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4点 へうげもの
歴史漫画の新しい切り口を目指したのでしょうが、荒唐無稽、茶の湯文化がテーマなのに、悪ノリが過ぎて下品。絵もそういう感じですし。
意外な史実を紹介する場面がありますが、これがないと歴史漫画以前になってしまう申し訳程度、これだけ崩してしまうなら歴史は舞台装置のギャグ漫画として徹底するか、最もメジャーな戦国時代のメジャー人物と絡みまくるのを避けてマイナー時代を選択した方がまだ良かったのかもしれません。
インターネット上では高評価が目立ちますが、合わない人を評価以前に退散させがちな癖が強い人を選ぶ作品だと思います。
ナイスレビュー: 2 票
[投稿:2022-02-08 19:11:51] [修正:2022-02-08 19:11:51] [このレビューのURL]
6点 進撃の巨人
2021年4月に、11年半にわたる連載が終了となった
ニュースが流れました。6月発売予定の34巻で
最終巻になることも併せて公表されています。
アニメ化と映画化を果たして、鬼滅以前の大ブームと
なった時期がありましたので、少し遅れて読みました。
最初の巨人が出現、急襲は、大変衝撃的だったんですが、
その後の展開では、登場人物の多さ、人間関係の複雑
さで、次第に興味を失います。
残念ながら、展開が遅くちょっと食傷気味になって
いきますね。
アニメで完結編を見ましたが、特段の感慨も湧かずに
終わってしまいました。
私にとっては、初期8点→終盤4点となる典型的な
竜頭蛇尾のパターンの作品でした。
ナイスレビュー: 2 票
[投稿:2021-04-16 08:01:21] [修正:2021-04-16 08:01:21] [このレビューのURL]
5点 史上最強の弟子 ケンイチ
サンデー55周年記念として「55作品新連載させる」とかいう編集部のゴミのような舵取りのせいで、ゴミのような最終章を迎えた残念な漫画。
最終章に入るまでは本当に面白い漫画で、サンデーが毎週待ち遠しくなるほどだった。
50巻を超えてもまだまだ読みたいと思えた作品は、サンデーでは初めてだったと思う。
ストーリーのテンポは良いし、アクションは派手だし、ギャグもキレがある。登場人物も達人・弟子問わずキャラが立っていて、戦闘パートも日常(修行含む)パートもまるっと楽しめた。
凡作以下の作品が誌面の大半を占めるようになっていった21世紀のサンデーにおいては屈指の良作であり、特にバトル漫画としてはサンデーの最後の良心と言っても過言ではなかっただろう。
ところがどうだ。冒頭に述べたふざけた企画に伴い、サンデー編集部は松江名にケンイチを終らせて新たな作品を創るように打診したのだ。
そして、なんと松江名はそれを承諾して、そこまで丁寧に積み上げてきたきたものを全てぶん投げて、近年稀に見る酷い話の畳み方で無理矢理本作を完結させてしまったのである。
後のコメントによると、この選択は松江名にとっても苦渋の選択だったらしく、職業漫画家としては賞賛されるべきところもあったのは事実である。
だが、1〜2年だけ連載したような作品と、12年連載した本作では、話を唐突に打ち切ることの重みが全く違う。
50巻以上のコミックスを買い続けてきた20万人近くの読者を、60巻近くになって突然裏切ることを作者も了承したことが、個人的には何より許せない。
正直、ラスト数冊は本当に買う気が起こらなかった。
ここまで最後の打ち切りについての怒りを綴ったが、本音を言えば相変わらずまだまだ続きが読みたい気持ちは残っている。
この漫画は、あんなところで終わらせてしまうのは勿体ないほど魅力的なのだ。
ジュナザード戦あたりまでなら、7点以上は堅いと思う。
いつか松江名が続編を執筆してくれることを、今も期待している。
ナイスレビュー: 2 票
[投稿:2020-11-17 23:00:20] [修正:2020-11-18 07:14:48] [このレビューのURL]
6点 金色のガッシュ!!
