「朔太」さんのページ
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- 病弱だった少年時代から、読みたくて読みたくて仕方のない漫画が周囲に沢山ありました。他にすることもない寝床で読む漫画は、1ページ1ページが宝物のようで、丹念に時間をかけて食べるように吸収されていきました。漫画のある国に生まれて良かった、と思えるくらいの喜びでした。以来、数十年、私の周りには多数の未読の漫画本が常備されています。漫画がサブカルチャーと位置付けられて久しいですが、今や映画もドラマも漫画が原作でないものが珍しくなってきました。文化としての名作漫画を探しつつ、私個人の探訪歴(読書歴)として、このサイトを利用させてもらっています。

10点 監察医 朝顔
30巻300話を完読しました。
事件、事故で亡くなった人の死亡原因を検死解剖で調査する医者が、監察医です。
だから、基本は事件や事故の謎を中心に物語が展開されます。
その謎解きが当初は中心でしたが、300話の大長編ですから、それだけではなく、
主人公朝顔の恋はもちろん、日々に出会う人たちとの関わりと心の交流が
テーマになっています。
当初はそれほどでもなかったのですが、朝顔の恋、失恋、結婚、離別、出産
などを通した女性としての当たり前のようで当たり前でない日常を通して、
人生への慈しみがとても感じられるようになりました。
派手な展開はないのですが、長編に付き合っているうちに、朝顔という
人物の深層まで理解できるような親密さを感じるようになりました。
特に、最愛の夫との別れは、心が痛みます。
医者と女性という立場を切り分けない描写は、共感致します。
ただし、朝顔自身は美人という設定なのですが、私には朝顔というより
お多福顔に見えて、あまり美人さんには思えないところが、
少し残念な気がしています。
でも、全体にわたって共感を呼び、ほのぼのとした隠れた名作だと思います。
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[投稿:2025-03-08 10:03:15] [修正:2025-03-08 10:03:15] [このレビューのURL]
10点 寄生獣
このサイトでは、圧倒的な支持の下、高評価を得ている作品です。
(馬鹿なアラシのせいで無茶苦茶になる前は「ベルセルク」以上の
評価を得ていました。)
10年以上前に読んだ時と現在の印象が、私の中で変化していることに驚きました。
10年前にはSF的な未知の生物とのバトルに目が奪われており、
一気に読み終えていたようです。
今回再読には、ゆっくり時間をかけて読み直してみました。
寄生獣に同情する自分がいることに驚きました。
田宮涼子の行動と言動が、特に印象的です。
本作品は多くの支持を得ていることに間違いはなく、それはメッセージ性の
強さが原因だと思います。
主人公新一が常に感じている、万物の頂点にいる人類に対する疑問あるいは、
警鐘と批判といっても良いでしょう。
多くの人々がそれに同調し、理解を示したわけです。
高い娯楽性を有しながらも、人類への啓蒙的な側面を持つハイレベルな漫画
作品がトップレベルの支持を得ていることに、漫画ファンの一人として誇りに思います。
世界中の人々に読んで頂く価値がありそうです。
話は変わりますが、最後にミギーが「人間の価値は、心に余裕がある生物で
あること」と主張していますが、実は作者が一番言いたかったことだと
巻末で書かれており、面白く感じました。
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[投稿:2025-02-16 09:03:04] [修正:2025-02-16 09:03:04] [このレビューのURL]
10点 ゴルゴ13
1968年からだから、42年間連載中なんですね。
漫画を絶対読まない人以外は、皆さんご存知の有名人、デューク東郷さんの大活劇。
皆さん知らない政治、経済系の話は辛そうですが、私はこの漫画で結構
地政学的な世界の事情を教えてもらえて感謝しています。
例えば、クルド人の悲劇、イスラエル側の事情、石油メジャーとアメリカ政治の
関係なんか、10代の時には漫画から教えてもらうのが手っ取り早いですよね。
偏った情報になったとしても、NHK・新聞他別の情報で修正していく感じです。
Hなシーンも多いですが、全然気にならないのは何故?
