「columbo87」さんのページ
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なんだか色々やっております
なんとなく残してるアメコミ系映画コメント
アベンジャーズ★★★★★:神映画すぎワロタ 色々知ってると得するとこもあったり、なんも知らないまま見た方が興奮できそうなとこもあったり・・・今度は酒飲んでみよう
スコピル★★★★:純粋に映像を楽しめる超娯楽作!おもしれー
RED★★★:オッサン好きによさげな痛快映画。話はフツー
ヴェンデッタ★★★:管理社会どうこうはまぁありがち。ナイフアクションがかっけえ!
クロウ・飛翔伝説★★★★★:ブランドン・リーが最高。作品としての演出、脚本のバランスも見事。後年のコミック原作映画よりもリスペクトに溢れててよい。
ゴーストワールド★★★:自分探しの話。未だにこういうので感傷的になってしまう。ソーラバーチのキャラ再現率高し。
ダークマン★★★:ザ・フライ的な・・・物悲しい。
スパイダーマン★★★★★:一般受けした初のアメコミ映画って感じ。リアルタイムで見て海外のヒーローモノもちゃんとドラマできるんだなーとか感心した。
スパイダーマン2★★★★★:CGの進化ってすごいと思った。目的を見失って力を無くす所とかヒーロー映画2作目らしい王道を行ってくれた。敵役も魅力的。アメコミの存在を知らなかったので小説版を買った記憶が・・・
スパイダーマン3★★★:トビーマグワイア太ったなー。MJビッチ!ベノムなんか違う・・・爽快感もないしあんま面白くない。敵多すぎ。
アメスパ★★★★:前作を踏まえてどういうアプローチができるかはっきり考えてるところが良い!青春ラブコメはちょっと?とかおもってたけどウルっと来るとこもあり
デアデビル★★★:レイプ犯は容赦なく殺すけど,さらに極悪なキングピンは放置する謎。超感覚の表現は巧いと思った。
ハルク★:暗くてなにやってるかわかんねえ!!
インクレディブル・ハルク★★★:前作よりマシかなってかんじ。3回みて2回寝た。
ヘルボーイ★★★:クロエネン様かっこよすぎるだろ・・・!
ヘルボーイ ゴールデン・アーミー★★★★:死に神素敵すぎるだろ・・・!
ブレイド★★★:ウェズリースナイプスってグラサンとると目が可愛いから困る。アクションは主役はってる中では1番。
キャット・ウーマン★★:これはラジー賞取るわ。ストームで色モノに懲りたんじゃなかったのかよハルベリー。
ゴーストライダー★★:CGからなにから力の入ってないなんともビミョーな映画。アメコミオタのニコラス・ケイジもトホホだよ。
パニッシャー★★:二作目の奴。なんかフランクが微妙にフランク(こんな感じのジョークを飛ばすし)で嫌。
パニッシャー・ウォーゾーン★★★:ワオ,グロ?イ!ジグソウ兄弟のキャラがブっ飛んでて結構好き。
X-MEN★★★:初の本格アメコミ実写というイメージ。設定とかキャラが結構ダークな感じがあって当時は新鮮だった。
X-MEN2★★★★:2作目が一番盛り上がる法則!ミュータントと人間の確執やら世界の危機やらがクライシスしてて楽しい。
X-MENファイナル★★:こんなゴチャゴチャした映画みたことない。キュアはアストニッシングのギフテッドからきてるのね。
