をさまよい、しかし等しく思い遂げられる事なく「死」という運命に狂気に身をやつしながらなだれ込んでいく様が、何よりも残酷なのだ。
この漫画の主なキャラクター達はみなどこか常軌を逸した狂気を抱えているが、彼ら彼女らの抱く思いそのものは比較的現代人にも理解しやすいものばかりである。立身出世をしたい。愛する人と沿い遂げたい。主に忠義を尽くしたい。自分の後継者を育てたい。侍として、強くなりたい…。この異様な物語は、そんな普遍的な思いによって紡がれているのだ。
しかし、彼らがそんな願いを叶えるために、情念に身をやつし、自らを鍛え上げれば上げるほど、人間として大切な何かを欠損していく。岩本虎眼を筆頭に、本作で活躍する剣士の多くはみな心か体かのどちらか(もしくは両方)を欠損して人ではない何かに成り果てる。そうまでして得た強さでさえも、一太刀のもとに斬り伏せられれば後には醜い肉塊が残るのみ。思いは遂げられず、死に行くのみ。
これを残酷と言わずして何を残酷と言おう。この漫画が恐ろしい激情をはらみつつも、全体的に洗練されて静謐な印象すら受けるのは、どんな剣豪も死ねばただの肉塊という冷徹な事実を提示し、仏教的な無常感に貫かれているからでもあろう。まるで西洋の解剖図譜のような写実的な残虐描写、過激な作画と相反するような淡々と冷徹なナレーションの挿入も、そんな無常感の醸成を助けている。作画と言葉がタッグを組んで、物語のテーマを見事に浮かび上がらせているのだ。本作がただの残虐描写のみを売りとした怪作に陥ることなく奥行きのある作品となっているのはそのためである。
また、その極端で過激な描写(主に顔)から、本作は一種のギャグ漫画としても楽しめるのも懐が広くてよい。まさに笑いと狂気は紙一重の好例である。
武士という階級が社会から消滅した後も、我々日本人は時代に応じて様々な形で武士道を解釈し続けてきた。ある時は時代錯誤で野蛮な因習として、またある時は世界に誇るべき美しい伝統として。
だが、本作に接し、そこで描かれる苛烈で異形で、しかしどこか美しい武士道の世界に触れたとき、そんな後世の解釈はどれも現代人の価値観に基づく都合の良い解釈に過ぎないのではという気すらしてきた。「シグルイ」の侍達は、みな我々とは近いようでどこか違う無明の世界に生きている。だが、それは確かに我々のご先祖が歩んできた世界でもあったのだ。
そう思わせてくれただけでも、この作品は俄然10点である。ぬふぅ。
ナイスレビュー: 3 票
[投稿:2009-12-16 00:28:30] [修正:2009-12-16 01:47:31] [このレビューのURL]
8点 クロスゲーム
思えば80年代はラブコメが燃えていた時代であった。
サンデーが異常に元気よく「タッチ」「みゆき」等、火付け役の1人は確かにあだち先生であった。
その後あだち(系)ラブコメ漫画を描く漫画家が大量生産されブームは大爆発。そして時代は流れた。
あれから30年が過ぎた。ブームはとうに去ったものの少年誌にラブコメは手堅く一定枠を確保している。
しかしそのラブコメ形態は様変わりしていた。1話に3回以上パンツ見せるか、いやいやそれ以上くんずほぐれつかという次世代型(エロ合体型?)が主流のようだ。それは「青春モノ」とは言いにくい作品群となりはて、もはや「性春モノ」と呼ぶ方がふさわしいジャンルとなった気がする。
そんな中、あくまで青春モノを貫く先生はどうしているのか。「クロスゲーム」。・・・よしっ。
今だに週刊連載で作品を発表しつづけ、人気作の証としてアニメ化もつかみ取っている。
似たキャラ、話しと言いつつもあきないんだよなぁ。
くすっと笑えて少し心が温かくなる、そんな感じ。
あの雨後のタケノコのように生えてきた二番煎じがほとんど見られなくなってもオリジナルはやはり健在。
あだち充は一時のブームではなかった。本物でしょう。
少年漫画ラブコメにおける青春モノはもはや少数派なのかもしれませんが。
乳首もパンツも話題にならない。そんな漫画もあっていい。
ナイスレビュー: 3 票
[投稿:2009-11-18 23:59:15] [修正:2009-11-26 00:57:09] [このレビューのURL]
10点 ARIA
作中で起こっているのは、ほんの些細なエピソードばかりかもしれません。
それらの出来事にも主人公の灯里は楽しみを見出し、日々を満喫しています。
雰囲気を楽しむ漫画と評されているようですが、一つ一つのエピソードがよく練られており、面白いです。
作品の雰囲気も堪能しつつ、灯里と一緒に何気ない日常を楽しむ、そんな作品です。
その雰囲気ですが、陽の光や影、水などが巧みに描写されていて、作品の世界に素晴らしい演出を与えています。
特に風の描写は見事としか言いようがありません。
美しい風景。幻想的な世界。作品に流れるゆったりとした時間。とても心地良いです。
少し優等生すぎる作品なので合わない方もいると思いますが、とにかく人に薦めたくなる作品です。
この作品を読んで気に入った方は、きっと他の人に薦めたくなると思いますよ。
ナイスレビュー: 3 票
[投稿:2009-11-03 00:10:35] [修正:2009-11-03 00:10:35] [このレビューのURL]
9点 らき☆すた
誰が何と言おうと、僕は好きです。
