「朔太」さんのページ

総レビュー数: 739レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年01月09日

最遊記本編に至る500年前のお話です。
西遊記で語られる悟空が岩から生まれ、天界から
放逐され、五行山に封印されるまでの大騒動が、
中国ほか東南アジアでは面白おかしく語り継がれているそうです。
日本人がよく知る西遊記の三蔵法師との旅は、
後半のお話ですが、前半は全くと言ってよいほど
日本人には馴染みがありません。

とはいえ、本作品でもタイトルから微妙に変えている
ことから分かるように、本家西遊記から相当乖離した
独自のストーリー展開です。
確かにオリジナリティはありますが、3名の悟空の
庇護者たちの命を懸けて拘る意地の理由が、
終始一貫して理解不能でしたので、入り込めません。
ここが最も大切なところですが、全く説明不足でしかありません。

女性作家の重視する感情最優先ストーリーとなって
しまっており、根底にはBLすら感じてしまいます。
個人的には、BLはそんなに美しいことですか?
と思いますので、共感できません。

絵は美しく、格好の良い人物しか出てきませんので、
女性向けには一定の評価は与えられるかもです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2020-11-27 06:09:42] [修正:2020-11-27 06:09:42] [このレビューのURL]

戦国時代を背景に傾奇者(かぶきもの)あるいは、
いくさびとのポリシーを世に紹介し、
男気に結び付けて美化した作品である。
男はかくありたいと、少年たちに啓蒙した功績は大きい。

化け物のような怪力と巨体があれば、
怖いものなどあるわけがなく、男気の自信の源が
肉体的に圧倒的な格差であることが見て取れるだけに、
手が届かない希望を見せられている気もする。
中には、力を得るためには、体を鍛え格闘力を
身に着けようと決心した少年も多かったことだろう。

少年誌だから許されるのだが、エンターテインメント
としては心から楽しめないシーンがたくさんあったこと、
強者の論理が鼻についたことが残念ではある。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2020-11-20 06:12:21] [修正:2020-11-20 06:12:21] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

表題から想像する内容は、星里さんの得意とする
ラブコメでなければ純愛ドラマの辺りでした。
進展する展開にその都度裏切られるサプライズが
心地よかったです。
結果的には純愛ドラマに落ち着いた印象ですが、
とても純愛とは言えないドロドロのヒロイン浮世が
私にはとても新鮮でした。

話は変わりますが、ネーミングとしての浮世は、
浮世離れの意味ですよね、きっと。
浮世のような女性は、同性には本当に嫌われますよね、
現実には。
実際、いますよ、まれに。
すぐに謝る、押しに弱い、断れない、むしろ人に
媚びることで特に男を誤解させる、
結果そんな気はなかったと逃げ出す、
嘘をついてでもその場を繕う。
しかし、放っておけないくらいひ弱で儚い美しさが
あるので、灯りに吸い寄せられるように男が群がってくる。
同性の女性には最も太刀打ちしがたい大敵ですよね。

災厄を呼ぶ女性、浮世。
こんな女性の魅力がベースになっています。
男なら大抵の者は理解できます。
主人公辻もその一人ですが、その危険な匂いに気づいて
絶対拒否する時もありますが、結局は人生のすべてを
失った挙句、彼女の魅力から逃れられない自分に気づきます。

ハッピーエンドかと思われた4巻では、浮世にとって
辻の存在が絶対と感じたその直後の引っ越し屋とのトラブル、
辻との生活を捨てて峰内の元に戻る裏切り、
さらに峰内も捨てる心変わり、の場面は
若干の論理性が欲しいところですが、
それがないから不思議ちゃんの浮世なんですね。
疑うことなく、仕方ないと受け入れることだけが
浮世のパートナーになれる資格を得るわけです

最終巻の展開も、サプライズといえばそうだし、
これでしか話は終わらない感じですが、満足でした。
最初の浮世の出現から最後の展開までこれまで
見たこともない波乱のドラマを見せられた気がします。
名作だと思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2020-11-14 07:04:17] [修正:2020-11-14 07:04:17] [このレビューのURL]

離島に住むしがない漫画家のどうでもよい日常の物語
という触れ込みですね。
1話を読んだ時点では、若者の離島物語かと
思いましたが、それなりに面白く読むと、
2話から全く思いもしない展開でした。
主人公が全く別のところにいた驚きとほのぼのした
どうでも良い日常が何とも心地よく、
漫画家さんの苦悩とちょうどよいバランスがよろしいです。

しかし、これを少年誌で連載とは、編集さんも
思い切った判断です。
因みに、タイトル名が全く意味不明のように思えますが、
「葦の髄から天井を見る」のことわざから引用されたようです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2020-11-08 06:42:28] [修正:2020-11-08 06:42:28] [このレビューのURL]

7点 屍鬼

藤崎竜は好きな漫画家の一人です。
独特の描画表現を持っています。
人物は、主要人物には可愛く大きい目を与えて、
脇役には一般描写で書き分けて、一様に少年誌風の
イラスト風です。
しかし、背景に目を凝らすと、実はとてもリアルな
写実画を全部ではないのですが、配しています。
これは相当な労力をかけているだろうと思われ、
藤崎一人では無理そうです。
写実描写の得意な優秀なアシスタントさんと藤崎の
協同作業が成しえた独特の描写と推察しています。

さて、本題の内容ですが、藤崎は原作物を借りて
漫画を描く方針を徹底しているようですね。
最初の封神演義で成功したからか、本人の意向か、
編集者の判断でしょうか。
本作の他に、封神演義、銀河英雄伝説もそうです。
原作の手を借りない作品もありますが、
どれも短期連載で終了していますので、
的を得た作戦でした。

しかし、本作品は、ホラー作品ですので恐怖が
下敷きにならねばならないはずです。
藤崎の可愛い描写はミスマッチの印象です。
もっと相応しい作家さんがいたのではないでしょうか。
頑張ったのですが、企画上の限界を感じざるを得ません。

藤崎竜ならではの世界観でもっと良い作品が出せるはずですので、
一層期待したいです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2020-11-02 17:48:21] [修正:2020-11-02 17:48:21] [このレビューのURL]

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