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10点 寄生獣
まずすばらしいの一言。今まで読んだ漫画の中でも取り分け完成度の高い作品。
漫画というメディアでも、いろいろと考えさせられることを証明した作品。悪いとこが見つからない!是非一読をおすすめします!
ナイスレビュー: 2 票
[投稿:2010-01-26 16:20:10] [修正:2010-01-30 08:38:27] [このレビューのURL]
2度もテレビアニメ化されるなどかなりヒットした学園ラブコメ漫画だが、完成度的にはお世辞にも洗練されているとは言いがたい。作画のクオリティは安定せずギャグは滑ることが多く、重要な話とそうでない話に温度差がありすぎ、物語に大量のフラグをばらまく一方で未回収に終わることもままあり、最終回に至っても人間関係の大半は未整理なままで、おまけにその最終回もマガジン本誌と増刊号とで2種類あるとう始末であった。
作者の小林尽は本作がメジャーデビュー作だったが、同誌の赤松健(ネギま)や久米田康二(絶望先生)らの先輩陣と比べるとどうしてもこなれていない感が漂っており、足かけ6年にわたる長期連載の中でいろいろボロがでてきた部分も多かった。キャラクター人気に頼った駄作とう評価も、あながち間違いではないとは思う。しかし。
それでも自分は本作を推したいのだ。上述のように未成熟な部分も多かったけれど、作画とギャグとドラマ、それらに時折かいま見られたポテンシャルの高さに、普段はどーでもいい日常を送りつつも時々ハッとさせられるような体験もしてきた自分たちの学生時代の記憶を呼び覚ます何かが感じられたからである。
そもそも絵に描いたようにスマートで非の打ち所のないような青春時代を送った奴などそうはいない。たいていの場合、青春とは愚かでこっぱずかしく、それゆえに愛すべき物である。この作品の持つ未成熟さは、換言すればかつては誰もが持ち、そして子供たちがいずれ経験するであろう”青春時代”のあのままならなさ、こっぱずかしさ、それらを包括したある種の美しさや楽しさの追体験だったのではないか。
男女様々な人物が入り乱れ、勘違いや衝突、惚れた腫れたの騒動を繰り返す物語構造は一見古典的だが、そのキャラ配置は主人公を太陽系の中心に据えたようないわゆるハーレム型ではなく、複数のメインキャラが互いに一方通行の分子運動的乱反射を繰り広げるというかなり複雑な物語構造となっており、それら登場人物達もそれぞれ個性的なキャラを持つ一方で安易な属性化には収まりきらない適度なキナ臭さも持っており、そういう部分から湧き出る叙情性が本作の大きな魅力だった。バカバカしい話が多い一方でそういうビルドゥンクロマンス的魅力もたたえていたのである。
特に自分が本作で気に入っていたのは、登場人物の多くが所属する2ーCのクラスが、それこそ連載開始当初は誰も見知った者がいないような状態で始まった(当然だが)のが、連載を経て以前は背景の一モブキャラに過ぎなかったような奴らに次第に人格的肉付けが成されていき、最終的に男女問わずみんな愛すべき見知った友人達のようになっていった点である。それこそクラス替えで初顔あわせた生徒達が一年後にはクラスメイト同士の連帯感で結ばれるかのようなこの作劇には、作者の優れた才能をかいま見ることができたし、こういう部分こそ近年の他のラブコメ作品にはあまり見られなかった本作の大きな魅力がったのだ。
塚本姉妹や播磨や沢近といったメインキャラだけでなく、こういうクラスの雰囲気そのものを好きになれるかどうかが本作を気に入るかどうかの分岐点ともなるだろう。
何度も言うように洗練された作品ではないけれど、それでも学園ラブコメ漫画というジャンルにおいて特異な地位を占める作品となっかことは間違いない。そんな本作を自分は密かに「ラブコメ大菩薩峠」とあだ名して呼んでいる。
ああ、ただ、作中不自然なほど触れられなかった、主人公の塚本姉妹の家庭事情(広い家に高校生の姉妹二人だけで住んでいる)をもうちょっと詳しく描いてくれれば、というのが最後の心残りである。
ナイスレビュー: 2 票
[投稿:2010-01-27 00:03:01] [修正:2010-01-27 00:19:52] [このレビューのURL]
10点 無限の住人
○最初に連載された当時から、あまりにも上手すぎて、新しくてびっくりした記憶のある作品です。