ウルヴァリン:X-MEN ZERO★★★★:ついにローガンの過去が語られる・・・!ぶっちゃけ原作のオリジンよりこっちのがいいぞ。
X-メン:ファーストジェネレーション★★★:素材は良いのだが,見せ方がよろしくない。祝ケビンベーコン出演。いつもウィレム・デフォーとこんがらがる。
コンスタンティン★★★:キアヌ格好良いの一言につきる。話自体はそんなに面白くないけど何度もみちゃう。ルシファーの存在感もスゴイ。
スポーン★★★:CGとか頑張らない方がよかったんじゃないか。汚い路地裏と乞食が出てくるから結構好きではある。
スカイ・ハイ★★:設定はまあいいんだけど,子供騙しの薄っぺらい話。
シン・シティ★★★★:一番「原作も読みてえ!」って思った映画。とにかく最高。どこかパルプフィクション的な感じが,そういやブルースウィリスさんも。
サロゲート★★★:いまいち設定を生かし切れていないのが残念。フサフサウィリスには笑った。
300★★:純粋に退屈。戦闘シーンも綺麗すぎてなんというか現実味がない。まぁ化け者とか出てくるし。
ファンタスティック・フォー★★★:対象年齢低し。ジェシカアルバ可愛い。
ファンタスティック・フォー銀河の危機★★★:このギャラクタスは無いわ…。シルバーサーファーはカッコイイんだけどね。
アイアンマン★★★★:アーマーで強くなるアメコミヒーローって新鮮。ロバートダウニーJrは一番のハマリ役じゃないかなー。
アイアンマン2★★★★:これぞザ・アメリカって感じのお馬鹿キャラだよトニーは!見ていて単純に楽しい。これではじめてクロスオーバー企画に気づいて興奮した。
リーグ・オブ・レジェンド★★★:ドリアングレイとか謎のチョイスなキャラが色々出てくる子供向け映画。ショーンコネリーは何が強いんだよ!
ウォッチメン★★★:初見では意味不明。詰め込みすぎだと思うよ。あと無駄なグロシーンとセックスシーンを短くすれば良かったとか思う。Drマンハッタンがポコチンをモロ出してたのが印象的。青ならモロでもいいのね。
フロム・ヘル★★:どうせまともに映像化できないんなら作らなきゃいいのに…ムーア御大もお怒りです。
マイティ・ソー★★★:ヘイルダムもフューリーに次いで黒人枠になったか、とか思ってたけど見たらやたら格好よかった。ここだけだとロキにもまだ同情の余地が残るかな。
キャプテン・アメリカ★★★★:初めて見る人も、元々のファンも楽しめそう。スティーブを小柄に見せる技術がすごすぎる。
グリーンランタン★★★:あんま印象に残った部分が無いよ(泣)。アホみたいにグリーンランタンTシャツとリングをして観に行った思い出だけ残った。
アンブレイカブル★★★:シャマランの意味不明な展開が,ここではピカリと光っている!と思うんだが。切ない悪役ガラスマンは後に筋トレしてニックフューリーになった。
キックアス★★★★:軽快な音楽と残虐なシーンが魅力的,ニコラスケイジはついにバットマンになったか。終わり方は原作の方が好き。
スーパー!★★★★:キッカスに足りなかった分を存分に見せてくれた!かなり笑える。そいやこれにもケビン・ベーコン。
エイリアンVSプレデター★★★★:馬鹿っぽくてアメリカっぽくて大好き。
AVP2★:暗くてなにやってるかわかんねーつーんだよ!
