「朔太」さんのページ

総レビュー数: 740レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年01月09日

何度も読み返しています。
重度障害者とその家族、教師の葛藤、なんて簡単な軽い言葉では表現できません。
彼らは障害と戦っているのではなく、社会の無理解と戦っているのです。

この社会には障害者を家族に持つことが罪悪であると思わせる何かがあるのです。
まさに敵は、隣人であり政治であり人間の存在そのものです。
障害が無慈悲ではなく、障害がなければ感じなくても良い悲しみが無慈悲に感じてしまうのです。
時には絶望的な現実に押しつぶされそうになり、結果、家庭崩壊、自死・自傷、孤立、疎外など壮絶な現実が、家族全員を巻き込んで突きつけられます。
家族のような同志がいても、負担がさらに大きくなる場合もあって癒しにならない不幸すらあります。
ましてや子供と母親だけの場合は、孤立無援の地獄になります。
いくら戦っても、努力しても解決の糸口すら見えない日々、それでも幾分かの希望を灯を支えに生きていく。

貴方が同じ立場にあれば、貴方は生きることができますか?
そのことを思えば、せめて障害者家族を攻撃することだけは止めて欲しい。
冷たい目線で「その子を何とかしろ」とか言わないで欲しい。
それは、畜生の行為だと自覚して欲しい。
健常者には理解しがたい、あるいは想像できない障害者の生活、人生と苦悩する家族や教師たちの実情を、山本氏が丁寧に伝えてくれています。

健常者がさすがに障害者をさして「可愛そう、同情する」といった表現はしなくなりましたが、本当に理解して黙ったわけではないでしょう。
心の底辺にある無理解の気持ちを揺さぶりながら、健常者への理解を助けてくれた作品としての価値は計り知れないでしょう。
あるレベルでの社会への影響のあった作品ではあります。
いくつかのどんぐりの家というネーミングの施設ができたとも聞きます。
しかし、もっともっと、多くの健常者に、この作品を通じて理解を深められるよう願います。
その機会がもっと増えますようにと願います。
そして、我々は寄付以外に何ができるのか、もっと何が応援できることはないのか、深く考えねばなりません。

私は真剣に提案します。
小中学校での啓蒙資料として、あるいは政治参加者、公務員採用候補者への必読書にこの作品を指定しませんか?
健常者が持っている資産の一部を、税金という形でもっと彼らに分配しませんか?
それは彼らへの同情や支援ということではなく、我々人間が人間であるという証明をするために。
全ての人がこの世の意図しない地獄から免れるように。
「仕方ない」で諦めないですむ社会を作る一歩のために。

最後に、漫画というエンターテイメント媒体を通して、この作品を世に出した山本氏とビッグコミック誌に敬意を示したいと思います。
さらに作品中にあるフレーズを紹介します。
障害を持つ子供達は皆、なんらかの形で悲しみや絶望感を持っている。
子供自身も親も、それを克服するのは容易な事ではない。
なぜこの子だけが・・、なぜ自分だけが、障害を持って生まれてきたのだろう・・。
その「なぜ」という問いに、誰も明確に答える事はできない。
しかし、この子等は生まれてきた。自分の生命を花咲かせ、その人生を楽しむために・・。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2022-12-31 14:43:11] [修正:2022-12-31 14:46:05] [このレビューのURL]

余命僅かの少女の物語という少年誌に珍しいファンタジーでした。

小山ゆう氏のギャグは、少し寒いところがあって、
読むのが気恥ずかしい一面があります。
しかし、「あずみ」、「俺は直角」、「がんばれ元気」などの
作品でも気恥ずかしさを通り越すと、いずれも機微に触れた
感動を味わうことができます。
この作品はまさにそんな代表作品でしたね。

余談ですが調べてみると、この作品を少年マガジン誌に
連載しながら、ライバルの少年サンデーでは
「スプリンター」を連載していたのですから、
油が乗り切った当時の売れっ子作家だったようです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2022-12-26 08:38:45] [修正:2022-12-26 08:38:45] [このレビューのURL]

1万2千年前の古代日本を舞台にした和製ファンタジーです。
現在の感覚で言えば、ファンタジィの完成度は低く、
男女の愛憎が中心にあり過ぎて、中途半端な印象です。
これが1980年代の作品ということですので、リスペクトは致しますが。

敢えて言いますが、女性作家も男女関係を外して、
ファンタジィを語れないものですかね。
そこに辿り着く女性作家が現れてはじめて、漫画界も
男女格差云々がなくなるように思います。

このサイトでの評価は最高レベルですが、私には合いませんでした。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2022-12-24 12:53:25] [修正:2022-12-24 12:53:25] [このレビューのURL]

同時代フランスの漫画作品には、「ベルサイユのばら」が有名ですが、そこまでのドラマ性はありません。
ですが、ずっと男性向けの嗜好に仕上がっています。
それでも、男性にどの程度支持されているのか疑問です。
何とか3巻まで読みましたが、ここから撤退致します。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2022-12-24 12:40:24] [修正:2022-12-24 12:40:24] [このレビューのURL]

藤栄さんの個性が光る作品です。
歴史上の有名人が毎回タイムスリップしてきて、
料理のリクエストを受けます。
歴史と料理の薀蓄二重奏が楽しめます。

そこが魅力なのですが、1回あたりの枚数が
多いのと相まって、毎号の内容が少し
ヘビイに感じるのは私だけでしょうか。
藤栄さんの可愛い絵柄は相変わらず楽しめますので、
ファンの方は一読です。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2022-12-22 07:52:16] [修正:2022-12-22 07:52:16] [このレビューのURL]

テレビ放映もされるほど、人気を博しているようです。
女性作家特有の「イケメンぞろいが集まって、癒し系の
和風喫茶を始めたら、絶対私たち行きつけるわよね。」
という期待の声に応えました、って感じがありありです。
まあ、本当にあれば大評判でしょうね。
まあ、イケメンたちがこんなに協力的とは思えません
ので実現は難しそうです。

作品的には可もなく不可もなくで、女性誌に連載した
方が良さそうな気がしましたね。6巻で撤退します。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2022-12-14 15:02:33] [修正:2022-12-14 15:02:33] [このレビューのURL]

表題から探偵・推理ものと期待して読みました。
予想に反して、ギャグ漫画でした。
名探偵気取りの少年を笑う、という展開が毎号読み切りで展開します。
残念ながら、私には笑えないというか、何が面白いのか
理解できずに終わりました。
設定は新しい斬新なものでしたが、ギャグの陳腐さでこけた感じです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2022-12-10 13:57:42] [修正:2022-12-10 13:57:42] [このレビューのURL]

松本次郎さんの作品は、とても個性的です。
近未来的な退廃的な世界が背景になっていることが多いです。
個人的には、共感するところはあまりなく、
こんな作品も暇潰しには良いかな、ってところです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2022-12-08 08:58:07] [修正:2022-12-08 08:58:07] [このレビューのURL]

6点 Artiste

表題から想像したのは、芸術の卵たちのパリでの
奮闘記のような作品でした。
少し読み進めますと、落ちこぼれ料理人が自身の
生まれつきの才能に気づかないまま、有名シェフに
見いだされて運命を切りひらく話かと理解しました。
料理マンガに分類される作品かと。

しかし、さらに読み進めると、むしろ気弱で自身
不足の主人公ジルベールの日常がテーマなんですね。
多くを望まず、日々の周囲の人々とのつながりを
大切にする毎日でした。
ほのぼの系のキャラをお求めの方に適した作品です。
6巻まで読みました。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2022-12-03 12:09:54] [修正:2022-12-03 12:09:54] [このレビューのURL]

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