「朔太」さんのページ

総レビュー数: 740レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年01月09日

面白かったです。
久々に良質な漫画と巡り会えた感じがする良作です。

風土記という表題から想像してしまう展開を、
冒頭から最終話まで良い意味で裏切り続けました。
新展開への切り替えは早く、登場人物が次々と
新しい謎を提供していきます。
混迷する謎は、次への期待を増幅し、
一気に読ませてくれました。

最終局面から冒頭あたりの設定を振り返りますと、
仕掛けの巧妙さに唸ってしまいました。
中々の仕掛けが満載なので、長期連載を覚悟するので
あれば、話は倍に膨れ上がらせることもできた
でしょうね。

しかし、本作品がデビュー作品とのことで、
丁度良い加減の長さでスピード感たっぷりに
連載を終えることができました。
画はまだまだ上手くなると思います。
次回作品にも期待致します。

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[投稿:2016-07-31 18:33:19] [修正:2016-07-31 18:33:19] [このレビューのURL]

悪魔である彼の職業は弁護士です。
地獄に落ちる前の罪人の無罪を証明する弁護士です。
優しさ故に魔界から追放された孤独な魔界の王の息子
である悪魔です。
最初の設定により、タイトルが決まったのでしょうが、
3人ほど罪人を救うお話の後は、弁護士としての仕事は
出てきません。最初の2巻ほどで終わってしまいます。
それもそのはず、弁護士というのは自分が魔界に帰る
ためのエネルギーを蓄えるためですから、
いわばアルバイト。
他の方法で目的が達成できるなら、アルバイト終了、
という何とも情けない展開です。

そもそも悪魔という存在をしっかり考察していない
せいか、人以上に情に揺れ、情を大切にする悪魔と
いう主人公キャラが、理解できません。
それは突然変異の悪魔というか、悪魔と呼べない
でしょう。

ということで、全体としては画は綺麗で見やすい
のですが、ストーリーは支離滅裂でダメ出し満載で
混乱状態です。
少年誌だからと言って、場当たり的な展開は最後まで
読む気になれません。
7巻まで頑張りましたが、ここで撤退します。
なお、登場する女性は巨乳美女のみというのも特徴です。

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[投稿:2016-07-27 22:18:38] [修正:2016-07-27 22:18:38] [このレビューのURL]

画も綺麗で、ストーリーも明快で、サクサク入ってきます。
神代の時代から人を喰らって生きる“鬼”族は、時には
権力者の兵ともなり、時には村を守る神となりながら、
供物として“人”の提供を受けてきました。

鬼の血を継ぎながら、人として生きる響子の葛藤が中心に
あります。鬼対人の対決から、鬼を利用する人対人の対決に
すり替わってきた時点で、やや鬼の哀しみに関する焦点が
ぼけてきたのは残念です。
そんなに簡単に人の思惑にはまる鬼って・・、感じですね。

最大の違和感は、タイトルですね。
事件簿というからには、毎号異なった複数の事件が
展開されないとダメですよ。
最初の数話は確かにそうでしたので、そのまま読み切りで
行くのかと思いきや、2巻あたりから展開が連続的になり、
普通にストーリー化しましたから。

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[投稿:2016-07-25 22:41:35] [修正:2016-07-25 22:41:35] [このレビューのURL]

登場する女性は、全て巨乳美女です。
それでも、キャラの違いが際立っており、見分けが
つく描画力は立派なものです。
特にお気に入りは、病弱で吐血と卒倒が日常だけれど
不死身のハイアット譲です。エクセル譲の小市民的な
節約精神や天然ボケぶりも好きです。
これらのお色気たっぷりだけどエッチなシーンは
一切出てきません。巨乳美女たちが、醸し出す
バタバタ劇が独自な世界を提供してくれています。

当初10巻程度は、間違いなくギャグ漫画という
立ち位置でした。ですから読み手も多少の矛盾や
疑問(アクロスという秘密結社の構成員は4名だけ
なのに、イルパラッツォへの異常な忠誠心の根拠、
経緯・・・などなどキリがない)は、ギャグなんだ
からという理由で置き去りにしても平気でした。
しかし、11巻あたりからストーリー臭もさせつつ、
登場人物のインターラクションを絡めてきます。
極めつきはエクセル譲の記憶喪失と偽者を出して
きました。このあたりで、ただのドタバタ劇に成り
下がってしまいました。ここは残念でした。