ウォンテッド★★:DAIGOが吹き替えやってたような気がした映画。内容は可もなく不可もなく。
プレステージ★★★:ウルヴァリンとバットマンの対決や!と思って見た。原作読んでたからにやにやしながら見てたけどやっぱこのタネはないよなぁw
スーパーマン★★★:地球を逆回転させるんだ!という理論にも小学生の頃は納得してた。クリストファー・リーブは惜しい人を亡くした。
スーパーマンリターンズ★★★:目で弾丸をはじくシーンばかりCMで流れた印象がある。ロイスのビッチヤロー!とか思って気が沈んだ。
バットマン★★★:ジョーカーとバットマンの宿命な関係がなんとも言えない。ニコルソンジョーカーは良いけどキートンのブルースウェインってなんか違和感がある。
バットマン・リターンズ★★★:バットマンシリーズの中でも特に不気味。色々どんちゃん騒ぎになるが良い具合にまとまったんでないの。キャットウーマンもペンギンもやたらと怖い。
バットマン・フォーエヴァー★★★:意外とバットマンってチョロイよねとか思った。娯楽度は高くて面白いが,何がしたいのかよーわからん。
バットマン&ロビン★★★:結構お金かかってるんじゃないのって感じで,カーアクションとかゴッサムシティを駆けめぐる感じがハデで好き。お話は意味不明だけど。
バットマンビギンズ★★★★:ちょっと長すぎる感じはするが,丁寧にオリジンを描いてくれてて良し。まさにビギンズって感じでワクワクする。
ダークナイト★★★:格好良いんだけど不必要に暗いんだよ…。レイチェル役がちょっとあまりにもアレになってて,デントにとられちゃっても大して何も思わなかった。
ライジング★★★:ノーランってこんな脚本下手だったかなぁ?「わかってない」なーと残念な感じに。バットポッド大活躍。
バットマンオリジナルムービー★★★★:バットマン映画じゃ一番笑った。珍しくコメンタリーがついてるのもグッド。
ロケッティア★★★:微妙な古臭さを感じるがデザインがやたらと良い。じいさんの声が青野武、茶風鈴もいたどうでもいいか。
トランスフォーマー★★★:オプティマースのデザインとか最初は好きになれなかったが、いややっぱ一作目のデザ微妙じゃね。映画としてはそこまで悪くはないと思う。
トランスフォーマー2★★★★:おもしろくは無いんだけどついに合体ロボがハリウッド映画で見れたのは感動。
トランスフォーマー3★★★:やたらと長い。劇場で久々に寝た。メガ様が下っ端に、スタスクの扱いが酷い。メリケンの都市が派手にブッ壊れるのは気に入った。
トランスフォーマー劇場版★★★★:アニメの方のやつ。TVシリーズで慣れ親しんだキャラが次々泡吹いて死ぬのがトラウマに。OPシーンの作画の凄さは一見の価値有り。
ミステリーメン★★★:コメディーものだが完成度高い。こういうのを金曜ロードショーかなんかで流すべき
ハワード・ザ・ダック★★★:クソ映画だと聞いて見たのに普通に楽しめちゃった。糞は俺だ…

7点 からくりサーカス
長期連載で休載も多かったから、単行本で読むとちょくちょく登場人物が粗筋を説明するのが笑える。作者のテンションによってキャラの雰囲気が変わるのも微笑ましい。
クライマックスがラストより4、5巻前に来てしまったのが問題か。ともかく泣ける。
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[投稿:2012-06-17 16:27:46] [修正:2012-06-26 12:13:42] [このレビューのURL]
グラント・モリソンによるバットマンサーガーエピソード3,中身も3本だてみたいなもんで,1本目の「ブラックグローブ」は久々のサスペンスもの。
孤島に集められたヴィジランティ集団,次々に起こる殺人事件,暇を持てあました大富豪の真意とは?マスクの下に隠された本意とはいかに?そして裏で糸をひく「ブラックグローブ」とはいったい・・・?
目を引くのはアートですなー。コマ割り始めコマそのものまで凝った作りになっていて読んでいて楽しい。水彩や油絵,ペイント画とか,1コマの中でさえ使い分けているのが特徴的。特にバットマンを褪せた色で描くことでその異質さを浮かび上がらせているのはGOOD,他のヴィジランティはどこかしらコミカルな色調で描かれる場合が多かったりして。
アメコミってこういう面白いテクニックを使えるポテンシャルが高いと思うけど,実験漫画みたいなのって意外と少ないよーな気がする(知らないだけだろうが,邦訳じゃあんま見ない)。コマ割りなんて日本の漫画の影響が大きいらしいですよ。WATCHMENの3段×3コマってのも結構なチャレンジだったらしいけど,文化的に絵で魅せるのに長けているんだし,この本みたいな効果も巧いこと使えるようになれば漫画自体も進化していくんじゃないかなとか思う。
普通に絵のクオリティーとしても邦訳じゃかなり高いと思うのでそれ狙いで買ってもいいんじゃないかしら。ストーリーも(モリソンにしちゃ)分かりやすくて読みやすいのでオススメ。常にクールなバットマンはやっぱかっこいいぞ!
