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8点 辺獄のシュヴェスタ
修道院での不屈サバイバル劇。特に精神的な枷が印象深く、それを切り抜ける緊張感や主人公エラのグサっと来る言葉、芽生える友情などが見所でした。
最終巻までは名作級の素晴らしさでしたが、突然駆け足になったのだけが残念。一応プロの仕事として畳まれてはいます。
ナイスレビュー: 2 票
[投稿:2018-01-14 14:38:14] [修正:2018-01-14 14:38:14] [このレビューのURL]
8点 JIN -仁-
江戸時代にタイムスリップした現代医師南方仁を中心に
据えた幕末と明治維新の歴史漫画あるいは医療漫画ということです。
タイムスリップということでSFかと思いきや、これは
「あとがき」で作者自身の説明によると、
現代医学を江戸時代に持ち込むための方便だったようで
意外でした。
本当に描きたかったのは、梅毒他感染症に苦しむ当時の
遊女や庶民の苦しみだったようで、漫画の中だけでも
彼らの無念を晴らせないかと考えたということです。
読者の想像もつかないところで創作意欲というものが
生まれるようで驚きました。
作者の意図とは別に、医療漫画というより明治維新を
背景にした当時を生きた人々の活力、清々しさの方が
作品の魅力になりました。
登場人物皆が凛としており、主人公南方仁も現代へ
戻ることよりも江戸時代に生き、積極的な歴史への
参画を始める動機が生まれます。
当時の人々の生き方が関与しているように見えます。
SFとしての締め方には納得できるものではありませんが、
それは本作品では些事なので、とやかく言っては
いけないようです。
歴史を操って人物の清々しさで勝負する点は、
どうしても「龍」との類似性を感じてしまいますが、
村上もとかの真骨頂とも言えますので良しとします。
記憶に残る作品です。
ナイスレビュー: 2 票
[投稿:2018-01-02 14:33:44] [修正:2018-01-02 14:33:44] [このレビューのURL]
8点 シャトゥーン ヒグマの森
単純に暴れまくるヒグマと戦うモンスターパニックサバイバル。絵が綺麗で迫力があって、クマの恐ろしさが存分に伝わって来ます。ボリューム的にもその手の映画を観ているような感覚で引き込まれました。クマに関する豆知識も話に随所に絡めています。絵だけではない表現が生々しいグロさがあるので苦手な人は注意。原作未読ですが絵が付くことでの付加価値が大きいのではと思いますが、ミステリー関係の賞が貰えたのは疑問です(少しそういう要素があるが大したものではない)。
ナイスレビュー: 2 票
[投稿:2017-12-22 20:12:47] [修正:2017-12-22 20:12:47] [このレビューのURL]
7点 とろける鉄工所
溶接施工を生業にした鉄工所の日々をマニアックにテーマにした漫画です。
溶接は過酷な作業環境と忍耐力が必要です。
主人公の北さんは、溶接の奥深さを誇りをもって道を求める毎日です。
テーマは明確ですが、鉄工所で起こるほのぼのとした毎日が
何とも言えない味を出します。
話は変わりますが、こんなに鉄工所では、真面目に品質と効率を追求して、
夜中まで汗と痛みに耐えて働いているのに、生活は楽にならず
経営的に厳しい所が多いのが現状です。
その原因の一つに、社団法人溶接協会が実施する溶接施工資格試験があります。資格に3年前後の有効期限があるのです。
しかも、溶接法の種類、溶接材料の種類、姿勢(下向き、上向き、立向き・・)等
無数に条件が細分化されており、それぞれ数万円の受験料が必要ですし、
資格維持のための練習コストはバカになりません。
例えば、お医者さんの医師国家資格は一生に一度合格すれば生涯資格は
有効ですし、眼科の専門家は循環器はさっぱり知らなくても医師として
開業だってできます。
この両者の違いは何でしょうか?
溶接協会は既得権を持って、この制度の簡略化は何十年も絶対に進めません。
この結果、日本国民はあらゆる鉄構構造物は欧米の同種のものの
コストの倍を支払うことになっています。
その高コスト体質は政府は知っていて、海外の企業の参入障壁を
高くして公共事業は発注できないようにしています。
全ては、溶接協会が元凶になっていることを知っているのか知らずか?