序盤は傑作だったが、アニメ化が決まった石版編前くらいから児童向け路線に寄せすぎたせいで、ガッシュ周りの展開が幼稚になりすぎた(小学館との訴訟トラブル当時の雷句のブログによると、編集からそのような矯正を強いられたらしい)。
実際、この矯正は商業的には成功したし、アニメ放送頃には作風の移行は完了していたため、アニメ化決定後に本作を読み始めた層は違和感に気付きづらかったと思う。
これが、今作が完結まであまり評価を落とすことなく、いまだに名作扱いされている理由の一つではないだろうか。
だが、この流れが雷句のポテンシャルを潰してしまい、業界内における小学館(とりわけ当時のサンデー編集部)へのイメージが悪化する一因となったことは間違いないだろう。
ただ、個人的には本作の真価はガッシュサイドではなく、ブラゴ側のストーリーで見られると思っている。師匠の藤田和日郎から受け継いだケレン味や渋さ等の魅力は、ブラゴ側のエピソードに集中されているように感じる。
特に最後の最期、ブラゴとシェリーのやり取りはガッシュと清麿では出せない渋い感動がある。
ナイスレビュー: 2 票
[投稿:2020-11-16 13:31:08] [修正:2020-11-16 14:58:21] [このレビューのURL]
10点 なにかもちがってますか
結論を先に言えば、素晴らしい衝撃を受けました。
描画力は相変わらず、髪型でしか人物をかき分ける
ことができない不出来さがあるのですが、
それを上回る魅力を感じました。
「ぼくらの」でも小さな超能力を持つ少年少女の登場が
ありましたが、同じような面白さを感じます。
本作品でも小さな超能力を大きく振りかざすことなく、
どんどん先読みを促してくれます。
5巻全巻を読むのを途中で止められなくなり、
あっという間に読んでしましました。
本作品の最大の魅力は、社会正義の在り方への考察を
一社高蔵に語らせるクダリです。
主人公日比野はあくまでも標準的日本人の代表者のような
ノンポリなんですね。
主人公相手に徹底的に馬鹿扱いします。
共感した一社の言葉を下記に列挙します。
・学校の勉強は、役に立たないという奴がいるけど、
根本的に間違っている。
課題を与えられた時の適応能力を見ているのだ。
学校でダメだった奴のその後の人生は破綻する確率が高い。
・バカでもテレビに出て楽しくやっていけるという
作られた幻想が世の中のバカをさらにバカにして
つけあがらせていく。
それを作っている奴らもそこまで責任を持たない。
・日本の裁判の方向性が間違っている。
計画性がある方が罪が大きくなる。
出来心で犯す無自覚な人間の方が、生かしておくと
また社会に害を与えるのに。
・人を殺してはいけない絶対的な理由なんてない。
一番の理由は、もっと利己的なものだ。
私はあなたを殺しません。
だから、あなたも私を殺さないでください、という
社会としての契約である。
それを全員が守っている間は全員が安全である。
だから、そのルールを破った人間は自分が殺されても
良いと表明したわけである。
つまり人権を侵した人間に人権は必要ない。
・人間の刑罰判定には点数制を導入すべきである。
生まれながらに持っている例えば100点という点数を
罪を犯すたびに減点していく。
ゼロになれば死刑とする。
そうすると再犯率は間違いなく低下する。
・精神衰弱や精神障害という責任能力の有無が問題になる。
責任を取る能力のない人間が社会生活を営んでいる。
そういう人間なら差別や区別をされるべきであろう。
本来は犯した罪の内容のみで量刑が語られるべきである。
・異常か正常かの二元的に語られるが、自分は正常だが
自分にもおかしなところがあると考えるべきである。
でもバカな奴ほど自分は正しくて未来永劫間違える
ことはないと考える。
・バカは大概携帯電話が大好きな傾向にあるが、
そのくせそういう奴らは数学なんてキライだの、
何の役に立つかわからないだのと言う。
彼らは科学の発展を抑制する
特に、犯罪の点数制は、作者の鬼頭さんが
「点数制、悪くないと思うんですがねえ」と
言っているぐらいに強く主張しているのです。
タイトルも良くできています。
「間違っていますか」というべきところを
「もちがっていますか」と言うことで、
一見正義のように見えることの不正確さを表現できており、
素晴らしい。
全体としては、SF仕立ての展開に社会学、倫理学を持ち込んで、
漫画とは思えない重厚な問題提議をしてくれました。
高次元の知識欲を掻き立てる面白さにすっかり魅了されました。
全力でお勧めいたします。
ナイスレビュー: 2 票
[投稿:2020-10-14 18:09:07] [修正:2020-10-14 18:09:07] [このレビューのURL]
10点 湯神くんには友達がいない
ギャグが面白く、中だるみもないのでスラスラ読むことが出来た。最終回も綺麗な終わり方で、何回でも読み直したいと思える作品だった。作者の次回作に期待。
