「朔太」さんのページ

総レビュー数: 739レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年01月09日

少年向けの幼稚さと大人向け高度なファンタジーが同居した
独特の世界感が特徴です。

幼稚さは、
1.SF的な要素に科学的根拠は全く考察されておらず、
宇宙は想像もできないことが起こるのだという説明で全てが
語られていること 
2.毎回のお話がほとんど同じ展開であり、登場人物と惑星だけが変化する
3.メーテルに代表される美人は、描き分けられることがない
ことに起因するものと思われます。

一方、既成概念の宇宙船は全く現れないし、人類の失敗を
比喩的に批判した主張があること、主人公鉄郎は相当の
ブ男にも関わらず、登場人物全員に支持されており、
むしろ英雄視されている、そのことで、全ての男性に
受け入れやすいファンタジー基盤が存在します。

松本零士氏は、著作権に相当拘る方だそうですが、
もともとは宮沢賢治とメーテルリンクの世界感を踏襲した
わけで、その主張もやや弱く感じるのは私だけでしょうか?
本当に鑑賞に堪える作品に仕上げた映画版やTV版の貢献も
大きいように思います。

少年キング誌が廃刊直前の5年間程度、最後のヒット作品として世に出ました。
結論として少年誌においては、独特の世界感を漫画で表現した
貢献は認めざるを得ません。

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[投稿:2018-07-24 02:26:00] [修正:2018-07-24 02:28:23] [このレビューのURL]

偶然にも今週始めからテレビドラマ化がされましたが、
久し振りに福本伸行を堪能したいと読みだすと、止まりませんでした。
1日もかけずに全8巻読み切りたくなる衝動は、全く
福本ワールド全開のせいです。

あいかわらず、人間社会の格差と人間そのものの能力格差を
全面に押し出してきますね。
そこに一獲千金の人間欲を絡めると、人権無視の非情の世界が
生まれても誰も異議を唱えません。
だけど本当に最後の命のやり取りになると、凡人は烏合の集となって馬脚を現す。

福本氏の作品の魅力は、主人公のヒーロー、天才たちよりも、
人間の愚かな習性、本質を見抜いた周囲の凡人たちを表現して
くれることかもしれません。

さまざまな関門やゲームは、やや必然性に欠けており、
一種の気づきに依存しているところがありますが、
全般に一定品質は維持されていたと思います。

天、カイジ以降、期待に応え続ける福本伸行氏に今後も期待したいです。

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[投稿:2018-07-17 06:42:34] [修正:2018-07-17 06:42:34] [このレビューのURL]

社会の歪、それも都会の底辺から見た視点、大衆の迎合的
醜悪さを表現するに、特筆すべき技量が見られる高橋ツトム。
2000年前後で活躍した作家の中では沙村広明とともに好きな作家さんです。

本作でもしっかりとした構想を持って連載をスタートしたと想像できます。
死後にすら現世に未練を持つ人生模様を描くのが主題と思われます。
続編もあるようなので、続けて読んでみたいと思います。

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[投稿:2018-07-12 03:22:13] [修正:2018-07-12 03:22:13] [このレビューのURL]

物語の中心となるのが、復讐劇です。
復讐対象は、警察機構にあるという、いわばよくある話とも言えます。
しかし、警察という公務員たちの出世や手柄を競い
合ったり、大組織に生まれる縦割り組織のエゴによる
社会的な腐敗としての課題を追求しているなら、
共鳴できるのですが、煎じ詰めると警察の中で権力を
握った人の個人的犯罪なんですよね(ややネタバレ)。

24巻も連載が続いたのだから、面白いと思える意外性も
あることはあるのですが、おおむね想定内の範囲での展開と
想定内のキャラしか出てこないので、さほど沸き立つものはなかったです。

唯一、表題だけは惹きつけるものがありました。
この表題で読んでみようかと思った人は多いかもです。

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[投稿:2018-07-03 19:41:43] [修正:2018-07-03 19:41:43] [このレビューのURL]

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