<追記 2025.1.4>
言わずと知れた漫画界の不朽の名作。歴史的には劇画というジャンルをエンタテイメントの世界に加えたさいとうたかを氏の最大の功績であり、その代表作がゴルゴ13ということだろう。当初はゴルゴ13は日本人か、どんな出自かといった謎の部分の解明に心を躍らせたが、作者同様、途中からはそこから関心は離れた。本作の魅力は超人的なGの能力にあって超絶で圧倒的な力を見せつける解決なんだと気付く。いわば大人のスーパーヒーロー。もう一つの切り口が、国際政治だとか地政学的な世界のパワーバランスだとか、日本人が最も苦手な隣人の事情について、時事的にお勉強できるテキストとしての有用性が、大人たちに愛される理由だろう。大学時代、研究室の助手が、臆面もなくゴルゴ13で世界の勉強をしていると言った時には、引いたが。圧倒的な面白さがあるかと言えば疑問の余地もあるが、人生に影響を与えた漫画作品の一つであることには間違いがないので、10点としたい。残り1/3くらいは読んでないので、人生終えるまでにゆっくりと読ませてもらいましょう。
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[投稿:2010-10-24 18:34:51] [修正:2025-01-04 09:28:01] [このレビューのURL]
10点 ルーズ戦記オールド・ボーイ
ここまでレビュー作品数も700を超えた。
そろそろ過去の作品の中からマイベスト10を選んでみようかと
思っているところに、とんでもない作品に出会ってしまった。
面白かった。
マイベスト10あるいは5に入りそうな最高レベルの傑作だ。
これまで作品名さえ知らずに、偶然出くわした幸運に感謝
したいくらいだ。
サスペンスドラマとしても一級品の脚本だから、小説にしても
TVドラマでも良いものになるだろう。
実際、韓国で映画化された上、さらにはハリウッドで2013年
リメイク作品にもなり、好評だったようだ。
(私も後日、米国作品を鑑賞したが、オチは原作以上の分かり
やすさで高評価である。)
しかし、漫画ならではの味わいがあって、特に嶺岸氏の描く
アウトロー、闇世界の表情と相まって、最高の味わいが出ている。
初話から最終話まで、読む手が止まらない。
話の区切りでは、必ず次に繋がる謎や混迷が残るので、
凄さに圧倒されていた。
連載中に出会っていたら、毎号買っていただろうな。
サスペンスの質が何より上質である。
当初は、20年監禁された理由と監禁加害者が謎、監禁した
加害者への復讐劇かと思いきや、加害者の深い闇と対決、周到に
用意されていた舞台と罠の数々、そして大団円を迎えるのだ。
監禁理由がしょぼくて理解不能との声もありそうだが、私は
その辺は気にならなかった。
何しろ望みうるものは何でも手に入る人間が考えることなんだから、
凡人の常識を当てはめるのはナンセンスというものだろう。
むしろ謎解きの後にも残る謎の置き方に感服した。
既に3回読み直しているが、最後のエピローグまで完璧な仕上げ
を施してあるのには驚く。
漫画通ならば、この一冊を見逃すべからずである。
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[投稿:2023-09-19 08:01:57] [修正:2023-09-19 08:01:57] [このレビューのURL]
10点 子連れ狼
全403話28巻の長編である。長編ではあるが、無駄に長くはない。
武士道を語り、時代の理不尽さを語り、親子を語るには
6年の時間と403話の労力が必要だったのである。
本作品をはじめ、小池一夫と小島剛夕による漫画作品は、
エンターテイメントとしていかに優れているか、万遍の
言葉を尽くしても足りない。
本作は、その中でも頂点に立つ最高傑作である。
小池一夫が愛した「もののふの道」は、間違いなく美しく正しい。
現代の多くの人々に支持されながらも、その生き方は
尋常ならざる確信がなければ貫けない。
しかし、それを貫き通す美しい境地は、かくあるべしと、
小池が分かりやすく説明してくれているかのようだ。
紆余曲折の末、いかに最終話を迎えるのかと思うと、
途中で投げ出せなくなる面白さも備えている。
はたして、最終話は最高のエンディングである。
いろんな思いが綜する最終話だと感じ入った。
海外でもリメイクされた作品が紹介されているようだが、
肝心の日本では小池の残した作品群が古めかしく過去のものと
いう扱いがされているようで残念である。
是非、心ある日本男子には一読をお願いしたいと思うばかりである。
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[投稿:2023-08-13 09:00:29] [修正:2023-08-13 09:00:29] [このレビューのURL]
10点 キーチVS
前作に続く新井氏の衝撃の作品。
その昔、三島由紀夫という自害小説家がいたが、
対談させてみたいというのが、最初の感想だ。
圧倒的な熱量、強烈なパワーが紙面から読者の脳に伝播する。
これは、カリスマ物語でも、はっちゃけ熱闘青春物語でもない。
そこの基本のところを誤解している人がいるのは至極残念である。
