「朔太」さんのページ

総レビュー数: 740レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年01月09日

古代の三つ目族が超能力を持った一族だったはずという設定は、
13年後の高田裕三氏の3x3アイ”に引き継がれました。
それほどインパクトのある設定であり、飛鳥時代の遺構などに
さえ宇宙人あるいは古代人の謎が隠されていることを信じさせてくれます。

当初はその謎の提示がとても神秘的で、その先を読ませる強い動機付けになりました。
残念ながら、その先には深みはなく、ロマンだけに終わった感じはします。
これをしっかり引き継いだ感があるのは高田裕三氏の功績でしょうか。

主人公の写楽くんの二重人格ぶりにも引き込まれます。
保護者役の和登さんは単なる同級生としては考えにくい程の面倒の
良さがあって、現代のドライな人間関係ではとても違和感がありますが、
手塚氏の希望に満ちた少年たちへのメッセージかもしれません。

手塚治虫氏の代表作品の一つといっても良いでしょう。


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[投稿:2017-11-26 07:03:01] [修正:2017-11-26 07:03:01] [このレビューのURL]

他人と喜びを共有できない孤独の人って、世の中にいますよね。
そんな人間がハイテンションになれるクライミングを見つけて、
オンナよりも金よりも魅力ある世界にのめり込んでいく主人公です。

恩人や数少ない友人とも離別があり、トップクライマーを目指す
チームメンバーとの交流に目覚める話かと読み進めますが、
全くその逆でした。
クライマーは名声や金から背を向ける人種かと思いきや、
俗世にまみれた欲物や我欲の世界だったという展開で
サプライズがありました。
命を懸けて挑戦するクライムの世界は、本当にそんなもの
なのか疑問もありますが、人間同士が関わりあう以上、
その世界はやはり俗世と変わらないのかも知れません。

そんな意味では、孤高の人という表題には、とても違和感が
ありました。孤独の人の間違いではないかと。


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[投稿:2017-11-22 18:00:33] [修正:2017-11-22 18:01:15] [このレビューのURL]

ドラッカーの啓蒙図書として考えるならば、最高の効果だと思います。
普通ならドラッカーに関心を示すのは、何とか黒字にしたい
儲けたい商売人だけでしょう。
漫画にされると、主人公が自分たちより絶対にマネージメントに
無縁な女子高校生なんだから、読んでみようかなあと
手に取りたくなるはずです。

この本は当時、それなりに話題になり、相当売れたと記憶しています。
ただし、内容的には結論めいたものはあまりなく、話題先行の先細りでしたね。


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[投稿:2017-11-19 10:33:31] [修正:2017-11-19 10:33:31] [このレビューのURL]

探偵が活躍する推理ものかと思いきや、半分コメディ、
半分料理・食べ物のウンチク、雑学知識漫画でした。

連載当初は、立派に殺人事件も起こっていたのですが、
いつのまにやら些細な小事件のお話に変わってきました。
「ミスター味っ子」「将太の寿司」の作者ですから、
元来料理・食べ物に深い知識があるためでしょうか、
面白いトリビアが事件の真相になっていることが多いです。

作家が本業の主人公高野聖也が毎回全開させる食欲は、
まさにマンガレベルで半端ありません。
回を追うごとに極端になり、14巻では漁船で
水揚げする魚を食い尽くす勢いでしたから、有り得ません。
主人公がボケなら、可愛い秘書出水京子はツッコミ役でした。

従来になかったテイストの探偵ものの面白さでした。

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[投稿:2017-11-17 07:30:02] [修正:2017-11-17 07:30:02] [このレビューのURL]

漫画が文化の一つとは誰も認めなかった時代に、白土三平の
孤独な試行錯誤がありました。
50年以上の月日が経って、サブカルチャーとしての漫画が
確立された今、同じ視線で評価を与えることは難しいです。

彼らの時代背景を考えれば、娯楽としての作品作りを
目指していたはずであり、決して高尚な歴史小説まがいの
作品を志向していたはずもないでしょう。
商業的な成功を目指していたはずであり、雑誌の廃刊を
最も恐れながらの活動であったはずです。
にもかかわらず、社会の底辺にある問題提議や深淵な
人間の営みの不可思議さ、いわば曼荼羅模様の世界感を
表現し、品格ある文学作品に仕上げています。
壮大な大陸の開拓者でありながら、先駆的な求道者を
連想させる作者に頭が下がる思いです。

数百年後の今に残る商業的絵画が人類の資産と呼ばれる
ように、カムイ伝もまた後世で同様な評価を得るように
なるように思います。


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[投稿:2017-11-07 18:01:01] [修正:2017-11-07 18:01:01] [このレビューのURL]

歴史文学のような、あるいは大河ドラマのようなテイストがあります。
漫画版大河ドラマがぴったりくる形容ですね。

歴史の起伏をさも大事に描くのではなく、龍という一人の
人間の目を通して、あくまでもその時代を生きた人間の
今を淡々と書き記していくスタイルです。
もちろん、命を狙われる、追われるのアクションやスリルが
ドラマの中に散りばめられているのですが、それは
大局的には些細なことのように思えるから不思議です。

龍の視線の先には、水平線の向こうがあります。
その志の高さに人間としての器や爽やかさを感じます。
これが本作品の魅力です。
決して歴史が先にあって、人間がその流れの中に
生きているのではなく、当然のことですがその真逆なんだと
いうことを強く感じさせられます。


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[投稿:2017-11-03 21:02:09] [修正:2017-11-03 21:05:33] [このレビューのURL]

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