ナイスレビュー: 2 票
[投稿:2020-08-20 08:42:11] [修正:2020-08-20 08:42:11] [このレビューのURL]
8点 鬼滅の刃
この漫画の最大の強みは個性的で多彩なキャラクター達、
出足こそ打ち切りを危惧されるほどスロースタートだった本作ですが、
キャラが増える度に加速度的に面白さが増していきました。
登場人物こそ多いものの、それぞれがパッと見で誰か分かる出で立ちをしており、
一人一人にスポットの当たる見せ場も用意されていて、全員がキャラ立ちしています。
正直言うと、主人公の炭治郎と妹の禰豆子(ねずこ)を除き大半のキャラは
第一印象が良くなかったのですが、その後の活躍で漏れなく印象が好転し、
さらに死闘に次ぐ死闘が、より一層キャラクターを引き立て
途中退場するキャラクターさえも、一瞬の閃光のように鮮烈な印象を残し散っていきます。
作品自体もアニメ化後に社会現象的な人気を得ましたが、安易な引き延ばしも無く
駆け抜けるように終焉を迎えました。
人気が出るとなかなか終わりが見ない少年漫画が多い中、20巻そこそこで綺麗に終わり、
面白さのピークを終盤に持ってこれる作品は貴重だと思います。
ナイスレビュー: 2 票
[投稿:2019-06-17 23:48:44] [修正:2020-08-02 06:02:38] [このレビューのURL]
農学という地味なテーマ故に難しさがある中で、有名な「鋼の錬金術師」の時よりも漫画家として地力の向上を感じました。二年以降は駆け足になりますが、卒業まで描いて綺麗に終えています。同じ農学漫画なら「もやしもん」よりこちらを推したいです。
ナイスレビュー: 2 票
[投稿:2020-04-26 06:46:29] [修正:2020-04-26 06:47:13] [このレビューのURL]
内藤泰弘という漫画家は、他の漫画家へのアシスタント経験が無く、脱サラ後に我流で実力を身につけていった人物である。
トライガンマキシマムの中盤以降から覚醒したかのように技術が洗練されていったが、それ以前はセンスと勢い任せの荒削りな作風であったと思う。
特にこの短編集に関してはプロデビュー以前の初期同人作品が中心となるため、技術面や話運びに拙さがあることは否めない。
だが、技術こそ今と比べると歴然の差があるものの、作品の本質的な根っこはこの頃から驚くほどに変わっていない。
同人誌時代を含めると30年近く漫画を描き続けているのに、この作者の創作に対するスタンスや精神は全くブレていないのだ。
本作を読み、サムスピを読み、トライガンを読み、ガングレイヴをプレイし、アッセンブルボーグで遊び、血界戦線を読み、再び本作を読むことで、その事実をしみじみ実感できる。
自分の好きなことを貫き通し、それで飯を食い、業界も力を貸してくれるという、漫画家の中でも稀有な強運の持ち主である内藤泰弘がいかに幸せな存在であるか。
そしてこの人が創る作品が、どれほど多くの人間に幸せを与えてくれているかを改めて認識する上で、この短編集は非常に重要な役割を果たしていると思う。
しかし、こんなディープな作品集を一般的な書店にも流通するように出版してくれたハルタコミックは最高である。
ナイスレビュー: 2 票
[投稿:2020-04-15 21:29:05] [修正:2020-04-17 06:23:32] [このレビューのURL]
7点 ランウェイで笑って
アニメがどうにも「のっぺり」した感じで、しかもなんだか微妙に端折っている感じがしたので、ある程度話のキリがいいところまで原作のコミックスを一気に読んでしまいました。
まず原作を読んでからの印象としては、原作の方が画(え)の見せ方が上手い感じがしますし、漫画特有の画面構成による見せ方を上手く使っているように思えます。
ただこれは、作品そのものの出来不出来というよりも、作品そのものとその媒体における表現方法との相性の問題だと思うで、その辺りは仕方がないかなと思います。
で、この作品なんですが、自分、読む前はファッションなんか全然興味なくて、絶対自分には合わない作品だろうなと、ほとんど期待せずに読んだんですが、思った以上に面白い内容でした。
今まで様々なジャンルの作品を読んできたんですけど、面白い作品っていうのは、全くその分野に興味が無かった相手に対しても、その分野の魅力や面白さを上手く伝えてきますし、またその世界に上手く引きずり込もうとするパワーを持っていると思います。
多分そういう作品は、作者自身が本気でその世界を描きたいと思っていて、その熱量が紙面を通して読者の方にまで伝わってくるのだと思います。
今期、思わぬ良き出会いとなった作品でした。
ナイスレビュー: 2 票
[投稿:2020-02-07 18:25:11] [修正:2020-02-07 18:44:58] [このレビューのURL]