前作、「キーチ」では、確かに人間キーチの成長と真っ当に
生きることの意味を問い続け、何故真っ当に生きる人間の
美しさを見せてくれた。
しかし、本作品ではキーチの体を借りて、日本という
得体の知れない国の息苦しさの正体を表現してくれた。
それは誰もが知ってて知らぬ顔をする薄汚い日本の側面だ。
漫画というエンターテイメントツールを利用して、社会に
対する強烈な新井氏個人の問題提議を世に発信していると信じたい。
なぜなら、エンターテイメントであるならば、不快感に
まみれた失敗作だからである。
苦々しい気持ちにさせる問題作品だからである。
新井氏の主張は、ただ一点。
「社会の問題に対して傍観者であることは罪である」だ。
作中、子供が描いた「世の中のしくみ」は極めてシンプルだ。
確かに大人は、全て了解していて、そのくせ訳知りに
その構造の中を泳いでいくことが、大人と嘘ぶく。
また恩恵にあずかれない階層の人間は、世の中で仕組まれる
ことにはことごとく何でも批判し、拒否する。
日本は、まさに前者と後者の階層で闘争をしている印象だ。
この点を指摘した知識人は、未だ見たことも聞いたこともない。
前者は言わずとも既存権力者側+既得権者+取り巻き(官僚、
企業、マスコミ・・)、後者は負け組。
この両者で階級闘争をしている。
困ったことに、後者の応援をしているふりをするマスコミ
(支持を受けるとスポンサーから資金が獲得できる)や
政治家(票が獲得できる)などの存在が、階級闘争の本質を
見失わせる。
いや、気づいたところで、本物の応援者はいないことに気づいて、
傍観者に成り下がる。
キーチは、日本には現れない後者の本物の応援者、カリスマ
として登場させた。
しかし、エセ民主主義、既得権者の中での何をどう抗って
いくのか、誰も分からない。
長期ビジョンにより、既得権者の下、力を蓄えることを志向
した甲斐の方法論が至極マトモに見えるが、新井氏とキーチは
それを否定し妨げる。
理詰めではなく(理詰めだと既得権者の土俵で戦うので、
よほどの戦略が必要だからね)、はっちゃけた熱情と仲間を
作って打破していくスタイルを選んだ。
しかし、成り行きとはいえ、現状打破が一種のテロ行為であるとは。
この方法を選択したキーチ、新井氏に残念な気持ちが消えな
かったのだが、作中、ある人物が語る言葉に気づかされた。
「敵にとんでもないどうしようもない力があって、デモしようが、抗議しようが何にも変わらねば、できることはテロしかないのじゃないか。」
すごいね。新井英樹氏は単なる激情型作家ではないんだ。
はてさて、漫画の虚構の世界と笑うなかれ。
世界を変えるには、何が正解なのかは分からないもの。
ただ、必要条件はこの漫画で学べる気がした。
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[投稿:2023-05-31 09:04:22] [修正:2023-05-31 09:04:22] [このレビューのURL]
10点 ブラッドハーレーの馬車
映画の話で恐縮だが、最近2010年作カナダ映画「灼熱の魂」という作品を見た。
こんな無慈悲な人生があって良いものか、という凄まじい内容だった。
その作品に通じるえげつなさを感じさせる作品だ。
沙村氏は人間の狂気を理解している。
第1話から衝撃の嵐。
人間に対する不信感が、腹の底から湧き上がってくる思いだ。
狂気を孕んだ人間は、悪魔のような所業を行うことは周知の通りだが、
怖いのは周囲の人間もそれを拒絶しない、いや、できない。
それを直視するが、罪を論ったり問題があると声をあげたりしない。
ただ、悲しい目をするだけ。
振り返ってみれば、評判になるほどエログロのシーンはなかった。
しかし、かって感じたことのないようなグロい気持ちが残るのだ。
同時に最終話で感じる風の優しさに戸惑ってしまった。
やはり、沙村広明は天才漫画家である。
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[投稿:2023-02-19 09:05:20] [修正:2023-02-19 09:05:20] [このレビューのURL]
10点 どんぐりの家
何度も読み返しています。
重度障害者とその家族、教師の葛藤、なんて簡単な軽い言葉では表現できません。
彼らは障害と戦っているのではなく、社会の無理解と戦っているのです。
この社会には障害者を家族に持つことが罪悪であると思わせる何かがあるのです。
まさに敵は、隣人であり政治であり人間の存在そのものです。
障害が無慈悲ではなく、障害がなければ感じなくても良い悲しみが無慈悲に感じてしまうのです。
時には絶望的な現実に押しつぶされそうになり、結果、家庭崩壊、自死・自傷、孤立、疎外など壮絶な現実が、家族全員を巻き込んで突きつけられます。
家族のような同志がいても、負担がさらに大きくなる場合もあって癒しにならない不幸すらあります。
ましてや子供と母親だけの場合は、孤立無援の地獄になります。
いくら戦っても、努力しても解決の糸口すら見えない日々、それでも幾分かの希望を灯を支えに生きていく。
貴方が同じ立場にあれば、貴方は生きることができますか?
