「朔太」さんのページ

総レビュー数: 740レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年01月09日

7点 BUTTER!!!

高校ダンス部での青春群像のお話です。
今風のセリフ回しが多いのも特徴です。

元気印の夏、ネクラで目標のない端場の男女二人を
中心に展開されるお話かと思いきや、周囲を固める
脇役に焦点が移っていき、むしろ味を出しているのは
たった4名のサブキャラ達でした。

コンプレックスで自縛状態の柘、他人とぶつかり合え
ない掛井がお気に入りです。
柘は単なる数合わせ的なメンバーと思っていたら、
突如前髪を上げたりしてサナギが蝶に変身してしまい
ました。それでも根本的なコンプレックスから抜け
きれておらす、むしろ愛おしくなるくらいの魅力ある
キャラになります。

創部者でありながら副部長と影の実力者を装う和美は、
熱情を隠しつつ笑顔を出しません。
部長の高岡は、そんな和美の孤独さに魅かれて
ダンス部を手伝います。

青春には淡い恋心がつきものですが、できるだけ
これを排除して、熱中したり打ち込めること、
楽しめる自分探し、仲間探し、といった女性作家
ならではの視点で物語を進めていきます。
これは男性作家では絶対描けない世界だなあと
思いつつ、一方で自分の青春と重ね合わせて
共感できました。

胸の奥のチリチリした青春への憧憬に火をつけて
くれる作品です。私は結構気に入りました。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2016-10-30 09:05:45] [修正:2016-10-30 09:05:45] [このレビューのURL]

昭和を投影した原風景が背景にある漫画。
誰しも小学生の頃を思い出して、何とバカバカしい毎日
だったとか、なんであんなつまらないことにクラス中が
熱中していたのかとか、玉ねぎ頭のようなクラスメートが
いたりとか、ありますようね。
そんな想い出帳から沢山の友人と家族を引っ張り出して
きては、エピソード話を紡いでくれたちびまる子ちゃん。

爺さんも婆さんもいる実は三世代家族のちびまる子は、
決して孤独ではないのです。といって、自立心がない
訳ではなく、むしろ独特の感性で自分だけの生活を
楽しんでいます。

三世代家族は昭和の時代には典型的家族かと言えば、
そうではなかったと思いますが、むしろ団地族や核家族に
対して憧憬や懐かしさを与えていたのかもしれません。

さらには、作者の独特のクスぐりネタは、共感を呼ぶ
健全な小市民感覚のギャグだからこそ、長く支持されて
きたのでしょう。

アニメを通じて、サザエさんに肩を並べるくらいの
国民的お茶の間漫画の地位を勝ち得たと言えます。
いわば、名作です。
しかし、原点は原作初期にある小さな想い出話に
過ぎなかったことは、驚くべきことだと思います。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2016-10-23 22:43:01] [修正:2016-10-23 22:43:01] [このレビューのURL]

マイケルという猫を借りて、小林まことのギャグだけを
集めた短編集という気がします。
ストーリーをそぎ落としてマイケルの日常を通して、
猫の可愛らしさと人間のバカさ加減を笑います。
読みながら「馬鹿だねえ。」と思わずつぶやいています。

「1・2の三四郎」で非凡なギャグセンスを見せた後、
本作の連載が始まったようですが、私はこの短編もの
よりストーリーの間に挟むギャグの方が好きで、
「柔道物語」がその集大成に繋がったように思います。
とはいえ、本作品も小林まことの代表作として、
記憶に残る作品になりました。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2016-10-18 05:22:38] [修正:2016-10-18 05:22:38] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

複雑な説明で世界感を語ろうとするのだけれど、登場人物が
多すぎるので、理解は未消化のまま終わりました。
しかし、侵略者とその後の処理で、世界が嘘になって
しまったという点では、大筋でサプライズを与えて
くれました。この世界感がたまらなく楽しめた方は、
評価が高いでしょう。