この話はキャラクターや設定を50年代のバットマンストーリーから持ってきているんですね,そんで巻末に元ネタエピソードも載せてくれていますが,これが面白い。いろんな土地でバットマンに憧れたタフガイたちが自警活動をしているという話。フランス,ローマ,メキシコ…いろんなコスプレおじさんたちが入り乱れる様は圧巻。中でもインディアン(ネイティブアメリカンに変えなかったのは偉い!)のマン・オブ・バッツ首長はいろんな意味で凄いキャラ。なにせ本名が「グレートイーグル」ですよ。鷲の名を冠しながらコウモリに扮する君に誇りは無いのか!?正体がバレない為の工夫?モロにバレてますよ。
その他にも元ネタになってそうな昔のエピソードが多数収録されてますので,今と違って軽いノリのバットマンも楽しめてお得。
そうそうヒーロークラブと言えばアニメ「バットマン:ブレイブアンドボールド」にもこれが元ネタになってるエピソードがありましたね。それぞれのバットマンに対するジョーカー的キャラが居てカオスで笑える。
後半は舞台をゴッサムに戻して偽バットマンとの対決とブルースの恋がメインになって進行する。バットマン・アンド・サン以来の謎がついに明かされ…そしてバットマンは死を体験する。物語は途切れ途切れに展開され,幻覚なのか,過去の出来事なのか或いは異世界の出来事なのか判然としない。わかるのは決着が近いということだけ。真の敵は一体?ブラックグローブとはなんぞや?そしてブルースとイザベルの恋の行方は?予測がつかない展開に手に汗握る第3弾!必見!!必見!!
見所はなんと言ってもよくわからん場面展開!エッセンスだけよこして「足りない部分は自分で妄想しろ」てな感じの見せ方が最高です!
不可解なシーンはバットマンの幻覚なのだろうか,「ラーズ・アル・グールの復活」で急に出てきたトゥゲル(穴に引き籠もる瞑想法)中に見た夢かなんかなんだろうなーとは思う。同時に登場するバットマイトは現実と虚構の狭間の存在として効果的な登場の仕方だと思う。モリソンのバットマンは何考えてるか分からんから深層心理に触れてくれるのはありがたい。
そしてバットマンの危機を察知して参戦を決めるタリアとダミアン母子!これがカッチョイイ!宿敵が手を貸しに来るみたいな展開は燃えるぜ!
しかし本当どうなるのか全く予測がつかない。謎のワード「ズー・イン・アール」って一体何?ブラックグローブの正体って何?そしてバットマンが想定する最強の敵に対しての作戦とは?気になるけど知りたくない!
R.I.Pが待ち遠しい!
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[投稿:2012-06-03 21:40:03] [修正:2012-06-04 02:36:19] [このレビューのURL]
ご新規用アメコミ
映画にあわせて設定を簡素にしたミニシリーズ的存在。その読みやすさたるやファーストクラスやスポーン並み。
ソーって歴戦の勇者って感じで,老成してるだけにどこか人間に対して冷たい「神さま」っていうイメージがあったんだけど,このソーは若くて我儘,人に恋して人と友情を育み,人から学びもする。主人公やってる,この子主人公やってるよーってなもんだ。絵もマイルドで読みやすいし,なにせ爽やか笑顔がステキだ。
映画準拠な設定になっててタイムスリップものみたいに現代の地球に戸惑うソーの姿が笑える。アントマン,サブマリナー,キャプテン・ブリテンとかいろんなヒーローとの絡みもあって見どころは多い。特にキャプテン・ブリテンとのエピソードはGOOD!男くせえ!!