そのことを思えば、せめて障害者家族を攻撃することだけは止めて欲しい。
冷たい目線で「その子を何とかしろ」とか言わないで欲しい。
それは、畜生の行為だと自覚して欲しい。
健常者には理解しがたい、あるいは想像できない障害者の生活、人生と苦悩する家族や教師たちの実情を、山本氏が丁寧に伝えてくれています。
健常者がさすがに障害者をさして「可愛そう、同情する」といった表現はしなくなりましたが、本当に理解して黙ったわけではないでしょう。
心の底辺にある無理解の気持ちを揺さぶりながら、健常者への理解を助けてくれた作品としての価値は計り知れないでしょう。
あるレベルでの社会への影響のあった作品ではあります。
いくつかのどんぐりの家というネーミングの施設ができたとも聞きます。
しかし、もっともっと、多くの健常者に、この作品を通じて理解を深められるよう願います。
その機会がもっと増えますようにと願います。
そして、我々は寄付以外に何ができるのか、もっと何が応援できることはないのか、深く考えねばなりません。
私は真剣に提案します。
小中学校での啓蒙資料として、あるいは政治参加者、公務員採用候補者への必読書にこの作品を指定しませんか?
健常者が持っている資産の一部を、税金という形でもっと彼らに分配しませんか?
それは彼らへの同情や支援ということではなく、我々人間が人間であるという証明をするために。
全ての人がこの世の意図しない地獄から免れるように。
「仕方ない」で諦めないですむ社会を作る一歩のために。
最後に、漫画というエンターテイメント媒体を通して、この作品を世に出した山本氏とビッグコミック誌に敬意を示したいと思います。
さらに作品中にあるフレーズを紹介します。
障害を持つ子供達は皆、なんらかの形で悲しみや絶望感を持っている。
子供自身も親も、それを克服するのは容易な事ではない。
なぜこの子だけが・・、なぜ自分だけが、障害を持って生まれてきたのだろう・・。
その「なぜ」という問いに、誰も明確に答える事はできない。
しかし、この子等は生まれてきた。自分の生命を花咲かせ、その人生を楽しむために・・。
ナイスレビュー: 3 票
[投稿:2022-12-31 14:43:11] [修正:2022-12-31 14:46:05] [このレビューのURL]
10点 キーチ!!
新井英樹氏の作品には、ただならぬ熱を感じる。
ページをめくる度に、発散する熱気を顔に浴びる感じである。
その熱気が無駄に暑苦しく、不愉快に感じることもあるが。
社会の中で生きていくための鎧をまとうことを生まれつき拒否する異端児キーチを当初は本能的に毛嫌いしていた。
反社会的で、周囲の人間に迷惑をかけ続ける人間性に嫌悪を感じるからだろう。
一方で、こんな生き方に憧れを持ちながら。
後に、幼少期の子供はこれでいいかもと思えるようになるが。
前半4巻までは、人間キーチの原型ができるまでを長々と説明している体だが、ここが大切なパートである。
「パパがいてママがいて、キーチがいる。・・」のフレーズは、最終回まで持ち越された。
本能のまま生きる幼児期は、ノーの意思表示は暴力しかない。
少年期になれば、「俺に近づくな」と警告できる知恵がつく。
しかし、人間の原型のまま、社会で他人と上手くやって、すり合わせながら生きることを拒否するキーチ。
ひとりで生きることを宣言して、それを貫くために暴力を選ぶしかないキーチ。
私たちに、一人で生きることの覚悟を突きつけるキーチ。
多くの人は、安全に守られる社会に生きる代償として、搾取や権威に従うストレスを我慢する。
これを選ぶ以上、我慢する。
一方で、文句を言うなら一人で生きる覚悟が必要だ。
キーチが我々に問うているのは、この覚悟があるかどうかだ。
後半5巻から、怒りの矛先が目の前の醜いものに向けられる。
この世で醜いものが見えることに我慢がならないと言う。
権力に真正面から刃向かう少年たち(キーチ&甲斐)の姿は、やや荒唐無稽な気もするが、少年だからこそ可能な純粋なレジスタンスは、本当にあっても良いと思った。
才ある少年は、凡庸な大人には二度と追いつけない選民なのだから。
個人的には第61話が心に沁みた。
親は自身を乗り越えていく子供に捨てられることを喜ぶべきか。
読み終えたところで、考えよう。
社会悪と戦うカリスマヒーローを描いた作品?