同様に検査業界にも非破壊検査協会というのがあって、ここは溶接以上に
悪者の巣窟になっていて、資格試験が自分たちの力の源泉であることを
公言して憚りません。
この作品では、その辺りの日本の鉄工業界の腐った構造には触れて
いませんが、一工員さんの立場では3Kでこんなに働いても儲からない
カラクリには考えは及ばないのでしょう。
何とも悲しいです。
ナイスレビュー: 2 票
[投稿:2017-10-17 19:52:02] [修正:2017-10-17 19:52:02] [このレビューのURL]
10点 7SEEDS
設定、ストーリー、キャラクター全て素晴らしいです。
問題を強いてあげるなら絵柄でしょうか。しかし、表紙で買うのをためらわずに読めば、2巻までには慣れてるでしょう。
内容としては、文明が崩壊した未来でのサバイバルものです。
これ以上は実際に読んで謎を明かされていった方が面白いと思うので伏せときます。
荒廃した未来の世界でも現代でも、「自分で考えて、自分で行動する」事の大切さは変わらないというのがうまいと思います。ハッとさせられました。
複数のチーム、時系列を章で分けて書かれるので飽きもきません。
またそれらの複数のチームを上手く絡ませる構成力の高さも凄い。
主人公も複数存在し、主に「ナツ」と「花」の二人が主人公として描かれています。
この二つのチームがいつ邂逅するのか、それが現在の大きな楽しみです。
ストーリーは全体の8割以上はシリアスです。シリアスですが、鬱という程の内容でもないかなぁと思います。
未来を生き抜いていく上でのキャラクター達の精神面の成長や、葛藤が多いです。
各キャラクターの心理描写が非常に上手く、さまざまなキャラに感情移入できるでしょう。
主人公の一人ナツがいる夏のBチームが出る時だけはコミカルな雰囲気となり、ずーっとシリアスな内容が続く中での癒しとなってます。ギャップがホントに凄い、特に16巻では顕著でした。
少女漫画という事もあり、恋愛要素もご多分にもれず存在します。
こんな時代にそんな事考えとる場合かー!と初めは読んでいて思ったのですが、もし自分が明日目覚めた時にこんな時代になっていたら、きっと大切な人の事を探すだろうしなぁ・・・という事で納得できました。
既刊17巻、という事で「長っ 今からなんて集められないよ?」と思われるかもしれませんが、個人的には全巻今から集めても絶対後悔しない名作になりうる作品だと思ってます。
今のところマイナスする要素が絵柄以外みつかりません。(その絵柄も今は決して悪くはないと思っています)
まだまだ完結は先になりそうですが…こんなに面白い長編は久しぶりに読みました。
2017.10 8→10
35巻で遂に完結。こんなに長くなるとは思わなかったけど、最後まで楽しませてくれてありがとう。
ナイスレビュー: 2 票
[投稿:2010-02-28 23:32:53] [修正:2017-10-16 21:45:15] [このレビューのURL]
10点 巨人の星
何年経っても全編のあらすじが頭に蘇ってくるほど、しっかりと読み込んだ記憶があります。
現在以上にプロ野球の王者巨人軍だった時代がありました。
川上、長嶋、王、堀内が成し遂げたV9時代が背景にあります。
しかし名門巨人軍の影の部分を設定し、復讐をモチーフにする少年誌からぬ不純ぶり。
一方で純粋に野球を追求し続け、才能に恵まれない肉体をいじめに苛め抜く主人公とライバル達。
高校野球編までは、貧乏と常軌を逸した鍛錬ぶりに引き込まれていきますね。
高校野球編が一旦終結し、苦労が実る瞬間があります。
宿敵川上監督が、謝罪とともに背番号16を禅譲してまで巨人軍に勧誘に来る場面では、ここで話を終えても良いのではと思えるぐらい幸福感満載です。
しかし、第二部と言えるプロ野球編において、伝説の大リーグボール1号、2号、3号が炸裂します。
この辺りになると、原作者梶原一騎の天才ぶりも炸裂しています。
ライバルが命を懸けて対抗する、父が親友が大リーガーが敵になる。
何といってもすごいと思うのが、常に登場人物たちに、自身の行動の根拠となるマインドを論理的に整然と語らせるのですよね。
例えば、親友伴忠太や姉明子には星飛雄馬から離れていく理由を、花形にはなぜ命を懸けてまで特訓するのかという気持ちを、左門豊作には花形が羨ましくて仕方ないと吐露させ、オズマにまで飛雄馬は野球ロボットだと語らせます。
登場人物に多くを語らせることで、細やかな人物描写を成功させます。
そして、いずれも真剣で硬派の人間達が頑張れるだけ頑張るお話だから、魅力的なんですね。
私はと言えば、それほど感動して読んだことはないのですが、野球好きもあっていつの間にか体に沁み込んでしまった人生の一冊と言える存在になってしまいました。
やはり不朽の名作と言って良いと思います。
ナイスレビュー: 2 票
[投稿:2017-10-11 03:32:36] [修正:2017-10-11 03:34:24] [このレビューのURL]
8点 エリア51
作者にとって最新かつ最長作品。これまでの作者作品の特徴を踏まえつつ、世界の神や異形達を絡めながらのハードボイルドアクション作品(ギャング街風)。特徴としては
1、作者作品では特に絵が見やすい(ただ終盤などに簡素化し過ぎていると思える箇所も)
2、異形のウンチクを話に上手く絡めるだけでなく、作中でもしっかり解説してくれる(今まではやや素っ気無かった)
3、個々の事件を扱う短編と全体の復讐・抗争劇のバランス進行
4、謎や伏線が多くそれについてはほぼ回収して、主人公マッコイの物語としてはちゃんと完結する(終盤真相が明かされる舞台となっているエリア51の問題は何も解決していない)
尖っていたがセンスの塊だった「ジャバウォッキー」、丸くなりつつ総合力の「エリア51」という感じで双璧だと思いますし、どちらか一作なら本作を薦めたいと思える出来でした。
ナイスレビュー: 2 票
[投稿:2017-09-24 10:52:35] [修正:2017-09-24 10:53:14] [このレビューのURL]
9点 帯をギュッとね!