この後も話をふくらませそうではあったが残念ながら打ち切りとなったようで,アメコミもわからんもんだなあとか思う。
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[投稿:2012-05-21 22:50:11] [修正:2012-05-21 22:52:36] [このレビューのURL]
冒頭でフランク・ミラーはこう述べる。「私にとって,バットマンは決して面白おかしく扱える存在ではない」と。
彼が語っているように「イヤーワン」のバットマンは,テレビシリーズのアダム・ウェストが演じるような明るいバットマン,昼間に堂々と活躍して市民の声援を受ける彼とは全く異なる。ミラーは恐ろしき「闇の騎士」としてバットマンを作り直し確立させたのだ。
散発的に修正が加えられていたバットマンのオリジンを,よりダークで大人向けな内容に描き直したのが今作「イヤーワン」であり,この名作は以降の世界観に多大な影響を与えることになった。
舞台はゴッサム,近代化と共に政治の腐敗とスラム化の進む都市である。今まさにこの都市へと向かう男が二人。一人はゴードン警部補,左遷された先は汚職に染まりきったゴッサム市警。夫であり父親でもある彼は,悪に染まった都市でこれから生まれる子供を育てたいとは思わない。
もう一人は若き富豪ブルース・ウェイン。長き旅を経て両親を失った場所へと戻り,己が振るうべき力の形を探し始める。
家族を支える為とはいえ,汚職に目をつぶることのできないゴードンは組織内で孤立し,同僚から制裁を受ける。しかし彼も黙ってはない,彼は夫である前に男なのだ・・・
一方でバットマンという形を見つける前のブルースは自警活動の下見で大失敗をおかす。悪を裁くには正道から逸脱しなくてはならない。恐怖を悪に植え付ける存在へと進化しなくては・・・
やがて二人の物語は絡み合う。数々の事件を解決し市民からの支持を受けつつあるゴードン。バットマンとしての活動が軌道に乗り始め,ゴッサムを貪る悪を震え上がらせるブルース。偶然,二人は協力して事故に会いかけた老人を救う事になる。
そして、次第に互いが信頼に値する人物だと認識し始める。互いがその活動を支えるために必要な力を持っていることも・・・。
これは私に今まで無かった認識だった。二人が表裏の関係であるとは,意識したことが無かった。ゴードンという人物像を細かく描いた理由はここにあったのか。単にシグナルを出して危険な仕事を依頼するだけだったゴードンは,その裏で重荷を背負いながら奮闘する立役者だったのである。
活動1年目における人物関係,ミラーはその要素を過不足無く,見事に抽出している。街に巣くうマフィア,力は無くとも正義の為に戦うハービーデント,全く別のポリシーを持つセリーナ/キャットウーマン・・・そして口の端に上る「メトロポリスのお友達」。読者の想像力をかき立て,それでいて鬱陶しい程には主張してこない。伏線とはこう用意するものなのかと感じ入る。
どこを見ても、「イヤーワン」は,ゴードンとバットマンの再出発を飾るストーリーに相応しい傑作であると感服させられる。
ミラーの作品を知っていると感じる面白さにも触れたい。活動初期の力任せでどこか未熟なバットマンは,「ダークナイトリターンズ」において肉体的には衰えたが技術と戦略で切り抜ける老バットマンとの対比として面白い。そしてゴードンの不倫,これはお得意のハードボイルドで「夫である前に男なんだ」なんてかっこつけられない部分だ(下世話だが,他人の痴話話は面白い)。
また,バットマンに空を滑空させるシーンは,ミラーが完全に子供っぽいバットマンを否定しているわけではないことの現れだろう。アルフレッドの軽口を真に受けるブルースの顔はどこか微笑ましい。
子供っぽさといえば,マフィアと通じている本部長が,スヌーピーやミッキーのグッズを収集しているのも何だか笑える。アラン・ムーアの「V・フォー・ヴェンデッタ」に登場する人形収集癖のある権力者を思い出した。支配欲求はどこかしら幼稚な面を伴うのだろうか。