いや違うだろう。
奇跡を起こしてしまうから、思い違う読者もいるだろうが、それは漫画としての演出だ。
最終87話でちゃんと甲斐が言っている。
損得勘定で多数派が涼しげにしたり顔で作る嘘くさい民主主義社会の限界に、皆気づいているのに、抵抗するすべもなく受け入れる醜悪さ。
それどころか、体制側に法の範囲で迎合する者こそ、勝者と言わんばかりの小狡い小市民が支持するから、一層、偽の民主主義社会が悪循環でどんどん腐っていく。
そんな社会への反撃、革命への飢餓感を表現している。
分かりやすく言おう。
クラスや職場にいじめがあったとして、あなたは「そんなくだらないことは止めろ」と被害者のために声を上げることをする?
半分以上は見て見ぬふり、酷いのは加害者に間接的に加担する奴まで現れる。
あなたもその一人だろう?
なんで、そんなことになるの?
見て見ぬふりは違法行為じゃないから?
いじめもいじめへの加担も、証拠がなければ違法じゃないから?
たとえ被害者に一生消えない心の傷を与えたとしてもね。
誰も問題の解決策を持っていない。
これが多数派の作ったニセの民主主義社会なんだ。
その時に感じるのは、無力感だったり、閉塞感だったり、人によってはこれが大人の社会だ、なんてね。
あるいは、それならそれで学歴なんかの力をつけて、逆に利用してやってやれ、って開き直る。
いや、正しいのは、そこで「いじめなんか止めろ」って声をあげるという、簡単なことなんだけどねえ。
キーチの行動は、教師を含めたクラス全員を殴ることだった。
「ここのところを、ちゃんと理解してるか?みんなで迎合して醜い社会の一員になるくらいなら、ひとりで生きろ」とキーチは本能的に主張している。
極めて根源的な問題を通して、文学的、哲学的に気づきを与えてくれる作品として、大きな感銘を得た作品。
新井英樹の問いかけに、君はどう応えるか?
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[投稿:2022-03-05 10:07:16] [修正:2022-05-21 08:53:22] [このレビューのURL]
10点 Dr.コトー診療所
TVドラマの方を先に見てしまいましたが、原作にほとんど
忠実な描き方をしていることに後で気づきました。
原作に流れるゆったりとした時間、幸福感を損なわない撮り方でした。
ということは、原作のそこがTVを通じて支持されたということ。
とはいえ、医療漫画なので緊迫した手術シーンはつきもので、
こんな天才外科医は、そんなにいないだろというぐらい
神がかり的な医術です。
一息ついては新たな事件が起こり、一息ついては新たな
深刻な病気という繰り返しがマンネリ感をだしているのですが、
離島ならではの癒し感が好きです。
追記
改めて三度目の読み返しです。
いいですね。
何度読んでも、心を揺さぶられます。
本土の大学病院を中心とした嘘くさい医療の実態は、ほとんど
事実に近いものだし、世間からスポイルされる側の人間の
心情が負の世界であるならば、古志木島のコトーや星野彩佳の
持つ優しさはまさに正の人間世界だと思えます。
島の人間を決して美化せず、それでも限りない優しさを表現
できる本作品は、まだまだ何度でも読み返したくなりそうです。
25巻まで。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2012-10-22 19:30:25] [修正:2021-09-15 09:46:30] [このレビューのURL]
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