もう一つは、主人公を取り巻く人間関係が、コンプレックス
と近親的愛憎にまみれていて、これが苦痛に感じる読者と
これを魅力と感じる読者で評価が分かれると思いました。

私は、残念ですが、世界感でも人間関係でも、感情移入できる
タイプではなかったようで、相当の速度で読み飛ばして
しまいました。

それでも最終巻近くでは、「優しいウソの世界」という
表題通りの共感を覚えましたので、そこそこ満足できる
できばえだったと思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2016-10-16 20:09:15] [修正:2016-10-16 20:09:15] [このレビューのURL]

少女誌向けラブコメというのは数あれど、ここまで徹底した
少年誌向けラブコメは前例がなかったような気がします。
あえて言えば、「タッチ」他あだち充先生の一連作品
でしょうが、少女向けでも通用しそうなテイストは、
初めてとも言えます。

ギャグの質はかわいい少女達のやることだから許される
ような誤解ネタが多すぎて、あまり笑えないものも
多いです。主人公の天満が天然の設定だからなのですが、
安易に誤解が誤解を生んで大混乱というのを乱発し過ぎで、
止めてほしいところでした。

一方で、準主役の播磨の一途さ、男気に筋が通っていて、
気持ち良かったです。私の一番のお気に入りは八雲
ですが、播磨がどんなに深い関わりを持っても、
いつまでも「妹さん」と八雲を呼ぶ姿勢に好感度大
でした。また、心揺れる八雲や沢近の姿がラブコメ
たる所以ですね。

ほとんどマンネリ化したパターンの連続ではありますが、
絵が可愛く週一度の清涼剤のような連載でした。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2016-10-09 17:29:40] [修正:2016-10-09 17:29:40] [このレビューのURL]

麻雀漫画と分類されているようですが、麻雀の手役の進め方を
説明した場面は一度もありません。麻雀に名を借りた賭博
漫画というか、イカサマ手口で勝負する玄人(バイニン)
商売の世界を紹介しているにすぎません。

戦後の混乱期を背景に、喰うか喰われるか、生き延びるか
落ちるか、の命の賭け方も本人次第であって、誰にとっても
賭博人生だったようです。
様々なイカサマ手口を編み出した玄人が、哲也の前に次々に
現れては敗れていきます。その異様さや特異さは少年誌には
相性が良く、長期連載になった理由の一つでしょう。

警察にとって治外法権である寺の中で、絶対負けない秘策を
持つ僧侶、警察権力を背景に負けを強要する刑事、牌に
気付かない目印を付ける玄人、美人玄人等、個性的な好敵手が
次々に現れて、バトルが繰り返されていくわけです。

青年誌のような大人の臭いをちょっと嗅がせて、
少年誌では見せにくい世界を、程良い異様さで別世界の
ような演出させていることで成功しています。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2016-10-05 05:18:21] [修正:2016-10-05 05:18:21] [このレビューのURL]

サスペンスドラマ仕立ての展開で、1巻目には期待も大きい
ところがありましたが、展開は遅いし、謎は深まらないし、
最後まで同じ興味で引っ張るし、2巻目以降はグダグダで
急失速でした。
暗殺者、記憶喪失的な二重人格がキーワードですが、今や
三流TVドラマでも使わないような設定の古さですから、
興味が続くわけがないです。

副題の「12人の優しい殺し屋」は、出てくるには出て
きたのでしょうが、主人公一人が中心に回る展開で、
他の殺し屋は完全な脇役ですから、全くふさわしく
ない副題でした。
オムニバスを想像していましたが、そんな深みはなく
期待して損した感じです。その失望が結構大きな
マイナスになりました。

女性漫画家特有の目ばかり大きく髪がさらさら人物と動き
のない絵面も好みでないこともあって、残念ですが、
私には合わなかったです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2016-10-01 18:35:06] [修正:2016-10-01 18:35:06] [このレビューのURL]

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