少年誌向けとしての王道中の王道漫画でしょう。
高校1年生のたった5人の仲間が柔道部を設立するところから始まり、強くなりたい、勝ちたい一心で精進に励み、やがて友情に支えられる仲間とともに成長し、勝利を勝ち取っていきます。
あの名作「スラムダンク」とはバスケットと柔道の違いはあっても同じ経過をたどりながら、やはり長編作品となる類似性があります。
前者との決定的な違いは、前者がバスケットをしていなければ道を踏み外しそうな不良系の主人公であるのに対して、帯ギュはあくまでも仲間を大切に楽しみながら強くなりたいという軟派系主人公です。
その一例として、最初から最終話までキチンとしたマネジャーの彼女がいます。スポーツ漫画では珍しいことです。
この辺りは、タッチなどに代表される軟派らしい少年サンデーの伝統的な持ち味を醸し出しています。
一方で、こんな背景でどんどん強くなり、たった2年でたった7人の部員で日本一になれるものか?との違和感も生まれがちですが。
また、仲間やライバルたちが個性豊かな配役が散りばめられています。
こんな仲間が誰もが欲しいと思うようなナイスガイと女子たちです。
一部のお気に入りを以下に羅列します。
海老名桜子・・・可愛さ満載ながら、お笑い担当です。最初はマネジャーでしたが2年生になって選手になります。読者人気投票では2回連続で1位だったはず。最後までナイトは現れませんでしたが、秘かに思いを寄せる男子がいたことが最終話辺りで明かされます。彼女の存在が本作品の面白さを倍増させているでしょう。
粉川巧・・・主人公。体力的には一般人の雰囲気だが、勝負処の戦いには滅法強く、日本一の柔道家へ。強さに対する納得感はちょっと不足します。やや凡庸な主人公で、面白みも少ないですが、少年の正しい目指すべき姿勢でしょうか。
斉藤浩司・・・仲間の中で最も柔道センスに恵まれつつも、いばらの道を志向する。仲間とカラオケ中に「こんなに楽しんでよいのか?ライバルたちはもっと厳しい時間を送っている。」と帰ってしまうエピソードも。兄弟が多く家庭環境はやや不遇な感じながら、最も努力する男。別所愛子と相思相愛に至る過程は微笑ましい。個人的に好きなキャラでした。
杉清修・・・5人の中で一番弱く、主将と気づかれていないが実は主将。髪がないのが特徴で、楽しく柔道をしたかったはずだが、皆に引っ張られて最後まで来た感じです。高校柔道を卒業した時点で、東大を目指した。斉藤の次に好きです。
来留間麻理・・・部員が1名の女子柔道部なのに、日本一、国際強化選手にまで男子よりいち早く上り詰める。天才ぶりが上手く描けており、納得感はある。
他に、宮崎茂、三溝幸宏、龍子先生などもヨロシイ。
少年たちの正しい青春のおくり方を示す教本かもしれませんね。
ナイスレビュー: 2 票
[投稿:2017-09-03 21:09:02] [修正:2017-09-03 21:09:02] [このレビューのURL]
7点 死刑執行中脱獄進行中
個人的に生き生きしている頃の荒木先生の作品です。
ただ、作者自身も語っている様に、基本的にはアイデアは長編(連載)用に取っておくので、
そこから外れたしょぼいアイデアを、持ち前の勢いと演出力で膨らませた様な短編ばかりです。笑
それだけのネタでそこそこの読み応えにしてしまう辺りは流石です。
何て事ないテーマを色んな角度から膨らましながら一つのネタにしてしまう、ガキ使フリートークの松本人志の様な感動はあります。
褒めてるのか褒めてないのか分からないレビューになりましたが、
「岸辺露伴は動かない」は傑作だと思っています。
ジョジョ4部でたかがジャンケン描写を異様に盛り上げた様に、ポップコーン食べにここまで緊迫感を持たせるのか。。。と、当時の衝撃が忘れられません。
装丁も凝っていて素敵です。
カラーページも再現してますし、良い買い物でした。
ナイスレビュー: 2 票
[投稿:2017-07-31 19:58:17] [修正:2017-07-31 19:58:17] [このレビューのURL]
5点 極黒のブリュンヒルデ
後半に一気に失速した、
打ち切りになったのが丸わかりだった作品。
本当に描きたかったラストがこれだったとは到底思えない。
何もかもが消化不良な残念作。
10巻あたりまで面白かったのに。
ナイスレビュー: 2 票
[投稿:2017-05-14 04:21:35] [修正:2017-05-14 04:21:35] [このレビューのURL]