「霧立」さんのページ

サーカス団の日常が中心のサーカス編と
自動人形との戦いを描くからくり編。
それぞれに散りばめられた伏線をきっちり回収しつつ
一つの流れにまとめていくという構想はとても面白く、
また圧倒的なキャラクターの存在感と描写力で
見る者を引き付けてやまない、すばらしい作品でした。
…途中までは。

多くのレビューが黒賀村編からのダレを
指摘しています。自分ももちろん同感なのですが
個人的に一番がっかりしたのは最後を結局
「バトル」で決着させたことです。

二つの話がシンクロする前までは、からくり編の
悲劇を最終的に救うのはサーカス編だと思っていました。
力ずくのバトルで決着をみるのではなく、
サーカスを通じた幾多のエピソードを経て、
エレオノールの見せる笑顔がきっとすべてを氷解させると。
「世界を救うのなんて、案外こんなもの」なんて
仕掛けをこの作者ならきっと見せてくれたはずと今でも
信じています。

結局は両編のキャラクターを巻き込んでバトルに突入した
訳ですが、どうみても戦闘スペックに差がありすぎる
サーカス団連中が無理くりバトルをしている展開と、
そもそも戦闘的カタルシスはサハラ編でピークに
達していたことも相まって、後半の崩れ具合は連載時見ていて
とても辛いものがありました。

それでも前半部だけでも読む価値はありますので、読んでほしい
作品ではあります。
パウルマン&アンゼルムス戦は正直泣きました。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2010-11-13 15:54:06] [修正:2010-11-13 15:54:06]