最近よくある小さい起伏が続くタイプの4コマ(この手のタイプの中では結構昔からあったんだけどね)
3巻以降はかわいさの表現に磨きがかかってきて話のテンポが良く続く原作の方が好き、特に
番外編っぽい氷姫とこなたのママンの話はお気に入り。
卒業後も普通に続いてる様だけどこの後どうするつもりなんだろうか…
そもそもコピーという言葉自体良い意味に用いられないのが当たり前だというのは置いといて
この作品があずまんが大王の一世代後の4コマ作品群の中で特徴的な点なのは
物語冒頭から泉こなたというキャラクターが持つ、ある種のメタオタク的な雰囲気だろう。
このキャラは女性という身でありながら性格趣味趣向はモロに男オタのそれで、しかも
父親の英才教育を受けて育った、ある意味超サラブレッドの人間。故にめちゃくちゃアクの強いキャラ。
こなたが雑談の中心に位置すれば当然誰と絡もうがその雰囲気が作品全体にも作用してオタトークも増える。
とにかく受動的なオタクの生態に関してはひとつ残さず描いてる感じがする。
それがこの作品の長所でもあり短所でもある故に「濃い」「狭い」という烙印を押されるんだろう。
まぁそのオタトークも斜め上だろうが堕落しているこなたを容赦なく叩けるかがみが出てこないと締まらないんだけどね。
両者(かがみはラノベ読者)の位置づけを利用して「オタクor一般人」の線引きで遊ぶようなネタもちらほら。
(生態観察という意味ではラノベを進めるかがみとドラマCDを聴くこなたのネタはいかにもな核心に触れてますよね)
その中で日常に潜んだオタの葛藤をこなたの描写を通じて気持ちよく消化できる点はこの漫画の非凡な要素だろう。
好きな作品の人気が出るのは嬉しいけど複雑な気分になるファン心理の話とかいいじゃないですか。
やたら自分を神輿扱いして持ち上げる周りの人間を皮肉ってるみたいで。
こなた以外の、それぞれのキャラの持ち味を加えた日常話も決して出来は悪くない。
ハイテンションで明るいバカキャラの日下部みさおは純粋に微笑ましくらき☆すた唯一の健全な面。
こなたが受動的なオタクであるのに対してひよりが能動的なオタクであるのもカバーが広いです。
定期的に生き恥晒し首の刑に処されるみなみとか、つかさが訳の分からないネタを提供してくれる話とか面白かったなあ。
逆につまらないネタはとことんつまらない。TVに映るあきらを眺める話とか明らかにネタ切れだったのが伺える。
キャラを魅せる技術はかなりのもんだと思いますね、あるあるネタなんて言ってもオタ的なあるあるが多い訳だし
インドアな趣味に無知識な人間でも、作品自体は単純にキャラを楽しむ漫画という面ではかなり秀逸なんで十分楽しめます。
こなたも初期は根暗なオタク臭が凄かったけど、だんだん可愛げのあるキャラになってきたしね。
しかし4コマにしてはキャラが増えすぎた感があり、作者もいくらか持て余してるんじゃないでしょうか。
絵柄に関しては、初期は発展途上というイメージですが巻を重ねるたびに洗練されたデフォルメへと変遷しています。
総じて読み進めてジワジワ来る内容であり、あずまんが大王の後追いグループの中ではかなり好きなタイトルでした。
追記:
この4コマ漫画、学校が舞台でありながら体育祭、あるいは文化祭だとかお決まりのイベントごとが無い。
(その辺りがアニメでは結構追加されてる)
イベントに言及するお話はあるけど、それも学校では授業・休憩時間・HRでの会話が多く、
いわゆる漫画としての状況作りに非日常的な舞台をあまり選ぼうとしない。
こなた達3年生の卒業式でさえ、本当にサラっとしてる。
翻って休日の話を見ても形式的に全くイベントが無いという訳ではないが
やっぱり大抵自宅、友人の家だとかショップにいて、クリスマスはイヴだし海も本番は見せないで次の話に飛ぶんです。というか
そもそも、そういった状況自体を作らずに唐突に会話から始まる事もある。どっちにしろ表立った非日常は抑えられています。
結果的に純粋な日常の会話劇と日常の中の小さな非日常が全コマ中でもかなり大きな割合を占めている。
らき☆すたは、そういった手法で読者の脳内にキャラクターの輪郭をひたすら刻み付ける事を選んでるんですね。
そんな珍しいモノでもなく単なる手抜きで一蹴すれはそれまでの話ですし(画に関しては手抜きしてる所もありますね)
それが是か否かは大抵会話やキャラの反応が面白いかそうでないかで決まるから良し悪しなんだろうけど
5年間以上それを崩さず続けている、その一貫した姿勢が好きです。
作者にそういった非日常にある状況を描くつもりがないのか描いても技量のたかが知れてるから描けないのかは知りませんが
終始日常の1カットをベースに描いている漫画なんだからどうでもいい話ですね。
逆に学生であることの必然性は気になりますが
仲間内でダベってる雰囲気は読んでいて学生特有のモラトリアムを感じるし、学生であることの意義は感じます。
元々中学生設定で始めようとした所をコンプ読者層に合わせて高校生に変更するよう言われたという話もありますし。
まあ、そんな事考えていても
最後のHRはやっぱグッと来ちゃうよなぁ、あれは。
ナイスレビュー: 3 票
[投稿:2009-07-11 11:27:46] [修正:2009-07-11 11:27:46] [このレビューのURL]
0点 けいおん!
