「columbo87」さんのページ

 ハウス・オブ・エムで能力を失った多くのミュータントたち,その消失したエネルギーはいったいどこへ?
 「ニューアベンジャーズ:コレクティブ」で一応決着がついた様な感じになっているけど,その間なりを潜めていたX-MENチームは一体何をやっとったのだろうか,という話。
 突如現れた謎のミュータント「キッド・バルカン」。圧倒的な力でX-MENを蹴散らし,サイクロプスとマーベルガールを拉致した彼は,自分は歴史から消されたX-MENの一人で,サイクロプスの弟だと名乗る・・・
 HOMで残っていた謎の一つ,プロフェッサーXの消息がこの章で明らかになるが,今度はスコットのもう一人の弟の存在という謎が・・・付け足される。他にも,「デッドリー・ジェネシス」は,いかにも後付けーな内容てんこ盛り!昔からのファンを敵に回しかねない,まさに「命取りの創世」という自虐タイトル!まぁ,だけどぼかあそんなに気にならない。だって後付けされる前のエピソード知らないし。

 ちょっと帯には書いてないネタバレだが,X-MENがクラコアという生きたミュータントの島に乗り込んで捕らえられてしまう75年のエピソード,この時救出チームに加わったのがウルヴァリンとかの新顔だった(つまりテコ入れ)。このエピソードに大々的な後付け処理を行ったのがデッドリー・ジェネシスで,実はもう一つのX-MENチームがこの時救助に向かっていたのだという事実が明かされる。ではなぜ彼らが歴史から消されたのか!そこには大いなる陰謀があった・・・マーベル社の。
 か,どうかは知らないけれど,こういうのはアメコミに特に多いね。セントリーもそうだった。歴史のながーいシリーズだからまぁ仕方ないんだろう。
 後付けといえば「グリーンランタン:リバース」のパララックスの正体とか、「バットマン・アンド・サン」のダミアンなんてのを思い出すけど,あれよりも力技って感じで(だって伏線にできそうな要素がないところに持ってきてるんですよ),話自体は知らなくても,消されたX-MENの話を無理矢理過去のエピソードに詰め込んでいるのがわかる。とは言っても流石のブルベイカー,一巻丸々通してそれっぽく演出しているのでなかなかに説得力は有る。教授は数日間でどうやって新生X-MENを鍛え上げたのか?とか。それでいて今後に関わる重要な話にも繋がるから面白い。
 ブルベイカーは「ウィンター・ソルジャー」もうまかった。それ単体で面白いし,後のデスオブキャプテンアメリカへとどんどん広げられるようになっていた。アメコミってこういう所の技術が進んでるんじゃないのかしらと思う。

 閑話休題。もちろんデッドリー・ジェネシスに関しても,コミック的なおもしろさが大いにある。
 かつてクラコアからサイクロプスたちを助け出したバルカンが,今度は監禁する側になっている構図。75年のテコ入れが新たなヒーローの投入だったのが,今度は消された過去からの来訪者になっているのも興味深い。子供向けのヒーロー物から大人も楽しめる作品に転向したのが75年だとすると,今回はさしずめ子供時代の反抗?
 で,消されたX-MENの話が物語の合間に挿入されるんだけど,これがどれも面白い。オリジンを巧く描けるのってすごいと思う,キャラクターの魅力の原点だし。そんでもってそれぞれが本筋に絡んでくる所の盛り上がり方,これだけ後付けてんこもりなのに初見でもなんとなく理解できるのは話の筋がちゃんとしているから,偉い! いや,そんなことで褒めるなとか言われそうだけど意味不明なのもあるんだよ。HOMという大型クロスオーバーから始まって,次の話へとスムーズに移行できるのは凄いことじゃないかしら。


 と,個人的には気に入ったエピソードだったが,全体的にくらーいお話ではある。被害者で,まだ話し合いの余地があっただろうバルカンに対する仕打ちとか,やっぱこの辺の脳筋っぷりはアメコミ的といわざるを得ない。仲間を殺されてるってのはでかいけどね。
バルカンにしても終始情緒不安定で,最後はヤケになって宇宙に行っちゃって,結局仲違いしたまんまだし、何がしたかったの?とならなくもない。子供時代の反抗なんて言ったけど,大人の象徴プロフェッサーXは堕ちたが,バルカンだって成長する必要がある。


その他の見所:ダンサー時代のエマ嬢。邦訳シリーズきってのセクシーシーンだ!
ショックな所:久々に見たあの人が即死したこと。マーヴルクロスで見た活躍が嘘みたいにあっけなく死んでガーン。
 X-MEN勢は背景を在る程度知っているから面白いのかなぁ,アベンジャーズも後々面白く読めるようになってくるのかもしれないとか思う。あとガンビットがサイクの弟だとかいう噂を流したのは誰なんだ・・・

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[投稿:2012-03-15 17:06:25] [修正:2012-03-31 01:39:06]