最後に,この作品の最も秀でているところは,ミラーの洗練された脚本とデビット・マッツケーリのスタイリッシュで柔らかみのあるアートが相まって,非常に読み進めやすい点にあると思う。優れたアメリカンコミックスを読んでいると,まるで映画を見ているような感覚に陥る(映画の方が表現物として上と言う意味ではない)。これはクリストファー・ノーランが「バットマンビギンズ」にかなりの量の要素をイヤーワンから借用していることからも伺い知れるだろう。今作はとにかくオリジン,始まりの物語として考え得る最良の要素に満ちているのだ。
悲しいのはその優秀さが,併録されている「イヤーツー」によって尚更引き立てられていることだろうか。
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[投稿:2011-09-02 20:16:59] [修正:2012-03-31 01:37:33] [このレビューのURL]
宇宙をまたにかけて戦う意志の力の使者,グリーンランタン。億万長者転じて一文無しのクライムファイター,グリーンアロー。二人のヒーローが相手取るのは一瞬で地球を滅ぼす巨大災害でも,世界制服をもくろむ悪人でもない。だがそれよりも尚手強い相手,社会問題というヤツだ。
今でこそアメリカンコミックスには大人でも楽しめるもの,時にグラフィック・ノベルと呼ばれるような,上質なストーリとテーマ性を持った作品が増えている。だがヒーロー物はどうか?もちろん文学性,叙情性,芸術性を兼ね備えた傑作は存在する。
しかし,悪役がいて,ヒーローがそいつらをやっつけて,話の途中で新しい敵の予感が・・・という典型的な「アメコミ」の印象は未だにぬぐえない(無理にぬぐう必要も無いとは思うが)。漫画大国の日本において殆どの人がアメリカンコミックスに見向きもしない理由にはそういった偏見や「日本の漫画が世界一」といった自尊心があるのではないかと思う。
実際,私がひやかしにアメコミを読み始めたのは,そういった典型的な「アメコミ」を期待したからであった。しかし,蓋を開けてみれば,そこには想像を遙かに超える作品があふれていたのである。「日本の漫画が世界一」という考えはここで脆くも崩れ去ったのだった。
「グリーンランタン/グリーンアロー」もそんな一作だ。70年から数年に渡ってデニス・オニールとニール・アダムスのコンビが世に送った傑作集である。その大きな特徴は,当時アメリカ社会に渦巻いていた問題-人種問題,性差別,環境問題,ドラッグ−に,二人のヒーローを立ち向かわせたことだ。一人は宇宙の守護者,法に忠実な正義を振るうグリーンランタン/ハル・ジョーダン。もう一人は,悪を裁くためには法さえ破る,現代のロビンフッドことグリーンアロー/オリバー・クインだ。
「社会問題にヒーローが立ち向かう」最初にこの煽り文句を見て,内容にあまり期待が持てなかった。それまでもヒーローにイデオロギーを背負わせる場面を目にしたことはあった。バットマンは国債を買おうと毎回表紙で宣伝していたし,キャプテンアメリカはアカ狩りをやっていた。結局それらと変わらないのでは?今度はカウンターカルチャーらしさを出して体制に立ち向かわせようってハラなんだろ?白人のヒーローにイイかっこさせて,まるで自分たちは加害者じゃないみたいな顔をするんだ・・・
当初のアメコミへの評価の低さと,社会問題なんていうテーマに対するアレルギー反応とが相まって,そんなネガティブな思いがよぎったのだ。
しかし,その予想は大きく外れた。子供向けの作品でありながら,デニス・オニールの脚本は驚くほどバランス感覚に優れ,なおかつメッセージ性に富んでいる。
「宇宙警察」グリーンランタン。法を尊び秩序の力を振るってきた彼は,権力を持った者が法を振りかざし,力無き者が虐げられる様を目の当たりにする。それでも法の正しさを信じたいと願いながら続ける旅の中で,次第に喪失していた人間性を取り戻し始める...