いかにも世間の中学生の層を狙った作品。
画風がいわゆる「萌え」というカテゴリーに区別されます。
ストーリーは女の子が四人集まりバンドを組んで
音楽を始めるのですが、
正直言うと、音楽を題材にしておいて
中身が薄く音楽性をなにひとつ語らない、
いわば音楽漫画をかぶった作品。
音楽の本格的な内容が語られず、
世界観も狭く、ただ「演奏してる」それだけの
漫画でした。
比較で述べているのではないんですが
BECKを読んだ自分にとっては許せない作品でした。
「音楽漫画が軽く読めたらな・・・」
というような方に勧める作品です。
ナイスレビュー: 3 票
[投稿:2009-06-19 20:21:19] [修正:2009-06-19 20:21:19] [このレビューのURL]
8点 ノーマーク爆牌党
「天」「天牌」等に並ぶ麻雀漫画の傑作。
最大の特徴として
麻雀における、それぞれの牌の打ち方を通した試合の流れ、いわゆる「闘牌」が
この漫画はとにかく素晴らしい
前半は破天荒な爆岡の活躍をコミカルに描いていますが、後半はいくぶんシリアスに、
努力の鉄壁が天才爆岡に何度も負けながらも諦めずに挑む様を王道ながら丁寧に作っています。
また八崎や茶柱など脇キャラも個性に従った麻雀がどれも生き生きとしています。
最終決戦は一巻以上費やし、何処を切っても見せ場の連続で非常に濃密。
ただあまりに凝りまくった麻雀描写なので爆牌など麻雀慣れていないと打ち手がどう凄いのか
うまく伝わらずやや敷居が高いかも。
また残念なのはこの作品が見切り発車でスタートした(作者談)ため、作品中での爆牌のメカニズムが
完全に説明できなかったことでしょうか。
ただどのシーンも、麻雀漫画のキモと言えるオカルティな要素を多分に含みながら
十二分に説得力があるのであまり気にはならなかったですが。
麻雀好きにはぜひお勧めの作品。
ナイスレビュー: 3 票
[投稿:2009-06-19 00:21:03] [修正:2009-06-19 00:21:03] [このレビューのURL]
10点 賭博黙示録カイジ
カイジもくだらない連中の被害に
遭ってるみたいですね。
管理人さん、僕はこの採点を削除覚悟で書いています。
でも、もし削除されるなら僕だけじゃなく
不当な得点操作をした佐藤さん、鈴木さん、
かりあげさん、コップさん、便所さん、
タコ太郎さん、ぞうさん、短パンさん、
フランス人さん等のレビューも
一緒に削除してください。
ぼくは大好きな作品が卑怯な方法で
貶められるのがたまらなく嫌なんです。
僕はアカウントも停止されたって構いません。
よろしくお願いします。
ナイスレビュー: 3 票
[投稿:2009-06-13 22:27:44] [修正:2009-06-13 22:37:12] [このレビューのURL]
4点 ONE PIECE
絵がごちゃごちゃして見づらい。それだけでこの点数です。
漫画において絵が見づらいって事は、映画において映像が汚い
音楽において楽器が下手、小説において文章が下手、それぐらいの致命傷だと思います。
どんなにいい歌でも、演奏が下手なレディオヘッドなんか聴きたくないでしょう。
どんなにいい物語でも、文章の汚い三島由紀夫なんか読みたくないでしょう。
それと同じです。
あと感動の押し売りが非常に目に付く。
読んでいて姑息だし、安っぽい。
まさに少年のための漫画です。
ナイスレビュー: 3 票
[投稿:2009-05-20 02:00:04] [修正:2009-05-20 02:00:04] [このレビューのURL]
10点 ドラゴンボール
連載終了からすでに何年も経っているのに未だに色褪せない作品。
最初に購入した漫画であり、思い入れも深い。
私は今まで孫悟空のようなかっこいい主人公に、他の漫画で出会ったことがない。
強く、優しく、そして温かい。
誰もが憧れるヒーロー、それが「孫悟空」であると私は断言できる。
まだ読んだことがない人は絶対読んでおくべき漫画。
この漫画をまだ読んだことのないすべての人に読んでもらいたい作品。
ナイスレビュー: 3 票
[投稿:2009-04-10 02:08:02] [修正:2009-05-11 16:30:17] [このレビューのURL]