とはいえ、最初に言いました通り、巨乳美女たちの
作るドタバタはそれはそれで、これまでにない
テイストでしたので、なんだかんだ言いつつ
20巻まで読みました。

ちなみに表題は「エクセル・サーガ」ではなく、
「エクセル(ハート文字)サーガ」が正しいらしいです。

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[投稿:2016-07-24 22:35:03] [修正:2016-07-24 22:37:00] [このレビューのURL]

下宿先の黒髭荘の住人は、葛木信二郎を除いて
全員が妖怪でありまして、彼らとの共同生活の中で
くりなす日常生活のお話です。
特段に大きな事件が起きるわけでもなく、
管理人さんの尋さんとの淡い恋愛事情が話の中心に
なってきます。
なので一層日常話の色合いが濃くなってきました。

大正ロマンの世界を背景にしたおどろおどしい
奇怪さを利用していること、一方で妖怪といえども
人間に恋心を抱いたり、感情的には人間と変わらず
変身能力を持っているだけというような
可愛らしい設定になっており、やや少女漫画的な
優しさが全体の雰囲気として出ています。

折角の設定でしたが、もう少し刺激的な日常を
展開できる可能性もあっただけに惜しまれます。

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[投稿:2016-07-19 05:48:41] [修正:2016-07-19 05:48:41] [このレビューのURL]

外科の中でも小児外科という極めてマイナーな医療
分野の小児外科医のスーパーな活躍が主題です。
「小児外科医は子供達の命を救うだけではなく、
その子が未来に出会う仲間や子孫たち…すなわち
無限の樹形図を救っている」という高邁なポリシーの
持ち主が主人公です。
意味するところは、目の前の患者の命を救うと同時に、
患者の関係者、医療関係者の未来に影響を残して
いこうという考えが基盤にあります。
まさに最上の医師と言えます。

同時に最新の外科知識と、特に最新の外科テクニック
が駆使されて、これまでの外科の常識を打ち破りながら、
スーパーな活躍を見せるところが痛快です。
一方で、医療界のヒエラルキーを背景に権力闘争が
8巻まで常に展開されており、医療界の裏側を見せつつ、
最上の真逆の医療界の現実を投影します。
実際のところ、大病院は有力大学による系列化が
存在することは、今や誰でも知っていることですね。
この権力的な構造の維持は、医療現場で患者の
利益に優先されているらしいことも知っています。

このような問題を深刻化しないで、権力側を主人公の
最上の命医の抵抗勢力として描かれている上に、
これと対抗し、やがて勝利します。
このあたりはやはり漫画と言わざるを得ないですが。

いずれにしても少年誌に掲載するには、高すぎる
医療の最新知識と医療といっても外科に特化した扱いが、
読者の一部には関心が持てなくすることもあるでしょう。
綿密な取材と研究で構成された原作と編集者
(K担当が何度も紹介されるので、中心的役割を担って
いるのでしょう)、橋口たかし氏の執念のような
思い入れが良く伝わってくる漫画でした。

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[投稿:2016-07-08 21:27:17] [修正:2016-07-08 21:27:17] [このレビューのURL]

兵器として生まれた人造人間サヤビト。
主人との契約によってしか生きられない運命の中で、
ロボットとして生きるには、感情も心も意思も
寿命すらあるサヤビト。
彼らと人間の間に絆があれば、時にドラマが
生まれるというお話です。

古くはアトムが50年前に描かれた時には、
意志あるロボットの悲哀が時折表現されていました。
本編は50年の進化を経て、感情の機微と襞がほぼ完成
形として再定義されたかのような印象を持ちます。

読み切り1話の形式ですので、どこから読んでも
ドラマとして堪能できました。
特に三巻“エピソード9道に迷って”では、
本来の主役不在ですが、作者の書きたい主題が
表現されたように思います。
本作品のエッセンスが凝縮した渾身の作品だったので、
この1篇では9点くらい差し上げたいと思いました。

月刊誌2年間の連載。偶然に遭遇した上々の良作です。

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[投稿:2016-07-02 18:17:58] [修正:2016-07-02 18:20:40] [このレビューのURL]

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