○何がすごいって、この人の描く時代劇は本当にそこに生活している感じが匂ってくるんですね。ネオ時代劇なんて喧伝されていますが、もし時代考証をちゃんとやっていたら、ものすごくつまらない世界観になっていたかも知れません。
○ただ、この作品。通常の意味で面白いかと言われれば、そこまで面白くはありません(笑)。
○話のバランスは悪いし、話自体も逸刀流との復讐劇まではよかったのですが、そこに幕府の人間事情が絡んできたり、本筋なのか微妙な『不死解明編』が長大な分量になっていたりで、漫然と読むにはいいですが、ちゃんと読もうとすると、どこに腰をすえて読めばいいのか分からなくなってしまうのではないでしょうか。
○ただ、それを差し置いても、マンガ界では数少ない作家の一人だと思っています。
○まず何よりしびれるのは、そのデッサンです。
○アクションシーンのかっこよさはもとより、ただの会話のシーン、何気なく話しているときの手のアップの時とかに、そのセンスの良さにしびれてしまうんです。(もちろんデッサンがうまいということとは別の話として)
○例えば、卍が通行手形を手に入れようと逸刀流を街道で待ち伏せるシーン。
後に卍が敵だとばれてしまうという演出的な意味もあり、逸刀流の三人の足のアップを撮り続けるシーンがあるのですが、あれをあれだけ情感豊かに描ける人っていうのは、そこまでいないんじゃないかと思います。
○そして、そのデッサンの動きが実に見事なんですね。
ただ歩くシーンにしても、普通なら足を踏み出す所と両足が地面に着くところの2パターンだと思うんですけど、彼は違うんです。
歩き出そうとして重心が前のめりになった瞬間を描くんです。
○これが、とてもしびれる。だからこそ、例えその回が何の興味のない事を話しているだけの回だとしても(失礼!)その絵を見るために読んでしまうんだと思います。
○エロティックな表現やサディスティックな表現にも魅力的な部分は(その分野に興味はなかったとしても)多々あると思いますが、それだけ色んな部分に魅力を感じれる作家っていうのは、やはりすごいことなんだと思います。
○絵の魅力というと『バガボンド』も同じような立ち位置だと思うんですが、井上雄彦先生の魅力は主にキャラクターであって、沙村先生のそれはやはりデッサン(動き)の魅力だと思っています。
○もちろんバガボンドもおすすめだし好きです。
これも話は面白いとは言い難いですが(笑)。
最後にこの作品、点数を7点にしようか10点にしようか悩みました。
自分の基準で言えば7点でもよかったかな、とも思ったのですが、やはりマンガ界で自分の中で屈指の存在でもあることを考慮して10点にしました。
『難あれど名作』そんな感じでしょうか。
ナイスレビュー: 2 票
[投稿:2010-01-24 09:58:46] [修正:2010-01-24 10:03:36] [このレビューのURL]
8点 ハルコイ
ちはやふるが予想以上の面白さであったため、同じ作者のこの漫画を手に取り購入してみました。
4つの短編集からなる漫画であるという情報から、手を出さずにいました。なぜ?話が浅いと思ったからです。
本当にすいません。買わず読まずして内容の深さを決めようなんてどうかしていますね。4つの短編集、すべて50ページほどの内容なのですが、心に伝わってくるものがいくつもありました。話は短いので、気軽に手にとれて、元気を分け与えてくれる、そんな漫画だと思います。
短編集だからといって購入を悩んでいる方、ぜひ買いましょう。
ナイスレビュー: 2 票
[投稿:2010-01-19 00:49:27] [修正:2010-01-19 00:49:27] [このレビューのURL]
2点 銀魂
連載当初はすごく期待して読んでた覚えがある。
今では流し読み程度になってしまった。もう少しギャグに力をいれてくれたほうが個人的には読みやすい。シリアス要らん。
ナイスレビュー: 2 票
[投稿:2008-09-10 13:47:59] [修正:2010-01-18 12:21:24] [このレビューのURL]
9点 神戸在住
この作品はまさにタイトル通り、一人の女子大生が神戸で暮らしている生活そのものです。
大学でのこと、友達と買い物に行ったこと、家族とのやり取り、ふらっと街を散歩したこと。
誰もが経験するような日常の出来事を、誇張するでもなく、劇的に描くでもなく、
ありのままに描いています。
