「朔太」さんのページ

総レビュー数: 740レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年01月09日

カイジの活躍や賭博勝負の在り様も良いけど、何より

賭博を通して社会の構図や人間を俯瞰している点ですごい。

悪党側の会長や利根川は極端な描写ではあるが、社会権力者の代弁であり

資本主義社会の正義を語らせている。

<感銘した台詞>

1.高層綱渡り:死を現実のものと受け止めて命乞いを始める者へ利根川が、

「どんな事態になってもとことん真剣になれない病。いつだって許されると

思っている。借金を踏み倒そうと極論、人を殺したとしても、自分は悪くない

自分は許される、なぜなら今起こったこの事態はあくまでも仮で、本当の自分は

あずかり知らぬこと、そう考えるからだ。・・・ゆえに奴らは30になろうと

40になろうと、自分の人生の本番はまだ先で、本当の俺を使っていないから

今はこの程度なのだといい続け、結局老い死ぬ時に丸ごと本物だったと気づく」

2.カイジの名台詞:「勝たなきゃ、誰かの養分」

3.綱渡りの最中、カイジが、「希望は、・・夢は・・・人間とは別の何か

他のところにあるような気がしていたけどそうじゃない!人間そのものが希望だったんだ」

4.会長が「貧乏人は王にならんと金を求め、逆に現在いる王の存在をより磐石に

する。そういう不毛なパラドックスから出られない。金を欲している以上、

王は倒せぬ。」

並みの社会学者や哲学者、共産主義者では想定できない極限状態だから、

説得力がある。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2011-10-22 18:50:38] [修正:2011-10-26 01:51:56] [このレビューのURL]

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