今作でのグリーンランタンは酷く弱い。忠誠を誓ったガーディアンズの法に逆らった事で,力を制限されてしまうからだ。おそれを知らず力を奔放に振るっていた頃とは違う,今の彼にはあらゆる問題が困難なものになったのだ。
旅の相棒となるのはグリーンアロー。彼は億万長者から転げ落ち,市井の問題を深く知ることになった。
構図としては,グリーンランタンとは逆の信条を持つ彼が,物語を別の視点から捕らえる役割を果たすことになる。しかし,権威に立ち向かっていたはずのグリーンアローも,自身の権威主義的な面,アメリカ性によって打ちのめされてしまうのだ。
麻薬依存をただ本人の弱さのせいだと断じる彼は,自分にある強さを誇示するだけの無責任な「大人」だと看破される。また,環境保護を謳うアイザックの思想に賛同するが,目的達成のために環境を傷つける武器を用いたことから拒絶されてしまう。
性格の真逆な二人を登場させておきながら,どちらによっても勝利はもたらされない,解決も見出されない。そこにはただ問題提起があるだけなのだ。
物語ははっきり言うとステロタイプにすぎる。当然子供に向けた物であるからしてわかりやすい対立構造にする必要があったのだろうし,70年代のコミックスの立ち位置を鑑みてもその事によってこの作品を貶めることはフェアでは無い。
だが,そういったものを差し引いたとしても,私が真にこの作品を評価したいのは,当時の社会にあったあらゆる問題への疑いの眼差しに満ちていながら,絶対的正義を喪失したヒーロー達を描いていながら,戦いをやめないその姿が,まさしくヒーローそのものとして浮かび上がっているからなのだ。この物語がなおも子供心を離さないのは,その人間らしい弱さと強さが,新しいヒーロー像として成立しているからに違いないのである。
デニス・オニールはこの作品によって,子供達に社会のジレンマについて考える機会を与えたいと願っていた。そして,所詮子供向けと軽視されていたヒーロー達にそれが可能だと確信していたのだ。
然り,ヒーローが担うべき役割は夢と希望を与える事だけではない。どうしようもない現実に立ち向かう勇気を,現実を打開する力さえも時に彼らは与えてくれるのではないだろうか。
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[投稿:2011-09-09 12:34:56] [修正:2012-03-21 22:33:46] [このレビューのURL]
7点 ヘルボーイ
購入したのは小プロの壱巻と弐巻。他のアメコミヒーロー物とは違ったオリジナリティがあって非常に良い作品だと思う。ミニョーラのアートもかなり独特で評価が高い。
私は映画から入った口ですが(特にゴールデンアーミーはクリーチャークリーチャーしてて好き),原作はかなり感じが違う。妖怪探偵たる鬼太郎的なノリの物語で,表現がかなりあっさりとしていて読みやすいのが特徴。
ヘルボーイというキャラクターは熟練のプロという感じと,何処か子どもっぽいアンバランスさもあって魅力的だし,全体的に暗い色調の中で彼の赤が冴えていてカッコイイ。
エピソード全体としては,丁度良い程度の伏線を残しつつ進んでいく感じで,淡泊だが気持ちの良い余韻を与えてくれる終わり方が多いという印象。特に気に入ったのは弐巻に収録されている「チェインド・コフィン」という短編集。ヘルボーイのオカルト捜査官としての活動が描かれるのだが,各地の様々な民話がモチーフになったエピソードが読んでいて楽しい。幼いヘルボーイがパンケーキを食べるだけのエピソードに始まり,取り替え子(チェンジリング)や,日本の妖怪も出てきたりと飽きさせない。
一方ストーリーの根幹に関わる部分はやや難解か。ヘルボーイって一体何者なの?というのが,弐巻(滅びの右手)でようやくわかってきたかなぁという感じ。宿敵ラスプーチンの台詞も仰々しくて読みにくい。クトゥルフ神話的な要素が結構多いのでそういうのが好きな人にはハマるのかも。
チェンインド・コフィンだけなら小プロが昔出してたのもあるのでそちらがいい。
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[投稿:2012-03-08 13:26:28] [修正:2012-03-08 13:26:28] [このレビューのURL]