スピード感もなく、娯楽性にも乏しいこの作品。勢いで読めないので、
共感できない場合は拷問に近いかもしれません。
自分も2巻までは「読んで失敗したかな」などと思っていました。
その分、共感できれば自分の心の奥底までどんどん染み込み、溶け込んでいきます。
トーンも定規も使わない画風は、飾らず、素朴で、柔らかくて、どこか純粋で。
主人公である辰木桂のキャラクターをそのまま表現しているかのようです。
登場人物の存在感など、キャラが立っているとかのレベルを超え、作中で生きていると感じられるほど。
震災から3年後に開始したこの作品。
特に作品前半では、街並みにも人々の心にもその爪痕が色濃く残っています。
そんな神戸を舞台に、大学の授業、民族問題、友達との恋愛話、障害者、サークル活動、家族とのこと、
すべてごちゃ混ぜにして、桂の(部分的に林浩の)視点を通して等身大で描かれています。
生と死から目を背けず、良いことも悪いことも含めた現実に真っ向から向き合って。
等身大だからこそ、ありのままだからこそ、楽しいことも、辛いことも、こんなにも心に響いてきます。
居心地の良さ、ほんのり温かい雰囲気、ほのぼのとした日常。
押し付けがましくなく、控えめながら、神戸の魅力を存分に感じさせてくれます。
読んでいる人まで「神戸在住」な気分にさせてくれます。
震災から15年。今日、神戸の街に思いを馳せて。
ナイスレビュー: 2 票
[投稿:2010-01-17 17:20:39] [修正:2010-01-17 17:20:39] [このレビューのURL]
10点 めぞん一刻
青春時代の一冊。主人公五代の管理人響子さんに対する恋心に感情移入してしまっていた頃を思い出す。現実の恋人にまで管理人さんを投影してしまっていたのではと感じる位、共鳴した。
”青春、恋心”をこれだけ爽やかに表現した作品、同時にギャク化できた作品はなかった。天才高橋留美子のなせる業だろう。
間違いなく私の人生に影響を与えた作品だ。
ナイスレビュー: 2 票
[投稿:2010-01-16 16:47:57] [修正:2010-01-16 16:56:11] [このレビューのURL]
7点 ブッダ
巨匠は先駆的にさまざまにチャレンジしている。
まずこの事実に驚嘆する。
この時代に宗教を題材にエンターティンメント作品を漫画で描ききる!
エンターティンメントながら、宗教の崇高な精神からその本質という部分で外していない。
差別社会をシニカルな視点から批判している社会性が痛烈である。
ブッダは作品の出来の割に語られることが少ないが、もったいない。ブッダが一人の人間として悩み抜く姿を描いている部分が素晴らしい。
ナイスレビュー: 2 票
[投稿:2010-01-15 22:38:02] [修正:2010-01-15 22:38:02] [このレビューのURL]
9点 20世紀少年
最初にこの物語の終わり方が頭にあったというから抜群の構成力だ。奇抜なアイデアを卓越した画力で描ききっている。本当にすごいと思う。
ナイスレビュー: 2 票
[投稿:2010-01-07 16:43:22] [修正:2010-01-07 16:43:22] [このレビューのURL]
5点 BLEACH
酷評されがちな漫画ですが、
まったく以てつまらない!
……ということはありません。
ただ、無駄が多いところが難点。
登場人物が出過ぎていて、照準が定っていない。
戦闘の同時進行がうまくない。
技名は違うがやっていることは同じ。
なぜか全員が説明したがり。
止まったままの話の筋がある。
登場人物達の動いている理由が浅はか過ぎ深みが無い。
21巻で一旦買うのをやめていたのだが、
再び買うことになり惰性で買っている点は否めないが、
藍染編をどう納めるのか、広げ過ぎた風呂敷をどう纏めるのか。
主人公の一護は、当初は目的があったが、
今は正直、流されてしまって動いている様にしか見えない。
しかしながらに5000万部以上売れていることは確かで、
死神組織や尸魂界、斬魄刀や能力の設定、
数多くの登場人物等に惹き付けられるというのがあるからなのだろう。
だが、ストーリーが迷走して、間延びしている感が拭えない。
藍染編が終わった時が、連載そのものにもけりをつけるべき時の様に感じられる。
ナイスレビュー: 2 票
[投稿:2009-09-13 09:10:22] [修正:2010-01-06 19:05:52] [このレビューのURL]