「朔太」さんのページ

少年誌向けとしての王道中の王道漫画でしょう。
高校1年生のたった5人の仲間が柔道部を設立するところから始まり、強くなりたい、勝ちたい一心で精進に励み、やがて友情に支えられる仲間とともに成長し、勝利を勝ち取っていきます。

あの名作「スラムダンク」とはバスケットと柔道の違いはあっても同じ経過をたどりながら、やはり長編作品となる類似性があります。
前者との決定的な違いは、前者がバスケットをしていなければ道を踏み外しそうな不良系の主人公であるのに対して、帯ギュはあくまでも仲間を大切に楽しみながら強くなりたいという軟派系主人公です。
その一例として、最初から最終話までキチンとしたマネジャーの彼女がいます。スポーツ漫画では珍しいことです。

この辺りは、タッチなどに代表される軟派らしい少年サンデーの伝統的な持ち味を醸し出しています。
一方で、こんな背景でどんどん強くなり、たった2年でたった7人の部員で日本一になれるものか?との違和感も生まれがちですが。

また、仲間やライバルたちが個性豊かな配役が散りばめられています。
こんな仲間が誰もが欲しいと思うようなナイスガイと女子たちです。
一部のお気に入りを以下に羅列します。

海老名桜子・・・可愛さ満載ながら、お笑い担当です。最初はマネジャーでしたが2年生になって選手になります。読者人気投票では2回連続で1位だったはず。最後までナイトは現れませんでしたが、秘かに思いを寄せる男子がいたことが最終話辺りで明かされます。彼女の存在が本作品の面白さを倍増させているでしょう。

粉川巧・・・主人公。体力的には一般人の雰囲気だが、勝負処の戦いには滅法強く、日本一の柔道家へ。強さに対する納得感はちょっと不足します。やや凡庸な主人公で、面白みも少ないですが、少年の正しい目指すべき姿勢でしょうか。

斉藤浩司・・・仲間の中で最も柔道センスに恵まれつつも、いばらの道を志向する。仲間とカラオケ中に「こんなに楽しんでよいのか?ライバルたちはもっと厳しい時間を送っている。」と帰ってしまうエピソードも。兄弟が多く家庭環境はやや不遇な感じながら、最も努力する男。別所愛子と相思相愛に至る過程は微笑ましい。個人的に好きなキャラでした。

杉清修・・・5人の中で一番弱く、主将と気づかれていないが実は主将。髪がないのが特徴で、楽しく柔道をしたかったはずだが、皆に引っ張られて最後まで来た感じです。高校柔道を卒業した時点で、東大を目指した。斉藤の次に好きです。

来留間麻理・・・部員が1名の女子柔道部なのに、日本一、国際強化選手にまで男子よりいち早く上り詰める。天才ぶりが上手く描けており、納得感はある。

他に、宮崎茂、三溝幸宏、龍子先生などもヨロシイ。

少年たちの正しい青春のおくり方を示す教本かもしれませんね。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2017-09-03 21:09:02] [修正:2017-09-03 21:09:02]

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